有価証券報告書-第46期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 13:33
【資料】
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【項目】
102項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、経済・社会を支えるインフラを担う基幹産業として、顧客の競争力強化、情報社会の更なる発展に貢献していくことを使命と考えております。
基本方針
「顧客第一主義」
全ての判断基準はお客様にとっての価値とし、お客様の視点で思考することを基本と致します。
「重点主義」
企業には人、モノ、金と時間の4つの要素があります。これらを最大限に活かすために、顧客第一主義により決定された最重要事項に経営資源を集約致します。
「総員営業主義」
ユーザーオリエンテッドなサービスを提供するため、全社員が自立したビジネスパーソンとして社業発展に邁進致します。
この基本方針のもと、社員一人ひとりが株主、顧客をはじめとするあらゆるステークホルダーと向かい合い、個人と組織のもつノウハウの全てを駆使して、更なる顧客満足を創出してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、以下の三つの指標を重視し、目標設定しております。
・株主にとっての企業価値向上の観点からROE10%以上
・収益性を計る指標として連結営業利益率10.0%以上
・従業員一人ひとりのパフォーマンスを高めていきたいとの主旨から、従業員(海外子会社の従業員は除く)一人当たりの連結売上高25,000千円以上、連結営業利益2,500千円以上
当期における達成状況としては、以下のとおりです。
1点目の指標であるROEは、11.4%となり目標を達成いたしました。今後も、資本効率を高め利益率の向上を図ることでROE10%以上を継続的に達成してまいります。
2点目の指標である連結営業利益率は6.3%、3点目の指標である従業員一人当たりの連結売上高および従業員一人当たりの連結営業利益は、それぞれ22,155千円、1,397千円となり、目標未達となりました。今後は、業務の効率化と教育研修の充実を図り、生産性・収益性の向上に取り組んでまいります。
(3)中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫について
当社グループは、事業環境の変化を踏まえ、経営理念・基本方針のもと、2012年度を初年度とする2020年度までの中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫を策定し、その実現に向けて各施策に取り組んでおります。
≪VISION 2020≫では、「顧客からベストパートナーと評価される企業」「社員と会社がともに成長し、喜び・豊かさを分かち合える企業風土の醸成」の実現を目指し、そのために、当社グループの成長戦略を3つのステップに分けて推進しております。
まず、2012年度から2014年度までの1st STEPでは、強みの強化として「流通業・金融業向けサービス」「エンハンス※サービス」「システム基盤構築サービス」を徹底的に強化してまいりました。
2015年度から2017年度までの2nd STEPでは、1st STEPで強化した強みを活かし、既存のコアビジネスにおける規模拡大と、新規顧客開拓も含めたビジネスモデルの改革・新規事業の創発に取り組んでまいりました。
そして、2018年度から2020年度の3か年は≪VISION 2020≫の3rdSTEPとして「顧客価値創造への挑戦によるキューブシステム流サービスビジネスを実現する」というスローガンのもと、SI・サービス提供型ビジネスの拡大を図るとともに、新たなサービスメニューの創出およびサービスビジネスの展開を通じ、顧客価値の最大化を図ってまいります。その実現のため、当社グループは以下の3点に注力してまいります。
①国内、海外を柱とした事業展開
国内事業では、既存のビジネスモデルの変革による収益基盤の強化を進めるとともに、新規顧客開拓や受注拡大
を図ります。海外事業では、アジアを軸としたグローバルな事業展開を進めていきます。
②新規事業と技術投資
アジャイルソリューションの推進やブロックチェーン事業をスタートさせ、ビジネスの協創および研究開発投資
を継続していきます。また、2ndSTEPで進めてきたクラウドサービスを更に進め、エンドユーザビジネスを展開
してまいります。
③成長を促進する経営基盤の強化
事業成長を支える人材の育成と積極的な採用活動により、人的リソースの確保と活用を進めていきます。また、働き方改革・健康経営の実践により働く環境の質的向上を図り、個人と組織がともに喜びや豊かさを分かちあえ
る企業風土を醸成してまいります。
これらの施策により、≪VISION 2020≫ 3rd STEPの最終年度にあたる2020年度は、売上高185億円、営業利益率9.6%、ROE13%を計画しております。
(4) 対処すべき課題
当社グループは、中長期経営ビジョン≪VISION 2020≫の実現に向け、お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、以下の課題に取り組み、企業体質および競争力の強化を図り、収益の向上を目指してまいります。
①事業拡大に向けた取組み
継続的かつ安定的な事業成長を遂げていくためには、システムソリューション・サービス事業における当社の強みを最大限に発揮できる領域の拡大と強みを活用した新たな成長領域への展開が重要であります。また積極的な技術開発や技術投資による新たな事業を創出していくことも欠かせない事業活動です。当社グループは、事業領域の拡大と新たなサービスの提供を進める中、既存事業に対する収益構造改革を進めると共に、サービス体制の充実のための人的リソースの確保を進め、事業の拡大を図ってまいります。
(1)既存領域の拡大
主要顧客に対してアカウントマネージャを任命し、関係性や信頼性の強化に努め、当社担当範囲の拡大に向けた提案活動の強化や新領域での受注拡大に注力致します。また、当社の技術と業務での強みを活かした提案活動を実施していくことで、新たな大規模案件の獲得、新規顧客の開拓を進め、グループ全体の総合力をもって取引の拡大に注力致します。
(2)新規領域への展開
流通・通信・金融業を中心とした当社グループの得意領域でのサービス提供をもとに新規領域となるネットワークサービス企業、ノンバンク企業、グローバル企業への事業展開や当社の強みであるエネルギー関連事業における業務ノウハウを活用した新たなチャネル展開を進めてまいります。また、顧客の海外展開時におけるシステムソリューション・サービスの更なる拡充に加え、海外子会社による現地ビジネスの拡大を進め、アジアを軸としたグローバルな事業展開に注力してまいります。
(3)既存スキームからの転換による新規事業の創発
今後においては、「デジタル・トランスフォーメーション」関連のシステム投資が、新たなマーケットの成長の原動力になると言われており、こうした中で、当社グループが競争優位性を確保するためには、新たなサービスや新しいビジネスモデルなどを通じて新たな価値を創出することが重要であります。当社グループでは、得意分野であるブロックチェーン技術によるPoCを通じた共創型ビジネス展開や、アジャイル開発を取り入れたソリューション・サービスを提供することで、新規事業展開を進めてまいります。
(4)収益性の改善
当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生に加え、サービスの品質及び価格の両面に対する顧客からの強い要請や競合他社との価格競争の激化よる収益性の低下が懸念されます。そうした中、生産性の向上として開発フレームワークの改善や自動化ツールの活用ならびにプロジェクト管理ツール等の整備を進めるとともに、既存のビジネスにおいてサービス提供型へのモデル変革等を行い、収益性・生産性を抜本的に改善してまいります。また、不採算案件を未然に防ぐため、プロジェクト状況の定期的なモニタリングを通じて、プロジェクトリスクの見える化と対策を講じていき、リスクの早期発見、継続的な品質の向上に努めてまいります。
(5)ビジネスパートナー連携
事業の拡大を進める上で、サービス提供体制の充実を目的とした人的リソースの確保ならびに新たな事業を加速度的に展開していく上でのビジネス共創は重要であります。当社は、既存ビジネスにおけるビジネスパートナーの選択と集中に加え、集約化/大型化を図っていくことで関係性の強化を進め開発体制の充実を進めてまいります。
②技術力強化・研究開発投資
(1)お客さまの事業成長に直結するIT投資への対応
当社グループは、インキュベーションを促進する当社独自のプログラムによる新規事業化推進のための研究開発投資を2016年度より積極的に進めてまいりました。特にオラクルクラウドサービスの提供やブロックチェーン技術を活用した顧客との実証実験、スタートアップ企業との事業連携等を進めてまいりました。今後もオラクルクラウドサービスに係る研究投資やあらゆる業種に活用が期待されるブロックチェーン技術投資を進めるとともに、AI、IoTに係る研究開発を進め、競争優位を高めてまいります。
(2)技術教育強化
エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力、差別化に直結するためシステムエンジニアの継続的なスキルアップは重要な経営課題と捉えております。座学だけでなく、現場に行く機会を積極的に提供し、お客様の課題に向き合う実務経験を積むことで、ソリューション提案できる人財の育成に注力しています。
③経営基盤の強化
当社グループの属する業界においては、高度・複雑化する技術への対応、人的リソース不足、同業他社・アジアIT企業との競争激化等の課題を抱えており、当社グループにおきましても人材採用や育成ならびに一人当たりの生産性の向上に加え、事業環境に柔軟に対応していくための意思決定のスピード化等を図り、持続的な成長と企業価値の向上を進めてまいります。
(1)人的リソースの確保
当社グループのビジョンを共有し、社員と会社がともに成長し、喜びや豊かさを分かち合える優秀な人材を確保することを前提とし、新卒採用につきましては、採用プロセスの継続的な改善や大学との関係性の強化を進める一方、グローバルでの人材採用も併せて進めてまいります。また、中途採用につきましては、高度な技術力やプロジェクトマネージメント能力を備えた人材の採用のため、新卒同様に採用プロセス改善を進めるとともに第2新卒や未経験者の採用についても積極的に進め、採用数の拡大とレベルアップを図ってまいります。
人材育成に関しましては、お客さまの事業成長に直結するIT投資に対応する人材の育成や事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材の育成のため、社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時に、フォロー・サポートのサイクルを継続的に実施してまいります。
(2)ガバナンスの強化
お客さまに満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレート・ガバナンスの充実を重要課題と考え、意思決定、業務執行、監督・モニタリングが機能する経営体制の構築に努めるとともに、コンプライアンスの遵守を徹底いたします。
経営管理体制の強化では、任意の委員会や統合リスクの観点から経営リスクに対する対応も含め、取締役会のモニタリング機能の強化を図り、実効性を高めていくことで、透明かつ適正な意思決定を進めてまいります。また、中長期に継続した業績の向上と企業価値の増大への貢献意識を高めることを目的とした株式報酬制度の内容改善や従業員に対するインセンティブプランの検討等、ステークホルダーとの価値共有を進めることで持続的な成長と企業価値の向上を図っていきます。
(3)働く環境の質的向上
企業としての安全配慮義務をより着実に実行し、労務管理・健康管理の徹底と社員、役員の意識改革を進めることはもちろんのこと、オフィス環境の改善や、働き方改革を推進し、魅力的な職場環境を構築してまいります。
(4)ESGへの対応
当社グループは、持続的な社会の実現に向けてESG視点でITが豊かな社会生活を支えるとの信念の元、ITを活用したビジネスを展開することで、社会的価値の最大化を進めてまいります。
これら3つの課題に対する取り組みを実施し、信頼されるキューブシステムグループとなるべく、≪VISION
2020≫の実現に向けて進めてまいります。