有価証券報告書-第25期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(業績等の概要)
(1)業績
当事業年度における我が国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により経済活動が制限され、企業収益の悪化や雇用情勢の低迷が続いており、大変厳しい状況で推移いたしました。政府による社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた施策、ワクチン接種の進捗等により景気回復が期待されますが、変異ウイルスの脅威や感染再拡大の懸念等から、国内外ともに先行き不透明で予断を許さない状況になっております。
このような経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、経営基盤強化のためのM&A等による外部経営資源の活用などに積極的に取り組んでまいりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の当事業年度における業績への影響につきましては、当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、軽微であったと判断しております。
(ミセル化ナノ粒子による臨床パイプラインの進捗状況)
主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
NC-6004(シスプラチンミセル)につきましては、ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.と共同で頭頸部がんを対象に、NC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ®」との併用による第Ⅱ相臨床試験を実施しております。欧米地域において、2019年7月より投与を開始し、2020年6月、第Ⅱa相試験の主要評価項目(キイトルーダ®併用時の推奨用量の決定)を達成し、2020年11月、欧州、台湾において第Ⅱb相試験を開始いたしました。本試験は、キイトルーダ®単剤との比較試験です。
NC-6300(エピルビシンミセル)につきましては、米国で軟部肉腫を対象に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中です。対象疾患として第Ⅰ相パート試験で有効性が示唆された軟部肉腫の一種である血管肉腫にターゲットを絞り、有効性及び安全性を確認する追加試験を実施しており、2020年10月に患者登録が完了しております。現在も治験薬の投与が継続されておりますが、並行してデータ解析を実施しております。なお、本剤は米国食品医薬品局(FDA)より本適応に対するオーファンドラッグの指定※1を受けております。
新たに拡充いたしました乳がんの約50%で過剰発現する転写因子PRDM14に対するsiRNA医薬NC-6100(SRN-14/GL2-800)につきましては、治癒的切除不能又は遠隔転移を有する再発乳がんを対象に公益財団法人がん研究会有明病院において2020年9月より医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始されました。本剤は2020年9月1日付で統合したアキュルナ株式会社と複数のアカデミア研究機関が共同研究を進めてきた核酸プロジェクトの一つです。
NK105(パクリタキセルミセル)につきましては、2021年5月、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社から、第Ⅱ相臨床試験結果より乳がんでの開発を中止する旨発表されております。
※1 オーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)
米国における患者数20万人以下の希少疾病に対する新薬開発を促進するために米国FDAが与えるもので、オーファンドラッグの指定を受けると、7年間の排他的先発販売権が与えられます。また、米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査に対しての優遇措置が受けられます。
(導入臨床パイプラインの進捗状況)
導入臨床パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル、以下「VBL」といいます。)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを取得した遺伝子治療製品 VB-111につきましては、現在、同社が米国を中心にプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)を実施しております。2020年3月、当社はOVAL試験に日本から参画することを決定し、準備を進めてまいりましたが、2020年11月、国内第Ⅲ相臨床試験開始のため、医薬品医療機器総合機構に対し治験計画届を提出し、治験実施施設において準備が進んでおります。現在、複数の施設において患者リクルートが開始されており、投与に向けた手続きが進捗しております。なお、当社は、2019年11月、同パイプラインの国内開発に向け、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法※2)に基づく第一種使用規程の厚生労働大臣・環境大臣連名による承認を取得しております。また、本製剤につきましては、VBLにおいて海外で大腸がん及び膠芽腫の第Ⅱ相臨床試験も進められております。
セオリアファーマ株式会社と共同開発中の耳鼻咽喉科領域における開発候補品 ENT103につきましては、国内において中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しております。新型コロナウイルス感染症の影響等により患者登録に遅れが生じておりますが、施設の入れ替えや医師との連携により、患者登録の加速化に努め、2021年5月に患者登録が完了しております。
※2 カルタヘナ法
生物の多様性を保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるもの(人の健康に対する危険も考慮したもの)の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的として2003年に国際発効したカルタヘナ議定書を日本で実施するための法律です。遺伝子組換え生物等を用いた遺伝子治療臨床試験は、カルタヘナ法における拡散防止措置を執らずに行う使用等(第一種使用等)に該当します。遺伝子治療用製品の治験の実施にあたっては、第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書を提出して大臣承認を受ける義務があります。
(パイプライン拡充)
パイプライン拡充につきましては、吸収合併いたしましたアキュルナ株式会社が進めておりました核酸医薬品の研究を継承、推進しております。低分子医薬や抗体医薬では標的となり得なかった遺伝子からの転写因子であるRNAをターゲットとした新たな治療法の提供を可能とします。
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究プロジェクトである長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ)医薬は、臨床開発への移行を視野に入れた次期パイプライン候補として、非臨床試験を推進しております。本件は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択されております。
軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬につきましては、2021年4月にアクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、非臨床試験の実施、GMP製造の確立及び第Ⅰ相臨床試験の実施に向け、事業を開始いたしました。本件は、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択されております。
アキュルナ株式会社から継承いたしました核酸医薬のDDS技術は、核酸医薬品の生体内での搬送上の課題を解決するとともに、従来のDDSの製造工程が複雑であるという課題を解決するもので、アカデミアとの共同研究や企業との協働により新規パイプラインの拡充を推進しております。
(事業開発の状況)
事業開発活動につきましては、2020年7月15日開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、アキュルナ株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施することを決議し、同日付で同社との間で合併契約書を締結し、2020年9月1日付で実施いたしました。これにより、当社パイプライン及びパイプライン候補が拡充し、今後は核酸分野の更なる開発、mRNA創薬の一環としてのワクチン開発の推進等、シナジーの実現に向けた活動を推進してまいります。さらに、本合併の効力発生を契機に、同日付で研究部門と開発部門のより一層の連携と研究開発機能の強化を図ることを目的として、研究開発本部を創設する組織変更を行いました。
(販売事業の状況)
販売事業につきましては、株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の当社技術を応用した原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth」事業を共同で推進しております。
株式会社エイオンインターナショナルから国内販売権を取得した「Acti-PRP(血球細胞分離器)」につきましては、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、あわせて臨床研究を実施しております。
以上の結果、当事業年度は、開発マイルストーン収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上、PRP事業に係る医療機器売上等により売上高は313,264千円(前事業年度売上高552,973千円)、営業損失は1,302,882千円(前事業年度営業損失1,105,796千円)、経常損失は1,278,764千円(前事業年度経常損失1,144,436千円)、当期純損失は2,835,793千円(前事業年度当期純損失2,009,676千円)となりました。なお、当事業年度におきまして、以下の営業外収益及び特別損失を計上しております。
・外国為替相場の変動による為替差益13,041千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。
・アキュルナ株式会社の吸収合併において発生したのれん1,553,178千円全額を減損処理したこと等により、減損損失1,553,251千円を特別損失に計上しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ2,078,844千円減少し1,891,799千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失
2,832,027千円に、減損損失1,553,251千円等の調整がされた結果、1,247,432千円の支出(前事業年度は1,138,665千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、871,694千円の支出(前事業年度は112,337千円の支出)となりました。定期預金の預入による支出2,913,564千円、定期預金の払戻による収入1,426,489千円、有価証券の取得による支出11,800,000千円、有価証券の償還による収入12,400,000千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11,461千円の支出(前事業年度は2,161,503千円の収入)となりました。主として自己新株予約権の取得による支出10,071千円によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,902,163千円(前事業年度末は7,919,858千円)となり、1,017,695千円減少しました。これは主に、当期純損失の計上に伴う現金及び預金の減少によるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は918,805千円(前事業年度末は1,024,704千円)となり、105,899千円減少しました。これは主に、1年以内に満期が到来する投資有価証券の流動資産への振替によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は265,374千円(前事業年度末は148,410千円)となり、116,964千円増加しました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は55,622千円(前事業年度末は27,186千円)となり、28,436千円増加しました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は7,499,972千円(前事業年度末は8,768,967千円)となり、1,268,994千円減少しました。これは主に、当期純損失の計上及び吸収合併に伴う新株式の発行によるものです。
(2)経営成績
当事業年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フロー
当社は現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当事業年度末日現在の資金残高は1,891,799千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと6,402,385千円となります。
一方支出側としましては、当事業年度の経常損失は1,278,764千円、進行期であります第26期の予想経常損失が1,751百万円でありますので、当面の研究開発資金の確保、また事業の進捗によるライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、以上のとおり、当面の資金の確保ができておりますので、現時点において、当社キャッシュ・フローへの影響は軽微と考えております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。また、会計上の見積りにおける新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(1)業績
当事業年度における我が国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により経済活動が制限され、企業収益の悪化や雇用情勢の低迷が続いており、大変厳しい状況で推移いたしました。政府による社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた施策、ワクチン接種の進捗等により景気回復が期待されますが、変異ウイルスの脅威や感染再拡大の懸念等から、国内外ともに先行き不透明で予断を許さない状況になっております。
このような経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、経営基盤強化のためのM&A等による外部経営資源の活用などに積極的に取り組んでまいりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の当事業年度における業績への影響につきましては、当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、軽微であったと判断しております。
(ミセル化ナノ粒子による臨床パイプラインの進捗状況)
主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
NC-6004(シスプラチンミセル)につきましては、ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.と共同で頭頸部がんを対象に、NC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ®」との併用による第Ⅱ相臨床試験を実施しております。欧米地域において、2019年7月より投与を開始し、2020年6月、第Ⅱa相試験の主要評価項目(キイトルーダ®併用時の推奨用量の決定)を達成し、2020年11月、欧州、台湾において第Ⅱb相試験を開始いたしました。本試験は、キイトルーダ®単剤との比較試験です。
NC-6300(エピルビシンミセル)につきましては、米国で軟部肉腫を対象に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中です。対象疾患として第Ⅰ相パート試験で有効性が示唆された軟部肉腫の一種である血管肉腫にターゲットを絞り、有効性及び安全性を確認する追加試験を実施しており、2020年10月に患者登録が完了しております。現在も治験薬の投与が継続されておりますが、並行してデータ解析を実施しております。なお、本剤は米国食品医薬品局(FDA)より本適応に対するオーファンドラッグの指定※1を受けております。
新たに拡充いたしました乳がんの約50%で過剰発現する転写因子PRDM14に対するsiRNA医薬NC-6100(SRN-14/GL2-800)につきましては、治癒的切除不能又は遠隔転移を有する再発乳がんを対象に公益財団法人がん研究会有明病院において2020年9月より医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始されました。本剤は2020年9月1日付で統合したアキュルナ株式会社と複数のアカデミア研究機関が共同研究を進めてきた核酸プロジェクトの一つです。
NK105(パクリタキセルミセル)につきましては、2021年5月、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社から、第Ⅱ相臨床試験結果より乳がんでの開発を中止する旨発表されております。
※1 オーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)
米国における患者数20万人以下の希少疾病に対する新薬開発を促進するために米国FDAが与えるもので、オーファンドラッグの指定を受けると、7年間の排他的先発販売権が与えられます。また、米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査に対しての優遇措置が受けられます。
(導入臨床パイプラインの進捗状況)
導入臨床パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル、以下「VBL」といいます。)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを取得した遺伝子治療製品 VB-111につきましては、現在、同社が米国を中心にプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)を実施しております。2020年3月、当社はOVAL試験に日本から参画することを決定し、準備を進めてまいりましたが、2020年11月、国内第Ⅲ相臨床試験開始のため、医薬品医療機器総合機構に対し治験計画届を提出し、治験実施施設において準備が進んでおります。現在、複数の施設において患者リクルートが開始されており、投与に向けた手続きが進捗しております。なお、当社は、2019年11月、同パイプラインの国内開発に向け、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法※2)に基づく第一種使用規程の厚生労働大臣・環境大臣連名による承認を取得しております。また、本製剤につきましては、VBLにおいて海外で大腸がん及び膠芽腫の第Ⅱ相臨床試験も進められております。
セオリアファーマ株式会社と共同開発中の耳鼻咽喉科領域における開発候補品 ENT103につきましては、国内において中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しております。新型コロナウイルス感染症の影響等により患者登録に遅れが生じておりますが、施設の入れ替えや医師との連携により、患者登録の加速化に努め、2021年5月に患者登録が完了しております。
※2 カルタヘナ法
生物の多様性を保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるもの(人の健康に対する危険も考慮したもの)の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的として2003年に国際発効したカルタヘナ議定書を日本で実施するための法律です。遺伝子組換え生物等を用いた遺伝子治療臨床試験は、カルタヘナ法における拡散防止措置を執らずに行う使用等(第一種使用等)に該当します。遺伝子治療用製品の治験の実施にあたっては、第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書を提出して大臣承認を受ける義務があります。
(パイプライン拡充)
パイプライン拡充につきましては、吸収合併いたしましたアキュルナ株式会社が進めておりました核酸医薬品の研究を継承、推進しております。低分子医薬や抗体医薬では標的となり得なかった遺伝子からの転写因子であるRNAをターゲットとした新たな治療法の提供を可能とします。
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究プロジェクトである長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ)医薬は、臨床開発への移行を視野に入れた次期パイプライン候補として、非臨床試験を推進しております。本件は、日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択されております。
軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬につきましては、2021年4月にアクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、非臨床試験の実施、GMP製造の確立及び第Ⅰ相臨床試験の実施に向け、事業を開始いたしました。本件は、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択されております。
アキュルナ株式会社から継承いたしました核酸医薬のDDS技術は、核酸医薬品の生体内での搬送上の課題を解決するとともに、従来のDDSの製造工程が複雑であるという課題を解決するもので、アカデミアとの共同研究や企業との協働により新規パイプラインの拡充を推進しております。
(事業開発の状況)
事業開発活動につきましては、2020年7月15日開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、アキュルナ株式会社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を実施することを決議し、同日付で同社との間で合併契約書を締結し、2020年9月1日付で実施いたしました。これにより、当社パイプライン及びパイプライン候補が拡充し、今後は核酸分野の更なる開発、mRNA創薬の一環としてのワクチン開発の推進等、シナジーの実現に向けた活動を推進してまいります。さらに、本合併の効力発生を契機に、同日付で研究部門と開発部門のより一層の連携と研究開発機能の強化を図ることを目的として、研究開発本部を創設する組織変更を行いました。
(販売事業の状況)
販売事業につきましては、株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の当社技術を応用した原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth」事業を共同で推進しております。
株式会社エイオンインターナショナルから国内販売権を取得した「Acti-PRP(血球細胞分離器)」につきましては、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、あわせて臨床研究を実施しております。
以上の結果、当事業年度は、開発マイルストーン収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上、PRP事業に係る医療機器売上等により売上高は313,264千円(前事業年度売上高552,973千円)、営業損失は1,302,882千円(前事業年度営業損失1,105,796千円)、経常損失は1,278,764千円(前事業年度経常損失1,144,436千円)、当期純損失は2,835,793千円(前事業年度当期純損失2,009,676千円)となりました。なお、当事業年度におきまして、以下の営業外収益及び特別損失を計上しております。
・外国為替相場の変動による為替差益13,041千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。
・アキュルナ株式会社の吸収合併において発生したのれん1,553,178千円全額を減損処理したこと等により、減損損失1,553,251千円を特別損失に計上しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ2,078,844千円減少し1,891,799千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失
2,832,027千円に、減損損失1,553,251千円等の調整がされた結果、1,247,432千円の支出(前事業年度は1,138,665千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、871,694千円の支出(前事業年度は112,337千円の支出)となりました。定期預金の預入による支出2,913,564千円、定期預金の払戻による収入1,426,489千円、有価証券の取得による支出11,800,000千円、有価証券の償還による収入12,400,000千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11,461千円の支出(前事業年度は2,161,503千円の収入)となりました。主として自己新株予約権の取得による支出10,071千円によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
| 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 313,264 | 56.65 |
(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります
| 輸出先 | 前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| アジア | 317,696 | 100.0 | 150,845 | 100.0 |
| 合計 | 317,696 (57.5%) | 100.0 | 150,845 (48.2%) | 100.0 |
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| Orient Europharma Co., Ltd. | 317,696 | 57.5 | 150,845 | 48.2 |
| 株式会社アルビオン | 132,750 | 24.0 | 109,250 | 34.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,902,163千円(前事業年度末は7,919,858千円)となり、1,017,695千円減少しました。これは主に、当期純損失の計上に伴う現金及び預金の減少によるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は918,805千円(前事業年度末は1,024,704千円)となり、105,899千円減少しました。これは主に、1年以内に満期が到来する投資有価証券の流動資産への振替によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は265,374千円(前事業年度末は148,410千円)となり、116,964千円増加しました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は55,622千円(前事業年度末は27,186千円)となり、28,436千円増加しました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は7,499,972千円(前事業年度末は8,768,967千円)となり、1,268,994千円減少しました。これは主に、当期純損失の計上及び吸収合併に伴う新株式の発行によるものです。
(2)経営成績
当事業年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フロー
当社は現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当事業年度末日現在の資金残高は1,891,799千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと6,402,385千円となります。
一方支出側としましては、当事業年度の経常損失は1,278,764千円、進行期であります第26期の予想経常損失が1,751百万円でありますので、当面の研究開発資金の確保、また事業の進捗によるライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、以上のとおり、当面の資金の確保ができておりますので、現時点において、当社キャッシュ・フローへの影響は軽微と考えております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。また、会計上の見積りにおける新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。