有価証券報告書-第20期(平成30年12月1日-令和1年11月30日)

【提出】
2020/02/28 10:36
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する」を経営理念として掲げ、事業活動を通じて様々な社会課題やそれらに付随する企業課題を解決することを目標としております。ソーシャルビジネスの推進を通じて新たな社会的価値を創造していくとともに、世の中にとって必要不可欠な企業グループとなることを目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、「強い特徴を持ち、常に新たな価値を提供し成長し続けるNo.1アウトソーシング・プロバイダーとなる」ことを中期的なビジョンとし、ソーシャルビジネスを通じて新たな社会的価値を提供することを目標としております。また、経営面では、異なる事業領域に複数の収益事業を持つ事業ポートフォリオ戦略を推進し、外部環境の変化に強い企業グループとなることで、持続的な成長の実現を目指しております。
① 安定収益基盤の底上げ
長期的且つ持続的な成長を実現するために、付加価値の高いサービスの提供を通じてお客様との強固な関係の構築を目指していきます。特に、アウトソーシングサービスにおいては、ストック型のシェアリングサービスの拡大を図ってまいります。同サービスは、複数の顧客企業が当社のサービスを共同利用する形となっており、継続取引が前提となっているだけでなく、特定の顧客に依存することのない点において高い安定性が期待できます。また、サービスメニューの拡充を図ることで既存顧客へのアップセル・クロスセルにも注力してまいります。
② 新たな収益機会の獲得
主力事業においても発展的に事業構造の改革を進めてまいります。アウトソーシングサービスについては、独自性の高いストック型サービスの開発、人材派遣サービスにおいては、自動化への代替が難しい領域や介護や看護など人手が不可欠な領域の開拓を進めてまいります。また、新規事業開発への投資も継続的に行い、人材派遣サービス、障がい者雇用支援サービスの主力2事業に次ぐ、新たな収益の柱の構築にも注力してまいります。
③ 外部連携強化によるイノベーションの加速
外部パートナーとの連携を通じて、顧客のあらゆるニーズに応えていくとともに、新たな事業領域の創出にも取り組んでまいります。外部連携先については、事業シナジーが高く、当社グループが有するノウハウや顧客ネットワークを活用することで、より一層の成長が可能な企業を対象としていきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高営業利益率を、重要な経営指標と位置付けており、2020年11月期までに売上高営業利益率10%を達成することを中期的な目標としております。
(4)経営環境
当社グループは、主にアウトソーシングサービスを提供するビジネスソリューション事業と、人材派遣サービスを提供する人材ソリューション事業の2つの事業セグメントにより構成されていますが、それぞれに所属するサービスの事業領域が異なるため、それぞれの主力サービスの経営環境について記載いたします。
① 障がい者雇用支援サービス(ビジネスソリューション事業)
障害者雇用促進法で定められた企業の障がい者の雇用率(法定雇用率)は、2018年4月に2.0%から2.2%に引き上げられ、2021年4月までにはさらに2.3%となることが決定しています。法定雇用率の段階的な引き上げに伴い大手企業を中心に障がい者の雇用が活発化していますが、採用が集中する身体障がい者の新規採用は非常に難しくなっています。そのような中、当社グループが提供する障がい者雇用支援サービスは、知的障がい者及び精神障がい者の雇用創出を得意としており、企業からの引き合いが非常に強まっております。
② 人材派遣サービス(人材ソリューション事業)
人材派遣市場は、2008年のリーマンショック以降、縮小が続いていましたが、2013年から回復傾向にあり、サービス業など一部の職種においては、リーマンショック前と同水準、あるいはピーク時を上回る状況となっています。有効求人倍率も、2019年前半には1.63倍まで上昇しており、人材の不足感が足元では一段と強まっております。また、政府が推進する働き方改革では、長時間労働の是正が喫緊の課題となっており、企業は1人当たりの最大労働時間を減らす一方で労働力確保のために人材サービスを活用する動きが強まっています。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、中期的に以下の重点課題に取り組んでおります。
① 安定的な収益基盤の強化
当社グループでは、持続的な成長を実現するためには安定的な収益基盤が必要であると考えております。収益基盤強化に向けて、既存事業においては、現在の事業領域で継続的な収益を確保しつつ、派生事業の開発に取り組むことで収益構造の多様化を進めてまいります。また、長期的視点での成長基盤の確立を目指すため、安定収益が期待できるストック型のシェアリングサービスの開発・拡大に注力してまいります。
② 収益源の多角化
当社グループの収益は、人材派遣サービスと障がい者雇用支援サービスの2事業の占める割合が非常に高くなっております。これらの主力事業は今後も成長が見込まれるものの、依存度が極端に高くなることは、経営の健全性の観点からも課題であると認識しております。当社グループでは、採用支援サービスを始めとする新規事業の強化に積極的に取り組みポートフォリオ経営を推進していくことで、経営の健全化を図ってまいります。
③ ダイバーシティの推進
当社グループは、女性をはじめとする多様な人材が長期的に活躍することで企業の競争力を高め、持続可能な競争力を持つ企業体になることを目指しております。誰もが活躍できる環境を整備することで組織力の向上を図り競争力を高めていくために、IT投資等による生産性向上に取組むと共に多様な働き方を支える環境の整備を進めてまいります。
④ 優秀な人材の確保及び育成
「社員の成長が会社の成長につながる」という方針のもと、当社グループのビジョンに共鳴する優秀な人材を採用していくことで、持続的な成長を実現してまいります。また、サステナブルな社会の実現に貢献していくために、時代とともに変化する社会課題を新たな価値で解決に導くリーダーの育成にも注力してまいります。
当連結会計年度においては、人材派遣サービス、障がい者雇用支援サービスの主力2事業が好調を持続し、グループ収益を大きく支えることができました。また、前期まで赤字となっていた事業の収益改善が大きく進んだことで6つの全てのサービスが黒字化となり、収益基盤の安定感が進みました。また、ダイバーシティの推進については、専門部署を設置して社内業務のIT化を進める等、多様な働き方と生産性向上の実現について一定の成果が見られました。
翌連結会計年度においては、収益構造にさらなる厚みを持たせていくために、主力事業における新サービスの展開、採用支援サービスをはじめとした新規事業の積極拡大に取り組み、より高い次元での理想の実現を目指してまいります。