有価証券報告書-第23期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/27 15:45
【資料】
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【項目】
117項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社の企業理念は、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」ことであります。この企業理念のもと、当社は他社に先駆けてインターネットに特化した求人広告サービスを提供するとともに、インターネットならではの独自機能を次々に導入するなど、「ユーザーファースト」を徹底的に追求したサービスの開発・提供を行っております。
加えて、2020年2月期からは“Labor force solution company”という新たなビジョンを掲げ、従来の人材(Human labor force)サービスに加えてAI・RPA(Digital labor force)を提供する「労働力の総合商社」として、労働力の諸問題を解決するとともに、一人ひとりが生き生きと働くことができる環境構築に貢献すべく事業に取り組んでおります。
また、当社は、日々の事業を通じて社会に貢献するのみならず、様々な局面で発生する社会課題を解消することでも社会に貢献することを目指しております。その一環として、当社は2013年からアルバイト募集時における時給アップを支援すべく「レイズ・ザ・サラリーキャンペーン」を実施しております。企業に時給アップをうながすこの取り組みを通じ、有期雇用労働者の労働環境改善を図っております。
同様に、2020年1月以降に生じた新型コロナウイルス感染拡大という危機下においても「私たちに何ができるのか」について多くの議論と検討を重ね、行動し続けております。
2020年3月、新型コロナウイルス対策のための一斉臨時休校を受け、従業員の出勤が困難で急な欠員の対応に苦慮する顧客企業を支援すべく、求人情報サービス「バイトル」において、短期求人掲載枠の無償提供を実施いたしました。また、感染拡大により出勤が困難になった方向けの「在宅ワーク/リモートワーク」を集めた特設ページを開設すると共に、同ページ上の求人掲載枠の無償提供を開始しました。加えて、2017年3月1日以降「バイトル」「バイトルNEXT」「はたらこねっと」を通じて就業しているアルバイト・パート・派遣社員・契約社員などの有期雇用労働者が新型コロナウイルスに感染し休業を余儀なくされた場合、治療期間として必要と言われる半月分の収入相当額(最大10万円)を支給する、休業時の経済支援策も実施しております。
2030年までの間、すべての人に普遍的に適用される持続可能な開発目標(SDGs)のゴールのひとつ「働きがいも経済成長も」では、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用および働きがいのある人間らしい仕事を推進すること」が目指されており、前述の取り組みはSDGsの考え方にも一致しております。
当社は引き続き、事業や様々な施策を通じて社会に貢献することを目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、中長期的な事業成長に加え、利益の持続的な成長による株主価値の向上を図るため、売上高、営業利益(営業利益率)、1株当たり当期純利益(EPS)を重視しております。
事業成長にあたっては、生産性の高い営業人員の育成とその活動の最大化に加え、求職者や顧客企業に当社サービスをご理解・ご利用いただくため、広告宣伝活動及び継続的な商品力強化を行い、競争優位性の向上と求人サービス市場における売上高シェアの拡大に努めてまいります。また、AI・RPA商品の拡販による売上高の成長にも取り組んでまいります。加えて、事業成長のための各種投資をバランス良く行うことで、持続的な利益成長を実現させると共に株主の皆様への利益還元を行ってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
人材サービス事業においては、従来からユーザーファーストの精神にのっとり、インターネット独自の機能を数多く導入することにより、求職者の仕事選びのニーズに向き合ったマッチングサービスを提供してまいりました。加えて、採用された人が定着し活躍できる職場づくり等、“採用後”も見据えた提案を行うことにより、企業と求職者のベストマッチをサポートしています。今後も引き続き、求職者・顧客企業の双方にとって利便性の高いサービスを追求・提供してまいります。
加えて、2020年2月期からは、労働力の諸問題を解決する“Labor force solution company”としての取り組みの第一弾として、AI・RPAを活用したサービスの開発・提供を開始しております。少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、企業においてはこれまで以上の業務効率化が急務となっています。当社は人材サービス事業とAI・RPA事業を融合させ、シナジーを創出することにより、テクノロジーの側面からも企業の生産性向上に向けた取り組みをサポートしてまいります。
なお、当社は、これら事業の継続的な認知度及びブランド力の向上のため、広告宣伝投資等を継続して行う一方で、経費の効果的使用に努めることにより、収益性の向上にも取り組んでまいります。あわせて内部統制及びコンプライアンス強化に努めることにより、企業理念を体現し、社会から高い信頼と評価を獲得する企業になることを目指してまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当社の中長期的な成長及び株主価値・企業価値の最大化に向けて対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 運営事業の強化
人材サービス事業の強化には、営業人員の営業力強化及び生産性向上、顧客企業の採用満足度の向上が重要であると認識しております。
当社の営業人員は新卒入社の若手社員を中心に構成されており、当社営業人員による売上高の割合(直販比率)は約8割にのぼります。当社は社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、新入社員研修や階層別・管理職研修を精力的に実施しているほか、情熱を持って主体的に仕事に取り組める組織風土づくりに努めております。こうした取り組みを通じて成長した社員が企業理念を体現し、当社の躍進をけん引していけるよう、引き続き人材基盤の強化に取り組んでまいります。
また、顧客企業の採用満足度を高めるためには、顧客に対する提案力の向上だけでなく、運営サイトのユーザー数拡大と応募増、求職者と顧客企業とのマッチング精度向上が不可欠です。当社は求職者の当社サイト利用促進に効果的な広告宣伝活動を行うとともに、求職者の利便性向上に資する運営サイトの機能拡充・改善、掲載情報の質の向上と量の拡大にも努めてまいります。
2020年2月期より開始したAI・RPA事業につきましては、その第一弾として2019年9月からFAST RPAサービス「コボット」の展開を開始いたしました。「コボット」は現在主流となっている高額な開発・導入コスト、長期にわたる導入プロセス、導入した後に発生する高額な保守コストのAI・RPAのサービスとは一線を画す、「早い・安い・簡単」かつ月額課金のサブスクリプションモデルでの提供を主としたサービスであります。今後、人材サービス事業とのシナジーによる顧客基盤の拡大及び新業種・業務への展開、ブランド力強化に努め、多数の企業による採用・導入を目指すとともに、安定的なストック収入源とすべく、事業の拡大を図ってまいります。
② 新規事業の実現
当社はインターネットが一般に普及し始めた頃から、他社に先駆けてインターネットに特化した求人広告サービスを提供するとともに、インターネットならではの独自機能を次々に導入するなど、時代をリードするだけでなく「ユーザーファースト」を徹底的に追求したサービスの開発・提供を行ってまいりました。加えて、2020年2月期からは“Labor force solution company”という新たなビジョンを掲げ、事業を展開しております。
当社が“Labor force solution company”として労働力の諸問題の解決に貢献していくためには、既存の事業に留まらず、新規事業の立ち上げも検討し、実行していく必要があると認識しております。これは、事業ポートフォリオの多様化による強固な事業基盤づくりにもつながると考えております。引き続き、ユーザー・顧客の声に真摯に向き合いながら、積極的な取り組みを進めてまいります。
③ システムの強化
当社は、インターネットによるサービス提供を行っております。安定した事業運営を行うにあたっては、サーバ設備の強化、ウェブサイトに係るシステムのセキュリティ・開発・保守管理体制が極めて重要であると認識しております。今後も、適切な設備投資を行うことでシステムの安定性確保に取り組み、市場環境の変化に対応した運用体制整備を継続的に行ってまいります。
④ 個人情報保護と情報セキュリティの強化
当社は、個人情報等に係るすべての情報を事業運営上最も大切な資産のひとつとして認識しております。その保護体制構築に向け、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・維持向上に努めております。今後も引き続き、情報管理体制の強化を図ってまいります。
⑤ 組織体制の強化
当社は「人が全て、人が財産」という考えのもと、社員一人ひとりが社会を改善する存在となるため、継続して社員の育成及びマネジメント体制の強化に取り組んでおります。今後とも、適切な管理体制の構築と意思決定のスピード向上を図り、ビジネスプロセス・意思決定プロセスを改善するとともに、内部統制システムの整備・充実についても継続的に推進し、組織体制の強化を図ってまいります。