有価証券報告書-第41期(2023/04/01-2024/03/31)
(経営成績等の状況の概要)
(1) 経営成績
① 全体的な経営成績
当連結会計年度の現金ベース売上高は189億3千2百万円(前年同期比3億6千3百万円減、同1.9%減)、前受金調整後の発生ベース売上高は190億1百万円(同7億1千万円減、同3.6%減)となりました。
売上原価は120億1千2百万円(同3千3百万円増、同0.3%増)、販売費及び一般管理費は72億9千5百万円(同1億1千7百万円減、同1.6%減)となりました。これらの結果、営業利益は3億7百万円の営業損失(前年同期は3億1千9百万円の営業利益)となりました。
営業外収益に受取利息7百万円、受取手数料5百万円、投資有価証券運用益1千5百万円等、合計3千7百万円、営業外費用に支払利息3千3百万円、支払手数料8百万円、為替差損9百万円等、合計6千万円を計上した結果、経常利益は3億2千9百万円の経常損失(前年同期は3億2千4百万円の経常利益)となりました。
特別損益には、特別利益に投資有価証券清算益1千3百万円、特別損失に固定資産除売却損1千3百万円、投資有価証券評価損6百万円をそれぞれ計上いたしました。これらの結果、当期純利益は2億1千8百万円の当期純損失(前年同期は2億1千6百万円の当期純利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は2億1千4百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
② 各セグメントの経営成績
当連結会計年度における当社グループの各セグメントの業績(現金ベース売上高)及び概況は、次のとおりであります。なお、当社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、当社グループの経営意思決定に即した“現金ベース”(前受金調整前)売上高で表示しております。
現金ベース売上高は、連結損益計算書の売上高とは異なりますので、ご注意ください。詳細につきましては、注記事項「セグメント情報等」をご覧ください。
(注) 各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(個人教育事業)
個人教育事業は、新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行したことを契機に、社会人を主な受講生層とする講座を中心に新たに学習を始める方及び受験経験者の申し込みが徐々に回復してきたことで、下半期の6ヶ月間では前年度の現金ベース売上高を上回り、同期間における現金ベースの営業損益は2億5千2百万円改善いたしました。講座別では、企業におけるDX推進に伴いIT関連需要が続く情報処理講座や試験制度変更や税制改正等の追い風を受けた税理士講座は年間を通じて好調に推移しました。また、中小企業診断士講座や社会保険労務士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、建築士講座、司法書士講座等の社会人の方が主な受講生層となる講座も好調に推移しました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まり等もあり、学生を主な受講生層とする講座への申し込みが低調に推移した他、簿記検定講座や米国公認会計士講座等も前年度の現金ベース売上高を下回りました。コスト面では、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は107億9千4百万円(前年同期比2.3%減)となりました。これらの結果、個人教育事業の現金ベース売上高は97億6千5百万円(同2.1%減)、現金ベースの営業利益は10億2千9百万円の営業損失(前年同期は10億7千4百万円の営業損失)となりました。
(法人研修事業)
当社の企業向けの研修は第4四半期に入りややペースが減少したものの、年間を通じて好調に推移いたしました。分野別では主力の金融・不動産分野が前年を上回った他、財務・会計分野、電気・施設関連等の研修も好調に推移し前年を上回りました。大学内セミナーは前年並み、地方の個人を主な顧客とする提携校事業は前年同期比7.3%減、地方専門学校に対するコンテンツ提供は同8.5%減、自治体からの委託訓練は同0.9%減となりました。コスト面では、営業費用全体として34億3千3百万円(同0.7%減)となりました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億4千5百万円(同0.5%増)、現金ベースの営業利益は10億1千1百万円(同4.7%増)となりました。
(出版事業)
当社グループの出版事業は、当社が展開する「TAC出版」及び子会社の㈱早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」(以下、「W出版」)の2つのブランドで進めております。
出版事業は第3四半期以降業績の回復を見せつつも、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期及び第2四半期の影響をカバーすることができず、年間の売上高は前年を下回る結果となりました。資格試験対策書籍ではTAC出版の税理士、不動産鑑定士、建築士、証券アナリスト、W出版の弁理士、行政書士等が好調に推移し前年を上回りましたが、簿記検定、宅地建物取引士、マンション管理士、FP、社会保険労務士等は前年を下回る結果となりました。なお、大幅な改訂や新シリーズの発刊を行った旅行ガイドについては、行動規制の緩和による旅行需要の増加もあり好調に推移いたしました。コスト面では、営業費用全体として33億9千8百万円(前年同期比5.9%増)となりました。これらの結果、出版事業の売上高は42億4千6百万円(同4.1%減)、営業利益は8億4千7百万円(同30.3%減)となりました。
(人材事業)
子会社の㈱TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、顧客とする監査法人や税理士法人、また一般企業における会計系人材の採用意欲が高く、広告売上、人材紹介売上は年間を通じて好調に推移した一方、人材派遣売上は前年を下回りました。㈱医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業は、医療機関の人材不足等による需要もあり第2四半期以降売上が回復し、前年の売上を上回りましたが、派遣人材の確保及びそれに伴う人件費等の営業費用の増加の影響もあり、営業利益は前年を下回る結果となりました。これらの結果、人材事業の売上高は5億1千万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は6千3百万円(同9.5%減)となりました。
(補足情報:最近における事業分野別の売上高)
当社グループの各事業分野の業績及び概況は、次のとおりであります。なお、当社は「収益認識に関する会計基準」等の適用に際し、出版事業における返品の可能性のある取引については予想される返品相当額を売上高から直接控除しております。当該返品相当額は過去の売上高に対する返品実績等に基づいた全体的な見積計算を行っており分野ごとの控除額は把握しておりません。そのため、下表における各分野の売上高を合計した額(下表の「合計」欄に記載の数値)は連結損益計算書における売上高とは一致しませんのでご注意ください。
(注) 主要な相手先別の販売実績等については、当該割合が10%以下のため記載を省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期比3億5千8百万円減少し、57億4千5百万円となりました。なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△6億6百万円(同3億8千1百万円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費(のれん償却費含む)-設備投資額-運転資本増加額-配当金の支払額
なお、運転資本は、売掛金+受取手形+棚卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは同4億9千5百万円減少し、5億2千4百万円の支出となりました。増加要因の主なものは仕入債務の増減額の増加、前受金の増減額の増加、法人税等の支払額の減少等であります。減少原因の主なものは、売上債権の増減額の増加、その他債務の増減額の減少、移転補償金の受取額の減少等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは同4億7千9百万円減少し、4千3百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、定期預金の預入による支出の減少、有価証券の売却及び償還による収入の増加、有形固定資産の取得による支出の減少等であります。減少要因の主なものは、投資有価証券の売却及び償還による収入の減少、差入保証金の回収による収入の減少等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは同2億2千7百万円増加し、2億6百万円の収入となりました。増加要因の主なものは、長期借入による収入の増加等であります。減少要因の主なものは長期借入金の返済による支出の増加等であります。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、総資産が207億9千万円(前連結会計年度末比4百万円減)、純資産が58億7千2百万円(同3億3千1百万円減)となりました。連結上、増加した主なものは、売掛金が同4億2千4百万円増、商品及び製品が同1億3千3百万円増、ソフトウエアが同9千5百万円増、繰延税金資産が同1億9千5百万円増、長短借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)が同3億5千1百万円増等であります。減少した主なものは、現金及び預金が同3億5千8百万円減、有価証券が同2億円減、有形固定資産が同1億1千7百万円減、差入保証金が同1億2千万円減、未払費用が同1億2千5百万円減等であります。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 拠点数と収容能力
当社グループの個人教育事業及び法人研修事業に関する通学講座の開講地区は、下記の通り2024年3月末現在、22拠点で展開しております。また、教室数及び座席数はそれぞれ下表に記載の通りとなっております。
また受講者数については次のとおりであります。
当連結会計年度における受講者数は199,940名(前連結会計年度比1.6%増)、そのうち個人受講者数は111,093名(同1.4%減、1,535名減)、法人受講者数は88,847名(同5.7%増、4,769名増)となりました。個人・法人を合わせた講座別では、税理士講座が同4.0%増、宅地建物取引士講座が同5.1%増、FP講座が同17.1%増、情報処理講座が同10.7%増、CompTIA講座が同5.6%増等となった一方、簿記検定講座が同5.9%減、公認会計士講座が同5.7%減、マンション管理士講座が同6.4%減、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同10.4%減等となりました。法人受講者は、通信型研修が同8.5%増、大学内セミナーは同2.2%減、提携校が同7.5%減、委託訓練は同1.3%増となりました。
(2) 受注実績
該当事項はありません。
(3) 販売実績
販売実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
① 講座に関する売上計上基準
当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受け取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。
② フリーレントの会計処理
当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。
③ 繰延税金資産の回収可能性
当社は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2018年2月16日)に定める会社分類に基づき、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づき課税所得が生じると見込まれる範囲内において繰延税金資産を計上しております。なお、課税所得の見積りについては、経営者会議で承認した5カ年分の損益予測により、当社の経営環境を考慮した将来の収益予測や講座運営体制の見直しによるコスト削減のための施策に基づいて見積りを行っております。当該見積りは将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、予測不能な事態により発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の計上額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 資産除去債務
資産除去債務は本社及び各拠点の建物の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務等であり、当社では、利用実態に応じて賃借物件をグループ化しており、本社グループの賃借期間は23年、各拠点のうち基幹拠点は10年、その他の各拠点については6年等と見積もっております。割引率は、各平均賃借期間に合わせて、それぞれ0.000%~2.280%を使用して資産除去債務の金額を計算しております。原状回復費用の見積りにおいては、類似の特性を有する賃借ビルの過去の原状回復工事の実績を基礎とした工事単価を仮定として利用しておりますが、将来の工事単価は、事業環境の変化により大きく影響を受ける可能性があり、工事単価が影響を受けた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、資産除去債務の計上額に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 棚卸資産の評価方法
当社は、棚卸資産の評価方法として原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。収益性の低下による簿価切下げ額は、決算日時点におけるテキストや問題集等の教材及び出版物のうち、その後において使用又は販売されることなく最終的に廃棄されることとなる金額の見込額及び出版物の過剰在庫の額であります。最終的に廃棄されることとなる金額の見込額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の教材及び出版物の制作費用の額に、過去における教材及び出版物の制作費用並びにそれらの廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。また、出版物の過剰在庫の額については、当社が刊行する出版物の性質を考慮し、刊行後1年以上経過した出版物のうち今後の販売見込みを超えて保有している部分を過剰在庫とし簿価の切下げを行っております。
⑥ 返品廃棄損失引当金
当社では、出版物の返品による廃棄損失に備えるため、返品廃棄損失引当金を計上しております。この返品廃棄損失引当金は、取次店等に対して納品し売上計上した出版物が、その後書店等における売れ残りや汚れ等の理由によって当社に返品され、最終的に当社において廃棄することとなる金額の見込額であります。当該見込額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の制作費用の額に、過去における出版物の制作費用及び廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 全体的な経営成績の増減収要因
当連結会計年度は、5月から新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行し、日常生活がコロナ禍前の状況に回帰してきたことで、社会人の学習意欲が高まりを見せてきており、当社においても社会人を主な受講生層とする講座を中心に新たに学習を始める方及び受験経験者の申込みが徐々に回復してまいりました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まりや公務員志願者の減少傾向等もあり大学生等を主な受講生層とする講座において影響が生じました。資格取得関連事業における外部環境は、従来実施していたペーパー試験による一斉テスト形式の試験から、コンピュータを利用したCBT試験(Computer Based Testing)に移行する資格試験等が徐々に増加してきており、受験生が試験日に縛られることなく、自らのスケジュールに合わせて受験日程を組むことができるようになったことで、学習のスタート時期も自らの生活状況により自由に設定できることから、今までのように試験日を見定めて開講日を定め、一斉に講義をスタートさせる従来型のカリキュラムだけでは対応できず、CBT試験に合わせたいつでも学習がスタートできるカリキュラムへの対応等が必要となりました。このような状況下で当社の主力事業である個人教育事業はコロナ禍が明けた上半期においては苦戦を強いられましたが、社会人受講生の申込みが徐々に回復してきたこともあり、下半期の6ヶ月間の現金ベース売上高は前年を上回り、同期間における現金ベースの営業損益は2億5千2百万円改善いたしました。
講座別では、企業におけるDX推進に伴いIT関連需要が続く情報処理講座や試験制度変更や税制改正等の追い風を受けた税理士講座は年間を通じて好調に推移しました。また、中小企業診断士講座や社会保険労務士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、建築士講座、司法書士講座等の社会人の方が主な受講生層となる講座も好調に推移しました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まり等もあり、学生を主な受講生層とする講座への申込みが低調に推移したほか、簿記検定講座や米国公認会計士講座等も前年度の現金ベース売上高を下回ったことで、個人教育事業における年間の売上高は減少いたしました。
TAC及び早稲田経営出版(W出版)のブランドで行う出版事業は、第3四半期以降業績の回復を見せつつも、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期及び第2四半期の影響をカバーすることができず、年間の売上高は前年を下回る結果となりました。資格試験対策書籍ではTAC出版の税理士、不動産鑑定士、建築士、証券アナリスト、W出版の弁理士、行政書士等が好調に推移し前年を上回りましたが、簿記検定、宅地建物取引士、マンション管理士、FP、社会保険労務士等は前年を下回る結果となりました。なお、大幅な改訂や新シリーズの発刊を行った旅行ガイドについては、行動規制の緩和による旅行需要の増加もあり好調に推移いたしました。
法人研修事業及び人材事業の業績については、③及び④に記載の通りです。これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は189億3千2百万円(前年同期比1.9%減)、前受金調整後の発生ベース売上高は190億1百万円(同3.6%減)となりました。
② コスト要因
コストについては、売上原価で3千3百万円増(同0.3%減)、販売費及び一般管理費で1億1千7百万円減(同1.6%減)となりました。当連結会計年度は教材制作のための外注費等の増加による売上原価の増加等がありましたが、販売費及び一般管理費の削減等により営業費用全体としては減少いたしました。一方で資源価格高騰の影響等で教材・出版物に必要となる紙代、製作費、運送費等の多くの費目での値上がりもあり、売上の減少に見合ったコスト削減までには至らず、全体として利益を押し下げることとなりました。
③ 法人研修事業の経営成績の推移
法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。
企業向けの研修は第4四半期に入りややペースが減少したものの、年間を通じて好調に推移いたしました。分野別では主力の金融・不動産分野が前年を上回った他、財務・会計分野、電気・施設関連等の研修も好調に推移し前年を上回りました。大学内セミナーは前年並み、地方の個人を主な顧客とする提携校事業は前年同期比7.3%減、地方専門学校に対するコンテンツ提供は同8.5%減、自治体からの委託訓練は同0.9%減となりました。コスト面では、営業費用全体として34億3千3百万円(同0.7%減)となりました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億4千5百万円(同0.5%増)、現金ベースの営業利益は10億1千1百万円(同4.7%増)となりました。
④ 人材ビジネスの経営成績の推移
子会社の㈱TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、顧客とする監査法人や税理士法人、また一般企業における会計系人材の採用意欲が高く、広告売上、人材紹介売上は年間を通じて好調に推移した一方、人材派遣売上は前年を下回りました。㈱医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業は、医療機関の人材不足等による需要もあり第2四半期以降売上が回復し、前年の売上を上回りましたが、派遣人材の確保及びそれに伴う人件費等の営業費用の増加の影響もあり、営業利益は前年を下回る結果となりました。これらの結果、人材事業の売上高は5億1千万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は6千3百万円(同9.5%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
① 受験者数の推移
当社の取扱う資格試験の受験者数は、2010年には310万人にまで増加しましたが、翌年以降急激に減少し、2014年には253万人と5年間で50万人以上受験者数が減少しました。これは簿記検定試験が73万人から53万人にまで減少したほか、情報処理関連の受験者数が約15万人減少したこと等が主な要因です。2015年以降の受験者数は比較的安定的に推移しております。一般的には、不景気時に資格試験受験者は増加する傾向がありますが、2011年3月に発生した東日本大震災や消費税増税、公認会計士試験合格者の未就職者問題など、当社の取扱う各資格試験の受験者数は社会情勢や個々の資格ごとの状況などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。
② 試験制度の改正等の受験環境
2006年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などで受験者数が大きく減少し、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けました。また、2016年度より段階的に行われた日商簿記検定試験の試験出題区分の改定により、当社の簿記検定講座も教材やカリキュラムの見直しを行い、売上及び費用に影響が生じました。その他の資格においても、合格者数がこれまでと大きく増減するなど試験制度面における大きな状況変化が起こると、当社講座への申し込み状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。
(4) 財政状態に関する分析
① 全体的な財政状態
当連結会計年度末における全体的な財政状態の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (3) 財政状態」をご参照ください。なお、セグメントごとの財政状態については、資産を事業セグメントに配分していないため記載を省略いたします。
② 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行し、日常生活がコロナ禍前の状況に回帰してきたことで、社会人の学習意欲が高まりを見せてきており、講座へのお申込みが徐々に回復してきた一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まりや公務員志願者の減少傾向等もあり大学生等を主な受講生層とする講座において影響が生じた結果、全体として年間を通じた現金ベースの売上高は前年を下回り、前受金比率は前連結会計年度比0.1ポイント減少いたしました。自己資本比率は、前受金に見合う資金が徐々に取り崩されて使用され事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済むため、相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は2億1千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となり、自己資本比率は1.6ポイント減少いたしました。
③ 差入保証金について
当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。
賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、一部拠点の床面積の削減等を行いましたが、前受金残高の減少もあり保証金比率は2.1ポイント減少しました。
④ 資産除去債務について
当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用又は損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ固定費負担が重くなっております。なお、当連結会計年度において資産除去債務の見積りの変更を行い、31,867千円を変更前の資産除去債務残高に加算しております。
⑤ 運用有価証券について
前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金又は有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。
(5) 戦略的現状と見通し
「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①既存事業の強化、②個人教育事業の早期回復、③株価純資産倍率の改善を中心とした施策に取り組んでまいります。
(6) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(7) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資本の源泉及び資金の流動性については、事業運営上必要となる資金は、手許資金及び金融機関からの借入により調達することを基本としております。
2024年3月末時点における短期及び長期借入金の合計56億4千9百万円のうち16億1千2百万円は本社ビル取得に係る借入金であり、その他は事業運営上必要な設備等の導入や入れ替え、経費の支払いなどの経常的な支払等に必要となる資金に係る借入金であります。
有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。
(1) 経営成績
① 全体的な経営成績
当連結会計年度の現金ベース売上高は189億3千2百万円(前年同期比3億6千3百万円減、同1.9%減)、前受金調整後の発生ベース売上高は190億1百万円(同7億1千万円減、同3.6%減)となりました。
売上原価は120億1千2百万円(同3千3百万円増、同0.3%増)、販売費及び一般管理費は72億9千5百万円(同1億1千7百万円減、同1.6%減)となりました。これらの結果、営業利益は3億7百万円の営業損失(前年同期は3億1千9百万円の営業利益)となりました。
営業外収益に受取利息7百万円、受取手数料5百万円、投資有価証券運用益1千5百万円等、合計3千7百万円、営業外費用に支払利息3千3百万円、支払手数料8百万円、為替差損9百万円等、合計6千万円を計上した結果、経常利益は3億2千9百万円の経常損失(前年同期は3億2千4百万円の経常利益)となりました。
特別損益には、特別利益に投資有価証券清算益1千3百万円、特別損失に固定資産除売却損1千3百万円、投資有価証券評価損6百万円をそれぞれ計上いたしました。これらの結果、当期純利益は2億1千8百万円の当期純損失(前年同期は2億1千6百万円の当期純利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は2億1千4百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
② 各セグメントの経営成績
当連結会計年度における当社グループの各セグメントの業績(現金ベース売上高)及び概況は、次のとおりであります。なお、当社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、当社グループの経営意思決定に即した“現金ベース”(前受金調整前)売上高で表示しております。
現金ベース売上高は、連結損益計算書の売上高とは異なりますので、ご注意ください。詳細につきましては、注記事項「セグメント情報等」をご覧ください。
| 各セグメントの 現金ベース売上高 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | 構成比(%) | |
| 個人教育事業 | 9,765,720 | 97.9 | 51.6 |
| 法人研修事業 | 4,445,707 | 100.5 | 23.5 |
| 出版事業 | 4,246,850 | 95.9 | 22.4 |
| 人材事業 | 510,172 | 98.5 | 2.7 |
| 全社又は消去 | △36,426 | ― | △0.2 |
| 合計 | 18,932,026 | 98.1 | 100.0 |
(注) 各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(個人教育事業)
個人教育事業は、新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行したことを契機に、社会人を主な受講生層とする講座を中心に新たに学習を始める方及び受験経験者の申し込みが徐々に回復してきたことで、下半期の6ヶ月間では前年度の現金ベース売上高を上回り、同期間における現金ベースの営業損益は2億5千2百万円改善いたしました。講座別では、企業におけるDX推進に伴いIT関連需要が続く情報処理講座や試験制度変更や税制改正等の追い風を受けた税理士講座は年間を通じて好調に推移しました。また、中小企業診断士講座や社会保険労務士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、建築士講座、司法書士講座等の社会人の方が主な受講生層となる講座も好調に推移しました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まり等もあり、学生を主な受講生層とする講座への申し込みが低調に推移した他、簿記検定講座や米国公認会計士講座等も前年度の現金ベース売上高を下回りました。コスト面では、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は107億9千4百万円(前年同期比2.3%減)となりました。これらの結果、個人教育事業の現金ベース売上高は97億6千5百万円(同2.1%減)、現金ベースの営業利益は10億2千9百万円の営業損失(前年同期は10億7千4百万円の営業損失)となりました。
(法人研修事業)
当社の企業向けの研修は第4四半期に入りややペースが減少したものの、年間を通じて好調に推移いたしました。分野別では主力の金融・不動産分野が前年を上回った他、財務・会計分野、電気・施設関連等の研修も好調に推移し前年を上回りました。大学内セミナーは前年並み、地方の個人を主な顧客とする提携校事業は前年同期比7.3%減、地方専門学校に対するコンテンツ提供は同8.5%減、自治体からの委託訓練は同0.9%減となりました。コスト面では、営業費用全体として34億3千3百万円(同0.7%減)となりました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億4千5百万円(同0.5%増)、現金ベースの営業利益は10億1千1百万円(同4.7%増)となりました。
(出版事業)
当社グループの出版事業は、当社が展開する「TAC出版」及び子会社の㈱早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」(以下、「W出版」)の2つのブランドで進めております。
出版事業は第3四半期以降業績の回復を見せつつも、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期及び第2四半期の影響をカバーすることができず、年間の売上高は前年を下回る結果となりました。資格試験対策書籍ではTAC出版の税理士、不動産鑑定士、建築士、証券アナリスト、W出版の弁理士、行政書士等が好調に推移し前年を上回りましたが、簿記検定、宅地建物取引士、マンション管理士、FP、社会保険労務士等は前年を下回る結果となりました。なお、大幅な改訂や新シリーズの発刊を行った旅行ガイドについては、行動規制の緩和による旅行需要の増加もあり好調に推移いたしました。コスト面では、営業費用全体として33億9千8百万円(前年同期比5.9%増)となりました。これらの結果、出版事業の売上高は42億4千6百万円(同4.1%減)、営業利益は8億4千7百万円(同30.3%減)となりました。
(人材事業)
子会社の㈱TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、顧客とする監査法人や税理士法人、また一般企業における会計系人材の採用意欲が高く、広告売上、人材紹介売上は年間を通じて好調に推移した一方、人材派遣売上は前年を下回りました。㈱医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業は、医療機関の人材不足等による需要もあり第2四半期以降売上が回復し、前年の売上を上回りましたが、派遣人材の確保及びそれに伴う人件費等の営業費用の増加の影響もあり、営業利益は前年を下回る結果となりました。これらの結果、人材事業の売上高は5億1千万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は6千3百万円(同9.5%減)となりました。
(補足情報:最近における事業分野別の売上高)
当社グループの各事業分野の業績及び概況は、次のとおりであります。なお、当社は「収益認識に関する会計基準」等の適用に際し、出版事業における返品の可能性のある取引については予想される返品相当額を売上高から直接控除しております。当該返品相当額は過去の売上高に対する返品実績等に基づいた全体的な見積計算を行っており分野ごとの控除額は把握しておりません。そのため、下表における各分野の売上高を合計した額(下表の「合計」欄に記載の数値)は連結損益計算書における売上高とは一致しませんのでご注意ください。
| 事業分野 | 主な講座等 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
| 金額 (千円) | 前年同期比(%) | 構成比 (%) | ||
| ①財務・会計分野 | 公認会計士講座、簿記検定講座、建設業経理士講座、ビジネス会計検定講座 | 3,313,920 | 86.0 | 17.3 |
| ②経営・税務分野 | 税理士講座、中小企業診断士講座、IPO実務検定講座、財務報告実務検定講座 | 3,226,677 | 101.2 | 16.9 |
| ③金融・不動産分野 | 建築士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、賃貸不動産経営管理士講座、マンション管理士/管理業務主任者講座、FP(ファイナンシャル・プランナー)講座、証券アナリスト講座、DCプランナー講座、貸金業務取扱主任者講座、ビジネススクール、相続検定講座、企業経営アドバイザー講座 | 4,657,006 | 100.9 | 24.4 |
| ④法律分野 | 司法試験講座、司法書士講座、弁理士講座、行政書士講座、ビジネス実務法務検定講座、通関士講座、知的財産管理技能検定講座、法律関連講座 | 1,300,932 | 101.9 | 6.8 |
| ⑤公務員・労務分野 | 公務員講座(国家総合職・一般職、地方上級、外務専門職、警察官・消防官、理系技術職)、教員試験対策講座、マスコミ・就職対策講座、社会保険労務士講座 | 3,557,123 | 90.3 | 18.6 |
| ⑥情報・国際分野 | 情報処理講座(ITパスポート、情報処理安全確保支援士等)、米国公認会計士講座、米国公認管理会計士・米国税理士講座、CompTIA講座、IT関連講座、CIA(公認内部監査人)講座、TOEIC(R)L&R TEST講座 | 1,644,771 | 101.1 | 8.6 |
| ⑦医療・福祉分野 | 医療系人材の紹介及び派遣事業等 | 266,862 | 100.0 | 1.4 |
| ⑧その他 | 電気主任技術者講座、会計系人材の紹介及び派遣事業等、受付雑収入他 | 1,138,656 | 115.6 | 6.0 |
| 合計 | 19,105,949 | 96.7 | 100.0 | |
(注) 主要な相手先別の販売実績等については、当該割合が10%以下のため記載を省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期比3億5千8百万円減少し、57億4千5百万円となりました。なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△6億6百万円(同3億8千1百万円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費(のれん償却費含む)-設備投資額-運転資本増加額-配当金の支払額
なお、運転資本は、売掛金+受取手形+棚卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは同4億9千5百万円減少し、5億2千4百万円の支出となりました。増加要因の主なものは仕入債務の増減額の増加、前受金の増減額の増加、法人税等の支払額の減少等であります。減少原因の主なものは、売上債権の増減額の増加、その他債務の増減額の減少、移転補償金の受取額の減少等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは同4億7千9百万円減少し、4千3百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、定期預金の預入による支出の減少、有価証券の売却及び償還による収入の増加、有形固定資産の取得による支出の減少等であります。減少要因の主なものは、投資有価証券の売却及び償還による収入の減少、差入保証金の回収による収入の減少等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは同2億2千7百万円増加し、2億6百万円の収入となりました。増加要因の主なものは、長期借入による収入の増加等であります。減少要因の主なものは長期借入金の返済による支出の増加等であります。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、総資産が207億9千万円(前連結会計年度末比4百万円減)、純資産が58億7千2百万円(同3億3千1百万円減)となりました。連結上、増加した主なものは、売掛金が同4億2千4百万円増、商品及び製品が同1億3千3百万円増、ソフトウエアが同9千5百万円増、繰延税金資産が同1億9千5百万円増、長短借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)が同3億5千1百万円増等であります。減少した主なものは、現金及び預金が同3億5千8百万円減、有価証券が同2億円減、有形固定資産が同1億1千7百万円減、差入保証金が同1億2千万円減、未払費用が同1億2千5百万円減等であります。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) 拠点数と収容能力
当社グループの個人教育事業及び法人研修事業に関する通学講座の開講地区は、下記の通り2024年3月末現在、22拠点で展開しております。また、教室数及び座席数はそれぞれ下表に記載の通りとなっております。
| 当連結会計年度末 (2024年3月31日) | |||
| 教室数 | 収容座席数 | ||
| 前年同期比(%) | |||
| 札幌校 | 3 | 139 | 26.6 |
| 仙台校 | 5 | 116 | 25.6 |
| 水道橋校 | 14 | 841 | 97.2 |
| 渋谷校 | 15 | 1,118 | 100.0 |
| 新宿校 | 31 | 2,117 | 94.9 |
| 池袋校 | 20 | 1,444 | 99.0 |
| 八重洲校 | 14 | 969 | 100.0 |
| 早稲田校 | 6 | 352 | 66.2 |
| 町田校 | 9 | 611 | 101.7 |
| 横浜校 | 18 | 1,147 | 100.0 |
| 立川校 | 10 | 763 | 98.6 |
| 中大駅前校 | 3 | 206 | 98.6 |
| 日吉校 | 6 | 295 | 96.7 |
| 大宮校 | 9 | 578 | 99.8 |
| 津田沼校 | 7 | 430 | 112.0 |
| 名古屋校 | 20 | 1,303 | 101.1 |
| 京都校 | 9 | 642 | 101.4 |
| 梅田校 | 16 | 1,222 | 76.8 |
| なんば校 | 11 | 523 | 80.8 |
| 神戸校 | 10 | 527 | 101.7 |
| 広島校 | 10 | 343 | 100.0 |
| 福岡校 | 13 | 536 | 100.0 |
| 合計 | 259 | 16,222 | 91.6 |
また受講者数については次のとおりであります。
当連結会計年度における受講者数は199,940名(前連結会計年度比1.6%増)、そのうち個人受講者数は111,093名(同1.4%減、1,535名減)、法人受講者数は88,847名(同5.7%増、4,769名増)となりました。個人・法人を合わせた講座別では、税理士講座が同4.0%増、宅地建物取引士講座が同5.1%増、FP講座が同17.1%増、情報処理講座が同10.7%増、CompTIA講座が同5.6%増等となった一方、簿記検定講座が同5.9%減、公認会計士講座が同5.7%減、マンション管理士講座が同6.4%減、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同10.4%減等となりました。法人受講者は、通信型研修が同8.5%増、大学内セミナーは同2.2%減、提携校が同7.5%減、委託訓練は同1.3%増となりました。
| 当連結会計年度末 (2024年3月31日) | |||
| 人数(名) | 前年同期比増減(名) | 前年同期比(%) | |
| 個人受講者数 | 111,093 | △1,535 | 98.6 |
| 法人受講者数 | 88,847 | +4,769 | 105.7 |
| 合計 | 199,940 | +3,234 | 101.6 |
(2) 受注実績
該当事項はありません。
(3) 販売実績
販売実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
① 講座に関する売上計上基準
当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受け取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。
② フリーレントの会計処理
当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。
③ 繰延税金資産の回収可能性
当社は「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2018年2月16日)に定める会社分類に基づき、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づき課税所得が生じると見込まれる範囲内において繰延税金資産を計上しております。なお、課税所得の見積りについては、経営者会議で承認した5カ年分の損益予測により、当社の経営環境を考慮した将来の収益予測や講座運営体制の見直しによるコスト削減のための施策に基づいて見積りを行っております。当該見積りは将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、予測不能な事態により発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の計上額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 資産除去債務
資産除去債務は本社及び各拠点の建物の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務等であり、当社では、利用実態に応じて賃借物件をグループ化しており、本社グループの賃借期間は23年、各拠点のうち基幹拠点は10年、その他の各拠点については6年等と見積もっております。割引率は、各平均賃借期間に合わせて、それぞれ0.000%~2.280%を使用して資産除去債務の金額を計算しております。原状回復費用の見積りにおいては、類似の特性を有する賃借ビルの過去の原状回復工事の実績を基礎とした工事単価を仮定として利用しておりますが、将来の工事単価は、事業環境の変化により大きく影響を受ける可能性があり、工事単価が影響を受けた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、資産除去債務の計上額に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 棚卸資産の評価方法
当社は、棚卸資産の評価方法として原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。収益性の低下による簿価切下げ額は、決算日時点におけるテキストや問題集等の教材及び出版物のうち、その後において使用又は販売されることなく最終的に廃棄されることとなる金額の見込額及び出版物の過剰在庫の額であります。最終的に廃棄されることとなる金額の見込額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の教材及び出版物の制作費用の額に、過去における教材及び出版物の制作費用並びにそれらの廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。また、出版物の過剰在庫の額については、当社が刊行する出版物の性質を考慮し、刊行後1年以上経過した出版物のうち今後の販売見込みを超えて保有している部分を過剰在庫とし簿価の切下げを行っております。
⑥ 返品廃棄損失引当金
当社では、出版物の返品による廃棄損失に備えるため、返品廃棄損失引当金を計上しております。この返品廃棄損失引当金は、取次店等に対して納品し売上計上した出版物が、その後書店等における売れ残りや汚れ等の理由によって当社に返品され、最終的に当社において廃棄することとなる金額の見込額であります。当該見込額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の制作費用の額に、過去における出版物の制作費用及び廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 全体的な経営成績の増減収要因
当連結会計年度は、5月から新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行し、日常生活がコロナ禍前の状況に回帰してきたことで、社会人の学習意欲が高まりを見せてきており、当社においても社会人を主な受講生層とする講座を中心に新たに学習を始める方及び受験経験者の申込みが徐々に回復してまいりました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まりや公務員志願者の減少傾向等もあり大学生等を主な受講生層とする講座において影響が生じました。資格取得関連事業における外部環境は、従来実施していたペーパー試験による一斉テスト形式の試験から、コンピュータを利用したCBT試験(Computer Based Testing)に移行する資格試験等が徐々に増加してきており、受験生が試験日に縛られることなく、自らのスケジュールに合わせて受験日程を組むことができるようになったことで、学習のスタート時期も自らの生活状況により自由に設定できることから、今までのように試験日を見定めて開講日を定め、一斉に講義をスタートさせる従来型のカリキュラムだけでは対応できず、CBT試験に合わせたいつでも学習がスタートできるカリキュラムへの対応等が必要となりました。このような状況下で当社の主力事業である個人教育事業はコロナ禍が明けた上半期においては苦戦を強いられましたが、社会人受講生の申込みが徐々に回復してきたこともあり、下半期の6ヶ月間の現金ベース売上高は前年を上回り、同期間における現金ベースの営業損益は2億5千2百万円改善いたしました。
講座別では、企業におけるDX推進に伴いIT関連需要が続く情報処理講座や試験制度変更や税制改正等の追い風を受けた税理士講座は年間を通じて好調に推移しました。また、中小企業診断士講座や社会保険労務士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、建築士講座、司法書士講座等の社会人の方が主な受講生層となる講座も好調に推移しました。一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まり等もあり、学生を主な受講生層とする講座への申込みが低調に推移したほか、簿記検定講座や米国公認会計士講座等も前年度の現金ベース売上高を下回ったことで、個人教育事業における年間の売上高は減少いたしました。
TAC及び早稲田経営出版(W出版)のブランドで行う出版事業は、第3四半期以降業績の回復を見せつつも、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期及び第2四半期の影響をカバーすることができず、年間の売上高は前年を下回る結果となりました。資格試験対策書籍ではTAC出版の税理士、不動産鑑定士、建築士、証券アナリスト、W出版の弁理士、行政書士等が好調に推移し前年を上回りましたが、簿記検定、宅地建物取引士、マンション管理士、FP、社会保険労務士等は前年を下回る結果となりました。なお、大幅な改訂や新シリーズの発刊を行った旅行ガイドについては、行動規制の緩和による旅行需要の増加もあり好調に推移いたしました。
法人研修事業及び人材事業の業績については、③及び④に記載の通りです。これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は189億3千2百万円(前年同期比1.9%減)、前受金調整後の発生ベース売上高は190億1百万円(同3.6%減)となりました。
② コスト要因
コストについては、売上原価で3千3百万円増(同0.3%減)、販売費及び一般管理費で1億1千7百万円減(同1.6%減)となりました。当連結会計年度は教材制作のための外注費等の増加による売上原価の増加等がありましたが、販売費及び一般管理費の削減等により営業費用全体としては減少いたしました。一方で資源価格高騰の影響等で教材・出版物に必要となる紙代、製作費、運送費等の多くの費目での値上がりもあり、売上の減少に見合ったコスト削減までには至らず、全体として利益を押し下げることとなりました。
③ 法人研修事業の経営成績の推移
法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 受講者数 | (名) | 86,973 | 84,078 | 88,847 |
| 売上高 | (千円) | 4,372,782 | 4,423,453 | 4,445,707 |
| 営業利益 | (千円) | 1,043,960 | 966,208 | 1,011,882 |
企業向けの研修は第4四半期に入りややペースが減少したものの、年間を通じて好調に推移いたしました。分野別では主力の金融・不動産分野が前年を上回った他、財務・会計分野、電気・施設関連等の研修も好調に推移し前年を上回りました。大学内セミナーは前年並み、地方の個人を主な顧客とする提携校事業は前年同期比7.3%減、地方専門学校に対するコンテンツ提供は同8.5%減、自治体からの委託訓練は同0.9%減となりました。コスト面では、営業費用全体として34億3千3百万円(同0.7%減)となりました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億4千5百万円(同0.5%増)、現金ベースの営業利益は10億1千1百万円(同4.7%増)となりました。
④ 人材ビジネスの経営成績の推移
子会社の㈱TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、顧客とする監査法人や税理士法人、また一般企業における会計系人材の採用意欲が高く、広告売上、人材紹介売上は年間を通じて好調に推移した一方、人材派遣売上は前年を下回りました。㈱医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業は、医療機関の人材不足等による需要もあり第2四半期以降売上が回復し、前年の売上を上回りましたが、派遣人材の確保及びそれに伴う人件費等の営業費用の増加の影響もあり、営業利益は前年を下回る結果となりました。これらの結果、人材事業の売上高は5億1千万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は6千3百万円(同9.5%減)となりました。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 売上高 | (千円) | 512,964 | 517,993 | 510,172 |
| 営業利益 | (千円) | 65,732 | 70,031 | 63,397 |
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
① 受験者数の推移
当社の取扱う資格試験の受験者数は、2010年には310万人にまで増加しましたが、翌年以降急激に減少し、2014年には253万人と5年間で50万人以上受験者数が減少しました。これは簿記検定試験が73万人から53万人にまで減少したほか、情報処理関連の受験者数が約15万人減少したこと等が主な要因です。2015年以降の受験者数は比較的安定的に推移しております。一般的には、不景気時に資格試験受験者は増加する傾向がありますが、2011年3月に発生した東日本大震災や消費税増税、公認会計士試験合格者の未就職者問題など、当社の取扱う各資格試験の受験者数は社会情勢や個々の資格ごとの状況などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。
② 試験制度の改正等の受験環境
2006年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などで受験者数が大きく減少し、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けました。また、2016年度より段階的に行われた日商簿記検定試験の試験出題区分の改定により、当社の簿記検定講座も教材やカリキュラムの見直しを行い、売上及び費用に影響が生じました。その他の資格においても、合格者数がこれまでと大きく増減するなど試験制度面における大きな状況変化が起こると、当社講座への申し込み状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。
(4) 財政状態に関する分析
① 全体的な財政状態
当連結会計年度末における全体的な財政状態の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (3) 財政状態」をご参照ください。なお、セグメントごとの財政状態については、資産を事業セグメントに配分していないため記載を省略いたします。
② 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 総資産(A) | (千円) | 21,384,451 | 20,795,219 | 20,790,872 |
| 前受金(B) | (千円) | 5,943,700 | 5,483,604 | 5,462,715 |
| 前受金比率(B/A) | (%) | 27.8 | 26.4 | 26.3 |
| 自己資本(C)(注) | (千円) | 6,165,961 | 6,194,156 | 5,862,271 |
| 自己資本比率(C/A) | (%) | 28.8 | 29.8 | 28.2 |
(注) 自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行し、日常生活がコロナ禍前の状況に回帰してきたことで、社会人の学習意欲が高まりを見せてきており、講座へのお申込みが徐々に回復してきた一方、民間企業における人材不足に伴う採用意欲の高まりや公務員志願者の減少傾向等もあり大学生等を主な受講生層とする講座において影響が生じた結果、全体として年間を通じた現金ベースの売上高は前年を下回り、前受金比率は前連結会計年度比0.1ポイント減少いたしました。自己資本比率は、前受金に見合う資金が徐々に取り崩されて使用され事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済むため、相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は2億1千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となり、自己資本比率は1.6ポイント減少いたしました。
③ 差入保証金について
当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 差入保証金(A) | (千円) | 2,654,130 | 2,133,262 | 2,012,262 |
| 前受金(B) | (千円) | 5,943,700 | 5,483,604 | 5,462,715 |
| 保証金比率(A/B) | (%) | 44.7 | 38.9 | 36.8 |
賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、一部拠点の床面積の削減等を行いましたが、前受金残高の減少もあり保証金比率は2.1ポイント減少しました。
④ 資産除去債務について
当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用又は損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ固定費負担が重くなっております。なお、当連結会計年度において資産除去債務の見積りの変更を行い、31,867千円を変更前の資産除去債務残高に加算しております。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 総資産(A) | (千円) | 21,384,451 | 20,795,219 | 20,790,872 |
| 資産除去債務(B) | (千円) | 776,651 | 725,520 | 656,247 |
| 資産除去債務比率(B/A) | (%) | 3.6 | 3.5 | 3.2 |
| 減価償却費のうち資産除去債務関連 | (千円) | 94,684 | 60,905 | 89,336 |
⑤ 運用有価証券について
前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金又は有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期(当期) | ||
| 有価証券 | (千円) | 200,000 | 200,000 | - |
| 投資有価証券 | (千円) | 582,515 | 579,264 | 532,733 |
| 合計 | 782,515 | 779,264 | 532,733 | |
(5) 戦略的現状と見通し
「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①既存事業の強化、②個人教育事業の早期回復、③株価純資産倍率の改善を中心とした施策に取り組んでまいります。
(6) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(7) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの資本の源泉及び資金の流動性については、事業運営上必要となる資金は、手許資金及び金融機関からの借入により調達することを基本としております。
2024年3月末時点における短期及び長期借入金の合計56億4千9百万円のうち16億1千2百万円は本社ビル取得に係る借入金であり、その他は事業運営上必要な設備等の導入や入れ替え、経費の支払いなどの経常的な支払等に必要となる資金に係る借入金であります。
有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。