有価証券報告書-第23期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 15:10
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114項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当事業年度におきましては、企業収益や雇用環境は引き続き改善傾向にあり、景気は緩やかな回復基調が続きました。一方、米国と中国間の貿易摩擦や中国の景気減速、英国のEU離脱問題等の影響もあり、世界経済は先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、提携先の開拓などに積極的に取り組んでまいりました。
(主要パイプラインの進捗状況)
主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
シスプラチンミセル(NC-6004)につきましては、自社開発製品第一号として自社及びライセンス先との共同開発によりグローバルに開発を推進しております。
ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.(台湾、以下「OEP」といいます。)とともに、日本を含むアジア地域において膵がんを対象に第Ⅲ相臨床試験を実施しており、2019年4月に統計学的に解析可能な患者症例数に達したことから、患者登録を完了し、現在も登録患者への治験薬投与を継続しております。
頭頸部がんについては、台湾においてOEPが第Ⅰ相臨床試験を、欧米において自社で第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を各々行っておりましたが、2018年5月、アジア及び欧米の地域を統合して、OEPとともに改めて免疫チェックポイント阻害剤との併用による臨床試験を実施することで合意し、2018年7月に同社と正式にライセンス契約を締結いたしました。同契約に基づき、NC-6004と免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ®」との併用による国際共同臨床試験として展開するため、2018年10月には米国食品医薬品局(FDA)に対し、頭頸部がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験に関する治験許可申請(IND)を提出し、さらに2019年1月には欧州地域のそれぞれの規制当局に対し同試験に関する治験許可申請(CTA)を提出し、受理されております。今後は台湾においてもOEPが台湾食品医薬品監督署(TFDA)に対してINDを提出し、患者登録を進める予定です。
米国においては第Ⅱ相臨床試験(バスケットデザイン試験)として非小細胞肺がん、膀胱がん、胆道がんの3適応症を対象に実施し、2019年4月に解析結果を受領しました。有効性については既存のシスプラチン・ゲムシタビン療法と同程度であり、副作用については、既存のシスプラチンに類似しており、発生頻度や重症度は改善され、良好な忍容性が認められました。今後は、本剤のさらなる医薬品としての価値向上を図るための開発に注力する方針です。
エピルビシンミセル(NC-6300)につきましては、米国で軟部肉腫を対象に第I/Ⅱ相臨床試験を実施中です。2018年12月、第Ⅰ相パート試験において本製剤の安全性及び忍容性が認められ、主要評価項目を達成しました。現在、第Ⅱ相パート試験に移行すべく準備を行っております。なお、本剤はFDAより本適応に対するオーファンドラッグの指定※を受けております。
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを受けた遺伝子治療薬「VB-111」につきましては、同社が米国を中心に実施していた再発悪性神経膠芽腫(rGBM)を対象とする第Ⅲ相臨床試験の結果について、2018年3月に同社発表のとおり、VB-111とアバスチン(一般名:ベバシズマブ)の併用投与群とアバスチン単独投与群との間における生存期間に差がみられませんでした。同社は、第Ⅱ相臨床試験で良好な成績が得られている状況から、VB-111単独の先行投与(プライミング投与)が必要であるとの仮説を打ち出しており、詳細な画像解析等を実施しております。また、同社はこれと併行して、仮説検証を含めたrGBMに対する医師主導の臨床試験を開始する計画であり、さらに消化器がんを対象にした免疫チェックポイント阻害剤との併用による共同臨床試験を実施する計画である旨、発表されました。当社は、同社が実施しているプラチナ耐性卵巣がんの第Ⅲ相臨床試験も含め、試験進捗情報を随時取得し、中間解析結果等を踏まえ、日本国内における開発方針を検討してまいります。
セオリアファーマ株式会社との間で2018年6月に締結した共同開発契約に基づき、準備を進めてきた耳鼻科領域における新医薬品等の開発候補品(ENT103)につきましては、2018年12月、第Ⅲ相臨床試験に関する治験計画届書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、受理されております。本剤は短期間で製造販売承認を取得し、製造から販売までの一貫体制の下、患者のQOL向上に役立つ医薬品を早期にお届けすることを目指します。
パクリタキセルミセル(NK105)につきましては、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社から、2018年2月、乳がんを対象に第Ⅱ相臨床試験を開始した旨発表されております。
※ オーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)
米国における患者数20万人以下の希少疾病に対する新薬開発を促進するために米国FDAが与えるもので、オーファンドラッグの指定を受けると、7年間の排他的先発販売権が与えられます。また、米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査に対しての優遇措置が受けられます。
(新規開発パイプラインの進捗状況)
新規開発パイプラインにつきましては、当社独自の先進基盤技術である抗体/薬物結合型ミセル「ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)」を次世代型DDS医薬品技術として開発しています。抗がん剤を内包しセンサーとなる抗体を結合したActive型ミセル化ナノ粒子は、標的とするがん細胞へのターゲティング性能を高めることによりさらに抗腫瘍作用を高め、治療域を拡大することが期待されます。また、低分子医薬品に加え、より副作用が少ないとされているsiRNAなどの核酸についても、独自の核酸デリバリー技術を確立し、さらに抗体を付加したActive型とすることでターゲティング機能を向上させた核酸医薬品の開発を進めております。
また、技術進化として新規センサーの検討に向けた共同研究なども実施しており、ADCMの最適化やさらなる発展を目指しています。JCRファーマ株式会社との間では、脳内デリバリー創薬に関する共同研究契約を締結し、当社のADCM技術や、同社が有する脳内に薬剤を届けるための独自技術であるJ-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)など、両社が持つ技術や知見を融合し、革新的な脳内デリバリー医薬品の実現を目指した共同研究を推進しております。
(事業開発の状況)
事業開発活動につきましては、2018年4月、ノーリツ鋼機株式会社及び株式会社ジーンテクノサイエンスとの間で事業化ノウハウを組み合わせたバイオ事業の創出を目的とした業務提携契約を締結いたしました。さらに、当社はノーリツ鋼機株式会社が間接的に100%の持分を保有するノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社が所有する株式会社ジーンテクノサイエンスの普通株式500,000株を取得し同社に資本参加するとともに、ノーリツ鋼機バイオホールディングス合同会社が当社の普通株式1,500,000株を取得する資本提携を行いました。
また、2018年1月より、セオリアファーマ株式会社との間で業務提携に向けた検討を行ってまいりましたが、その一環として、2018年6月に共同開発契約を締結いたしました。本契約に基づき、耳鼻科領域における第Ⅲ相臨床試験における患者登録を開始しております。
さらに、2019年4月、株式会社エイオンインターナショナルとの間で同社の再生医療用PRP(血小板濃縮血漿)分離器である「Aeon Acti-PRP」の国内販売代理店契約を締結いたしました。国内においては産婦人科PRP研究会が発足されており、臨床研究が行われております。不妊症患者の血液からPRPを分離して子宮内注入することにより不妊症の治療を目指すもので、国内初の新規事業として展開する予定です。
(化粧品事業の状況)
化粧品事業につきましては、株式会社アルビオンとの共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」のインターネット販売及びカウンセリング販売を行っております。大手百貨店や化粧品専門店の他、全国の美容室へ取扱い店舗を拡大するとともに、インターネット販売においてはECサイト、SNSやメールマガジン等を活用したオムニチャネル化を推進しております。また、同社が販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の原材料を供給しております。同社とは、次世代型エクラフチュールの開発に向けた共同研究開発も進め、その成果として、2018年10月、「エクラフチュールd」が同社より発売されました。同製品には、当社が開発した肌細胞への吸着に着目した化粧品用ミセル化ナノ粒子「ナノセスタEX」を用いた原材料を供給しております。
また、化粧品開発における皮膚浸透性の研究を基に、皮膚科領域における医薬品開発の可能性を見いだしており、今後、皮膚科領域での医薬品にも応用展開を目指してまいります。
以上の結果、当事業年度は、開発マイルストーン収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上等により売上高は496,732千円(前事業年度売上高259,097千円)、営業損失は1,802,313千円(前事業年度営業損失5,351,438千円)、主に定期預金にかかる受取利息13,325千円、主に外貨建て債券にかかる有価証券利息3,513千円、外国為替相場の変動による為替差益22,311千円等により経常損失は1,774,496千円(前事業年度経常損失5,304,445千円)となり、新株予約権戻入益22,563千円、固定資産の減損処理等による減損損失52,728千円等を計上した結果、当期純損失は1,808,510千円(前事業年度当期純損失5,416,808千円)となりました。
当事業年度末における財政状態につきましては、資産は、前事業年度末に比べ941,182千円増加し、8,568,179千円となりました。負債は、前事業年度末に比べ276,691千円減少し、2,688,612千円となりました。純資産は、当期純損失の計上、第三者割当増資及び新株予約権の行使による株式の発行等により、前事業年度末に比べ1,217,874千円増加し、5,879,566千円となりました。
なお、2018年6月22日開催の第22回定時株主総会において、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分について承認可決され、2018年8月1日付で効力が発生しており、資本金11,001,440千円及び資本準備金6,739,979千円がそれぞれ減少し、繰越利益剰余金が17,741,419千円増加しております。
また、2019年4月25日開催の取締役会において、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当の方法による行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第17回行使価額修正条項付新株予約権及び第18回新株予約権の募集を行うことを決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。なお、行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第17回行使価額修正条項付新株予約権の発行に係る払込みについては、金銭による払込みに代えて、当社が2015年10月8日に発行した第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の、2019年4月25日時点で残存する全部が出資されたため、実質的には第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の条件変更(リファイナンス)としての効果を有しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
さらに、2019年4月25日開催の取締役会において、当社との間で資本業務提携を行っているOEPの100%子会社であるCyntec Co., Ltd.に対する第三者割当による新株式の発行を決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前事業年度末に比べ376,809千円増加し3,065,334千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失1,804,880千円に、減損損失52,728千円、売上債権の増加額100,945千円、たな卸資産の減少額118,879千円、前渡金の増加額57,210千円、未払費用の減少額176,234千円等の調整がされた結果、2,037,259千円の支出(前事業年度は4,927,585千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、992,275千円の支出(前事業年度は214,729千円の収入)となりました。定期預金の預入による支出2,707,788千円、定期預金の払戻による収入2,207,195千円、有価証券の取得による支出9,400,000千円、有価証券の償還による収入10,131,620千円、投資有価証券の取得による支出1,216,000千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,384,637千円の収入(前事業年度は24,065千円の収入)となりました。第三者割当による株式の発行による収入1,199,668千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,237,913千円、自己新株予約権の取得による支出83,058千円等によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2) 受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(3) 販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
当事業年度
(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
496,732191.7

(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります
輸出先前事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
アジア--259,576100.0
合計-
(-%)
-259,576
(52.3%)
100.0

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
Orient Europharma Co., Ltd.--259,57652.3
株式会社アルビオン154,83459.8169,25034.1
アキュルナ株式会社50,00019.310,2502.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,985,895千円(前事業年度末は6,841,222千円)となり、144,673千円増加しました。これは主に現金及び預金の増加877,402千円、有価証券の減少718,720千円、たな卸資産の減少118,879千円によるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,582,283千円(前事業年度末は785,773千円)となり、796,509千円増加しました。これは主に投資有価証券の増加853,203千円によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は178,356千円(前事業年度末は450,694千円)となり、272,338千円減少しました。これは主に未払費用の減少176,234千円によるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は2,510,256千円(前事業年度末は2,514,610千円)となり、4,353千円減少しました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は5,879,566千円(前事業年度末は4,661,692千円)となり、1,217,874千円増加しました。これは主に資本金の増加1,743,956千円、資本剰余金の増加1,743,956千円、利益剰余金の減少1,808,510千円、その他有価証券評価差額金の減少358,251千円、新株予約権の減少103,277千円によるものです(下記無償減資による影響を除いて分析)。
なお、2018年6月22日開催の第22回定時株主総会において、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分について承認可決され、2018年8月1日付で効力が発生しており、資本金11,001,440千円及び資本準備金6,739,979千円がそれぞれ減少し、繰越利益剰余金が17,741,419千円増加しております。
(2) 経営成績
当事業年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1) 業績」をご参照ください。
(3) キャッシュ・フロー
当社は現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当事業年度末日現在の資金残高は3,065,334千円で、資金外である長期の定期預金や短期の有価証券まで合わせますと6,566,689千円となります。さらに、2019年5月13日には約63億円のファイナンスも実施いたしました。このファイナンスでは、株価の低迷により償還の可能性が高まっていた転換社債型新株予約権付社債2,475,000千円をリファイナンスしており、転換社債型新株予約権付社債がすべて転換された場合は、合計で約88億円のファイナンス効果を有しております。
一方支出側としましては、当期純損失が1,808,510千円、進行期であります第24期の予想当期純損失が1,450百万円でありますので、当面の研究開発資金の確保、また事業の進捗によるライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。

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