有価証券報告書-第85期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)
金融商品関係
(金融商品関係)
1.金融商品の状況に関する事項
(1) 金融商品に対する取組方針
当金庫グループは融資事業及びデリバティブ取引の提供等の金融サービス事業を行っております。
これらの事業を行うため、預金の受入れ、債券の発行等による資金調達を行っております。このように、保有する資産・負債は、金利・有価証券の価格・為替相場等様々な市場のリスクファクターの変動により、その価値が変動し損失を被るリスクを有しております。こうしたリスクを適正に管理しつつ、安定した収益を確保する観点から、資産及び負債の総合的管理(ALM)を実施しており、その一環として、デリバティブ取引も行っております。
(2) 金融商品の内容及びそのリスク
当金庫グループにおける資産は、主として国内の取引先に対する事業性の貸出金であり、取引先の財務状況の悪化等により損失を被るリスク(信用リスク)があります。
また、有価証券は、主に債券及び株式であり、債券については一部を満期保有目的で、トレーディング業務では売買目的で保有し、株式については純投資目的及び政策投資目的で保有しております。これらは、それぞれ発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスクに晒されております。
債券及び借用金は、一定の環境の下で当金庫グループが市場を利用できなくなる場合など、支払期日にその支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されております。
デリバティブ取引にはALMの一環で行っている金利スワップ取引や通貨スワップ取引等があります。当金庫グループでは、これらを利用して、有価証券、債券、借用金、外貨建ての貸出金に関わる金利の変動リスクや為替の変動リスクを回避しております。なお、ヘッジ会計の適用要件を満たすデリバティブ取引については、ヘッジ会計を適用しております。これらのヘッジ開始から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象とヘッジ手段の残高を比較する等により、ヘッジの有効性を確認しております。
このほか、トレーディング業務では、取引先の金利や為替の変動リスクをヘッジするニーズに応える目的や、金利や為替の変動による短期的な収益獲得を目的として、金利スワップ取引や通貨スワップ取引、債券先物取引、為替予約取引等を行っております。
(3) 金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスクの管理
当金庫グループは、信用リスクに関する管理諸規程に従い、貸出金について、信用格付、与信許容限度、個別案件毎の与信審査、担保・保証等の与信管理に関する体制を整備し運営しております。これらの与信管理は、各営業店のほか審査本部により行われ、また、大口与信先への対応については、定期的に経営陣による投融資会議等を開催し、付議しております。さらに、監査部がリスク管理態勢等の監査を行っております。
有価証券の発行体の信用リスク及びデリバティブ取引のカウンターパーティーリスクに関しても、信用リスクに関する管理諸規程に従い、信用格付、与信許容限度による管理体制を整備し運営しております。対市場取引については、統合リスク管理部による外部格付のモニタリングや市場取引部署による信用情報等の収集等に基づき、定期的に管理しております。
② 市場リスクの管理
(ⅰ) 金利リスクの管理
当金庫グループでは、バンキング業務、トレーディング業務毎に複数のカテゴリーに区分した上で、経営会議やALM会議等が設定した10bpv(金利の10ベーシス・ポイント(0.10%)の上昇が時価に与える影響額)やバリュー・アット・リスク(VaR)の限度額に基づき金利の変動リスクを管理しております。「市場関連リスク管理規程」等において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しており、ALM会議等において実施状況の把握・確認、今後の対応等の協議を行っております。日常的には統合リスク管理部において金融資産及び負債の金利リスクの状況を把握し、評価損益や10bpv、VaR等によりモニタリングを行い、日次で担当取締役に、月次で代表取締役並びにALM会議に報告しております。なお、ALM会議等の決定により、金利の変動リスクをヘッジするための金利スワップ等のデリバティブ取引も行っております。
(ⅱ) 為替リスクの管理
為替の変動リスクに関して、日次の総合持高管理により為替持高の一定範囲内への抑制を行っております。
(ⅲ) 価格変動リスクの管理
株式については、純投資目的と政策投資目的で運用方針を区分し、以下のとおり管理をしております。
純投資株式については、経営会議やALM会議が設定した保有残高やVaRの限度額に基づき価格変動リスクを管理するとともに、格付のモニタリングによる業況把握も行っております。
政策投資株式については、取締役会が年度間総合計画において、保有残高の限度額を決定しております。政策投資株式のうち上場株式についてもVaRの限度額を設けて価格変動リスクを管理するとともに、株価推移管理による業況確認や、未公開株式も含めた保有方針の見直しを行っております。
具体的なリスク管理方法や手続き等の詳細については「市場関連リスク管理規程」等に明記しており、ALM会議等において実施状況の把握・確認、今後の対応等の協議を行っております。日常的には統合リスク管理部において純投資株式や政策投資株式の残高や評価損益、VaR等によりモニタリングを行い、日次で担当取締役に、月次で代表取締役並びにALM会議に報告しております。
(ⅳ) デリバティブ取引
デリバティブ取引に関しては、取引の執行、ヘッジ有効性の評価、事務管理に関する部門をそれぞれ分離し内部牽制を確立しております。
(ⅴ)市場リスクに係る定量的情報
(ア)特定取引目的の金融商品
当金庫グループでは、「特定取引資産」のうちの売買目的有価証券、「デリバティブ取引」のうち特定取引目的として保有している金融商品に関するVaRの算定にあたっては、分散共分散法(保有期間10日、信頼区間99%、観測期間1年)を採用しております。
平成26年3月31日現在で当金庫グループのトレーディング業務の市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で252百万円(平成25年3月31日現在299百万円)であります。
なお、当金庫グループでは、モデルが算出するVaRと実際の損益を比較するバックテスティングを実施しております。平成25年度のトレーディング業務に関して実施したバックテスティングの結果、使用する計測モデルは十分な精度により市場リスクを捕捉しているものと考えております。
ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(イ)特定取引目的以外の金融商品
特定取引目的以外で保有している主たる金融商品は、「貸出金」、「有価証券」のその他有価証券に分類される債券と株式、満期保有目的の債券に分類される債券、「現金預け金」、「預金」、「譲渡性預金」、「債券」、「借用金」、「デリバティブ取引」のうちの金利スワップ取引と通貨スワップ取引であります。これらの金融商品に関するVaRの算定にあたっては、分散共分散法(保有期間1ヵ月~1年、信頼区間99%、観測期間1年)を採用しております。
平成26年3月31日現在で当金庫グループのトレーディング以外の業務の市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で17,988百万円(平成25年3月31日現在9,048百万円)となっております。ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
なお、当金庫グループでは、主要なリスク変数である金利リスクの影響を受ける金融資産及び金融負債について、10bpvを金利の変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しております。金利以外のすべてのリスク変数が一定であることを仮定し、平成26年3月31日現在、指標となる金利が10ベーシス・ポイント上昇したものと想定した場合には、金融商品の時価が5,454百万円(平成25年3月31日現在5,133百万円)減少するものと把握しております。当該影響額は、金利を除くリスク変数が一定の場合を前提としており、金利とその他のリスク変数との相関を考慮しておりません。また、金利に10ベーシス・ポイントを超える変動が生じた場合等には、算定額を超える影響が生じる可能性があります。
③ 資金調達に係る流動性リスクの管理
当金庫グループでは、運用と調達の年度間純増減計画を決定した上で、年度間及び月次で資金計画を作成して資金ポジションを把握しております。資金調達手段は、長期安定資金となる債券を中心とすることにより流動性リスクを抑制するとともに、預金による調達を行っております。また、短期市場での調達も行っている他、無担保での調達が困難な状況に備えて、有担保調達が可能なように担保差入可能な債券を保有しております。
流動性リスクを抑制するための流動性リスク管理計数をALM会議において設定し、その遵守状況は統合リスク管理部において把握し、日次で担当取締役に、四半期毎に代表取締役並びにALM会議に報告しております。
(4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもあります。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。なお、時価を把握することが極めて困難と認められる非上場株式等は、次表には含めておりません((注2)参照)。また、「連結貸借対照表計上額」の重要性が乏しい科目については、記載を省略しております。
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
(*1) 貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2) 特定取引資産・負債及びその他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示して
おります。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務と
なる項目については、( )で表示しております。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
(*1) 貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2) 特定取引資産・負債及びその他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示して
おります。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務と
なる項目については、( )で表示しております。
(注1) 金融商品の時価の算定方法
資 産
(1) 現金預け金
満期のない預け金、又は約定期間が短期間の預け金は、それぞれ時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。
(2) 特定取引資産
特定取引目的で保有している債券等の有価証券については、取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格によっております。
(3) 有価証券
株式は取引所の価格、債券は取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格によっております。当金庫保証付私募債は、私募債の種類及び内部格付、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を同様の新規発行を行った場合に想定される利率で割り引いて時価を算定しております。なお、発行体からの保証料は、元利金の合計額に含めております。また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する私募債については、担保及び保証による回収見込額等を時価としております。一部の有価証券は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は有価証券の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
なお、保有目的ごとの有価証券に関する注記事項については「(有価証券関係)」に記載しております。
(4) 貸出金
貸出金については、貸出金の種類及び内部格付、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を同様の新規貸出を行った場合に想定される利率で割り引いて時価を算定しております。なお、残存期間が短期間の割引手形は、時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。
また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等については、見積将来キャッシュ・フローの現在価値又は担保及び保証による回収見込額等に基づいて貸倒見積高を算定しているため、時価は連結決算日における連結貸借対照表上の債権等計上額から貸倒引当金計上額を控除した金額に近似しており、当該価額を時価としております。
貸出金のうち、当該貸出を担保資産の範囲内に限るなどの特性により、返済期限を設けていないものについては、返済見込み期間及び金利条件等から、時価は帳簿価額と近似しているものと想定されるため、帳簿価額を時価としております。
負 債
(1) 預金、及び(2)譲渡性預金
要求払預金については、連結決算日に要求された場合の支払額(帳簿価額)を時価とみなしております。また、定期預金及び譲渡性預金の時価は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを割り引いて現在価値を算定しております。その割引率は、新規に預金を受け入れる際に使用する利率を用いております。
(3) 債券
当金庫の発行する債券の時価は、市場価格のあるものは市場価格によっております。市場価格のないものは、債券の回号ごとに区分した当該債券の元利金の合計額を同様の債券を発行した場合に適用されると考えられる利率で割り引いて現在価値を算定しております。なお、一部の債券は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は債券の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
(4) 借用金
借用金については、一定の期間ごとに区分した当該借用金の元利金の合計額を同様の借入において想定される利率で割り引いて現在価値を算定しております。一部の借用金は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は借用金の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
デリバティブ取引
デリバティブ取引については、「(デリバティブ取引関係)」に記載しております。
(注2) 時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品の連結貸借対照表計上額は次の
とおりであり、金融商品の時価情報の「資産 (3) その他有価証券」には含まれており
ません。
(単位:百万円)
(注3) 金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
(*1) その他有価証券のうち満期があるもののうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債券である償 還予定額が見込めない501百万円は含めておりません。
(*2) 貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない399,528百万円、期間の定めのないもの1,758百万円は含めておりません。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
(*1) その他有価証券のうち満期があるもののうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債券である償 還予定額が見込めない169百万円は含めておりません。
(*2) 貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない452,894百万円、期間の定めのないもの1,643百万円は含めておりません。
(注4) 債券、借用金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
(*) 預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
(*) 預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
1.金融商品の状況に関する事項
(1) 金融商品に対する取組方針
当金庫グループは融資事業及びデリバティブ取引の提供等の金融サービス事業を行っております。
これらの事業を行うため、預金の受入れ、債券の発行等による資金調達を行っております。このように、保有する資産・負債は、金利・有価証券の価格・為替相場等様々な市場のリスクファクターの変動により、その価値が変動し損失を被るリスクを有しております。こうしたリスクを適正に管理しつつ、安定した収益を確保する観点から、資産及び負債の総合的管理(ALM)を実施しており、その一環として、デリバティブ取引も行っております。
(2) 金融商品の内容及びそのリスク
当金庫グループにおける資産は、主として国内の取引先に対する事業性の貸出金であり、取引先の財務状況の悪化等により損失を被るリスク(信用リスク)があります。
また、有価証券は、主に債券及び株式であり、債券については一部を満期保有目的で、トレーディング業務では売買目的で保有し、株式については純投資目的及び政策投資目的で保有しております。これらは、それぞれ発行体の信用リスク及び金利の変動リスク、市場価格の変動リスクに晒されております。
債券及び借用金は、一定の環境の下で当金庫グループが市場を利用できなくなる場合など、支払期日にその支払いを実行できなくなる流動性リスクに晒されております。
デリバティブ取引にはALMの一環で行っている金利スワップ取引や通貨スワップ取引等があります。当金庫グループでは、これらを利用して、有価証券、債券、借用金、外貨建ての貸出金に関わる金利の変動リスクや為替の変動リスクを回避しております。なお、ヘッジ会計の適用要件を満たすデリバティブ取引については、ヘッジ会計を適用しております。これらのヘッジ開始から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象とヘッジ手段の残高を比較する等により、ヘッジの有効性を確認しております。
このほか、トレーディング業務では、取引先の金利や為替の変動リスクをヘッジするニーズに応える目的や、金利や為替の変動による短期的な収益獲得を目的として、金利スワップ取引や通貨スワップ取引、債券先物取引、為替予約取引等を行っております。
(3) 金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスクの管理
当金庫グループは、信用リスクに関する管理諸規程に従い、貸出金について、信用格付、与信許容限度、個別案件毎の与信審査、担保・保証等の与信管理に関する体制を整備し運営しております。これらの与信管理は、各営業店のほか審査本部により行われ、また、大口与信先への対応については、定期的に経営陣による投融資会議等を開催し、付議しております。さらに、監査部がリスク管理態勢等の監査を行っております。
有価証券の発行体の信用リスク及びデリバティブ取引のカウンターパーティーリスクに関しても、信用リスクに関する管理諸規程に従い、信用格付、与信許容限度による管理体制を整備し運営しております。対市場取引については、統合リスク管理部による外部格付のモニタリングや市場取引部署による信用情報等の収集等に基づき、定期的に管理しております。
② 市場リスクの管理
(ⅰ) 金利リスクの管理
当金庫グループでは、バンキング業務、トレーディング業務毎に複数のカテゴリーに区分した上で、経営会議やALM会議等が設定した10bpv(金利の10ベーシス・ポイント(0.10%)の上昇が時価に与える影響額)やバリュー・アット・リスク(VaR)の限度額に基づき金利の変動リスクを管理しております。「市場関連リスク管理規程」等において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しており、ALM会議等において実施状況の把握・確認、今後の対応等の協議を行っております。日常的には統合リスク管理部において金融資産及び負債の金利リスクの状況を把握し、評価損益や10bpv、VaR等によりモニタリングを行い、日次で担当取締役に、月次で代表取締役並びにALM会議に報告しております。なお、ALM会議等の決定により、金利の変動リスクをヘッジするための金利スワップ等のデリバティブ取引も行っております。
(ⅱ) 為替リスクの管理
為替の変動リスクに関して、日次の総合持高管理により為替持高の一定範囲内への抑制を行っております。
(ⅲ) 価格変動リスクの管理
株式については、純投資目的と政策投資目的で運用方針を区分し、以下のとおり管理をしております。
純投資株式については、経営会議やALM会議が設定した保有残高やVaRの限度額に基づき価格変動リスクを管理するとともに、格付のモニタリングによる業況把握も行っております。
政策投資株式については、取締役会が年度間総合計画において、保有残高の限度額を決定しております。政策投資株式のうち上場株式についてもVaRの限度額を設けて価格変動リスクを管理するとともに、株価推移管理による業況確認や、未公開株式も含めた保有方針の見直しを行っております。
具体的なリスク管理方法や手続き等の詳細については「市場関連リスク管理規程」等に明記しており、ALM会議等において実施状況の把握・確認、今後の対応等の協議を行っております。日常的には統合リスク管理部において純投資株式や政策投資株式の残高や評価損益、VaR等によりモニタリングを行い、日次で担当取締役に、月次で代表取締役並びにALM会議に報告しております。
(ⅳ) デリバティブ取引
デリバティブ取引に関しては、取引の執行、ヘッジ有効性の評価、事務管理に関する部門をそれぞれ分離し内部牽制を確立しております。
(ⅴ)市場リスクに係る定量的情報
(ア)特定取引目的の金融商品
当金庫グループでは、「特定取引資産」のうちの売買目的有価証券、「デリバティブ取引」のうち特定取引目的として保有している金融商品に関するVaRの算定にあたっては、分散共分散法(保有期間10日、信頼区間99%、観測期間1年)を採用しております。
平成26年3月31日現在で当金庫グループのトレーディング業務の市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で252百万円(平成25年3月31日現在299百万円)であります。
なお、当金庫グループでは、モデルが算出するVaRと実際の損益を比較するバックテスティングを実施しております。平成25年度のトレーディング業務に関して実施したバックテスティングの結果、使用する計測モデルは十分な精度により市場リスクを捕捉しているものと考えております。
ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(イ)特定取引目的以外の金融商品
特定取引目的以外で保有している主たる金融商品は、「貸出金」、「有価証券」のその他有価証券に分類される債券と株式、満期保有目的の債券に分類される債券、「現金預け金」、「預金」、「譲渡性預金」、「債券」、「借用金」、「デリバティブ取引」のうちの金利スワップ取引と通貨スワップ取引であります。これらの金融商品に関するVaRの算定にあたっては、分散共分散法(保有期間1ヵ月~1年、信頼区間99%、観測期間1年)を採用しております。
平成26年3月31日現在で当金庫グループのトレーディング以外の業務の市場リスク量(損失額の推計値)は、全体で17,988百万円(平成25年3月31日現在9,048百万円)となっております。ただし、VaRは過去の相場変動をベースに統計的に算出した一定の発生確率での市場リスク量を計測しており、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
なお、当金庫グループでは、主要なリスク変数である金利リスクの影響を受ける金融資産及び金融負債について、10bpvを金利の変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しております。金利以外のすべてのリスク変数が一定であることを仮定し、平成26年3月31日現在、指標となる金利が10ベーシス・ポイント上昇したものと想定した場合には、金融商品の時価が5,454百万円(平成25年3月31日現在5,133百万円)減少するものと把握しております。当該影響額は、金利を除くリスク変数が一定の場合を前提としており、金利とその他のリスク変数との相関を考慮しておりません。また、金利に10ベーシス・ポイントを超える変動が生じた場合等には、算定額を超える影響が生じる可能性があります。
③ 資金調達に係る流動性リスクの管理
当金庫グループでは、運用と調達の年度間純増減計画を決定した上で、年度間及び月次で資金計画を作成して資金ポジションを把握しております。資金調達手段は、長期安定資金となる債券を中心とすることにより流動性リスクを抑制するとともに、預金による調達を行っております。また、短期市場での調達も行っている他、無担保での調達が困難な状況に備えて、有担保調達が可能なように担保差入可能な債券を保有しております。
流動性リスクを抑制するための流動性リスク管理計数をALM会議において設定し、その遵守状況は統合リスク管理部において把握し、日次で担当取締役に、四半期毎に代表取締役並びにALM会議に報告しております。
(4) 金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該価額が異なることもあります。
2.金融商品の時価等に関する事項
連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額は、次のとおりであります。なお、時価を把握することが極めて困難と認められる非上場株式等は、次表には含めておりません((注2)参照)。また、「連結貸借対照表計上額」の重要性が乏しい科目については、記載を省略しております。
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
連結貸借対照表計上額 | 時 価 | 差 額 | ||
(1) 現金預け金 | 572,329 | 572,329 | ― | |
(2) 特定取引資産 | ||||
売買目的有価証券 | 3,273 | 3,273 | ― | |
(3) 有価証券 | ||||
満期保有目的の債券 | 470,570 | 480,172 | 9,601 | |
その他有価証券 | 1,677,149 | 1,677,149 | ― | |
(4) 貸出金 | 9,532,657 | |||
貸倒引当金(*1) | △222,415 | |||
9,310,241 | 9,409,481 | 99,240 | ||
資産計 | 12,033,565 | 12,142,407 | 108,842 | |
(1) 預金 | 4,309,925 | 4,310,695 | 770 | |
(2) 譲渡性預金 | 93,830 | 93,861 | 31 | |
(3) 債券 | 5,018,707 | 5,031,034 | 12,327 | |
(4) 借用金 | 1,773,418 | 1,786,241 | 12,822 | |
負債計 | 11,195,881 | 11,221,833 | 25,951 | |
デリバティブ取引(*2) | ||||
ヘッジ会計が適用されていないもの | 5,330 | 5,330 | ― | |
ヘッジ会計が適用されているもの | (0) | (0) | ― | |
デリバティブ取引計 | 5,330 | 5,330 | ― |
(*1) 貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2) 特定取引資産・負債及びその他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示して
おります。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務と
なる項目については、( )で表示しております。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
連結貸借対照表計上額 | 時 価 | 差 額 | ||
(1) 現金預け金 | 843,039 | 843,039 | ― | |
(2) 特定取引資産 | ||||
売買目的有価証券 | 3,487 | 3,487 | ― | |
(3) 有価証券 | ||||
満期保有目的の債券 | 468,023 | 475,992 | 7,968 | |
その他有価証券 | 1,490,594 | 1,490,594 | ― | |
(4) 貸出金 | 9,472,757 | |||
貸倒引当金(*1) | △231,130 | |||
9,241,627 | 9,334,006 | 92,378 | ||
資産計 | 12,046,773 | 12,147,120 | 100,347 | |
(1) 預金 | 4,852,915 | 4,853,667 | 752 | |
(2) 譲渡性預金 | 76,210 | 76,238 | 28 | |
(3) 債券 | 4,824,832 | 4,829,596 | 4,764 | |
(4) 借用金 | 1,539,581 | 1,548,116 | 8,534 | |
負債計 | 11,293,539 | 11,307,619 | 14,079 | |
デリバティブ取引(*2) | ||||
ヘッジ会計が適用されていないもの | 6,042 | 6,042 | ― | |
ヘッジ会計が適用されているもの | ― | ― | ― | |
デリバティブ取引計 | 6,042 | 6,042 | ― |
(*1) 貸出金に対応する一般貸倒引当金及び個別貸倒引当金を控除しております。
(*2) 特定取引資産・負債及びその他資産・負債に計上しているデリバティブ取引を一括して表示して
おります。
デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務と
なる項目については、( )で表示しております。
(注1) 金融商品の時価の算定方法
資 産
(1) 現金預け金
満期のない預け金、又は約定期間が短期間の預け金は、それぞれ時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。
(2) 特定取引資産
特定取引目的で保有している債券等の有価証券については、取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格によっております。
(3) 有価証券
株式は取引所の価格、債券は取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格によっております。当金庫保証付私募債は、私募債の種類及び内部格付、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を同様の新規発行を行った場合に想定される利率で割り引いて時価を算定しております。なお、発行体からの保証料は、元利金の合計額に含めております。また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する私募債については、担保及び保証による回収見込額等を時価としております。一部の有価証券は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は有価証券の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
なお、保有目的ごとの有価証券に関する注記事項については「(有価証券関係)」に記載しております。
(4) 貸出金
貸出金については、貸出金の種類及び内部格付、期間に基づく区分ごとに、元利金の合計額を同様の新規貸出を行った場合に想定される利率で割り引いて時価を算定しております。なお、残存期間が短期間の割引手形は、時価は帳簿価額と近似していることから、当該帳簿価額を時価としております。
また、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等については、見積将来キャッシュ・フローの現在価値又は担保及び保証による回収見込額等に基づいて貸倒見積高を算定しているため、時価は連結決算日における連結貸借対照表上の債権等計上額から貸倒引当金計上額を控除した金額に近似しており、当該価額を時価としております。
貸出金のうち、当該貸出を担保資産の範囲内に限るなどの特性により、返済期限を設けていないものについては、返済見込み期間及び金利条件等から、時価は帳簿価額と近似しているものと想定されるため、帳簿価額を時価としております。
負 債
(1) 預金、及び(2)譲渡性預金
要求払預金については、連結決算日に要求された場合の支払額(帳簿価額)を時価とみなしております。また、定期預金及び譲渡性預金の時価は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを割り引いて現在価値を算定しております。その割引率は、新規に預金を受け入れる際に使用する利率を用いております。
(3) 債券
当金庫の発行する債券の時価は、市場価格のあるものは市場価格によっております。市場価格のないものは、債券の回号ごとに区分した当該債券の元利金の合計額を同様の債券を発行した場合に適用されると考えられる利率で割り引いて現在価値を算定しております。なお、一部の債券は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は債券の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
(4) 借用金
借用金については、一定の期間ごとに区分した当該借用金の元利金の合計額を同様の借入において想定される利率で割り引いて現在価値を算定しております。一部の借用金は金利スワップの特例処理の対象とされており、その場合は借用金の時価と金利スワップの時価を合算して算定しております。
デリバティブ取引
デリバティブ取引については、「(デリバティブ取引関係)」に記載しております。
(注2) 時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品の連結貸借対照表計上額は次の
とおりであり、金融商品の時価情報の「資産 (3) その他有価証券」には含まれており
ません。
(単位:百万円)
区 分 | 前連結会計年度 (平成25年3月31日) | 当連結会計年度 (平成26年3月31日) |
① 非上場株式(*1) (*2) | 8,540 | 9,178 |
② 組合出資金(*3) | 165 | 56 |
合 計 | 8,705 | 9,235 |
(*1) | 非上場株式については、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められることから時価開示の対象とはしておりません。 |
(*2) | 前連結会計年度において、非上場株式について49百万円減損処理を行っております。 当連結会計年度において、非上場株式について141百万円減損処理を行っております。 |
(*3) | 組合出資金のうち、組合財産が非上場株式など時価を把握することが極めて困難と認められるもので構成されているものについては、時価開示の対象とはしておりません。 |
(注3) 金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 | 3年超 | 5年超 | 7年超 | 10年超 | |
3年以内 | 5年以内 | 7年以内 | 10年以内 | |||
預け金 | 546,910 | ― | ― | ― | ― | ― |
有価証券 | 407,744 | 652,640 | 523,293 | 198,930 | 290,940 | ― |
満期保有目的の債券 | ― | ― | 280,000 | ― | 180,000 | ― |
うち国債 | ― | ― | 280,000 | ― | 180,000 | ― |
その他有価証券のうち 満期があるもの(*1) | 407,744 | 652,640 | 243,293 | 198,930 | 110,940 | ― |
うち国債 | 256,200 | 512,600 | 174,300 | 176,100 | 110,000 | ― |
地方債 | 46,739 | 40,074 | ― | 19,327 | ― | ― |
短期社債 | 25,000 | ― | ― | ― | ― | ― |
社債 | 79,805 | 99,025 | 68,993 | 3,503 | ― | ― |
その他 | ― | 940 | ― | ― | 940 | ― |
貸出金(*2) | 4,047,166 | 2,984,517 | 1,320,679 | 405,971 | 230,918 | 142,118 |
合 計 | 5,001,821 | 3,637,158 | 1,843,972 | 604,902 | 521,858 | 142,118 |
(*1) その他有価証券のうち満期があるもののうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債券である償 還予定額が見込めない501百万円は含めておりません。
(*2) 貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない399,528百万円、期間の定めのないもの1,758百万円は含めておりません。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 | 3年超 | 5年超 | 7年超 | 10年超 | |
3年以内 | 5年以内 | 7年以内 | 10年以内 | |||
預け金 | 818,580 | ― | ― | ― | ― | ― |
有価証券 | 322,791 | 707,036 | 355,642 | 301,594 | 200,000 | ― |
満期保有目的の債券 | ― | 165,000 | 115,000 | ― | 180,000 | ― |
うち国債 | ― | 165,000 | 115,000 | ― | 180,000 | ― |
その他有価証券のうち 満期があるもの(*1) | 322,791 | 542,036 | 240,642 | 301,594 | 20,000 | ― |
うち国債 | 241,400 | 431,000 | 147,800 | 271,000 | 20,000 | ― |
地方債 | 28,289 | 11,785 | 4,700 | 22,627 | ― | ― |
社債 | 53,102 | 98,222 | 88,142 | 7,967 | ― | ― |
その他 | ― | 1,029 | ― | ― | ― | ― |
貸出金(*2) | 3,928,443 | 2,962,553 | 1,365,492 | 403,288 | 217,664 | 140,777 |
合 計 | 5,069,816 | 3,669,590 | 1,721,134 | 704,882 | 417,664 | 140,777 |
(*1) その他有価証券のうち満期があるもののうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債券である償 還予定額が見込めない169百万円は含めておりません。
(*2) 貸出金のうち、破綻先、実質破綻先及び破綻懸念先に対する債権等、償還予定額が見込めない452,894百万円、期間の定めのないもの1,643百万円は含めておりません。
(注4) 債券、借用金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額
前連結会計年度(平成25年3月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 | 3年超 | 5年超 | 7年超 | 10年超 | |
3年以内 | 5年以内 | 7年以内 | 10年以内 | |||
預金(*) | 4,001,727 | 301,974 | 6,223 | ― | ― | ― |
譲渡性預金 | 93,830 | ― | ― | ― | ― | ― |
債券 | 1,401,058 | 2,265,413 | 1,307,565 | 44,700 | ― | ― |
借用金 | 561,604 | 803,719 | 297,942 | 85,202 | 24,693 | 255 |
合 計 | 6,058,220 | 3,371,107 | 1,611,731 | 129,902 | 24,693 | 255 |
(*) 預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。
当連結会計年度(平成26年3月31日)
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超 | 3年超 | 5年超 | 7年超 | 10年超 | |
3年以内 | 5年以内 | 7年以内 | 10年以内 | |||
預金(*) | 4,527,644 | 302,120 | 23,150 | ― | ― | ― |
譲渡性預金 | 76,210 | ― | ― | ― | ― | ― |
債券 | 1,248,684 | 2,280,603 | 1,285,544 | ― | 10,000 | ― |
借用金 | 601,796 | 701,523 | 172,696 | 53,318 | 10,081 | 166 |
合 計 | 6,454,334 | 3,284,247 | 1,481,392 | 53,318 | 20,081 | 166 |
(*) 預金のうち、要求払預金については、「1年以内」に含めて開示しております。