有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/14 15:56
【資料】
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【項目】
158項目

対処すべき課題

(1)会社経営の基本方針
アニコムグループは、社名に掲げた「ani(命)+communication(相互理解)=∞(無限大)」を企業活動の根源にすえています。これは、命のあるものすべてがお互いに理解し、尊重し合い、ともに一つの目的に向かって力を合わせることで、これまで不可能と思われていたことが可能になると考えているからです。
こうした考えのもと、私たちはペット保険事業を柱にこの無限大の価値創造力を活かし、世界中に「ありがとう」を拡大することを、グループの経営理念として掲げています。
(2)中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
<中長期的な経営戦略>これまでのアニコムグループは、“涙を拭く保険会社グループ”として、どうぶつに生じた病気・ケガに対して、保険金給付サービスや治療等のサービスを提供し、これらのサービスの質の向上に努めるとともに、ペット保険の普及・促進に取り組んできました。その結果、国内でのペット保険の普及率が約9%にまで伸長する中で、アニコムグループは2018年まで11年間連続でシェアNo.1を獲得するなど、国内におけるペット保険事業のリーディングカンパニーとしての地位を確立できたものと考えています。
これからのアニコムグループは、2019年度からを第二期創業期と位置付け、これまでの歩みを更に加速させ、“涙を拭く保険会社グループ”から、“笑顔を生み出す保険会社グループ”へと成長するための取組みを進めていきます。第二期創業期では、創業時から目指してきた、あらゆるデータから、病気・ケガを分析し、「健康度」を見る予防型保険会社グループとなることを実現していきます。
そのため、アニコムグループでは、2019年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しました。中期経営計画では、ペット保険の収益力を拡大することに加え、ペット保険の独自性・優位性を推進するための予防事業を確立・展開することを重点施策として掲げています。これらの施策を着実に取り組み、実現することで、国内におけるリーディングカンパニーとしての地位を一層強固なものとしていきます。
[中期経営計画 2019-2021(抜粋)]
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<目標とする経営指標>アニコムグループは、ペット保険事業の持続的成長に加え、財務の健全性と資本効率を両立させることを重視しています。そのための経営指標として「成長性」「安全性」「効率性」を重要な経営上の指標としており、「成長性」は連結経常収益3年平均成長率(CAGR)10%以上及び連結経常利益3年平均成長率(CAGR)20%以上、「安全性」はアニコム損害保険株式会社のソルベンシー・マージン比率380%程度を目指します。また、「効率性」はROE10%以上を目指すこととし、資本効率の最適化の観点から、持続的に資本コストを上回ることが重要であると考えています。これらの指標は、中期経営計画にも掲げており、こうした目標を達成することを通じて、企業価値の向上を目指していきます。
(3)経営環境及び対処すべき課題
<経営環境等>近年、日本国内では、ペットの飼育世帯数の伸び悩みに加え、ブリーダーの高齢化・減少などの理由により、犬の飼育頭数の逓減傾向が続いています。また、現在、国内のペット保険事業には、アニコムグループを含む損害保険業の免許を受けた5社に、少額短期保険業者の10社を加えた15社が参入しており、競争環境が厳しい状況となっています。
一方で、国内のペット産業全体の市場規模は、毎年、拡大し続けており、2018年には約1兆5千億円を超え、ペット保険市場についても、2018年のペット保険の普及率は約9%の水準まで伸長しています。これは、現代社会において、私たち人間とともに暮らすペットは、「家族の一員」であるという意識の高まりがあることに加え、ペットとして飼育するどうぶつも、これまで人気の犬や猫のほか、ハリネズミやチンチラなどのいわゆるエキゾチックアニマルと呼ばれるどうぶつ種にまで広がっていることが背景にあると考えられます。
アニコムグループでは、こうした社会情勢の変化や顧客のニーズを逃すことなく的確に捉え、新たな社会的価値を創出し続けていくことで、持続的な成長を目指していきます。
[犬・猫の飼育頭数の推移及びペット産業の市場規模]
0102010_003.png出典:一般社団法人 日本ペットフード協会
出典:㈱矢野経済 ペットビジネスマーケティング総覧2019年版
<対処すべき課題>①ペット保険事業について
アニコムグループのペット保険の保有契約数は約75万件(前期末比7.8%増)となっており、順調に増加するともに、前述のとおり、国内のペット保険の普及率についても2018年には約9%の水準まで伸長しています。しかしながら、ペット保険の先進国である英国やスウェーデンと比較すると未だ低水準と言え、引き続き、成長途上の市場であると考えています。よって、引き続き、アニコムグループが提供するペット保険が、“どうぶつの健康保険制度”として社会に広く認知・利用されるためのマーケティングやPRを強化するとともに、他社の保険商品と比較し、独自性・優位性の有する魅力ある保険商品を提供していくことが重要であり、これがペット保険事業の収
益力の更なる向上へ繋がっていくものと考えています。
そのため、ペット保険販売の最重要ターゲットであるペットショップ代理店チャネルに加え、既に飼育されているペットをターゲットとした一般チャネルの営業等を強化し、ペットショップ代理店チャネルと双璧をなす営業の主軸として成長させていきます。具体的な施策として、Webや動物病院等を通じた販売戦略を構築するとともに、当該戦略を実行するためのマーケティングやPRを強化していきます。このほか、近年、ペット飼育者が、ペットをブリーダーから直接に家族にお迎えする機会が多くなってきていること、犬の飼育頭数が逓減する一方で、猫の飼育頭数は逓増しており、保護猫の譲渡会等を通じて家族にお迎えする機会が多くなってきていることから、これらの事業者との関係を強化し、ペット保険の重要性を理解して頂くことで、新たなチャネル化や保険の付保率向上に繋げていきます。
また、2018年12月からは、「予防型保険会社」を目指すアニコムグループ独自のサービスである「どうぶつ健活」を開始しています。これは、どうぶつの腸内フローラ測定の結果から、病気のなりやすさを判定し、その結果に応じて、無料で健康診断が受けられるサービスです。この「どうぶつ健活」をアニコムグループが提供する保険商品に付帯し(※)、他社が提供する保険商品との差別化を行っています。こうした保険商品の独自性・優位性をお客様に伝えるための取組みを強化していくことで、保険事業の更なる拡大を目指します。
※「どうぶつ健活」は、「どうぶつ健保ふぁみりぃスタンダードタイプ」「どうぶつ健保べいびぃ」「どうぶつ健保すまいるふぁみりぃ」「どうぶつ健保はっぴぃ」が対象です。但し、腸内フローラ測定はすべてのどうぶつが対象ですが、健康診断サービスの対象は犬・猫に限ります。
②ペットの飼育頭数について
前述の犬の飼育頭数が逓減しているといった課題に対しては、アニコムグループが提供するブリーディングサポート等を通じて対処していきたいと考えています。具体的には、アニコムグループでは、どうぶつが有する遺伝性疾患の撲滅を目的とした遺伝子検査事業を開始しており、主要なペットショップやブリーダー等を通じて販売されるペットの遺伝子検査をアニコムグループのラボにて実施しています。こうした遺伝子検査により蓄積されたデータを活用したブリーディングに係る科学的な見知や医療などをトータルでサポートすることにより、ブリーディング現場における様々な課題を解決し、ひいては、健康なペットの流通を促し、ペットの病気やケガなどへの飼育者の不安を少しでも解消することで、飼育頭数の増加に繋げていきたいと考えています。また、こうしたブリーディングサポートにより、ブリーダーの収益機会を向上させ、ブリーダー数の減少に歯止めをかける施策にも取り組んでいきます。更に、ペット飼育者が病気や高齢になった場合や、ペットが高齢となり介護が必要となった場合等に、やむを得ずペットの飼育ができなくなることへの対応として、ペット飼育者の代わりにペットを飼育する老犬ホームや終生飼育施設(シェルター)などを運営することで、ペット飼育者が安心して飼育できる環境を構築し、飼育頭数の増加に繋げていきたいと考えています。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載に当たっては、「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。