有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:33
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147項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、事業上のリスクとして具体化する可能性が高くないと思われる事項も含め、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下のとおり記載しております。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断ならびに当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本有価証券報告書の本項以外の記載事項も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載事項は、当社株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。そのため、以下に記載したリスク以外でも当社の想定を超えたリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中においては将来に関する記載事項が含まれておりますが、当該事項は、本有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、経営環境の変化等により実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業の内容に関するリスクについて
(1)法令・規制等による事業への影響について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。そのため、展開中の事業及び展開を検討中の事業において法令の改正、規制の見直し・整備等によって、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、エネルギー関連事業における電力売買事業ならびに金融関連事業は、それぞれ「電気事業法」ならびに「資金決済に関する法律」及び「金融商品取引法」に基づくものであり、想定外の法令改正、制度変更、法令等の解釈・適用(その変更を含みます)等により、当社グループの期待どおりに事業を展開することができなくなる可能性があります。また、事業の実施に必要な許認可、登録等を取得・維持できない又は取消等を受けるような場合には、事業を実施することができなくなる可能性があります。その他、当社グループが行う事業に固有に適用される法規制のほかに、企業活動に関わる各種法規制(消費者保護、プライバシー保護、公正競争、労務、知的財産権、租税、環境に関する各種法規制を含みますがこれらに限られません)の適用を受けています。当社グループがこれらの法規制に違反する場合、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関等から登録・許認可の取消や罰金などの処分を受けたり、取引先から契約を解除されたりする可能性があります。その結果、当社グループの社会的信用が低下したり事業展開に支障が生じたりする可能性があります。
(2)顧客基盤について
当社グループは、収益基盤の安定化及び事業規模の拡大を実現するために、既存顧客への売上拡大を図るとともに、新規顧客を意欲的に開拓し獲得することで、顧客基盤を拡大していくことが重要な課題の一つであると認識しています。そのため、製商品・サービスの品質向上、戦略的パートナーシップ、新規事業の開発の構築に努めてまいります。しかしながら、諸施策が功を奏せず計画が順調に進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競争環境によるリスク
エネルギー関連事業においては、2016年4月の電力小売全面自由化以降、登録小売電気業者数は着実に伸び、需要者の選択肢が広がる一方で、新電力からその他新電力や大手電力会社へのスイッチング(受電者変更)も増加しております。また、需要者が新小売電気事業者にスイッチングを申し込んだ際に、現小売電気事業者が当該需要者に対して特別料金の提案や違約金請求の連絡等を行うことによりスイッチングを阻止するという事例(いわゆる「取戻し営業」)も増加しています。
また、安価なベースロード電源(石炭火力、大型水力、原子力等)の多くは、大手電力会社が保有又は長期契約しているため、新電力によるアクセスが困難であり、電力卸市場活性化の障壁の一つとも言われております。
これらの競争環境により、当社グループのシェアが思うように伸長しない可能性があるばかりでなく、電力仕入価格の上昇と電力販売価格の下落が生じる可能性があります。
金融関連事業においては、暗号資産(仮想通貨)交換業を行うためには「資金決済に関する法律」(以下「資金決済法」という)及び「暗号資産交換業者に関する内閣府令」に基づく暗号資産交換業者登録を行う必要があります。2020年5月15日現在で登録暗号資産交換業者数は23社となっていますが、改正資金決済法の2020年5月施行に伴い、今後、暗号資産(仮想通貨)カストディ業者の登録等も予測されます。また、改正金融商品取引法の施行に伴い、暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引の取扱いについては金融商品取引業者登録が必要となり、当該規制やレバレッジ倍率の引下げ等の市場環境の変化もあり、既存の暗号資産(仮想通貨)交換業者でも暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引から撤退したものも出てきております。また、STOについては今後新しく形成されていく市場であり、証券会社等の参入も予定されております。このように、暗号資産(仮想通貨)関連業界の勢力地図は一気に様変わりする可能性があります。
また、技術革新によってブロックチェーン関連サービスの多様化が進んでおります。同業他社との競争の激化、規制強化に伴うコスト増加、技術革新又は新サービスへの対応の遅れ等により、当社グループのシェアが期待どおり伸長しない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)自然災害、不測の事故等について
エネルギー関連事業における電力売買事業では、国内外の自然災害、事故、システムトラブルその他の不測の事態が生じることにより、正常な電力供給が行われない、燃料価格の高騰等のため電力仕入価格が上昇する等、当社グループの電力売買事業に支障を来たす可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)金融関連事業に特有のリスクについて
金融関連事業においては、その事業の性質上、市場関連リスク(暗号資産(仮想通貨)の価格、為替等の市場のリスクファクターの変動により保有資産の価値が変動し損失を被るリスク、ならびに市場の混乱等で市場において取引ができなくなる、又は通常より著しく不利な条件での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク)、信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により保有資産の価値が減少し又は消失し損失を被るリスクであり、カウンターパーティリスクを含む)があるほか、システムリスク(サーバへの不正アクセス、システムダウン、ネットワーク途絶その他のシステムトラブルにより損失を被るリスク)、オペレーショナルリスク(業務プロセス、人、システムが不適切であること又は適切に機能しないこと、もしくは外生的な事業に起因して損失を被るリスク)等があります。また、特定の事業者における不祥事、特定の暗号資産(仮想通貨)における問題などの機能不全や好ましくない事象等が生じた場合に、その影響が他の事業者や市場にまで波及するというシステミック・リスクもあります。さらに、暗号資産(仮想通貨)の取引に関わる国内外の法規制や取引ルールの見直し等により、収益の前提条件が変化するリスクがあります。
当社グループにおいては、リスク管理を徹底しておりますが、万が一これらのリスクが顕在化した場合には、対応コストの増加、当社グループに対する損害賠償請求、当社グループの信用の低下、市場縮小による収益の悪化等が発生する可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)期間損益の変動について
エネルギー関連事業における電力売買事業の売上は、顧客の電気使用量の季節変動による影響を受けます。気温・湿度・気象等の想定外の範囲で変化した場合には、需給管理のミスマッチによるインバランス料金等の損失の発生、売上の減少等が生じる可能性があります。そのため、当社グループにおいては、需給管理体制を充実させるともに、顧客との契約内容を適宜見直し、適正な利益を確保できるように努めてまいります。
エネルギー関連事業における省エネコンサルティングは、補助金申請支援が可能な交付団体を多様化にすることにより、需要家に対して最適なコンサルティングを行っておりますが、補助金の交付決定時期により売上が偏重する傾向があります。また、補助金の予算規模の変化により、年間売上が変動する可能性があります。そのため、当社グループでは、省エネコンサルティングと深く関係するエネルギー関連機器・設備の拡販等を行うことにより、期間損益の平準化を目指しております。
また、当社グループの業績は、過去において、当社グループが提供する製商品・サービスの構成、顧客の需要・業況・取引関係、事業投資の成功又は失敗等の様々な要因によって、四半期毎、年度毎に変動しており、今後も変動する可能性があります。したがって、当社グループの過去の各四半期又は通期の実績が将来の業績の傾向を直接・間接に示唆するものではありません。
(7)提携等について
当社グループは、新たな事業機会が創出される分野において積極的に事業開発を行っていく方針を有しています。また、新規事業の開発や既存事業の業容の拡大を効率的に推進するために、グループ外企業との新規提携及び提携強化を進めております。その過程で、海外を含めた第三者との合弁による企業設立、既存企業への追加的な投資等を国内外で行う可能性があります。
このため、これらの投資や事業買収、事業統合に際して多額の費用が発生する可能性があります。また、第三者との合弁事業、提携事業や投資先事業が大幅な不振に陥ったり、これらの事業の業績不振が一定期間以上継続したりする場合には、追加的なコストの発生や投資有価証券の減損又は評価損の計上等の可能性があります。
さらに、提携先の相手国側における法規制等の制約を受ける可能性や、事業戦略上の目的や予定していた事業収益の増大が実現できない可能性、第三者との合弁事業や提携事業等が所期の目的を達成できない可能性があります。これらのような場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループにおいては、提携等に関する意思決定の際には、シナジー効果、将来にわたる投資採算性等を考慮に入れ、法規制・会計・税制等の影響も含めたリスクを低減・回避するべく、検討を実施してまいります。
2.当社グループの事業体制に関するリスクについて
(1)人財の確保・育成について
当社グループでは、事業ポートフォリオ・マネジメントの一環として経営資源の再配分を行っており、組織構成及び人員配置の適正化を図っております。今後も、事業の進展にあわせて、優秀な人財の確保と継続的な育成、ならびに内部管理体制の拡充を図っていく予定です。しかしながら、雇用情勢の変化その他の要因により必要な人員の確保や人財育成が計画どおりに進捗しない場合、既存の主要な人財の社外流出を防止できない場合、適切な人員配置や組織の整備ができない場合などには、当社グループの将来の成長、事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、今後の成長を図るべく、中長期的な経営戦略の遂行及び対処すべき課題の取組みに際しては、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人財の確保・育成が重要な経営課題の一つであると認識し、意欲のある人財を確保するとともに、持続的な成長を支える人財を育成すべく一人ひとりが最大限の力を発揮することのできる環境を整備し維持してまいります。
(2)内部管理体制について
当社グループは、企業価値の持続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが極めて重要であると考え、「内部統制システム整備の基本方針」及び「コーポレート・ガバナンス基本方針」を制定し、内部統制システムの適切な整備と運用、コンプライアンスの徹底を行い、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
当社グループでは、内部管理体制の一層の拡充に努めておりますが、事業の急速な拡大により十分な内部管理体制の整備又は運用が追いつかないというような状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティについて
当社グループは、事業上の重要な情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有しています。万が一予期せぬ事態により当社グループの保有する機密性の高い重要情報が外部に流出したり、第三者が不正に取得し使用したりするような事態が生じた場合には、損害賠償や対応費用の発生ばかりでなく、当社グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、情報セキュリティ対策の強化を図るとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発により、情報管理の徹底に取り組んでいます。
(4)知的財産権について
当社グループは、知的財産権の保護が重要であることを認識し、事業活動を推進するうえで、必要となる知的財産権の確保を進めるとともに、第三者の知的財産権の抵触可能性の調査をできる限り実施しております。しかしながら、当社グループの事業活動に関係する第三者の知的財産権の状況をすべて把握することは非常に困難であり、また、当社グループが事業活動を推進するうえで必要な知的財産権を効率的に確保できない可能性もあります。知的財産権の侵害・被侵害による損失や収益機会の減少の発生を防止できない、あるいは適切な回復をすることができない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)コンプライアンスについて
当社グループは、コンプライアンスを重要な経営課題の一つとして位置付け、事業活動に際しては企業倫理及び法令遵守の徹底を図るべく諸施策を講じています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの社会的信用やイメージの低下、損害賠償等により、当社の事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、コンプライアンスに関する規程を定め、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員及び従業員に対する教育・啓発を実施し、さらなる企業倫理の向上及び法令等の遵守に努めております。
3.その他のリスクについて
(1)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、業績向上に対する士気高揚のため、グループ取締役及び従業員等に対するインセンティブとして新株予約権(ストックオプション)を付与しています。また、今後もグループ取締役及び従業員等に対するインセンティブの一つとして新株予約権の付与について継続的な活用を検討しています。
また、当社は、2020年4月27日開催の取締役会において、第三者割当により発行された第13回新株予約権の募集の決議をしております。
これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存株主の有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。
(2)コロナウイルスが事業活動に及ぼす影響について
当社グループが行う電力売買事業(エネルギー関連事業)及び暗号資産(仮想通貨)交換業(金融関連事業)は、その公共性の観点から事業を中断することなく継続することが要請されており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業への影響を最小限に抑えるため、必要な対応を迅速にとるべく努めております。
他方で、当社グループでは、従業員等及びその家族の生命・健康を守るために、衛生管理の徹底並びに時差通勤、テレワークの推進、電話会議・電話会議等のリモート会議の活用、国内外の出張の自粛、セミナー等のイベント開催の自粛等、新型コロナウイルス症の感染防止及び感染拡大リスク低減のための措置を実施しております。それにもかかわらず、当社グループの従業員等に罹患者が発生した場合には、代替要員の確保その他の理由による臨時費用等が発生する可能性があり、また、何らかの理由で当社グループにおいて事業を継続することができなくなった場合には、休業による業績の悪化や顧客からの信頼の喪失等による機会損失が生じる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やその防止を理由として行われている他の事業者の休業や一般消費者の外出自粛等が長期化するような場合には、外出自粛やテレワークのために家庭における消費電力、特に日中の電力需要が増加する可能性はあるものの、事業者における電力需要の落ち込みや業績悪化などが生じ、結果として電力小売事業(エネルギー関連事業)の売上が減少したり、売掛金の回収が困難になったりする可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を優先的に実施するために、事業者においてエネルギー合理化等のための設備投資や省エネ対策の実施に関する意欲が減退するような場合には、省エネコンサルティング事業(エネルギー関連事業)の売上が減少する可能性があります。旅行関連事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やその影響の長期化による旅行者の需要(特にインバウンド需要)の減少により宿泊施設の稼働率が悪化するなどにより、業績に影響を与える可能性があります。
(3)コロナウイルス感染拡大による株価低迷の影響について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大やその影響の長期化懸念により株式市場が著しい影響を受けている現在の状況下では、相場回復の見込みが不透明になっております。当社株価が低迷し、行使価額修正条項付新株予約権の下限行使価額を下回って推移するなどの事態が長期化するような場合には、当社が発行する新株予約権の行使が当社の想定どおりには進まず、計画していた資金調達に時間を要したり、予定していた金額を調達できなかったりする可能性があります。その結果、資金調達計画及び事業計画に支障を来たし、当社グループの業績及び事業展開に重大な影響を与える可能性があります。