有価証券報告書-第35期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/31 11:12
【資料】
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【項目】
144項目
(12)重要事象等について
当社グループは、総合エンターテインメント事業を中心とした事業から、スマートフォン用のアプリケーションやクラウドサービス開発等のIoTソリューションを中心とする事業への転換を行ってまいりました。当該事業転換に伴い、ゲーム、アニメーション及び出版の事業会社売却、旧来のソフトウェア事業を推進していた海外子会社の清算、非収益部門の廃止や本社移転等、様々な施策を行ってきたこと等により、前連結会計年度まで7期連続となる売上高の著しい減少及び営業損失の計上が継続しております。当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して売上高は843,748千円(前連結会計年度の売上高336,890千円)と150.5%増加し、また営業損失は177,869千円(前連結会計年度の営業損失444,130千円)、経常損失は182,301千円(前連結会計年度の経常損失456,607千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は216,022千円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失458,793千円)といずれも前連結会計年度と比較して改善しました。また営業キャッシュ・フローについても、主に令和元年8月15日付で完全子会社化したスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下「SMC」)の営業キャッシュ・フローが当社連結営業キャッシュ・フローに寄与したことにより、8期ぶりに営業キャッシュ・フローのプラス化を達成したものの、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2) キャッシュ・フロー」に記載したとおり、当該営業キャッシュ・フローのプラス化についてはあくまでも臨時的な事象によるものであり、今後の営業キャッシュ・フローのプラス化については不確実性があること、また当連結会計年度においても営業損失の計上が継続していることから、依然として継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当社グループは、こうした状況を解消するため、以下のとおり当該状況の解消又は改善に努めております。
当社では、平成29年11月9日に策定した新事業ビジョンにおいて掲げた「広範な技術分野への対応等」、販売と取り扱いを容易にする「応用分野毎のサービス等のパッケージ化」、及び「販路拡大」の3点の施策を着実に実行することにより、継続的な業績向上及び中長期的な企業価値向上が実現できるものと考えております。引き続き、通信モジュールからスマートフォン用のアプリケーション、クラウドサービスまでIoT製品化に必要なトータルソリューションを提供し、顧客のIoT化ニーズの実現と今後の更なる受注拡大を目指すとともに、当該新事業ビジョンにおける3点の施策の着実な実行に伴う継続的な業績向上及び中長期的な企業価値向上の実現をより確実なものとするため、既存の当社IoTソリューションサービスを更に拡充するための必要資金及び続々と登場する新世代の高度な技術をいち早く取り入れて、広範かつ高い市場訴求力を備える製品・サービス等を開発するための必要資金並びに事業提携及びM&A等の必要資金の調達を目的として、平成30年2月14日開催の取締役会において投資事業有限責任組合インフレクションⅡ号及びフラッグシップアセットマネジメント投資組合70号に対する第M-2回新株予約権及び第M-3回新株予約権(第三者割当)(以下「本新株予約権」)の発行を決議いたしました。本新株予約権については、当初の調達資金の総額を2,024,800千円と予定しておりましたが、行使価額修正条項が付された第M-2回新株予約権については、令和元年10月31日においてすべての新株予約権の行使が完了した結果、総額で1,145,845,910円(第M-2回新株予約権の行使に係る当初予定調達額1,818,000千円に対する割合は63.03%)を調達したものの、第M-3回新株予約権については、本新株予約権の行使期間終了日である令和元年3月2日までに割当先による行使に至らず、発行した個数5,000個(500,000株)がすべて消滅しております。しかしながら、今回の資金調達については、調達した資金額の範囲において本新株予約権の各資金使途(「①当社ソリューション及びプロダクトライン拡充のための投資資金」、「②新技術開発及び新事業立ち上げに要する投資資金調達資金」、「③資本・業務提携及びM&A」)に充当し、また都度調達した資金を「①当社ソリューション及びプロダクトライン拡充のための投資資金」に優先的に充当する方針であり、すでに令和元年10月31日付で行使が完了した第M-2回新株予約権の資金調達額については、当該方針に基づき「①当社ソリューション及びプロダクトライン拡充のための投資資金」に優先的に充当した結果、令和元年12月期通期連結決算において売上高が前年比150.5%と増加し、また各利益についても改善する等、一定の成果は得られたものと考えております。
また、令和元年7月24日に当社取締役会において、株式会社光通信(以下「光通信」)の連結子会社であるスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社(以下「SMC」)と、令和元年8月15日を効力発生日として、当社を株式交換完全親会社、SMCを株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」)を行うことを決議し、同日、両社の間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」)を締結いたしました。SMCはMVNOサービス「スマモバ」を運営するMVNO事業者であり、当社がMVNO事業の中の一つとしてSIMの販売を手掛けるSMCを取得することで、当社が新事業ビジョンで掲げた通信規格の拡充の分野において、現状当社のIoT製品・サービスで主に用いている近距離無線通信技術のBluetooth Low Energyに加えて、無線通信システムである第3世代(3G)、第4世代(4G)及び将来的には第5世代(5G)移動通信システムを用いた新たな新製品・サービスや、費用対効果の高いサービスが創出できる等のシナジー効果が期待できると考えております。また、本株式交換の結果、光通信が当社の大株主及び筆頭株主になるとともに、本株式交換契約締結日同日である令和元年7月24日に当社取締役会にて光通信と資本業務提携契約を締結することについて決議し、同日付で両社の間で資本業務提携契約を締結いたしました。当社は、本資本業務提携を通じて、光通信グループが有する高い営業力及び強力な販売体制を活用した当社IoTソリューションの拡販を更に強化できると考えております。
当社では、これらの対応策を実行していくことにより売上高の増加、収益性の改善及び営業キャッシュ・フローの増加等が可能となり、ひいては当社の財務健全性の向上が実現できるものと考えておりますが、事業計画については今後の経済環境の変化による影響を受ける等により、計画どおりに推移しない可能性があり、この場合当社の財務状況や資金繰り等に影響を及ぼす可能性があります。したがって現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。