有価証券報告書-第24期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(業績等の概要)
(1)業績
当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善が継続し、景気は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により経済活動の停滞長期化が懸念され、国内外ともに先行き不透明で予断を許さない状況になっております。
このような経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、提携先の開拓などに積極的に取り組んでまいりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の当事業年度における業績への影響につきましては、感染拡大に伴う株式市場の低迷等により、当社の保有する株式の時価が著しく下落したため減損処理を行い、投資有価証券評価損を計上しました。当社の主たる事業は医薬品等の研究開発であり、上市された製品もないため、その他の影響につきましては軽微であったと判断しております。
(主要パイプラインの進捗状況)
主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
シスプラチンミセル(NC-6004)につきましては、ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.(台湾、以下「OEP」といいます。)と共同でグローバルに臨床試験を推進しております。欧米地域における頭頸部がんを対象としたNC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ®」との併用による第Ⅱ相臨床試験は、2019年7月より投与を開始し、推進中であります。一方、日本を含むアジア地域における膵がんを対象とした第Ⅲ相臨床試験は、近年の膵がん治療の進歩により、併用薬であるゲムシタビンによる単独療法が第一選択ではなくなったことを鑑み、2019年12月、日本国内において本試験に基づく製造販売承認申請は行わないことを決定いたしました。なお、国内データでは、NC-6004併用による生存期間の延長が示唆されており、将来的な国内開発の可能性について引き続き検討してまいります。
エピルビシンミセル(NC-6300)につきましては、米国で軟部肉腫を対象に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中です。対象疾患として第Ⅰ相パート試験で有効性が示唆された軟部肉腫の一種である血管肉腫にターゲットを絞り、有効性及び安全性を確認する追加試験の実施を決定し、2019年10月に投与を開始しております。なお、本剤は米国食品医薬品局(FDA)より本適応に対するオーファンドラッグの指定※1を受けております。
パクリタキセルミセル(NK105)につきましては、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社から、乳がんを対象に第Ⅱ相臨床試験を実施中の旨発表されております。
※1 オーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)
米国における患者数20万人以下の希少疾病に対する新薬開発を促進するために米国FDAが与えるもので、オーファンドラッグの指定を受けると、7年間の排他的先発販売権が与えられます。また、米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査に対しての優遇措置が受けられます。
(導入パイプラインの進捗状況)
導入パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル、以下「VBL」といいます。)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを取得した遺伝子治療製品「VB-111」につきましては、現在、同社が米国を中心にプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)を実施しております。当社は、2019年11月、同パイプラインの国内開発に関し、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法※2)に基づく第一種使用規程の厚生労働大臣・環境大臣連名による承認を取得いたしました。さらに、2020年3月、VBLが実施中のOVAL試験に関し、第三者委員会による中間解析において試験の継続が推奨された旨、同社から発表されました。これを踏まえ、当社はOVAL試験に日本から参画する方針を決定し、国内治験開始に向けた各種準備を進めております。
セオリアファーマ株式会社との間で共同開発を行っている耳鼻咽喉科領域における開発候補品(ENT103)につきましては、国内において中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しており、2019年5月に登録を開始しております。本剤は抗がん剤の開発と比べ短期間で製造販売承認を取得することが期待できることから、患者のQOL向上に役立つ医薬品として早期にお届けすることを目指しておりますが、対象患者が例年より少なかったことや新型コロナウイルスの影響等により患者登録が当初の想定を下回っていることから、試験期間の延長を見込んでおります。
2019年4月、株式会社エイオンインターナショナルから「Acti-PRP(血球細胞分離機)」の国内販売権を取得しました。多血小板血漿(PRP)は細胞の成長を促す成長因子を豊富に含み、局所に注入することで組織の修復などを促します。PRPを用いた治療は整形外科領域などで行われておりますが、当社は婦人科領域における不妊治療への応用として、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、あわせて臨床研究を実施しております。患者のQOL向上という当社理念に基づき、再生医療分野へも進出し、国内初の新規事業として展開しております。
※2 カルタヘナ法
生物の多様性を保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるもの(人の健康に対する危険も考慮したもの)の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的として2003年に国際発効したカルタヘナ議定書を日本で実施するための法律です。遺伝子組換え生物等を用いた遺伝子治療臨床試験は、カルタヘナ法における拡散防止措置を執らずに行う使用等(第一種使用等)に該当します。遺伝子治療用製品の治験の実施にあたっては、第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書を提出して大臣承認を受ける義務があります。
(新規開発パイプラインの進捗状況)
新規開発パイプラインにつきましては、当社独自の先進基盤技術である抗体/薬物結合型ミセル「ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)」を次世代型DDS医薬品技術として開発しております。センサーとなる抗体などを結合したActive型ミセル化ナノ粒子は、標的とする組織、細胞へのターゲティング性能を高めることが期待されます。技術進化として、センサー機能の拡大に向けた共同研究などを実施しており、JCRファーマ株式会社との間では、脳内デリバリー創薬に関する共同研究契約を締結し、当社のADCM技術や、同社が有する脳内に薬剤を届けるための独自技術であるJ-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)など、両社が持つ技術や知見を融合し、革新的な脳内デリバリー医薬品の実現を目指した共同研究を推進しております。
(事業開発の状況)
事業開発活動につきましては、2019年5月、主要パイプラインであるNC-6004の推進において、OEPとのより強固な協力体制を確保し業務提携内容の拡充を図るために、同社の100%子会社であるCyntec Co., Ltd.へ当社普通株式705,800株を割り当てる第三者割当増資を行っております。また、2019年4月、株式会社エイオンインターナショナルとの間で同社の「Acti-PRP」の国内販売代理店契約を締結し、販売を開始しております。
(化粧品事業の状況)
化粧品事業につきましては、株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」事業を共同で推進しております。
さらに、化粧品開発における皮膚浸透性の研究を基に、皮膚科領域における医薬品開発の可能性を見いだしており、今後、皮膚科領域での医薬品にも応用展開を目指してまいります。
以上の結果、当事業年度は、開発マイルストーン収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上、PRP事業に係る医療機器売上等により売上高は552,973千円(前事業年度売上高496,732千円)、営業損失は1,105,796千円(前事業年度営業損失1,802,313千円)、経常損失は1,144,436千円(前事業年度経常損失1,774,496千円)、当期純損失は2,009,676千円(前事業年度当期純損失1,808,510千円)となりました。なお、当事業年度におきまして、以下の営業外費用、特別利益及び特別損失を計上しております。
・外国為替相場の変動による為替差損9,231千円を営業外費用に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。
・第17回行使価額修正条項付新株予約権及び第18回新株予約権の発行に伴い、新株予約権発行費9,267千円を営業外費用に計上しております。
・行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行に伴い、社債発行費4,570千円を営業外費用に計上しております。
・行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第17回行使価額修正条項付新株予約権の発行に係る払込みについては、金銭による払込みに代えて、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債が出資されたため、その差額92,368千円を社債償還益として特別利益に計上しております。
・投資有価証券の一部を売却したことによって、投資有価証券売却損259,533千円を特別損失に計上しております。
・投資有価証券のうち、取得価額に比べ時価が著しく下落し、その回復可能性があると認められないものについて減損処理を行ったことによって、投資有価証券評価損692,000千円を特別損失に計上しております。
・営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなり、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ることが見込まれるため、当社が保有する固定資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額したことによって、減損損失4,214千円を特別損失に計上しております。
当事業年度末における財政状態につきましては、2019年4月25日開催の取締役会において、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当の方法による行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第17回行使価額修正条項付新株予約権及び第18回新株予約権の募集を行うことを決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。なお、行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第17回行使価額修正条項付新株予約権の発行に係る払込みについては、金銭による払込みに代えて、当社が2015年10月8日に発行した第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の、2019年4月25日時点で残存する全部が出資されたため、実質的には第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の条件変更(リファイナンス)としての効果を有しております。
また、2019年4月25日開催の取締役会において、当社との間で資本業務提携を行っているOEPの100%子会社であるCyntec Co., Ltd.に対する第三者割当による新株式の発行を決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。
以上の結果、資産は、前事業年度末に比べ376,384千円増加し、8,944,563千円となりました。負債は、主に上記リファイナンス及びその後の転換社債型新株予約権付社債の転換により、前事業年度末に比べ2,513,016千円減少し、175,596千円となりました。純資産は、主に当期純損失の計上並びに第三者割当増資、新株予約権の行使及び転換社債型新株予約権付社債の転換による株式の発行等により、前事業年度末に比べ2,889,400千円増加し、8,768,967千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前事業年度末に比べ905,309千円増加し3,970,643千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失2,006,046千円に、社債償還益92,368千円、投資有価証券売却損259,533千円、投資有価証券評価損692,000千円、売上債権の減少額69,414千円、前渡金の増加額71,006千円等の調整がされた結果、1,138,665千円の支出(前事業年度は2,037,259千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、112,337千円の支出(前事業年度は992,275千円の支出)となりました。定期預金の預入による支出1,705,989千円、定期預金の払戻による収入2,702,149千円、有価証券の取得による支出7,500,000千円、有価証券の償還による収入6,500,000千円、投資有価証券の取得による支出108,285千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,161,503千円の収入(前事業年度は3,384,637千円の収入)となりました。第三者割当による株式の発行による収入295,399千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,872,886千円等によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は7,919,858千円(前事業年度末は6,985,895千円)となり、933,963千円増加しました。これは主に、当期純損失の計上があったものの、新株予約権の行使請求等による収入が上回ったことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,024,704千円(前事業年度末は1,582,283千円)となり、557,578千円減少しました。これは主に、投資有価証券の一部売却及び投資有価証券評価損の計上によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は148,410千円(前事業年度末は178,356千円)となり、29,946千円減少しました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は27,186千円(前事業年度末は2,510,256千円)となり、2,483,070千円減少しました。これは主に、リファイナンスにより発行した行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債が全て転換されたことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は8,768,967千円(前事業年度末は5,879,566千円)となり、2,889,400千円増加しました。
(2)経営成績
当事業年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フロー
当社は現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当事業年度末日現在の資金残高は3,970,643千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと7,578,929千円となります。
一方支出側としましては、当事業年度の経常損失は1,144,436千円、進行期であります第25期の予想経常損失が1,496百万円でありますので、当面の研究開発資金の確保、また事業の進捗によるライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、以上のとおり、当面の資金の確保ができておりますので、現時点において、当社キャッシュ・フローへの影響は軽微と考えております。
(1)業績
当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善が継続し、景気は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により経済活動の停滞長期化が懸念され、国内外ともに先行き不透明で予断を許さない状況になっております。
このような経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、提携先の開拓などに積極的に取り組んでまいりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の当事業年度における業績への影響につきましては、感染拡大に伴う株式市場の低迷等により、当社の保有する株式の時価が著しく下落したため減損処理を行い、投資有価証券評価損を計上しました。当社の主たる事業は医薬品等の研究開発であり、上市された製品もないため、その他の影響につきましては軽微であったと判断しております。
(主要パイプラインの進捗状況)
主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
シスプラチンミセル(NC-6004)につきましては、ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.(台湾、以下「OEP」といいます。)と共同でグローバルに臨床試験を推進しております。欧米地域における頭頸部がんを対象としたNC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ®」との併用による第Ⅱ相臨床試験は、2019年7月より投与を開始し、推進中であります。一方、日本を含むアジア地域における膵がんを対象とした第Ⅲ相臨床試験は、近年の膵がん治療の進歩により、併用薬であるゲムシタビンによる単独療法が第一選択ではなくなったことを鑑み、2019年12月、日本国内において本試験に基づく製造販売承認申請は行わないことを決定いたしました。なお、国内データでは、NC-6004併用による生存期間の延長が示唆されており、将来的な国内開発の可能性について引き続き検討してまいります。
エピルビシンミセル(NC-6300)につきましては、米国で軟部肉腫を対象に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を実施中です。対象疾患として第Ⅰ相パート試験で有効性が示唆された軟部肉腫の一種である血管肉腫にターゲットを絞り、有効性及び安全性を確認する追加試験の実施を決定し、2019年10月に投与を開始しております。なお、本剤は米国食品医薬品局(FDA)より本適応に対するオーファンドラッグの指定※1を受けております。
パクリタキセルミセル(NK105)につきましては、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社から、乳がんを対象に第Ⅱ相臨床試験を実施中の旨発表されております。
※1 オーファンドラッグ指定(希少疾病用医薬品指定)
米国における患者数20万人以下の希少疾病に対する新薬開発を促進するために米国FDAが与えるもので、オーファンドラッグの指定を受けると、7年間の排他的先発販売権が与えられます。また、米国政府からの補助金の獲得、臨床研究費用の税額控除、FDA申請における医薬品審査手数料の免責、治験実施計画書の審査に対しての優遇措置が受けられます。
(導入パイプラインの進捗状況)
導入パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル、以下「VBL」といいます。)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを取得した遺伝子治療製品「VB-111」につきましては、現在、同社が米国を中心にプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)を実施しております。当社は、2019年11月、同パイプラインの国内開発に関し、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法※2)に基づく第一種使用規程の厚生労働大臣・環境大臣連名による承認を取得いたしました。さらに、2020年3月、VBLが実施中のOVAL試験に関し、第三者委員会による中間解析において試験の継続が推奨された旨、同社から発表されました。これを踏まえ、当社はOVAL試験に日本から参画する方針を決定し、国内治験開始に向けた各種準備を進めております。
セオリアファーマ株式会社との間で共同開発を行っている耳鼻咽喉科領域における開発候補品(ENT103)につきましては、国内において中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しており、2019年5月に登録を開始しております。本剤は抗がん剤の開発と比べ短期間で製造販売承認を取得することが期待できることから、患者のQOL向上に役立つ医薬品として早期にお届けすることを目指しておりますが、対象患者が例年より少なかったことや新型コロナウイルスの影響等により患者登録が当初の想定を下回っていることから、試験期間の延長を見込んでおります。
2019年4月、株式会社エイオンインターナショナルから「Acti-PRP(血球細胞分離機)」の国内販売権を取得しました。多血小板血漿(PRP)は細胞の成長を促す成長因子を豊富に含み、局所に注入することで組織の修復などを促します。PRPを用いた治療は整形外科領域などで行われておりますが、当社は婦人科領域における不妊治療への応用として、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、あわせて臨床研究を実施しております。患者のQOL向上という当社理念に基づき、再生医療分野へも進出し、国内初の新規事業として展開しております。
※2 カルタヘナ法
生物の多様性を保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるもの(人の健康に対する危険も考慮したもの)の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することに寄与することを目的として2003年に国際発効したカルタヘナ議定書を日本で実施するための法律です。遺伝子組換え生物等を用いた遺伝子治療臨床試験は、カルタヘナ法における拡散防止措置を執らずに行う使用等(第一種使用等)に該当します。遺伝子治療用製品の治験の実施にあたっては、第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書を提出して大臣承認を受ける義務があります。
(新規開発パイプラインの進捗状況)
新規開発パイプラインにつきましては、当社独自の先進基盤技術である抗体/薬物結合型ミセル「ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)」を次世代型DDS医薬品技術として開発しております。センサーとなる抗体などを結合したActive型ミセル化ナノ粒子は、標的とする組織、細胞へのターゲティング性能を高めることが期待されます。技術進化として、センサー機能の拡大に向けた共同研究などを実施しており、JCRファーマ株式会社との間では、脳内デリバリー創薬に関する共同研究契約を締結し、当社のADCM技術や、同社が有する脳内に薬剤を届けるための独自技術であるJ-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)など、両社が持つ技術や知見を融合し、革新的な脳内デリバリー医薬品の実現を目指した共同研究を推進しております。
(事業開発の状況)
事業開発活動につきましては、2019年5月、主要パイプラインであるNC-6004の推進において、OEPとのより強固な協力体制を確保し業務提携内容の拡充を図るために、同社の100%子会社であるCyntec Co., Ltd.へ当社普通株式705,800株を割り当てる第三者割当増資を行っております。また、2019年4月、株式会社エイオンインターナショナルとの間で同社の「Acti-PRP」の国内販売代理店契約を締結し、販売を開始しております。
(化粧品事業の状況)
化粧品事業につきましては、株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシアALホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」事業を共同で推進しております。
さらに、化粧品開発における皮膚浸透性の研究を基に、皮膚科領域における医薬品開発の可能性を見いだしており、今後、皮膚科領域での医薬品にも応用展開を目指してまいります。
以上の結果、当事業年度は、開発マイルストーン収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上、PRP事業に係る医療機器売上等により売上高は552,973千円(前事業年度売上高496,732千円)、営業損失は1,105,796千円(前事業年度営業損失1,802,313千円)、経常損失は1,144,436千円(前事業年度経常損失1,774,496千円)、当期純損失は2,009,676千円(前事業年度当期純損失1,808,510千円)となりました。なお、当事業年度におきまして、以下の営業外費用、特別利益及び特別損失を計上しております。
・外国為替相場の変動による為替差損9,231千円を営業外費用に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。
・第17回行使価額修正条項付新株予約権及び第18回新株予約権の発行に伴い、新株予約権発行費9,267千円を営業外費用に計上しております。
・行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行に伴い、社債発行費4,570千円を営業外費用に計上しております。
・行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第17回行使価額修正条項付新株予約権の発行に係る払込みについては、金銭による払込みに代えて、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債が出資されたため、その差額92,368千円を社債償還益として特別利益に計上しております。
・投資有価証券の一部を売却したことによって、投資有価証券売却損259,533千円を特別損失に計上しております。
・投資有価証券のうち、取得価額に比べ時価が著しく下落し、その回復可能性があると認められないものについて減損処理を行ったことによって、投資有価証券評価損692,000千円を特別損失に計上しております。
・営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなり、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ることが見込まれるため、当社が保有する固定資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額したことによって、減損損失4,214千円を特別損失に計上しております。
当事業年度末における財政状態につきましては、2019年4月25日開催の取締役会において、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当予定先とする第三者割当の方法による行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第17回行使価額修正条項付新株予約権及び第18回新株予約権の募集を行うことを決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。なお、行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第17回行使価額修正条項付新株予約権の発行に係る払込みについては、金銭による払込みに代えて、当社が2015年10月8日に発行した第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の、2019年4月25日時点で残存する全部が出資されたため、実質的には第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の条件変更(リファイナンス)としての効果を有しております。
また、2019年4月25日開催の取締役会において、当社との間で資本業務提携を行っているOEPの100%子会社であるCyntec Co., Ltd.に対する第三者割当による新株式の発行を決議し、2019年5月13日付で割当を実施いたしました。
以上の結果、資産は、前事業年度末に比べ376,384千円増加し、8,944,563千円となりました。負債は、主に上記リファイナンス及びその後の転換社債型新株予約権付社債の転換により、前事業年度末に比べ2,513,016千円減少し、175,596千円となりました。純資産は、主に当期純損失の計上並びに第三者割当増資、新株予約権の行使及び転換社債型新株予約権付社債の転換による株式の発行等により、前事業年度末に比べ2,889,400千円増加し、8,768,967千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前事業年度末に比べ905,309千円増加し3,970,643千円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失2,006,046千円に、社債償還益92,368千円、投資有価証券売却損259,533千円、投資有価証券評価損692,000千円、売上債権の減少額69,414千円、前渡金の増加額71,006千円等の調整がされた結果、1,138,665千円の支出(前事業年度は2,037,259千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、112,337千円の支出(前事業年度は992,275千円の支出)となりました。定期預金の預入による支出1,705,989千円、定期預金の払戻による収入2,702,149千円、有価証券の取得による支出7,500,000千円、有価証券の償還による収入6,500,000千円、投資有価証券の取得による支出108,285千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,161,503千円の収入(前事業年度は3,384,637千円の収入)となりました。第三者割当による株式の発行による収入295,399千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,872,886千円等によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2)受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。
(3)販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
| 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 552,973 | 111.3 |
(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。
なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります
| 輸出先 | 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| アジア | 259,576 | 100.0 | 317,696 | 100.0 |
| 合計 | 259,576 (52.3%) | 100.0 | 317,696 (57.5%) | 100.0 |
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| Orient Europharma Co., Ltd. | 259,576 | 52.3 | 317,696 | 57.5 |
| 株式会社アルビオン | 169,250 | 34.1 | 132,750 | 24.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は7,919,858千円(前事業年度末は6,985,895千円)となり、933,963千円増加しました。これは主に、当期純損失の計上があったものの、新株予約権の行使請求等による収入が上回ったことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,024,704千円(前事業年度末は1,582,283千円)となり、557,578千円減少しました。これは主に、投資有価証券の一部売却及び投資有価証券評価損の計上によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は148,410千円(前事業年度末は178,356千円)となり、29,946千円減少しました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は27,186千円(前事業年度末は2,510,256千円)となり、2,483,070千円減少しました。これは主に、リファイナンスにより発行した行使価額修正条項付第4回無担保転換社債型新株予約権付社債が全て転換されたことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は8,768,967千円(前事業年度末は5,879,566千円)となり、2,889,400千円増加しました。
(2)経営成績
当事業年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フロー
当社は現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当事業年度末日現在の資金残高は3,970,643千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと7,578,929千円となります。
一方支出側としましては、当事業年度の経常損失は1,144,436千円、進行期であります第25期の予想経常損失が1,496百万円でありますので、当面の研究開発資金の確保、また事業の進捗によるライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、以上のとおり、当面の資金の確保ができておりますので、現時点において、当社キャッシュ・フローへの影響は軽微と考えております。