有価証券報告書-第85期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 9:35
【資料】
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【項目】
128項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当金庫グループ(以下、本項目においては「当金庫」という。)が判断したものであります。
1 信用リスク(不良債権問題等)
信用リスクとは、信用供与先の財務内容の悪化等により資産の価値が減少ないし消失することで損失を被るリスクであります。
当金庫では信用リスクの把握及び評価を適切に行った上で、信用リスクをコントロールするための企画、立案を行い、実施状況をモニタリングするなど、必要な管理を行っておりますが、以下の場合には信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)不良債権の状況
世界経済及び日本経済の動向、地価、株価及び金利の変動、貸出先の経営状況の変動等によっては、当金庫の不良債権及び信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)貸倒引当金の状況
当金庫は、貸出先の状況、債権の保全状況及び過去の一定期間における貸倒実績率等に基づき算定した予想損失額に対して、貸倒引当金を計上しております。貸出先の状況が予想を超えて悪化した場合、地価下落等に伴い担保価値が低下し債権の保全状況が悪化した場合、あるいは経済状態全般が悪化した場合等、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。このような場合、信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)貸出先への対応
当金庫は、中小企業に対する金融の円滑化を設立の目的としており、貸出先の経営状態が悪化した場合にも、経営状態悪化が一時的なものであり将来に亘って合理的に再建が見込まれる場合には、追加融資や債権放棄等により支援を継続することもあり得ます。こうした支援継続に伴う損失額が貸倒引当金計上時点の損失見積り額を上回る場合、信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、このような貸出先に対しては、再建計画の実現可能性を十分に検証した上で支援継続を決定いたしますが、再建が必ず成功するという保証はありません。再建が成功しない場合には、これらの貸出先の倒産が新たに発生する可能性があります。その結果、信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)権利行使の困難性
当金庫は、不動産等担保にかかる価格の下落又は流動性欠如等の事情により、担保権を設定した不動産等を換金、又は強制執行することが事実上出来ない可能性があります。その結果、信用コストが増加し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2 市場リスク
市場リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替相場等様々な市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産・負債の価値が変動し損失を被るリスクであります。当金庫では市場リスクを適切にコントロールするため、リスクの種類(金利リスク、為替リスク、価格変動リスク)や業務ごとにリスクリミット、ポジション枠、損失限度を設定するなど、必要な管理を行っておりますが、以下の場合には当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)金利変動に伴うリスク
当金庫は債券、デリバティブ等を取扱う市場取引を行っており、金利変動により当金庫が保有する資産・負債の価値が変動し、損失を被る可能性があります。
(2)為替リスク
当金庫の資産及び負債の一部は外貨建であり、外貨建の資産と負債の額が各通貨ごとに同額で相殺されない場合、又は適切にヘッジされていない場合には、為替変動が当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)株価下落に伴うリスク
当金庫は市場性のある株式を保有しており、大幅な株価下落が発生した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
3 流動性リスク
流動性リスクとは、金融機関の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなり資金繰りがつかなくなる等のリスク(資金繰りリスク)及び市場の混乱等により市場において取引が困難となる等のリスク(市場流動性リスク)であります。
当金庫では業務運営上必要不可欠な資金の確保と適切な金利での資金調達を両立するため、資金繰り状況に応じた管理体制をあらかじめ定めるとともに、商品ごとの市場規模、厚み及び流動性を勘案した管理を行うなど、必要な管理を行っておりますが、当金庫の財務内容が悪化した場合や市場が混乱した場合には、必要な資金を確保できずに資金繰りが悪化する可能性や通常の取引よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされ、その結果当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
4 オペレーショナル・リスク
オペレーショナル・リスクとは、正確な事務を怠るあるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスク(事務リスク)、及びコンピュータシステムのダウン又は誤作動等、システムの不備等に伴い金融機関が損失を被る等のリスク(システムリスク)であります。
また、事務リスク、システムリスクの双方に跨るリスクとして、重要な情報資産の正当性及び信頼性が、漏えい、不正使用、誤操作、故障等、様々な脅威により失われるリスク(情報セキュリティリスク)があります。
(1)事務リスク
当金庫では厳格な事務規定を定め、正確な事務処理を励行することを徹底しておりますが、故意又は過失等による事務ミスにより事故が発生し、当金庫の信用低下等が生じた場合、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)システムリスク
当金庫ではコンピュータシステム安定稼動のため、基幹システムの二重化、大規模災害等不測の事態に備えたコンティンジェンシープランの整備等を実施していますが、長期間に亘る重大なシステム障害の発生に伴い多大な損失が発生した場合、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティリスク
当金庫では「個人情報保護宣言」を制定し、顧客情報をはじめとした情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、今後、顧客情報や経営情報等の漏えい、不正使用等が発生し、当金庫の信用低下等が生じた場合、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
5 法的リスク
法的リスクとは、取引の法律関係が確定的でないことや、法令等が遵守されないことにより損失を被るリスクであります。
当金庫は事業活動にあたり、会社法、株式会社商工組合中央金庫法、金融商品取引法等の法令諸規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当金庫はこれら法令諸規制や契約内容が遵守されるよう規定・体制の整備及び教育研修等を実施しておりますが、法令解釈の相違、法令手続きの不備、法令違反行為等により法令諸規制や契約内容を遵守できなかった場合には、罰則適用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
6 風評リスク
風評リスクとは、評判の悪化や風説の流布等により損失を被るリスクであります。
当金庫では風評リスク発生の未然防止、風評リスクの状況に関するモニタリング、風評リスク顕在時の各段階において対応すべき事項を定め、風評リスクの極小化に努めております。しかしながら、本項目に記載の諸リスクが顕在化した場合、評判の悪化や風説の流布等により、その内容の正確性に関わらず、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
7 人的リスク
人的リスクとは、人事運営上の不公平・不公正・差別的行為から生じるリスクであります。
当金庫では人的リスク発生の未然防止、人的リスクの状況に関するモニタリング、人的リスク顕在時の各段階において対応すべき事項を定め、人的リスクの極小化に努めております。しかしながら、こうしたリスクに起因して損失が発生した場合、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
8 有形資産リスク
有形資産リスクとは、災害その他の事象から生じる有形資産の毀損・損害等を被るリスクであります。
当金庫では有形資産リスクの把握と評価を行った上で対策を実施し、有形資産リスクの極小化に努めております。しかしながら、こうしたリスクに起因して損失が発生した場合、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
9 規制緩和等による業務範囲の拡大に伴うリスク
当金庫は、法令その他の条件の許す範囲内で業務範囲を拡大しております。当該業務の拡大が予想通りに進展しない場合、又は当該業務の収益性が悪化した場合、業務範囲拡大への取組みが奏効せず、当金庫の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
10 自己資本比率
当金庫は連結及び単体の普通株式等Tier1比率、連結及び単体のTier1比率、連結及び単体の総自己資本比率について「株式会社商工組合中央金庫法第23条第1項の規定に基づき、株式会社商工組合中央金庫がその経営の健全性を判断するための基準」(平成20年9月25日 金融庁・財務省・経済産業省告示第2号)に定められるとおり、それぞれ4.5%、6%、8%以上を目標(平成27年3月までは経過措置あり)とし、自己資本の充実に努めなければなりません。
当金庫の普通株式等Tier1比率等の各比率が目標を下回った場合には、金融庁長官、財務大臣及び経済産業大臣から様々な命令を受けることがあります。
当金庫の自己資本比率に影響を与える主な要因は以下のとおりであります。
・不良債権処理や債務者の信用力悪化等による信用コストの増加
・保有する債券や株式等有価証券ポートフォリオの価値の低下
・繰延税金資産の回収可能性判断に基づく繰延税金資産の取り崩しによる自己資本の減少
・自己資本へ算入可能な劣後債務が再調達できない場合の自己資本の減少
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・本項記載のその他の不利益項目の発生
11 年金債務
年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが想定を下回った場合、又は予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を与える可能性があります。
12 固定資産の減損会計
当金庫が保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(企業会計審議会)を適用しております。保有する固定資産は、使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落などにより評価減が発生する可能性があります。