有価証券報告書-第14期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析の検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(業績等の概要)
(1)事業の進捗の状況
① 国内
[自社販売体制の準備開始について]
当社は2018年10月16日にトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始したことを発表しました。2008年8月にエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)と締結した事業提携契約の満了が2020年12月に控えており、それ以降の事業展開において他社との事業提携を含めたあらゆる選択肢を検討してまいりましたが、患者さんの利益及び事業価値の最大化をより高い次元で実現するには自社販売体制への移行が最善であるとの結論に至りました。2021年初の自社販売体制への移行に向けて、あるべき組織体制と必要とされる人材の検討を重ね、システム構築と物流・流通インフラ整備についても綿密な投資計画の策定と実行を通じて、高品質の情報提供活動と製品供給体制を実現し、最重要経営課題である2021年度の黒字化とその後の収益の持続的拡大を目指して準備を進めてまいります。
[抗がん剤SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤) / SyB C-0501(経口剤)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
トレアキシン®については、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注1)(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として、業務提携先のエーザイを通じ、国内販売を行っています。
これらの適応症拡大を受けて、既に医療現場においては未治療(初回治療)領域でトレアキシン®が従来の標準療法であるR-CHOPに取って代わることで市場浸透が堅調に進んでいる中で、2018年7月に日本血液学会が編集し発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに収載され、標準的治療の選択肢として推奨されることになりました。これにより名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけが確立されつつあります。当事業年度における薬価ベースの売上は対前年比11.6%増と伸長しました。
本剤については、既に承認を取得した上記の3つの適応症に加え、4つ目の適応症である再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の第Ⅲ相臨床試験を開始し承認取得に向けて鋭意、症例登録に取り組んでいます。本適応症の追加については、優れた標準療法がないことから医療現場の切実なニーズがあり、患者団体からも審査当局に対してBR療法を使えるようにして欲しいという強い要望書が出ておりました。当社は新しい治療の選択肢を提供すべく、また、製品価値の最大化を図るべく、2017年8月に第Ⅲ相臨床試験を開始し、2018年1月に最初の患者登録を完了後、症例集積を鋭意進めています。
この追加適応症の取組みに加え、トレアキシン®の製品ライフサイクル・マネジメントをより一層強力に推進すべく、2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注2))の日本における独占的ライセンス契約を締結しました。これにより患者さんと医療従事者の負担を大幅に軽減することで大きな付加価値を提供するとともに、特許保護を通じてトレアキシン®の製品ライフサイクルを2031年まで延長することが可能となっております。RTD製剤は医薬品医療機器総合機構との相談を経て承認申請を現在、鋭意準備中です。RI製剤については2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始しました。
また、2018年7月には製造販売承認事項に係わる一部変更の承認を取得したことにより、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみならず、2018年8月に販売開始されたオビヌツズマブ(注3)との併用療法が可能となり、患者さんに新たな治療選択肢を提供することができるようになりました。それに加えて2018年9月には新たな効能効果として、再生医療等製品の前処置に使用可能とするため、製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請を行いました。
さらに、経営基盤の強化のためにトレアキシン®を当社事業のより強固な土台とすべく、現在開発・販売中の注射剤に加え、経口剤の開発を進めることにより、固形がんや自己免疫疾患の領域で更なるトレアキシン®の可能性を探求しています。そのような取り組みの中で、2018年1月に進行性固形がんを対象としてトレアキシン®経口剤の推奨投与量・投与スケジュール及び忍容性・安全性の検討を行い、がん腫を絞り込むことを目的として、第Ⅰ相臨床試験を開始し、2018年5月の最初の患者登録後、症例集積を鋭意進めています。また、トレアキシン®の経口投与による免疫系への作用を評価すべく、自己免疫疾患の中でも極めてニーズが高い全身性エリテマトーデス(SLE)に対する治療効果の確認を目的とする前臨床試験を実施するため、同じく2018年5月に慶應義塾大学との間で共同研究契約を締結し試験に着手しています。
(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジキンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。
(注2) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(ReadyTo Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。
(注3) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。
[抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリウム>)]
リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験の日本における臨床開発を当社が担当しており、国内では2015年12月に試験が開始され、2018年12月末時点で40症例が登録されています。本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られない、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ国以上が参加して実施中です。症例集積が進行する中で、2018年1月に行われた中間解析結果を踏まえ、FDA(米国食品医薬品局)と事前に合意したアダプティブ・デザインにより統計学的な基準に基づき症例数を増加の上で本試験を継続する旨DMC(データモニタリング委員会)から推奨されたことを受け、オンコノバ社が本試験を継続することを決定しています。この試験の成績を基に、欧米と同時期に日本での承認申請を行うことを計画しています。
リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注4)併用)を完了し、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とする第Ⅱ相臨床試験を進めています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性を確認するために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2017年10月の最初の患者登録の後、現在症例集積が順調に進んでいます。同試験終了後、アザシチジンとの併用の第Ⅰ相試験を速やかに実施し、現在、オンコノバ社が計画している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同第Ⅲ相臨床試験に参加する予定です。リゴセルチブ経口剤についても欧米に遅れることなく日本での承認申請を行うことを計画して準備を進めております。また、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とした開発については、オンコノバ社の開発状況を見据えながら日本からの参加を検討してまいります。
(注4) アザシチジン(ビダーザ®:販売元日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態にはDNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシチジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病への進行を抑えると考えられています。
[自己疼痛管理用医薬品SyB P-1501]
当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、契約の相手先は同社完全子会社であるインクライン・セラピューティクス社)から導入したSyB P-1501については、同社の本製品の事業の継続性について当社が懸念を抱く事象が生じたため、患者さんの利益を最優先する観点から2017年4月21日より新規症例登録を一時的に中断しておりました。
その後、当社は2017年10月11日に、ザ・メディシンズ・カンパニー社によるライセンス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を国際商業会議所の規定に基づき申し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨仲裁で主張しています。また、2017年11月30日に同社によるライセンス契約の違反が約定期間内に治癒されなかったことを受けて、ライセンス契約を解除し、本製品の開発は2018年2月9日に中止しました。
ザ・メディシンズ・カンパニー社との仲裁手続は現在も継続中です。
[新規開発候補品]
当社は常に中長期的な視点に立ち、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業へと成長を図るため、新薬開発候補品のグローバルのライセンス権利取得に向け探索評価を継続して実施しており、常時複数のライセンス案件を検討しております。
また、当社は2016年5月に海外事業展開の戦略的拠点として100%出資の米国子会社SymBio Pharma USA, Inc(本社:米国カリフォルニア州メンローパーク、以下「シンバイオファーマUSA」という)を設立しました。シンバイオファーマUSAをグローバル事業の拠点として新薬候補品の全世界における権利を積極的に取得することにより、米国、日本、欧州をはじめとする主要市場において開発・商業化を目指して、グローバル・スペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。
② 海外
SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画を上回る水準で順調に推移しました。
③ 経営成績の状況
当事業年度の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、3,835,530千円となりました。製品売上が前年同期比10.6%増加したことから、売上高全体で前年同期比11.4%増加となりました。
一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤、経口剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験の費用が発生したこと等により、研究開発費として1,832,746千円(前年同期比39.3%減)を、その他の販売費及び一般管理費として1,996,195千円(前年同期比1.8%増)を計上したことから、合計で3,828,941千円(前年同期比23.1%減)となりました。
これらの結果、当事業年度の営業損失は2,656,072千円(前年同期は営業損失3,947,061千円)となりました。また、保険配当金1,501千円、受取利息525千円を主とする営業外収益2,196千円を計上した一方、為替差損54,103千円、株式交付費29,650千円、支払手数料11,100千円を主とする営業外費用94,854千円を計上したことにより、経常損失は2,748,730千円(前年同期は経常損失3,976,784千円)、当期純損失は2,752,533千円(前年同期は当期純損失3,977,862千円)となりました。
なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
④ 財政状態の状況
当事業年度末における総資産は、売掛金が78,154千円、為替予約が15,844千円、ソフトウエアが14,637千円、敷金及び保証金が14,420千円、長期前払費用が12,983千円それぞれ減少した一方、現金及び預金が1,874,296千円、商品及び製品が171,310千円、未収消費税等が26,414千円、ソフトウエア仮勘定が17,135千円、立替金が12,386千円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,987,138千円増加し、6,239,423千円となりました。負債の部については、未払金が172,770千円、買掛金が121,718千円、未払法人税等が16,436千円、為替予約が16,427千円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末に比べ324,741千円増加の1,337,623千円となりました。
純資産の部については、当期純損失の計上により利益剰余金が2,752,533千円減少した一方、資本金が2,210,903千円、資本準備金が2,210,903千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,662,397千円増加の4,901,799千円となりました。この結果、自己資本比率は70.1%と前事業年度末に比べ6.5ポイント増加しました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失の計上により減少したものの、新株の発行等により、前事業年度末に比べ1,874,296千円増加の4,821,355千円となりました。
⑤ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失の計上により減少したものの、新株の発行等により、前事業年度末に比べ1,874,296千円増加の4,821,355千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
未払金155,185千円の増加、株式報酬費用122,944千円の計上、買掛金121,718千円の増加、売上債権78,154千円の減少、為替差損47,032千円の計上、減価償却費34,699千円の計上、株式交付費29,650千円の計上、支払手数料11,100千円の計上等による営業活動資金の増加要因はあったものの、税引前当期純損失2,748,733千円の計上、たな卸資産171,310千円の増加、未収消費税等26,414千円の増加、立替金12,386千円の増加等より、全体では2,324,547千円の減少(前年同期は3,816,793千円の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
敷金及び保証金の回収による収入13,747千円による投資活動資金の増加要因はあったものの、有形固定資産の取得による支出31,932千円等により、全体では26,180千円の減少(前年同期は77,507千円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式の発行による支出29,755千円による財務活動資金の減少要因はあったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,278,712千円、新株予約権の発行による収入23,100千円等により、全体では4,272,056千円の増加(前年同期は1,164,230千円の増加)となりました。
⑥ 生産、受注及び販売の状況
(生産実績)
当社は生産を行っていないため、該当事項はありません。
(商品仕入実績)
当事業年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
(受注実績)
当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(販売実績)
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑦ 資金の財源及び資金の流動性について
当社は、新規開発品の導入と、その開発に対して積極的に資金を投下しておりますが、当社は創業間もないベンチャー企業であり、また開発第1号品であるSyB L-0501の販売収益がこれらの資金需要を賄うには未だ十分ではないことから、これらの資金は主に公募増資や第三者割当による新株の発行により調達しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(業績等の概要)
(1)事業の進捗の状況
① 国内
[自社販売体制の準備開始について]
当社は2018年10月16日にトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始したことを発表しました。2008年8月にエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)と締結した事業提携契約の満了が2020年12月に控えており、それ以降の事業展開において他社との事業提携を含めたあらゆる選択肢を検討してまいりましたが、患者さんの利益及び事業価値の最大化をより高い次元で実現するには自社販売体制への移行が最善であるとの結論に至りました。2021年初の自社販売体制への移行に向けて、あるべき組織体制と必要とされる人材の検討を重ね、システム構築と物流・流通インフラ整備についても綿密な投資計画の策定と実行を通じて、高品質の情報提供活動と製品供給体制を実現し、最重要経営課題である2021年度の黒字化とその後の収益の持続的拡大を目指して準備を進めてまいります。
[抗がん剤SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤) / SyB C-0501(経口剤)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
トレアキシン®については、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注1)(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として、業務提携先のエーザイを通じ、国内販売を行っています。
これらの適応症拡大を受けて、既に医療現場においては未治療(初回治療)領域でトレアキシン®が従来の標準療法であるR-CHOPに取って代わることで市場浸透が堅調に進んでいる中で、2018年7月に日本血液学会が編集し発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに収載され、標準的治療の選択肢として推奨されることになりました。これにより名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけが確立されつつあります。当事業年度における薬価ベースの売上は対前年比11.6%増と伸長しました。
本剤については、既に承認を取得した上記の3つの適応症に加え、4つ目の適応症である再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の第Ⅲ相臨床試験を開始し承認取得に向けて鋭意、症例登録に取り組んでいます。本適応症の追加については、優れた標準療法がないことから医療現場の切実なニーズがあり、患者団体からも審査当局に対してBR療法を使えるようにして欲しいという強い要望書が出ておりました。当社は新しい治療の選択肢を提供すべく、また、製品価値の最大化を図るべく、2017年8月に第Ⅲ相臨床試験を開始し、2018年1月に最初の患者登録を完了後、症例集積を鋭意進めています。
この追加適応症の取組みに加え、トレアキシン®の製品ライフサイクル・マネジメントをより一層強力に推進すべく、2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注2))の日本における独占的ライセンス契約を締結しました。これにより患者さんと医療従事者の負担を大幅に軽減することで大きな付加価値を提供するとともに、特許保護を通じてトレアキシン®の製品ライフサイクルを2031年まで延長することが可能となっております。RTD製剤は医薬品医療機器総合機構との相談を経て承認申請を現在、鋭意準備中です。RI製剤については2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始しました。
また、2018年7月には製造販売承認事項に係わる一部変更の承認を取得したことにより、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみならず、2018年8月に販売開始されたオビヌツズマブ(注3)との併用療法が可能となり、患者さんに新たな治療選択肢を提供することができるようになりました。それに加えて2018年9月には新たな効能効果として、再生医療等製品の前処置に使用可能とするため、製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請を行いました。
さらに、経営基盤の強化のためにトレアキシン®を当社事業のより強固な土台とすべく、現在開発・販売中の注射剤に加え、経口剤の開発を進めることにより、固形がんや自己免疫疾患の領域で更なるトレアキシン®の可能性を探求しています。そのような取り組みの中で、2018年1月に進行性固形がんを対象としてトレアキシン®経口剤の推奨投与量・投与スケジュール及び忍容性・安全性の検討を行い、がん腫を絞り込むことを目的として、第Ⅰ相臨床試験を開始し、2018年5月の最初の患者登録後、症例集積を鋭意進めています。また、トレアキシン®の経口投与による免疫系への作用を評価すべく、自己免疫疾患の中でも極めてニーズが高い全身性エリテマトーデス(SLE)に対する治療効果の確認を目的とする前臨床試験を実施するため、同じく2018年5月に慶應義塾大学との間で共同研究契約を締結し試験に着手しています。
(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジキンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。
(注2) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(ReadyTo Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。
(注3) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。
[抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリウム>)]
リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験の日本における臨床開発を当社が担当しており、国内では2015年12月に試験が開始され、2018年12月末時点で40症例が登録されています。本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られない、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ国以上が参加して実施中です。症例集積が進行する中で、2018年1月に行われた中間解析結果を踏まえ、FDA(米国食品医薬品局)と事前に合意したアダプティブ・デザインにより統計学的な基準に基づき症例数を増加の上で本試験を継続する旨DMC(データモニタリング委員会)から推奨されたことを受け、オンコノバ社が本試験を継続することを決定しています。この試験の成績を基に、欧米と同時期に日本での承認申請を行うことを計画しています。
リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注4)併用)を完了し、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とする第Ⅱ相臨床試験を進めています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性を確認するために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2017年10月の最初の患者登録の後、現在症例集積が順調に進んでいます。同試験終了後、アザシチジンとの併用の第Ⅰ相試験を速やかに実施し、現在、オンコノバ社が計画している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同第Ⅲ相臨床試験に参加する予定です。リゴセルチブ経口剤についても欧米に遅れることなく日本での承認申請を行うことを計画して準備を進めております。また、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とした開発については、オンコノバ社の開発状況を見据えながら日本からの参加を検討してまいります。
(注4) アザシチジン(ビダーザ®:販売元日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態にはDNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシチジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病への進行を抑えると考えられています。
[自己疼痛管理用医薬品SyB P-1501]
当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、契約の相手先は同社完全子会社であるインクライン・セラピューティクス社)から導入したSyB P-1501については、同社の本製品の事業の継続性について当社が懸念を抱く事象が生じたため、患者さんの利益を最優先する観点から2017年4月21日より新規症例登録を一時的に中断しておりました。
その後、当社は2017年10月11日に、ザ・メディシンズ・カンパニー社によるライセンス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を国際商業会議所の規定に基づき申し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨仲裁で主張しています。また、2017年11月30日に同社によるライセンス契約の違反が約定期間内に治癒されなかったことを受けて、ライセンス契約を解除し、本製品の開発は2018年2月9日に中止しました。
ザ・メディシンズ・カンパニー社との仲裁手続は現在も継続中です。
[新規開発候補品]
当社は常に中長期的な視点に立ち、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業へと成長を図るため、新薬開発候補品のグローバルのライセンス権利取得に向け探索評価を継続して実施しており、常時複数のライセンス案件を検討しております。
また、当社は2016年5月に海外事業展開の戦略的拠点として100%出資の米国子会社SymBio Pharma USA, Inc(本社:米国カリフォルニア州メンローパーク、以下「シンバイオファーマUSA」という)を設立しました。シンバイオファーマUSAをグローバル事業の拠点として新薬候補品の全世界における権利を積極的に取得することにより、米国、日本、欧州をはじめとする主要市場において開発・商業化を目指して、グローバル・スペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。
② 海外
SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画を上回る水準で順調に推移しました。
③ 経営成績の状況
当事業年度の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、3,835,530千円となりました。製品売上が前年同期比10.6%増加したことから、売上高全体で前年同期比11.4%増加となりました。
一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤、経口剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験の費用が発生したこと等により、研究開発費として1,832,746千円(前年同期比39.3%減)を、その他の販売費及び一般管理費として1,996,195千円(前年同期比1.8%増)を計上したことから、合計で3,828,941千円(前年同期比23.1%減)となりました。
これらの結果、当事業年度の営業損失は2,656,072千円(前年同期は営業損失3,947,061千円)となりました。また、保険配当金1,501千円、受取利息525千円を主とする営業外収益2,196千円を計上した一方、為替差損54,103千円、株式交付費29,650千円、支払手数料11,100千円を主とする営業外費用94,854千円を計上したことにより、経常損失は2,748,730千円(前年同期は経常損失3,976,784千円)、当期純損失は2,752,533千円(前年同期は当期純損失3,977,862千円)となりました。
なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
④ 財政状態の状況
当事業年度末における総資産は、売掛金が78,154千円、為替予約が15,844千円、ソフトウエアが14,637千円、敷金及び保証金が14,420千円、長期前払費用が12,983千円それぞれ減少した一方、現金及び預金が1,874,296千円、商品及び製品が171,310千円、未収消費税等が26,414千円、ソフトウエア仮勘定が17,135千円、立替金が12,386千円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,987,138千円増加し、6,239,423千円となりました。負債の部については、未払金が172,770千円、買掛金が121,718千円、未払法人税等が16,436千円、為替予約が16,427千円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末に比べ324,741千円増加の1,337,623千円となりました。
純資産の部については、当期純損失の計上により利益剰余金が2,752,533千円減少した一方、資本金が2,210,903千円、資本準備金が2,210,903千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,662,397千円増加の4,901,799千円となりました。この結果、自己資本比率は70.1%と前事業年度末に比べ6.5ポイント増加しました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失の計上により減少したものの、新株の発行等により、前事業年度末に比べ1,874,296千円増加の4,821,355千円となりました。
⑤ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失の計上により減少したものの、新株の発行等により、前事業年度末に比べ1,874,296千円増加の4,821,355千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
未払金155,185千円の増加、株式報酬費用122,944千円の計上、買掛金121,718千円の増加、売上債権78,154千円の減少、為替差損47,032千円の計上、減価償却費34,699千円の計上、株式交付費29,650千円の計上、支払手数料11,100千円の計上等による営業活動資金の増加要因はあったものの、税引前当期純損失2,748,733千円の計上、たな卸資産171,310千円の増加、未収消費税等26,414千円の増加、立替金12,386千円の増加等より、全体では2,324,547千円の減少(前年同期は3,816,793千円の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
敷金及び保証金の回収による収入13,747千円による投資活動資金の増加要因はあったものの、有形固定資産の取得による支出31,932千円等により、全体では26,180千円の減少(前年同期は77,507千円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式の発行による支出29,755千円による財務活動資金の減少要因はあったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,278,712千円、新株予約権の発行による収入23,100千円等により、全体では4,272,056千円の増加(前年同期は1,164,230千円の増加)となりました。
⑥ 生産、受注及び販売の状況
(生産実績)
当社は生産を行っていないため、該当事項はありません。
(商品仕入実績)
当事業年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
| 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | ||
| 商品仕入高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 商品仕入 | 2,968,586 | 114.7 |
| 合計 | 2,968,586 | 114.7 |
(注) 1.当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
(受注実績)
当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(販売実績)
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
| 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | ||
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 商品販売 | 3,809,874 | 110.6 |
| マイルストーン収入 | 25,656 | - |
| 合計 | 3,835,530 | 111.4 |
(注) 1.当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) | 当事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| エーザイ株式会社 | 3,382,484 | 98.2 | 3,648,493 | 95.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑦ 資金の財源及び資金の流動性について
当社は、新規開発品の導入と、その開発に対して積極的に資金を投下しておりますが、当社は創業間もないベンチャー企業であり、また開発第1号品であるSyB L-0501の販売収益がこれらの資金需要を賄うには未だ十分ではないことから、これらの資金は主に公募増資や第三者割当による新株の発行により調達しています。