有価証券報告書-第11期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:41
【資料】
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【項目】
132項目
文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。
0102010_001.png当社グループは、この「ENEOSグループ理念」の実現のために、基幹事業の強化・イノベーションの推進・グローバルな事業展開を図ります。あわせて、これらを推進していくうえで欠かせない高い倫理観とチャレンジ精神を持った人材を育成し、国際的な競争力を有するアジアを代表するエネルギー・素材企業グループを目指します。
(2)長期ビジョンの策定
当社グループは、世界的な脱炭素社会形成に向けた動きの加速、IoT・AI等の普及によるイノベーションの急速な進展、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめ企業に求められる社会的責任の高まりなど、過去に例を見ない社会環境・事業環境の変化に直面しています。加えて、国内の燃料油需要は、年々減少し、2040年には現在の約半分となることが想定されます。このように事業環境の先行きに対する不安が増しつつある一方、当社グループには、その事業特性上、長期的展望に基づく戦略的な投資が不可欠であることから、未来を見据えたビジョンの構築が必要です。
そのため、当社は、「長期グローバルトレンド」を分析して「2040年の社会シナリオ」を想定した上で、同年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」を描き、これらを「2040年当社グループ長期ビジョン」として取りまとめ、2019年5月に公表しています。(一部改訂、2020年5月20日)
・「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」
「長期グローバルトレンド」としては、脱炭素・循環型社会の形成に向けた取り組みが進み、デジタル革命の進展と相まって、人々のライフスタイルは大きく変化することが予想されます。こうした潮流の下、世界の一次エネルギー需要は、非化石エネルギーの割合が増加し、世界の石油化学製品需要・銅地金需要は、アジアの新興国の経済成長を背景に拡大すると見込まれます。
このような「長期グローバルトレンド」を踏まえると、「2040年の社会シナリオ」としては、安価な再生可能エネルギーの大量導入、EVやカーシェアリングの普及、各施設・住宅への分散型太陽光発電及び蓄電池の設置等が進むと想定されます。また、プラスチック・金属をはじめとする資源のリサイクルインフラが拡充されていくものと考えられます。さらに、これらの変化に伴い、人々の生活を快適にするべく、多様なサービス提供者が現れると思われます。
・2040年における当社グループの「ありたい姿」とその実現のための「事業の将来像」
以上の「長期グローバルトレンド」と「2040年の社会シナリオ」を前提に、当社グループが将来にわたって社会に必要とされる企業集団であるための要素を検討し、2040年における当社グループの「ありたい姿」を定めました。当社グループは、この「ありたい姿」を実現するため、安全・環境・健康を最優先に考えるとともに、多様性に富んだグローバル人材の育成・登用やICT(情報通信技術)活用による業務品質の劇的向上等により、企業風土の変革を図っていきます。
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当社グループは、長期ビジョンに掲げる「ありたい姿」の実現のための「事業の将来像」を礎とした、第2次中期経営計画を実行することにより、成長戦略の追求とキャッシュ・フロー重視経営との両立による持続的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーの期待に応えていきます。
(3)目標とする経営指標
当社は、2020年5月に2020年度からの3ヵ年の第2次中期経営計画(2020-2022年度中期経営計画)を次のとおり策定しています。
当社は、本中計を「2040年当社グループ長期ビジョン」の実現に向けた変革の推進と位置づけ、各事業ポートフォリオにおける「構造改革の加速」及び「成長事業の育成・強化」をテーマに策定しています。
<基本方針>0102010_003.png
<財務計画>0102010_004.png
<事業戦略>0102010_005.png
<第2次中期経営計画の見通し>2020年5月に策定した第2次中期経営計画においては、新型コロナウイルス感染症の影響を2020年度上期まで織り込んでいましたが、現時点でもその収束を見通すことが困難な状況が続いています。第2次中期経営計画の最終年度である2022年度まで、新型コロナウイルス感染症を主因とした販売数量の減少や製品市況の悪化等の影響が一定程度継続することを前提とすると、営業損益等に大きく影響を与える見込みです。このような状況を踏まえ、追加的なコスト削減や資産売却等の対策を織り込み業績等を見通した結果、現時点の主な経営指標の見通しは以下のとおりです。
今後、当初の目標が達成できるよう経営努力を進めていくとともに、成長事業の育成や事業ポートフォリオの改革をさらに加速していきます。
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(4)ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組み
・ESG経営の推進
当社グループは、「2040年当社グループ長期ビジョン」に示す「ありたい姿」の実現を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)の目指す持続可能な社会の実現に貢献し、経済価値のみならず社会価値を創出すべく、ESG経営を推進しています。世界的に関心が高まっている社会課題を踏まえた将来のリスク・事業機会については、「ESG経営に関する基本方針」に基づき、当社の経営会議において包括的に審議・特定しています。
0102010_007.png・第三者からの評価(2021年3月31日現在)
0102010_008.png・ESG説明会の開催
2020年12月、当社は、アナリストや機関投資家を対象にESG説明会をオンラインで開催しました。同説明会においては、当社がESGを経営の根幹に位置付けていること、将来の社会課題を踏まえた事業戦略を立案・遂行していることなどについて説明し、参加者と活発な議論を行いました。引き続き、当社グループにおけるESG経営について、積極的な情報発信に努めます。
・具体的な取り組み
[脱炭素・循環型社会への貢献]
脱炭素社会の実現に貢献すべく、当社グループは、CO2排出削減に取り組んでいます。製造面では、製油所・製錬所等での高効率・省エネ設備の導入推進と装置運転の最適化を図り、販売面では、再生可能エネルギーを含む環境配慮型商品の拡販を行っています。また、水素事業の推進やCO2-EOR技術の導入などにも取り組んでいます。
循環型社会形成に向け、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進し、事業全般で廃棄物の再生利用化や分別を徹底するなど、ゼロエミッション(廃棄物最終処分率1%未満)を維持しています。また、廃プラスチックのリサイクル、レアメタルの再資源化等の環境リサイクル事業を推進しています。
[カーボンニュートラルに向けて]
環境負荷の低い事業を強化・拡大するとともに、環境対応型事業の強化を通じて、2040年に自社排出分のカーボンニュートラルを目指します。
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[社会課題解決へ不断の取り組み]
当社グループは、人権の尊重を最優先課題の1つに定めています。2019年度に実施した人権デュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、サプライヤーの選定に当たり、国内外における人権原則の尊重、環境への配慮等を判断要素とすることとし、「ENEOSグループ調達方針」を制定しました。また、人権意識の向上と人権問題発生の未然防止に向けて、全役員・従業員を対象とした人権研修の開催や相談窓口の強化に取り組んでいます。
全ての従業員が能力を最大限に発揮できるよう、一貫性のある人材育成体制を確立し、従業員それぞれの活躍の場を広げる人材活用を進めているほか、テレワークのさらなる活用など働きやすい環境の整備に取り組んでいます。
[ガバナンス体制の強化]
2020年6月、当社は、スピード経営を実現する執行体制の構築と取締役会によるモニタリングの強化を目的に、当社とENEOS株式会社の経営を実質的に統合して運営する体制に移行しました。業務執行における意思決定を迅速に行うべく権限委譲を進めた一方で、ROIC-WACCを用いた事業評価などの報告事項を充実させることで、取締役会の監督機能の強化を図りました。
中長期的な経営戦略と報酬制度の連動性を一層高め、また、持続可能な社会に向けた取組みを推進すべく、監査等委員でない取締役及び執行役員(社外取締役及び国外居住者を除きます。)を対象とする株式報酬制度を業績連動型に改定しました。
(5)対処すべき課題
カーボンニュートラル(CO2排出量の実質ゼロ)を目指す動きは、世界的に拡大しています。また、国連サミットで採択されたSDGsへの貢献をはじめ、企業に求められる社会的責任がますます高まっています。
このような脱炭素・循環型社会の形成に向けた世界的潮流を踏まえ、当社グループは、「2040年当社グループ長期ビジョン」(長期ビジョン)において、国内の燃料油需要が2040年に2018年度比で約半分になると想定していますが、昨今の働き方や移動に対する考え方の変化から、需要減少スピードはさらに速まる可能性があります。
他方、AI、IoT、5G等の普及によるデジタル革命の進展や新型コロナウイルスの感染防止策を日常生活に取り入れた「新しい生活様式」の浸透に伴い、様々なニーズの創出が見込まれます。
このように不透明かつ移り変わりの激しい事業環境下、当社グループは、新型コロナウイルスの感染防止策を徹底してエネルギー・素材の安定供給の使命を果たし続けるとともに、基盤事業の競争力強化を図ります。また、カーボンニュートラルの実現に向けた世界的な動きに対応し、変化する社会のニーズに応えるべく、成長事業の育成・強化に取り組みます。
このため、当社グループは、長期ビジョンに掲げる「2040年ENEOSグループのありたい姿」の実現に向けて、各事業において、第2次中期経営計画に沿って、以下に挙げる施策を実行していきます。
<基盤事業>●石油精製販売事業
さらなる競争力強化を目指し、AI、デジタルツイン(現実の世界をコンピューター上に再現する技術)等を含む新技術の積極導入による製油所の安定・効率操業体制の確立に取り組むとともに、サプライチェーン改革を断行します。
●石油・天然ガス開発事業
新型コロナウイルスの感染防止策を継続し、安全・安定操業の継続に努めます。また、低油価耐性を強化するため、デジタル技術を活用してコスト削減及び効率化を進め、既存プロジェクトからのキャッシュフローを最大化します。
●銅資源・製錬事業
カセロネス銅鉱山は、操業重点課題のアクションプランの策定と確実な実行により、一層の収益力強化を目指します。また、原料構成の最適化や物流拠点の新設・能力増強によるリサイクル原料の増集荷・増処理など、佐賀関製錬所の競争力強化に向けた取組みを推進し、事業収益の最大化を図ります。
<成長事業>●石油化学事業
鹿島コンビナートにおいては、原料や製造プロセスの効率化、ガソリン基材の石化利用及び誘導品を含む石油化学製品の生産最適化に関する検討を推進します。また、川崎、水島及び大分の各コンビナートにおいても、ケミカル比率向上に向けた施策を具体化します。
ENB(自動車部材向け合成ゴム添加剤用途)については、引き続きサウジアラビアでの製造装置の新設にかかる検討に取り組みます。また、水添石油樹脂(紙おむつ向け接着剤用途)や電線絶縁材(高圧・超高圧特殊電線用途)など、その他の技術優位性のある製品についても、製造装置の新設を推進します。
●素材(電子材料等)事業
■機能材・潤滑油事業
さらなる普及が見込まれる電気自動車(EV)やハイブリッド車に対応する潤滑油技術を開発し、有用な商品・サービスを提供します。また、2021年5月に契約を締結したJSR株式会社のエラストマー事業の買収を完了させ、素材事業のコアとなる技術立脚型事業の獲得・拡大を推進します。
■機能材料・薄膜材料事業
データ社会の到来やモビリティの電動化・自動化に伴う需要拡大に備え、各種電子材料の生産・開発体制の先行整備を行い、市場の動向に応じてさらなる生産能力の増強に努めます。特に、半導体用スパッタリングターゲットについては、世界的な半導体不足の中、増大する需要に対応する供給体制を構築すべく、設備増強を着実に実行します。
■タンタル・ニオブ事業
主にコンデンサ・半導体用途向けの高機能タンタル粉末等を生産するTANIOBIS GmbH(ドイツ法人)の販売力・開発力の強化、一層の効率運営、新規事業の拡充等のシナジーを早期に実現します。
●次世代型エネルギー供給・地域サービス事業
エネルギーサービス、モビリティサービス及びライフサポートの各分野において、あらゆるデータを連携・データベース化し、お客様が望む利便性の高いサービスを提供する「ENEOSプラットフォーム」の構築を推し進めます。
エネルギーサービスについては、「おうちENEOS」というサービス総称のもと、「ENEOSでんき」・「ENEOS都市ガス」の顧客基盤の拡大を図ります。また、太陽光、バイオマス、陸上風力、洋上風力などの再生可能エネルギー電源の新規開発・獲得に一層注力し、これらの電源を含むエネルギーリソースを制御するVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)の実証にも取り組みます。
このほか、脱炭素・循環型社会への貢献に向けて、海外での製造から国内供給に至るまでの国際的なCO2フリー水素サプライチェーンの構築を目指し、製油所をCO2フリー水素受入基地として最大限活用した水素供給事業にかかるインフラ整備を推進します。加えて、トヨタ自動車株式会社が建設を進める実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」プロジェクトにおいて、水電解装置(再生可能エネルギー由来の電力から水素を製造する装置)を設置した水素ステーションを整備する予定であり、モビリティ向けの水素エネルギー供給とWoven City内のエネルギーマネジメントとの連携に取り組みます。また、2030年以降の商用化を目標に、水素とCO2との化学反応で製造される再エネ合成燃料の技術開発に取り組みます。
これらの取組みと環境対応型事業を推進し、2040年の自社排出分のカーボンニュートラルを実現するとともに、さ
らなるCO2排出削減を目指します。
モビリティサービス及びライフサポートについては、「ENEOSカーリース」と「ENEOS Laundry」の全国展開を推進し、また、「ENEOSカーシェア」の実証実験を継続します。また、洗濯代行や買物代行等の実証実験を通じて、変化する社会のニーズを捉えた新規事業の創出に取り組みます。加えて、EV充電ネットワークの構築など、EV化社会の到来を見据えた事業も推進します。
次世代型エネルギー供給・地域サービス事業については、地域コミュニティとの連携を進めます。具体的には、基本合意書を締結した静岡県において、清水製油所跡地(清水油槽所内遊休地)を活用し、太陽光発電を中心とした地産地消による自立型エネルギーの供給体制を整備するとともに、モビリティサービスを含めた新たな付加価値サービスの提供と将来の水素社会に向けた幅広い水素の利活用を検討します。
●環境対応型事業
廃プラスチックを石油精製・石油化学の原料として再生利用するケミカルリサイクルについては、引き続き技術検討に取り組みます。車載用リチウムイオン電池のリサイクルについては、JX金属株式会社の技術開発センター等において実証を重ね、適正コストでの量産プロセスの確立を目指します。また、EVバス向け蓄電池の「リース・リユース・リサイクル」循環モデルの構築についても、実証実験を継続し、事業化を推進します。
石油・天然ガス開発の分野では、CCS・CCUS技術を事業化した「Petra Nova CCUSプロジェクト」においてフィールドデータの蓄積を継続し、技術力の向上を図るとともに、外部機関との共同研究によりCCS・CCUS技術に関する知見を獲得します。また、インドネシア及びマレーシアにおけるパートナーとの共同スタディを着実に推進し、将来の事業化を目指します。
これらの各施策に加え、データ分析プラットフォームの構築やICTの活用によるサプライチェーンの最適化など、グループをあげてデジタルトランスフォーメーションを推進し、基盤事業の効率化と画期的な新製品・新サービスの創出を目指します。また、スタートアップ企業や大学等と連携するオープンイノベーションにも積極的に取り組み、異業種異分野の技術・アイデアを活用することで、革新的事業を創出します。
当社グループは、「2040年ENEOSグループのありたい姿」の実現に向け、第2次中期経営計画に沿って構造改革を加速することにより、基盤事業の競争力強化と成長事業の育成・強化を推進し、もって、企業価値のさらなる向上を図ります。
<新型コロナウイルス感染症の影響について>新型コロナウイルス感染症の影響は、経済、企業活動、社会生活の広範囲に影響を与えている事象であり、当社グループが展開する様々な事業における各種製品の需要や価格に影響を与えています。この影響は一定期間継続し、その後徐々に正常化に向かうという仮定を置く等、各事業や製品ごとの状況を踏まえ、次期の業績予想や第2次中期経営計画等への影響を算定しています。
今後も、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、世界経済の動向や国内における需要の回復状況に応じて、その時点の業績予想や第2次中期経営計画への影響について情報開示していきます。
また、当社グループは、お客様、お取引先及び従業員の安全確保、そして、安定的な操業継続に向けて、新型コロナウイルスの感染防止策を徹底して取り組んでいます。具体的には、政府や各自治体の対処方針等を総合的に勘案の上、テレワークや時差出勤の推進、オンライン会議の活用等を通じて安全対策を講じています。
<次期の連結業績予想について(2021年5月公表)>2021年度は原油価格の回復による良化を見込む一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、前期に続き厳しい経営環境が継続する見通しです。前提条件に基づく次期の業績予想は下記のとおりです。
●前提条件(2021年4月以降)
為替:105円/ドル、原油(ドバイスポット):60ドル/バーレル
銅価:340セント/ポンド(2021年4-6月 400セント/ポンド、2021年7月以降 320セント/ポンド)
売上高:9兆5,000億円 営業利益:2,600億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,700億円
なお、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、2,300億円を見込んでいます。

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