有価証券報告書-第30期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 9:24
【資料】
PDFをみる
【項目】
107項目

対処すべき課題

当社は、平成28年4月11日をもちまして、設立30周年を迎えることができました。これもひとえに、株主の皆様をはじめ、関係各位のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。
当社はこれまで、派遣市場と共に歴史を重ねてきました。当社の設立は、労働者派遣法が施行された昭和61年。決して順風満帆ではなかったものの、設立後20余年にわたり、派遣市場の拡大と軌を一にするように売上高を増加させながら、四国から中国、東名阪の3大都市圏へと拠点網を広げていきました。人材派遣を中心に、多様な人材サービスを揃える総合人材サービス企業へと成長し、念願の株式上場を果たすこともできました。
しかし、平成20年のリーマン・ショックを機に、当社を取り巻く環境が一変いたしました。急速な景気後退に加え、いわゆる派遣切りが社会問題化した結果、派遣市場が急激に縮小へと向かったからであります。当社の連結売上高は頭打ちとなり、主力の派遣売上がピークの半分にまで漸減していく中で、減収傾向に歯止めをかけられない厳しい状況が続きました。
あまりにも突然に成長期が終わり、急激な下降期を経て、停滞期に陥った当社は、大きく2つの方策によって、局面の打開を図りました。1つは、人材派遣に偏重した収益構造を改善するためのアウトソーシングの強化であり、この取り組みは、平成24年に新設した株式会社クリエ・ロジプラスが営む物流関連アウトソーシングの成長という形に結実いたしました。そしてもう1つ、増収増益基調へと回帰するために打ち出したのが、四国重視の営業戦略でした。
方向転換ともいえるこの新たな戦略の下、当社は、平成26年に香川県に丸亀支店を新設し、平成27年10月には愛媛県の同業者である株式会社ミウラチャレンディを子会社化いたしました。30年に及ぶ営業活動で培われた信頼と実績、地元本社の上場・総合人材サービス企業という独自性、あなぶきグループの力量と知名度など、四国には多くの強みがあります。これらの強みを背景に有利な事業展開ができる四国では、早期に圧倒的な地位を確立した上で、近い将来において「中四国№1」の総合人材サービス企業へと成長していきたいと考えております。
一方、平成27年7月には、将来の中四国でのサービス提供も視野に、採用コンサルティングに定評がある東京都の株式会社採用工房を子会社化いたしました。同業者間の競争が激しい3大都市圏では、採用コンサルティングや中四国へのUJIターン転職支援といった収益性の高い事業への注力を通して、他社との差別化を図り、確実に収益を確保していく所存であります。
平成28年3月期における当社グループの連結決算は、リーマン・ショック後初めて、増収営業増益を達成いたしました。四国を重視した営業戦略が、明確にその効果を表しつつあります。平成27年9月の労働者派遣法改正は、派遣市場を再び活性化させるものと期待されます。折からの地方創生の機運の高まりも、順風となるに違いありません。機は熟しました。当社は、この30周年の節目を新たな成長期への転換点としなければなりません。そして今度こそは、市場の変化に左右されない、自律的で、持続的な発展へと確実に繋げていかねばなりません。
当社商号の一部を成す造語「CRIE(クリエ)」には、人材サービスを通して仕事と雇用を創造(Creation)することで社会に貢献したいとの強い想いが込められております。この想いこそが、当社の創業の理念であり、当社の原点であることはいうまでもありません。10年後、20年後、その先の未来においても、雇用の側面からの貢献を通して、社会の中で、常に「活かされ」「活きる」存在でありたい。30周年の節目にあたり、改めて、強く決意いたします。