半期報告書-第22期(2026/01/01-2026/12/31)

【提出】
2026/08/10 15:53
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における当社グループの事業の主な進捗状況は、以下のとおりです。
① 当中間連結会計期間の経営成績
当社グループは、2030年に国内売上高と海外売上高の比率を50対50とする「50:50 in 2030」の目標を達成することで、グローバルスペシャリティファーマの実現を目指します。
事業の中核であるBCV(ブリンシドホビル)は広域かつ高い抗ウイルス活性および高い抗がん活性を持つことからゲームチェンジャーとしてのポテンシャルが高く、複数の疾患領域をターゲットに事業化を目指しています。現在、移植後ウイルス感染症領域、血液がん・固形がん領域、脳神経変性疾患領域の3つの重点疾患領域にグローバル開発を推進しております。
また、ピコレベルでの超高感度を実現したイムノクロマトシステム特許を基盤としたIVD(体外診断検査)は、POCTによって現場での即時測定による早期診断を可能とします。また、医療分野以外にも産業分野・非医療分野での貢献が期待されます。
当中間連結会計期間においては、成長戦略を中核に据え、当社グループはBCVの開発およびIVDの事業化に向けた取り組みを着実に推進いたしました。IV BCV(注射剤ブリンシドホビル)の造血幹細胞移植後アデノウイルス感染症を対象としたグローバル第Ⅲ相臨床試験における最初の患者登録(FPI:First Patient In)を達成しました(2026年3月)。また、脳神経変性疾患領域では、PMLを対象としたNIH主導の第Ⅱ相臨床試験におけるFPIを達成しました(2026年6月)。さらに、IV BCVの複数適応に関する用途特許を確保しました(米国・欧州:アデノウイルス感染症/2026年2月・5月、日本:悪性リンパ腫/2026年3月)。これらの排他的権利の確保を通じて、将来の事業基盤の強化に努めてまいります。
IVD事業につきましては、当社と日鉄ケミカル&マテリアル株式会社が共同で取得した超高感度イムノクロマトシステム特許を基盤に事業化を進めており、現在、事業展開に向けたパートナリングに関する協議を進めております。
当中間連結会計期間の経営成績につきましてはトレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD(Ready-To-Dilute)製剤]の売上高が薬価改定および後発品の浸透の影響により、469,964千円(前年同期比27.3%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、合計で3,973,229千円(前年同期比50.1%増)となり、そのうち研究開発費は2,997,228千円(前年同期比89.5%増)となっております。
これらの結果、営業損失は3,635,081千円(前年同期は営業損失2,154,055千円)、経常損失は3,608,419千円(前年同期は経常損失2,340,948千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は、3,619,930千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失2,369,190千円)となりました。
当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 研究開発活動
当中間連結会計期間においては、開発パイプラインに関する研究開発を以下のとおり推進しました。
SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドホビル>「BCV」)
移植後ウイルス感染症領域
・アデノウイルス感染症:造血幹細胞移植後のアデノウイルス感染症を対象とするIV BCVの臨床試験については、第Ⅱ相試験でPOCを達成したあと、グローバル第Ⅲ相臨床試験において、2026年3月に米国で最初の患者登録を達成、7月時点で22症例となり、対象の各国・地域で現在症例集積が順調に進んでおります。本試験は、米国及び欧州を中心とした計80施設で180例の患者登録を計画しており、EUでの新薬承認申請は2028年下半期を予定しています。本開発プログラムは、既に日欧で希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定、欧州ではさらに小児調査計画(PIP)の承認、米国ではファストトラックの指定を受けております。2026年5月には、IV BCVの用途特許が欧州で成立し、日米欧での用途特許が確保できたため、これらの制度的優遇措置を組み合わせることで強固な知的財産ポートフォリオを構築し、IV BCVの事業価値を中長期的に最大化する体制が整いました。
・サイトメガロウイルス感染症:免疫不全患者のサイトメガロウイルス感染症を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国で実施いたしました。本試験結果は、2026年2月に米国ユタ州で開催されたTandem Meetingsにおいて、Late-Breaking Abstract(最新の重要演題)として口頭発表されました。複数の前治療歴を有する患者において、CMV血症の減少効果および良好な忍容性(副作用への耐性)が示され、治療選択肢が限られるCMV感染患者に対する新たな治療選択肢となる可能性が示されました。なお、2016年4月に欧州委員会よりサイトメガロウイルス感染症の予防についてオーファンドラッグ指定を受けています。
血液がん・固形がん領域
BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も確認されており、がん領域における臨床試験を実施しています。また、各国の研究機関との共同研究等を通じて、血液がん・固形がん領域における新規適応症の探索も行っています。
・悪性脳腫瘍(膠芽腫):2021年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳腫瘍センターと、BCVの脳腫瘍に対する抗腫瘍効果に関する共同研究を実施しています。研究成果は複数の国際学会で発表され、現在、臨床試験について、この領域におけるKey Opinion Leadersと検討中です。
・EBウイルス関連胃がん:BCVと免疫チェックポイント阻害薬の併用療法がEBウイルス関連胃がんの新たな治療選択肢となる可能性を示す前臨床試験結果が、2026年6月に開催されたASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表されました。
・頭頸部がん:BCVの頭頸部がんに対する治療効果について、免疫チェックポイント阻害剤(抗ヒトPD-1抗体)との顕著な併用効果を含む前臨床試験の結果を、2025年10月20日、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025、ドイツ・ベルリン)で発表しました。
以上の3つの固形がんについて、内外の有力な機関と連携して臨床試験実施の検討を進めております。また、今後の開発促進のために、他の製薬企業との連携も探っていきます。
・悪性リンパ腫:現在一時停止している悪性リンパ腫患者を対象とした国際共同第Ⅰb相臨床試験は、1例の再発難治性悪性リンパ腫患者において部分奏効(PR、腫瘍の縮小を表す一指標)が確認され、動物試験で確認された本剤が持つ抗がん活性がヒトでも示唆される結果となりました。本試験を通じて、IV BCVのオンコロジーにおける開発にとって有益な知見が得られたものと考えており、対象がん腫を含む今後の開発方針について検討を続けてまいります。
なお、前臨床試験では、シンガポール国立がんセンターとEBウイルス陽性リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果及びそのメカニズムの探索に関する共同研究を実施しています。2026年2月に悪性リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果・作用機序・感受性バイオマーカーに関する研究成果がBMC Medicine誌に掲載されました。これらの研究成果に基づき、2026年3月にIV BCVの悪性リンパ腫に関する用途特許が日本国特許庁で登録されました。なお、本件に関しては既にPCT出願を2023年8月に行っており、今後もグローバルにおけるIV BCVの知的財産ポートフォリオの拡充を進めてまいります。
・EBウイルス関連リンパ増殖性疾患(PTLD):米国国立衛生研究所(NIH)傘下の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)とPTLDを対象に2023年に締結した共同研究開発協定(CRADA)を3年間延長しました。ヒト化マウスを用いてEBウイルスの再活性化を伴った動物モデルの作製に成功したことにより、今後の共同研究は本動物モデルを活用してBCVの治療効果を検証し、臨床試験の開始に向け、知見を蓄積することを目的としております。
脳神経変性疾患領域
近年、複数のウイルス感染が脳神経変性疾患のリスク因子であることが示されています。中でも、ウイルス性脳炎の既往はアルツハイマー病と強い関連を示し、EBウイルスは多発性硬化症(MS)との関連が確認されています。培養細胞を用いた前臨床試験でBCVがこれらのウイルスを抑制することが示されているため、当社グループはウイルス関連の脳神経変性疾患領域をBCV開発の第3の柱と位置づけています。
2026年2月より、NIH主導で進行性多巣性白質脳症(PML)に対する第Ⅱ相臨床試験をNIH臨床センターで実施しております。以下疾患ごとに最近の進捗について記述します。
・PML:ポリオーマウイルスであるJCウイルス(JCV)は、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)の中でも、脳に重篤なPMLという脱髄疾患を引き起こすことが知られています。既存の抗ウイルス薬では効果がほとんど見られないため、有効な治療薬の開発が待望されています。2026年2月に、米国国立衛生研究所(NIH)内の米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)との間でCRADAを締結しました。この契約に基づき、IV BCVを用いてJCVが活性化して起こる希少疾患であるPMLを対象とした臨床試験をNIH臨床センターで開始し、症例解析が着実に進んでおります。また、アカデミアとの共同研究による前臨床試験から得られた研究成果を基に特許出願を行うとともに、ライセンス契約を締結することで、本疾患領域における今後の開発及び事業化を独占的に進めてまいります。
・MS:難病である多発性硬化症は、近年、体内のリンパ球に潜伏するEBウイルスの再活性化が主たる発症原因のひとつである可能性が示されています。BCVは他の抗ウイルス薬に比べ、EBウイルスに対して高い抗ウイルス活性を有することから、2023年3月にNINDSとCRADAを締結し、EBウイルスを標的とした新規治療法の開発に向けた共同研究を開始しました。本共同研究により、BCVが低用量でEBウイルスの活性を顕著に抑制すること、また多発性硬化症患者由来の細胞を用いた実験では、EBウイルスが潜伏するB細胞リンパ球のみを選択的に標的とすることが確認されました。これらの成果は2026年1月にJournal of Clinical Investigation誌に掲載されており、従来のB細胞リンパ球の除去を目的とした治療方法とは異なる画期的な多発性硬化症治療法の開発につながる可能性を強く示唆しています。2026年3月には、CRADAを3年間延長しており、ヒトへの適応につなげることを視野に研究を進めてまいります。なお、CRADAに基づく研究の成果として得られた発明に関して申請済みの特許について、当社と米国保健福祉省との間において、当社に対する独占的ライセンスの付与に係るライセンス契約の交渉が最終段階に入っております。当該ライセンス契約は、上記申請済みの特許に基づく新規治療法が将来的に実用化された場合に、当社が当該特許を独占的に利用することを可能とするものです。このため、2026年12月期の連結業績見通しへの影響はありません。当該ライセンス契約が締結された場合には、速やかに公表いたします。
・アルツハイマー型認知症:dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)をはじめ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)等、脳神経組織への指向性を有するウイルスが存在します。これらのウイルスが潜伏感染からの再活性化を通じて、アルツハイマー型認知症を含む様々な脳神経疾患の発症に関与している可能性が近年示唆されています。当社グループは、米国タフツ大学との共同研究による知見に基づいて、アルツハイマー型認知症及び軽度認知障害(MCI)に対するBCVの開発を進めてまいります。また、アカデミアとの共同研究による前臨床試験から得られた研究成果を基に特許出願を行うとともに、ライセンス契約を締結することで、本疾患領域における今後の開発及び事業化を独占的に進めてまいります。
③ IVD事業(新規開発事業)
当社グループは、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社(以下、日鉄C&M)と取得した「高感度かつ簡便なイムノアッセイ法、及びその装置」に関する共同出願特許を基にした超高感度(ピコレベル)の測定システムの早期商業化に取り組んでいます。2026年5月には、同システムの基盤となるナノコンポジット粒子の供給に関しては日鉄C&M社と、超高感度検査キットの製造については株式会社ニッポンジーンとの間で安定的なサプライチェーンを確立しました。IVDにおける既存測定技術はナノモル(nM)レベルの壁に阻まれており、感度及び精度の制約によりIVD事業の成長性が限定的となっています。当社の独自技術である「ピコモル(pM)高感度エンジン」は、現場で既存技術の1,000倍の超高感度・定量化ができ、ウイルスを迅速に検出できるという測定ニーズに応えるものであり、「空白の診断領域」を埋める技術基盤となるものです。このシステムにより、患者のベッドサイドを含むさまざまな測定場所において検査結果を即座に医療機関と共有することが可能となります。緊急時を含め、疾患の早期の検査・診断から、治療方針の決定、その後の経過観察まで、幅広い医療の過程で活用が期待されます。また、本検査システムの応用範囲は医療分野に限らず、農業における病害検査、畜産業における感染症検査、食品産業における安全性検査等、非医療分野においてもさまざまな展開が可能となります。そのため、現在実績をもつ専門性の高い企業との事業提携を基本戦略としており、現在、交渉を行っています。
④ 新規開発候補品の導入
当社グループは2019年に導入したBCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品の探索および評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。
⑤ 財政状態
当中間連結会計期間末における総資産は1,907,458千円となりました。流動資産は1,865,798千円となり、主な内訳は、現金及び預金が977,184千円、売掛金が150,164千円、商品及び製品が91,908千円であります。固定資産は41,660千円となり、主な内訳は、敷金及び保証金が37,349千円であります。
負債の部については、総額2,490,306千円となりました。流動負債は2,485,317千円となり、主な内訳は、未払金が1,499,594千円、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が800,000千円であります。固定負債は4,989千円となり、内訳は、退職給付に係る負債が4,989千円であります。
純資産の部については、総額△582,847千円となりました。主な内訳は、資本金が20,163,737千円、資本剰余金が20,138,564千円、新株予約権が268,137千円であります。
この結果、自己資本比率は△44.6%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は977,184千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純損失3,601,546千円の計上、その他の流動資産34,841千円の増加等により営業活動資金が減少した一方、未払金1,011,940千円の増加、売上債権109,511千円の減少等により、全体では2,474,022千円の支出(前中間連結会計期間は2,510,623千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
299千円の支出(前中間連結会計期間は6,555千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
新株予約権の行使による株式の発行による収入1,225,106千円、社債の償還による支出653,636千円等により、全体では562,780千円の収入(前中間連結会計期間は1,703,651千円の収入)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
第2 事業の状況 1 事業等のリスク (継続企業の前提に関する重要事象等)に記載のとおり当中間連結会計期間末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。このような状況を解消または改善するために、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載した施策を実施してまいります。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、2,997,228千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

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