訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/03/17 15:00
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【項目】
108項目

事業等のリスク

本書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業内容を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)主要な事業活動の前提となる事項について
①主要な事業又は商品に係る許可、認可、免許若しくは登録について
当社グループの事業又は取扱商品において、現在は許可、認可、免許若しくは登録を必要とする事項はあ
りませんが、法令等の改正や当社グループの取扱商品の追加があった場合は、許可、認可、免許若しくは登録
を行う必要性があります。
②当社グループが締結している仕入先との基本契約について
当社グループは、仕入先との基本契約を商権の確保・維持のための、重要な事項であると認識しておりま
す。
仕入先との基本契約に定められている取消、解除事由は、いずれも一般的条項であります。
契約当事者の一方が当該条項に抵触した場合は、契約解除に至り、当社グループの業績に影響を与える可能
性があります。なお、現在、契約に定められている解除事由に該当する状況にはありません。
(2)景気変動の影響
当社グループの取扱商品は、液晶、半導体等であり、顧客は、日本(日系)の大手セットメーカが中心で、そ
の製品の一部として組み込まれております。
したがって、当社グループの顧客が、その属する市場の需給動向や景気動向の影響を受ける可能性があります。
このため、当該市場における需要の変化等によって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)為替リスクについて
当社グループは外貨建販売比率が高く(平成25年3月期72.9%、平成26年3月期78.9%)、その主な決済通貨は米ドルであります。当社グループの業績は、為替相場の動向により売上高及び利益が変動し易い構造にある上、決算処理に係る外貨建資産及び連結子会社の円換算額の評価等に対しても影響を及ぼします。また、買掛債務の支払いサイトに比べ、売掛債権回収サイトが長く、売掛債権高が買掛債務高を上回る傾向がある為、外貨建借入金にて外貨建債権債務のバランス化を図る等により、為替相場の変動の影響を避け、抑制するように努めております。しかしながら想定以上に為替相場が変動した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの外貨建て売掛債権・買掛債務の金額及び割合第18期連結会計年度
(自 平成24年4月1日
至 平成25年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
売掛債権金額(千円)(A)5,650,8607,146,751
内外貨建て売掛債権(千円)(B)4,271,6445,744,077
外貨建て比率(%)(B/A)75.680.4
買掛債務金額(千円)(C)2,690,9843,920,276
内外貨建て買掛債務(千円)(D)2,335,6613,125,716
外貨建て比率(%)(D/C)86.879.7

(4)商品の価格変動について
当社グループの主な取扱商品である半導体は、DRAM・NAND等の汎用品でありますが、これらは技術革新が早いため、次世代製品への世代交代時期等に需要と供給のバランスが崩れ、半導体市場特有の「シリコンサイクル」と称される循環的な市況変動により、これまでも深刻な低迷期を繰り返してきた経緯があります。従って、当社グループの仕入先を含むメモリメーカにおける供給数量の増減が起こり、需要家との需給バランスが崩れやすい傾向にあるため、今後とも商品価格が大きく変動する可能性があります。当社グループは、価格変動の影響を最小限に抑えるよう、ASIC等の価格変動の影響が少ない商品を拡販し、顧客及び仕入先の生産計画を確認するとともに、DRAM等の汎用品の適切な発注及び受注管理等に努めておりますが、半導体の市況価格の変動により、当社グループの売上高及び利益が増減し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定の仕入先(メーカ)への依存について
当社グループの主要な仕入先(メーカ)は、エルジーディスプレイジャパン(株)及びSK hynix Japan(株)であり、両社とは取引基本契約書を締結しております。当社グループは、両社との緊密な関係を維持する一方、他社の商品群の拡販により、取扱商品の多角化を図り、特定の仕入先(メーカ)に対する過度の偏重の抑制に努めておりますが、両社の代理店政策の見直しが行われた場合または両社に対するM&A等によって両社の経営権の保有者が代わった場合等には、代理店契約が短期間のうちに解除され、当社グループが手掛けてきた取扱商品の仕入ができなくなる可能性、もしくは当社グループに現在割り当てられている商権の喪失又は変更等の可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす恐れがあります。また、両社からの仕入に係るマージン率が引き下げられた場合、もしくは製品の市場における競争力が低下した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、エルジーディスプレイジャパン(株)との直接取引とは別に、キャッシュフローの改善を目的に、LGD社製品を同社の代理店である(株)フーマイスターエレクトロニクスを介して、特定顧客向けに限定して購入しております(平成26年3月期仕入実績7,425,631千円)。
また、その他の主な仕入先(メーカ)としては、IBM社、Magnachip社等があり、これらの仕入先との間においても同様に代理店契約を締結しているため、万一、それら代理店契約が短期間のうちに解除された場合、仕入に係るマージン率が引き下げられた場合、もしくは各仕入先製品の市場における競争力が低下した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結仕入高に占める特定の仕入先(メーカ)の仕入高割合
第18期連結会計年度
(自 平成24年4月1日
至 平成25年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
エルジーディスプレイジャパン(株)10,353,51534.910,783,39730.9
SK hynix Japan(株)5,029,63117.05,445,39915.6

(6)特定の販売先への依存について
当社グループの主要な販売先は、主に国内電子機器メーカグループ企業でありますが、それら企業のうち、近年はパナソニックグループ及び富士通グループに対する販売依存度が高くなっており、両グループとの取引の増減が当社グループの業績等に影響を与えます。
当社グループは、今後とも両グループとの緊密な関係を維持し、長期安定取引の継続に努めるとともに、他の既存顧客との取引の深堀、並びに新規顧客の開拓を通じ、販売先の多角化を図ってまいりますが、今後、何らかの理由により、両グループをはじめ、主な既存販売先との取引縮小または販売高減少が生じた場合、顧客からの販売価格の値引き要請を適時適切に仕入価格に転嫁できなかった場合、主要販売先の最終製品の販売動向により、生産計画の変更・延期・取消等が発生した場合、もしくは主要販売先が自社生産から外部委託生産へ生産方式を転換した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結売上高に占める特定の販売先の売上高割合
第18期連結会計年度
(自 平成24年4月1日
至 平成25年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
パナソニックグループ10,992,65534.610,871,03928.3
富士通グループ2,962,6489.35,910,94615.4

(7)資金調達について
当社グループは、買掛債務の支払いサイトに比較して売掛債権回収サイトが長く、売掛債権高が買掛債務高を上回る傾向がある為、売上高が増加する局面等においては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになり易い財務体質にあり、その場合には相応の運転資金が必要となります。最近2連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの実績は、平成25年3月期△602,185千円、平成26年3月期1,702,667千円となっております。不足する運転資金は金融機関からの借入金及び社債(私募債)等により調達しており、平成26年3月期には、利益の増加及びたな卸資産の圧縮等により改善しておりますが、依然有利子負債依存度が高い水準にあります。従って、当社グループは、今後とも自己資本の充実、並びに長期借入金比率を高める等の安定的な財務構造への変革を図るとともに、引続き金融機関との良好な関係の構築に努めてまいりますが、資金調達環境が悪化した場合、もしくは金利水準が大幅に変動した場合等には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
第18期連結会計年度
(自 平成24年4月1日
至 平成25年3月31日)
第19期連結会計年度
(自 平成25年4月1日
至 平成26年3月31日)
有利子負債残高(千円)(A)(注)6,425,5046,271,263
内長期(a)2,147,5222,204,117
総資産額(千円)(B)12,014,59213,754,944
有利子負債依存度(%)(A/B)53.545.6
長期有利子負債比率(%)(a/A)33.435.1

(注)有利子負債=コマーシャルペーパー+短期借入金+1年内返済予定の長期借入金+1年内償還予定の社債+長期借入金+社債
(8)ベンチャーキャピタル等の当社株式保有比率について
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は801,000株であります。このうち、ベンチャーキャピタル等が所有している株式数は191,500株であり、発行済株式総数の23.9%に相当いたします。一般的にベンチャーキャピタル等が未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後に当該株式を売却しキャピタルゲインを得ること等であることから、これらベンチャーキャピタル等は、当社の株式公開後において、所有する株式の一部または全部を一定の時期に売却することが想定されます。したがって、今後、ベンチャーキャピタル等による当社株式の売却により、短期的に需給のバランスが悪化し、当社株式の市場価格が下落する可能性があります。
(9)借入金及び支払承諾の財務制限条項について
当社グループの借入金の一部及び支払承諾には、財務制限条項が付されており、下記の条項のいずれかが抵触した場合、期限の利益を喪失し、該当する借入先に対して借入金を一括して返済し、または支払承諾の履行請求ができなくなることになっております。その場合、当社の資金繰りに支障をきたし、運転資金の不足により売上高の伸長が阻害され、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
① 各事業年度末日における単体の貸借対照表の純資産の部の金額を、指定された事業年度末日の当該金額の75%以上に維持すること。
② 各事業年度にかかる単体の経常損益につき、損失を計上しないこと。
③ 各事業年度にかかる単体の経常損益につき、外貨換算差益及び外貨換算差損を除き損失とならないこと。
④ 平成25年3月決算以降各事業年度末日の単体の貸借対照表における有利子負債の合計額を、当該単体の貸借対照表における経常運転資金の金額以下とすること。
(10)顧客情報の管理について
当社グループは、顧客ニーズを的確に把握するために、仕入先及び販売先の製品開発及び生産計画等の重要情報を早期に入手し得る立場にあります。当社グループは、これら顧客との間において守秘義務を盛り込んだ契約を締結し、重要情報の取り扱いに際しては当社グループのコンプライアンス関連規程・マニュアル等に則り厳格に運用し、当社グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、万一、当社グループからの情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があるほか、信用低下等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)たな卸資産廃棄及びたな卸資産評価の影響について
当社グループは、顧客からの所要数量、納期などの要求に適切に対応し、顧客に対する供給責任を果たすために必要なたな卸資産を確保しております。当社グループでは、顧客の所要数量及び受注状況や取扱商品が搭載される製品の需要動向を考慮し、仕入先への発注数を調整する等、たな卸資産の適正管理に努めております。しかしながら市場の変動等に伴い、顧客の所要数量に変動が生じた場合は、廃棄、又は資産価値評価の見直しを必要とする等、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)物流業務の外部委託について
当社グループは、顧客の生産拠点に最短かつ確実に商品を納入する必要から、可能な限り顧客の生産拠点に近い地域に商品の保管・配送拠点を設ける必要があると考えており、当社グループの財務及び業務効率の最大化を図るため、物流ノウハウを有する専門業者を選定し、当社グループの指図に基づき保管・配送を委託することを基本方針としております。具体的には、商品の保管及び配送拠点は、顧客の調達拠点に対し利便性の高い地域の、国内(横浜)及び海外(香港)に設置し、それぞれ別の専門業者に委託する二社運用体制を構築し、代替運用が可能な体制を敷いております。これまでに、物流業務に係る重大な支障は発生しておりませんが、今後、万一何らかの理由により現在の保管・配送委託先にトラブルが発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13)カントリーリスクについて
当社グループは、主要仕入先である液晶・半導体・電子機器メーカとの関係強化、並びに主要顧客である国内電気機器メーカ等の海外生産拠点の事業活動をサポートすること等を目的として、日本のみならず、アジアを中心とした海外でも事業活動を展開しており、海外市場における事業活動を拡充することにより収益の拡大を図っております。当社グループが海外において事業活動を推進する場合には、各国における政治的、社会的、経済的状況の変化及び法律・輸出入規制・税制等に関する法的規制の改変、並びに商慣習の相違、労使関係及びその他の政治的・社会的要因等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材の採用方針について
当社グループは、これまで即戦力確保の観点から、中途採用を中心とした採用方針をとっており、これまで新卒採用は実施しておりません。当社グループは、個人の経験及び人脈力を重視しているため、採用時には経験豊富な中高年の人材を求めております。従って、平成27年1月31日現在の当社の従業員(正社員)の平均年齢は47.7才と比較的高齢化の傾向があります。適宜、新規中途採用、再雇用等により人材の確保に努めておりますが、今後、現在の従業員の定年退職や大量の自主退職等が発生し、必要となる人材の確保、補充ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
(15)自然災害、事故等による影響について
地震や津波、台風等の自然災害、感染症の蔓延、事故、火災、テロ、戦争等により人的・物的な被害が生じた場合、あるいはそれらの自然災害及び事故等に起因する電力・ガス・水道・交通網の遮断等により、正常な事業活動が阻害された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
あわせて、取引先の生産機能、物流機能が著しく低下し、それに伴い、需要及び供給が停滞する可能性があります。
また、当社グループが部品、資材等の供給が可能であっても、他の必要部品や資材が調達できず取引先が生産を見合わせる事態も想定され、これらの状況によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
最後に、当社グループの事業活動におきまして、コンピュータシステム及びそのネットワークを活用しており、そのためセキュリティの強化やデータのバックアップ体制の構築、ハードウエアの増強等、システムトラブル対策を講じていますが、これらの対策にも関わらず、自然災害、事故等によりシステムトラブルが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。