有価証券報告書-第17期(2024/01/01-2024/12/31)

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2025/03/31 11:04
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151項目
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結対象に含めております。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。グループ会社間の債権債務残高及び内部取引高、並びにグループ会社間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社への投資は、取得時に取得原価で認識され、以後は持分法によって会計処理しております。関連会社に対する投資には、取得に際して認識されたのれんが含まれております。当該のれんは区分して認識されないため、のれん個別での減損テストは実施しておりません。それに代わり、関連会社に対する投資が減損している可能性を示唆する客観的な証拠が存在する場合には、当該関連会社に対する投資全体を単一の資産として、減損テストを実施しております。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えております。
重要な影響力を喪失した後、残存持分がある場合、公正価値にて測定し、持分法を中止した日現在の投資の帳簿価額との差額を純損益で認識しております。
(2) 企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理しております。
のれんは、移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が従来保有していた被取得企業の資本持分の支配獲得日公正価値の総計が、支配獲得日における識別可能な資産及び負債の正味の金額を超過する額として測定しております。反対に下回る場合には、直ちに純損益として認識しております。
移転された対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の支配獲得日公正価値の合計として計算しております。移転された対価には、条件付対価契約から発生するすべての資産又は負債が含まれております。取得日の被取得企業の非支配持分の金額は、企業結合ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する現在の所有権金融商品の比例的な取り分のいずれかとして測定しております。
支配獲得日における識別可能な資産及び負債は、IFRS第3号「企業結合」の要求に基づく一部例外を除き、支配獲得日の公正価値で測定しております。
企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しております。
企業結合が発生した連結会計年度末までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合、完了していない項目を暫定的な金額で報告しております。支配獲得日時点に存在していた事実と状況を、支配獲得日当初に把握していたとしたら認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」)に入手した場合、その情報を反映して、支配獲得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しております。測定期間は最長で1年間であります。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで当社グループの各社の機能通貨に換算しております。外貨建貨幣性資産及び負債は、各報告日の為替レート、公正価値で測定する外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の測定日における為替レートで、それぞれ機能通貨に換算しております。取得原価で測定される外貨建の非貨幣性資産及び負債は、当初の取引日の直物為替レートで機能通貨に換算しております。
換算又は決済により生じる換算差額は、純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する資本性金融商品、及び為替リスクをヘッジしているキャッシュ・フロー・ヘッジに係るヘッジ手段から生じる換算差額のうち有効部分については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は各報告日の為替レート、収益及び費用は期中の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体の換算差額は、在外営業活動体が処分された期間に純損益として認識されます。
(4) 金融商品
① 金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
金融資産のうち、売上債権及びその他の債権は、これらの発生日に当初認識しております。その他のすべての金融資産は、当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
当初認識時に、すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する区分に分類される場合を除き、公正価値に当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で測定しております。純損益を通じて測定する金融資産の取引費用は、純損益に認識しております。
金融資産は、当初認識時に、(a)償却原価で測定する金融資産、(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品、(c)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品、(d)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
以下の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(c) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
一部の資本性金融商品に対する投資について、売買目的保有でもIFRS第3号「企業結合」が適用される企業結合における取得企業の条件付対価でもない投資の公正価値の事後の変動を、その他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行っており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に分類しております。
(d) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する金融資産、及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産は、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識を中止した場合の利得又は損失は、純損益に認識しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、公正価値で測定しております。公正価値の変動額は、その他の包括利益に認識しております。認識を中止した場合には、その他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については、純損益に認識しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値で測定し、公正価値の変動額を純損益に認識しております。
(ⅲ)減損
償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、各報告日に、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。
金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を12カ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。一方、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
契約上の支払期日より30日超の経過があった場合には、原則として信用リスクの著しい増大があったものとしております。信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しております。
ただし、重大な金融要素を含んでいない売上債権等については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
(ⅳ)認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転する場合にのみ、金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
金融負債のうち、社債及び借入金は、これらの発行日に当初認識しております。その他のすべての金融負債は、当該金融商品の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
金融負債は、当初認識時に、(a)償却原価で測定する金融負債、(b)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。
当初認識時に、償却原価で測定する金融負債は、公正価値に当該金融負債に直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。純損益を通じて測定する金融負債の取引費用は、純損益に認識しております。
(ⅱ)事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識を中止した場合の利得又は損失は、純損益に認識しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定し、公正価値の変動額を純損益に認識しております。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
③ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識している金額を相殺する法的に強制可能な権利を現在有しており、かつ、純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有している場合にのみ相殺し、純額を表示しております。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
デリバティブは、当初認識時に公正価値で測定しております。また、当初認識後は公正価値で測定しております。
当社グループは、為替リスクや金利リスクをヘッジするために為替予約、通貨スワップ、通貨オプション及び金利スワップ等のデリバティブを利用しております。
当社グループは、ヘッジ関係の開始時に、ヘッジ関係並びにヘッジの実行に関する企業のリスク管理目的及び戦略の公式な指定と文書化を行っております。当該文書には、ヘッジ手段、ヘッジ対象、ヘッジされるリスクの性質、及びヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかどうかを判定する方法を記載しております。また、ヘッジ関係の開始時に及び継続的に、ヘッジ関係がヘッジ有効性の要求を満たしているかどうかを評価しております。継続的な評価は、各報告日又はヘッジ有効性の要求に影響を与える状況の重大な変化があった時のいずれか早い方において行っております。
当社グループは、ヘッジ会計の適格要件を満たすキャッシュ・フロー・ヘッジにヘッジ会計を適用し、以下のように会計処理しております。
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効なヘッジと判断される部分は、その他の包括利益に認識し、残りの非有効部分は、純損益に認識しております。その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ただし、予定取引のヘッジがその後に非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、当該非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合、あるいはヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。予定取引又は確定約定の発生がもはや見込まれない場合には、従来その他の包括利益を通じて資本として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。
なお、当社グループでは公正価値ヘッジ及び在外営業活動体に対する純投資のヘッジは行っておりません。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、要求払預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3カ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、原価又は正味実現可能価額のいずれか低い額で測定しております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額であります。原価は、主として総平均法に基づいて算定されており、購入原価、加工費、及び棚卸資産の現在の場所と状態に至るまでに発生したすべての費用を含んでおります。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の測定には、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、資産の解体及び撤去並びに原状回復費用の当初見積額等を含めております。
土地及び建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりであります。
・建物及び構築物 :2-65年
・機械装置及び運搬具:2-40年
・工具器具及び備品 :2-20年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8) のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(2)企業結合」に記載しております。当初認識後は、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位又は資金生成単位グループ(以下「資金生成単位」)に配分しております。のれんを配分した資金生成単位については、毎年及び当該単位が減損している可能性を示す兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。その結果、資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合には、減損損失として純損益に認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失の配分については、最初に、当該単位に配分したのれんの帳簿価額を減額し、次に、当該単位内の各資産の帳簿価額に基づいた比例按分により、当該単位の中の他の資産に配分しております。のれんについて認識した減損損失は、以後の期間において戻入れをしておりません。
(9) 無形資産
無形資産の測定には、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
企業結合で取得した無形資産は、支配獲得日の公正価値で測定しております。
自己創設無形資産は、資産化の要件を満たす開発費用を除き、発生時に費用として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産の償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主要な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりであります。
・特許権 :5-15年
・商標権及び販売権等:8-15年
・ソフトウエア :2-10年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
耐用年数を確定できない無形資産は、主として個別に又は企業結合で取得したブランドやトレードマークであり、「商標権及び販売権等」として無形資産に含めて計上しております。耐用年数を確定できない無形資産については、各連結会計年度末に、耐用年数を確定できないという判定が引き続き妥当であるかどうかを再検討しております。妥当でない場合には、確定できないものから確定できるものへ変更し、会計上の見積りの変更として会計処理しております。
個別に又は企業結合で取得した仕掛中の研究開発は、「仕掛研究開発」として無形資産に含めて計上しております。当該資産は、未だ使用可能ではない無形資産であるため、償却をせず、減損テストを行っております。「仕掛研究開発」については、その後の期間に規制当局の許認可が得られ使用可能となった時点で「商標権及び販売権等」に振替を行い、その時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却を開始しております。
(10) リース
当社グループは、借手としてのリース取引について、リース開始日に、使用権資産を取得原価で、リース負債を未払リース料総額の現在価値として測定しております。
使用権資産は、耐用年数とリース期間のいずれか短い年数にわたって、定額法で減価償却を行っております。主要な原資産項目毎の使用権資産の償却期間は、以下のとおりであります。
・建物及び構築物 :2-50年
・機械装置及び運搬具:2-15年
・工具器具及び備品 :2-6年
・土地 :2-55年
リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分して認識しております。
なお、無形資産に係るリース及びリース期間が12カ月以内の短期リースについては、使用権資産及びリース負債を認識しておりません。短期リースに係るリース料は、リース料総額をリース期間にわたって、定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより認識しております。
(11) 有形固定資産及び無形資産の減損
有形固定資産及び無形資産(使用権資産を含む、以下同じ)について、各報告期間末に減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候がある場合には、回収可能価額を見積っております。個別の資産の回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。資金生成単位は、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・インフローとはおおむね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の識別可能な資産グループとしております。また、耐用年数を確定できない無形資産又は未だ使用可能ではない無形資産については、毎年及び減損している可能性を示す兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。
個別の資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額で測定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いて算定しております。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しません。全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に純損益に認識しております。
過去の期間に認識した減損損失については、各報告期間末において、減損損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻入れの兆候がある場合には、資産又は資金生成単位の回収可能価額を見積っております。回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を上回る場合には、回収可能価額と減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却費を控除した後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。
(12) 売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、当社グループの経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループとして分類し、非流動資産は減価償却又は償却を行わず、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか低い金額で測定しております。
(13) 退職後給付
当社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付制度と確定拠出制度を運営しております。
当社グループは、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した連結会計年度末日の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度が積立超過である場合には、将来掛金の減額又は現金の返還という形で利用可能な将来の経済的便益の現在価値を資産上限額としております。
勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は、純損益として認識しております。
確定給付制度の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
確定拠出型の退職給付に係る掛金は、従業員が勤務を提供した時点で費用として認識しております。
(14) 引当金
引当金は、当社グループが、過去の事象の結果として現在の法的債務又は推定的債務を有しており、当該債務の決済をするために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。
引当金として認識する金額は、各報告日における現在の債務を決済するために必要となる支出について、リスク及び不確実性を考慮に入れた最善の見積りであります。貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、引当金の金額は、債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定しております。
(15) 自己株式
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しております。当社の自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失は認識しておりません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(16) 株式に基づく報酬
① 持分決済型の株式報酬制度
持分決済型の株式報酬制度として、譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
譲渡制限付株式報酬は、付与日における公正価値を測定し、付与日から権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。譲渡制限付株式報酬の公正価値は、付与した当社株式の公正価値を参照して測定しております。
② 現金決済型の株式報酬制度
現金決済型の株式報酬制度として、株価連動型報酬受給権を採用しております。
現金決済型の株式報酬については、支払額の公正価値として測定され、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。なお、負債が決済されるまで、当該負債の公正価値を各報告日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(17) 売上収益
① 製商品の販売
製商品の販売は、製商品を顧客に引き渡した時点で、顧客に製商品の法的所有権、物理的占有、製商品の所有に伴う重大なリスク及び経済価値が移転し、顧客が当該製商品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該製商品の引渡時点で売上収益を認識しております。
製商品は、販売数量や販売金額等の一定の目標の達成を条件としたリベート等を付けて販売される場合があります。その場合の取引価格は、顧客との契約において約束された対価からリベート等の見積りを控除した金額で算定しております。リベート等の見積りは過去の実績等に基づく最頻値法を用いており、売上収益は重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ認識しております。
特に、米国におけるメディケイド、メディケア及びコマーシャル・マネージドケア・プログラムに関連したリベートに対して、期末日後に見込まれる返金に備えるため、連邦政府や州政府が行う公的医療制度に関連する法定及び契約上の割戻支払額や、医療機関や顧客との契約に基づく割戻支払額を見積っております。見積りにあたっては、各制度の対象製品を特定し、適用される製品価格、薬局や卸売業者での推定在庫量、製品の販売からリベート支払いまでのタイムラグ等に基づいて金額を見積っておりますが、これらの見積りには不確実性を伴うため、実際の発生額と異なる可能性があります。なお、当社グループは、変動対価の見積りが制限されるのかどうかの評価について、関連する契約についての過去の経験、支払ったリベートと契約条項との整合性、需要予測等合理的に起こりうる変化がもたらす影響を考慮して行っており、その制限は限定的であると判断しております。これらの割戻支払額に係る見積額は、連結財政状態計算書の「その他の流動負債」に計上しております。
製商品の販売に係る対価は、顧客へ製商品を引き渡した時点から主として1年以内に受領しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
② ライセンス収入及びロイヤリティ収入
ライセンス収入は、当社グループが第三者との間で締結した開発品又は製品の開発・販売権等に関するライセンス契約等に基づいて受領した契約一時金、マイルストーンによる収入であります。ライセンス契約等において、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点で契約一時金を売上収益として認識し、契約上定められたマイルストーンが達成された時点でマイルストーンによる収入を売上収益として認識しております。当社グループが第三者との間で締結した開発品の開発・販売権等に関する一部のライセンス契約等、履行義務が一定期間にわたり充足される場合には、原則として、当該対価を契約負債として計上し、履行義務の充足に関する進捗度の測定方法に従い、契約一時金、マイルストーンによる収入を予想される契約期間等の一定期間にわたり売上収益として認識しております。なお、マイルストーンによる収入は、事後に重大な戻入れが生じる可能性を考慮し、契約上定められたマイルストーンが達成された時点から売上収益として認識しており、履行義務の充足に関する進捗度は、開発協力等の個々の契約ごとに、経過期間等のアウトプットと契約で約束した残りのサービス提供期間等との比率により測定しております。
ロイヤリティ収入は、契約相手先の売上収益等を基礎に算定されたライセンス契約等における対価であり、契約相手先の売上収益等の発生と履行義務の充足のいずれか遅い時点で、売上収益として認識しております。
ライセンス収入及びロイヤリティ収入は、契約に基づく権利の確定時点から、主として1年以内に受領しております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。
(18) 政府補助金
補助金交付のための条件を満たし、補助金を受領することに合理的な保証がある場合は、補助金収入を公正価値で測定し、認識しております。収益に関する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しております。資産に関する補助金は、公正価値で測定される非貨幣性資産による補助金を含めて、繰延収益として認識し、それを資産の耐用年数にわたって規則的に純損益として認識しております。なお、繰延収益の取崩額は、関連費用から控除しております。
(19) 金融収益及び金融費用
金融収益は、主として受取利息、受取配当金、公正価値の評価益及び為替差益で構成されております。受取利息は、実効金利法により認識しております。受取配当金は、配当を受け取る権利が確定したときに認識しております。
金融費用は、主として、支払利息、公正価値の評価損及び為替差損で構成されております。
(20) 法人所得税
法人所得税は、当期税金及び繰延税金で構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で算定しております。税額の算定にあたっては、当社グループが事業活動を行い、課税対象となる損益を稼得する国において、連結会計年度末日までに制定され、又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいております。
繰延税金は、決算日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんから生じる一時差異
・企業結合取引ではなく、取引時に、会計上の利益にも課税所得にも影響を与えず、かつ、取引時に、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引における一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な範囲内に一時差異が解消されない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識されます。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識されます。
当社及び一部の子会社は、グループ通算制度または連結納税制度を適用しております。
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末日において制定され、又は実質的に制定されている法定税率及び税法に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率及び税法によって算定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しております。
当社グループは、IAS第12号「法人所得税」で定められる一時的な例外措置を適用しており、グローバル・ミニマム課税から生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識しておらず、また、開示金額にも含めておりません。
(21) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。