有価証券報告書-第23期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/06/19 15:04
【資料】
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【項目】
85項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、2019年5月をもって創業から20年を迎えたことを期に、今後のグループの方向性を見据え、下記のとおり、新たに経営理念を策定いたしました。
・私たちは、継続的にチャンスを切り拓き、世界のマーケットで成長します。
・私たちは、常にスピードをもって、クリエイティブにチャレンジします。
・私たちは、個性豊かな事業会社が互いに尊重し、連携し合うことで、新しい価値を創造します。
・私たちは、外食業界の未来のために、リーディングカンパニーとして、イノベーションを起こします。
・私たちは、お客様に彩り豊かな食のシーンを提供し続けることで、社会に貢献します。
このような経営理念のもと、グループとしての社会的責任を果たしながら、企業価値向上に向け、努力してまいります。
(2)重視する経営指標
当社グループでは、経営効率を高め安定した財務体質を維持しつつ、持続的成長を達成するために、以下の経営指標を重視しております。
① 連結売上収益
当社グループは、「グループ連邦経営」を推進しており、国内外のオーガニックな成長とともに、積極的な国内外のM&Aの実行等により、中長期的には、連結売上収益2,000億円の達成を目指してまいります。
② 調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
当社グループは、事業状況を判断する上で、有用な指標として調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンを重視しております。
なお、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンは、以下の算式により算出しております。
・調整後EBITDA = 営業利益 + その他営業費用 - その他営業収益(協賛金収入を除く) + 減価償却費
+ 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
・調整後EBITDAマージン = 調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、経済政策等の各種政策の効果による景気回復やお客様の嗜好、ライフスタイルの多様化、中食を含めた競争の激化、良質な人財確保等の外部環境の変化、また、当社におきましても、M&Aの実行によるグループ事業会社の増加、グループ拡大に伴う戦略、文化、立地の多様化、海外事業展開の開始等、大きく変化してまいりました。
当社グループは2013年以降M&Aを積極的に実施し、多様な企業文化をもつ事業会社の良さを活かし、グループとして成長を図る「グループ連邦経営」を軸に成長してまいりました。しかしながら現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの店舗は、「緊急事態宣言」を受け、一時休業となる商業施設内にある店舗や繁華街の居酒屋業態等において、多くの店舗が一時休業を余儀なくされたほか、現在でも営業時間を短縮している店舗も多数あります。
このような環境のなか、当社グループとしては、コストを極力圧縮することを通じて、損失を最小限にとどめることを目的に、休業店舗の従業員の一時帰休等による人件費削減、家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて支出を削減しております。また一方で、資金面の手当てについても万全を期していきたいと考えております。また、中期的にもポストコロナ時代に対応した、新しい業態や店舗のあり方を従来の枠組みにとらわれず検討し、お客様の新しいニーズに対応してまいります。
グループ一丸となって臨機応変に対応していくことで、この危機を乗り越え、将来に向けた事業基盤を強化してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社は、食の安全性に対する消費者意識の高まりや、外部環境の厳しさが増すと目される中、以下の課題に適切に対処してまいります。
① 新型コロナウイルス感染症への対応
世界的な大問題となっている新型コロナウイルス感染症は、お客様の外食機会の大幅な減少を通じて、当産業を直撃しております。当社グループも、足許はこの感染症により、多くの店舗で休業・営業時間短縮を余儀なくされており、売上収益は大幅に減少しております。2021年2月期につきましては、まずは、この感染症への対応に全力を注ぐことが喫緊の課題であると認識しております。具体的な対応としては、コストを極力圧縮することを通じて、損害を最小限にとどめることを目的に、休業店舗の従業員の一時帰休等による人件費削減、家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて支出を削減しております。また一方で、資金面の手当てについても万全を期していきたいと考えており、今後も外出自粛等による売上高の減少が長期継続化するリスクに備え、グループ経営の安定化を図るべく、機動的に銀行借り入れを実行し、手元流動性を厚く保持することで、資金繰りに懸念なきよう財務基盤を整備してまいります。なお、上記施策の実行により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
かかる状況下、グループ一丸となって臨機応変に対応していくことで、この危機を乗り越え、将来に向けた事業基盤を強化してまいります。
② 「食の安全・安心」への取り組み
お客様に「安全」なメニューをご提供し、「安心」して召し上がって頂けるようにすることは、飲食企業にとって最重要事項であると認識しております。当社グループといたしましては、「食の安全・安心」に対する全役職員の意識浸透及びレベルアップに全力で取り組んでまいります。
具体的には、お客様の目線から見た「食の安全・安心」に関するモラルについて、従業員に対するメッセージを繰り返し発信すると共に、経営理念の中核にあるのが「お客様からの信頼」であることを広く浸透させる取り組みを実施しております。また、食の安全安心推進室を中心に、料理や食材の取り扱いに関するマニュアルを随時見直し、これに基づく従業員教育の徹底、店舗オペレーションの強化に努めております。更に、店舗と本社の情報共有の仕組みを見直し、社内及びグループ間の報告・連絡体制を迅速化することに加え、店舗内のコミュニケーション及びチームワークの強化に取り組んでおります。
③ お客様から支持される商品及び業態開発の推進
お客様の食に対するニーズは、近年のスマートフォンやSNS等の普及による情報収集力の向上やライフスタイルの変化等により多様化が進んでおり、加えてニーズの変化のスピードも速まっている中、業態(ブランド)及び立地の陳腐化も早まる傾向にあります。
当社グループでは、このようなニーズの変化に機敏に対応していくために、グループ事業戦略本部を中心に、立地や店舗の規模に合う新たな業態の創出や、マーケティング調査等に取り組んでおります。今後もお客様のニーズに的確かつスピーディーに対応するため、マーチャンダイジングの強化を図ると共に、立地特性に応じた業態開発を推進してまいります。
④ 競争力強化に向けた各グループ事業会社の育成
今後も『グループ連邦経営』を推進するにあたり、各グループ事業会社の競争力の強化は当社グループの持続的成長にとって重要であり、各社の競争状況、役割、ステージに応じた効果的な経営指導及び機動的かつ最適な経営資源の配分を行っていくことが必要であると認識しております。そのために、当社が各社の経営状態を的確に把握できる管理体制の強化に努めるとともに、複数の専門的かつ特徴的な企業文化、戦略を持つ各社の経営陣が、グループ内にてそれぞれのノウハウや情報交換等を密に行い、個々の経営力を拡充することができ、加えて、各グループ事業会社が成長に向け、迅速かつ最適な意思決定が可能となる組織体制及び環境を整えてまいります。また、各グループ事業会社の内部統制に係る体制につきましてもより一層の整備に努めることで、企業体質の強化を図ってまいります。
⑤ 本社機能の更なる強化
『グループ連邦経営』の当社の役割として、グループ全体の経営戦略を策定、実行することのほかに、各グループ事業会社が持続的な成長戦略の実行に集中できる環境(プラットフォーム)を提供することも必要であると認識しております。具体的には、各社の間接部門業務の集約化、標準化による効率性の向上と多様な立地・業態に対する開発機能の強化、原材料・設備等の集約化によるコスト面でのシナジーの最大化、食の安全・安心やコンプライアンスに関連する情報の提供等において一層の強化に取り組み、各社の収益性の最大化に資する支援体制強化に努めるとともに、グループガバナンスの更なる強化に取り組んでまいります。
⑥ グローバル展開
現在、当社グループはアジア3か国、北米1か国に店舗を展開しておりますが、継続的な海外への展開は重要な課題の一つととらえております。それぞれの拠点が自律的に経営を行うこと、M&A及び出店により、ポートフォリオを多様化すること、経営を支えるグローバルな人財ネットワークを獲得すること等を通じて、グローバル市場において、基盤を固め「グローバル連邦経営」を目指してまいります。
⑦ 人財の確保及び育成の強化
当社グループは、現在、国内外の複数のグループ事業会社で構成されており、今後も継続的なM&A等の実施により、更にグループ事業会社は増加することが見込まれることから、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させ、経営することができる人財の育成強化及び優秀な人財の確保が必須と認識しております。
そのため、人財の確保に関しましては、即戦力となる中途採用に加えて、将来の幹部人財の早期育成のために新卒採用を引き続き拡充してまいります。人財の育成に関しましては、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という当社グループの経営理念を牽引することを期待される幹部人財の育成強化を計画的に実施できるよう教育・研修システムの整備を進めてまいります。