有価証券報告書-第22期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/31 9:38
【資料】
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【項目】
140項目
(16)継続企業の前提に関する重要事象等について
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進
当社グループでは、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。現在、製造販売後承認条件評価を行うとともに国内での同製品の適用拡大のための臨床試験及び米国での閉塞性動脈硬化症を対象とした臨床試験を進めております。また、現在海外で臨床試験を進めております椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNA、高血圧DNAワクチンを含めた3プロジェクトを推進しております。これらのプロジェクトを確実に推進していくことが最優先課題であると考えております。
②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループでは新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を機に予防用としてのDNAワクチンの開発を
2020年3月より開始し、現在第Ⅱ/Ⅲ相の臨床試験を実施しております。また、ゲノム編集における先進技術を持つEmendo社を完全子会社化し、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集で世界に戦いを挑みます。これらの開発パイプラインの拡充や事業基盤の拡大により、当社グループは遺伝子治療の世界でグローバルリーダーを目指します。
今後も、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。
③開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、開発プロジェクトのリスクを低減するために、製薬会社と提携し、契約金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進めるという提携モデルを基本方針としております。
「コラテジェン®」について日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬と締結しており、マイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また、2019年2月にイスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。さらに2020年10月にスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うトルコのEr-Kim社と「コラテジェン®」のトルコでの導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結しました。椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF- κBデコイオリゴDNA、高血圧DNAワクチンにつきましては臨床試験が予定どおり進捗しており、早期に製薬企業等に導出することで契約一時金等を得ることにより開発費の負担削減を目指してまいります。今後も、製薬会社との提携を進めることにより、事業基盤の強化に努めてまいります。
④資金調達の実施
当社グループにとって、研究開発活動及び事業基盤の拡大を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。2020年3月4日に発行したフィリップ証券株式会社を割当先とする第37回新株予約権(第三者割当て)について2020年4月までに全数が行使され、当連結会計年度において114億69百万円を調達いたしました。また、2021年3月8日開催の取締役会において、第41回新株予約権(第三者割当て)(行使価額修正条項付)の発行を決議いたしました。今後も、研究開発活動推進及び企業維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。