有価証券報告書-第22期(2025/01/01-2025/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
創薬事業においては、自社開発中のがん治療用抗体であるCBA-1205及びCBA-1535の臨床第1相試験を進めております。CBA-1205では、肝細胞がん患者さん及びメラノーマ患者さんに加え、2025年8月にはアンメットニーズの高い小児がんを対象とするパート追加を決定し、現在、対象患者さんの投与を進めております。
多重特異性抗体であるCBA-1535においては、固形がん患者さんを対象に段階的に投与量を上げて治験薬の安全性の確認を進めております。また、2025年8月には、NANO MRNAとの間で、当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究契約を締結し、将来的には製薬企業と共同開発或いは導出を目指した取り組みを始めております。その他の創薬パイプラインについては、導出契約獲得に向けて導出候補先となりうる企業への紹介と協議を進めております。
創薬支援事業においては、従来の大口顧客との取引を中心としつつ、当事業年度においても、収益基盤の安定化に向けた活動を推進しております。
当期に新たに立ち上げたIDDビジネス(抗体創薬にかかるプラットフォーム型ビジネス)においては、枠組みの構築に向けたパートナー候補企業との提携を進め、収益を伴う新たな取引を開始いたしました。バイオシミラー(*)領域においては、2025年5月には、アルフレッサ ホールディングス株式会社(以下、アルフレッサ ホールディングス)及びキッズウェル・バイオ株式会社(以下、キッズウェル)の三社共同で申請を行った厚生労働省の助成事業における助成対象事業者に採択され、現在、台湾のバイオ医薬品製造受託機関であるMycenax Biotech Inc.を加えた4社の協働にて、バイオシミラー医薬品の国内製造施設の設立に向けた活動を進めております。さらに、アルフレッサ ホールディングス及びキッズウェルと共同で、新規バイオシミラー医薬品の細胞株構築の開発を進めており、今後、国内外の製薬企業を開発パートナーとして迎え本剤の上市に向けた取り組みを進めてまいります。また、創薬開発や創薬ベンチャー育成に当社ノウハウを提供することを想定したIDDビジネスの取り組みとして、2025年3月に株式会社エスアールディとの間で業務提携契約を締結、2025年10月にはAxcelead Drug Discovery Partners株式会社と業務協力基本契約書を締結するなど、当社は創薬ベンチャーにおける抗体創薬シーズ開発に対するコンサルティングサービスを提供するビジネスを推進してまいります。
IDDビジネスでは当社のBiologics領域での創薬知見・技術を生かし、製薬会社やバイオベンチャー等の創薬ニーズの課題解決のためのソリューションを提供いたします。当社では自社の創薬技術を向上させる目的で創薬研究ニーズの高い多重特性抗体作製力の向上に努めており、現在、二重特異性抗体のハイスループットスクリーニング手法である「DoppeLib™」の技術実装にも注力しております。なお、当事業年度において生じたバイオシミラービジネス、および新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は、創薬支援事業の売上高に含めております。
当事業年度における当社業績につきましては、売上高593,290千円(前期比187,518千円減少)、研究開発費776,536千円(前期比160,200千円減少)、営業損失は979,774千円(前事業年度は1,030,869千円の営業損失)、経常損失は989,127千円(前事業年度は1,019,210千円の経常損失)、当期純損失は982,779千円(前事業年度は1,020,776千円の当期純損失)となりました。研究開発費につきましては、主に臨床開発関連費用の計上額が前事業年度よりも減少したことで、営業損失、経常損失及び当期純損失はともに前事業年度比で赤字幅の縮小となりました。
当事業年度におけるセグメント別の活動概況は次のとおりです。
a.創薬事業
・創薬パイプライン(導出品)
PFKRはGタンパク質共役型受容体の1種であるCX3CR1を標的としたヒト化抗体であり、当社が国立精神・神経医療研究センターと共同研究を進めてきた治療用候補抗体です。2024年11月に旭化成ファーマ株式会社との間で、ライセンス契約を締結し、同社では今後の前臨床試験入りに向けた準備が進められております。
・創薬パイプライン(自社研究開発・導出候補品)
CBA-1205については、日本国内において特定のがん種の患者さんにおける安全性と有効性の評価を目的とした臨床第1相試験後半パートを実施しております。後半パートの対象患者さんは、肝細胞がんの患者さん及びメラノーマの患者さんです。更に、欧州の研究機関との共同研究において、小児の固形がんに対して抗DLK-1抗体が有効性を示す可能性が示唆されたことと、本抗体の成人患者さんへの投与実績から高い安全性が示されており小児への投与が可能な状況となっていることから、2025年8月には、小児がん患者さんを対象とするパート追加を決定しました。今後、肝細胞がんの患者さんとメラノーマの患者さんに加え、小児がん患者さんにおける安全性及び忍容性を評価し、導出可能性及び製品価値の最大化につながるデータ取得に向けた臨床開発を進めてまいります。なお、前半パートに登録されたメラノーマ患者さんでは、腫瘍縮小を伴うSD(安定)評価が4年を超えるデータが得られております。
CBA-1535につきましては、日本国内において固形がん患者さんを対象とした第1相試験を実施しています。現在、CBA-1535単独投与による安全性及び忍容性の評価が進行中であり、これまでのところ、開発上の懸念を示すような副作用は観察されておりません。段階的に投与量を漸増させながら治験を継続しており、当初予定よりも高用量での臨床試験を継続しております。なお、単剤での薬効シグナルを確認した後にCBA-1535とチェックポイント阻害剤の併用投与による安全性及び忍容性の評価も計画しておりますが、単剤パートの試験データでの導出等の可能性も見据えながら、臨床試験を推進してまいります。
PTRYは、CBA-1535のT cell engagerとしての機能に免疫チェックポイント阻害機能を加えることを期待したTribody®抗体であり、初期の動物モデルを用いた評価では強い抗腫瘍効果を示しております。本プロダクトの開発については、CBA-1535の開発状況によっては前臨床段階でのライセンスアウトの可能性が期待できることから、自社での初期臨床開発を実施せず早期の事業化・臨床開発入りが期待できる製薬企業への導出を優先することとしております。
PCDCはヒト化抗CDCP1抗体の薬物複合体として、抗体薬物複合体(ADC)用途を中心として導出活動に取り組んでおります。世界的にADCへの注目が高まる中、現在、ADC技術を保有する製薬企業等への導出活動を進めております。
PXLRは胃がんや膵がんなどで高発現するCXCL1を治療標的とするがん治療用抗体で、当社が大阪公立大学と共同研究を進めてきた新たな導出候補品です。
その他、当社では複数の探索段階の創薬プロジェクトの導出活動を進めると共に、2025年8月に当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究を開始、さらにアカデミアとの共同研究を推進するなど、新たなパイプライン拡充に向けた取り組みも精力的に進めております。
・IDDビジネス
当社では従来推進してきた創薬シーズの創出と知財化を行うことによる新たなパイプラインの拡充と導出機会の探索等に加え、抗体創薬における技術力やノウハウを生かしたIDDビジネスにより収益性を高めていくことを目指しております。現在、IDDビジネスでは、新規の創薬研究やバイオシミラー開発における創薬スタートアップや製薬企業等との新たなコラボレーションの推進に注力しております。
以上の結果、創薬事業における当事業年度の業績は、臨床開発の進展により776,536千円(前期比160,200千円減少)の研究開発費を計上、セグメント損失は776,536千円(前事業年度は813,784千円のセグメント損失)となりました。
b.創薬支援事業
創薬支援事業は、安定的な収益確保に資する事業であり、当社独自の抗体作製技術プラットフォーム(ADLib®システム)を活かした抗体作製や親和性向上等の業務、タンパク質精製技術を中心としたタンパク質調製業務を受託し、小野薬品工業株式会社、中外製薬株式会社といった国内の主要製薬企業を中心にバイオ医薬の研究支援を展開しております。顧客企業からは当社の技術サービス力をご評価いただいており、当事業年度においても、日東紡績株式会社等複数の新規顧客獲得を進め、当社収益基盤の安定化のための取り組みを継続して推進しております。また、当事業年度におけるバイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上しております。
創薬支援事業における当事業年度の業績は、売上高は593,290千円(前期比15,433千円増加)となり、セグメント利益は355,583千円(前期比45,683千円増加)、セグメント利益率は59.9%(目標50%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は1,205,026千円となり、前事業年度末と比べ858,254千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は935,988千円となりました。これは主に税引前当期純損失の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55,463千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は133,198千円となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社は研究開発を主体としており、受注実績を定義することが困難であるため、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社の事業は創薬事業と創薬支援事業により構成されており、当事業年度の当社業績は、593,290千円と前事業年度と比較し187,518千円の減収(前期比76.0%)となりました。これは前事業年度の創薬事業において旭化成ファーマとのPFKRのライセンス契約に伴う契約一時金を計上したことが要因となっております。
コスト面においては、販売費及び一般管理費は1,335,358千円と前期比128,363千円の減少となり、特にCBA-1205のCMC開発等の研究開発費の減少が主な要因となっております。
創薬事業は当社の成長をけん引する事業であり、アンメットニーズに光を当てるための医薬品の研究開発を推進しております。通常、医薬品の研究開発においては、研究開発資金の先行投資と成功時には大きなリターン、サイエンスの不確実性による開発遅延・中止リスク等と向き合うことになるため、継続的な成長のためには複数の創薬パイプラインを確保するなどの手立てを打つことが重要であります。当事業年度においては、CBA-1205の第1相臨床試験の後半パートが進行、CBA-1535では第1相臨床試験の前半パートが進行中であり、現在、2つの開発候補品の取り組みが進んでおります。CBA-1205については臨床試験等のデータを踏まえ、適応症拡大にむけたコホート追加を行うなど、製品価値の最大化にむけた臨床開発を進めております。これらの初期臨床開発実施後の導出を目指すことで、前臨床段階の導出と比較し、より大きな経済条件の獲得できることを目指しております。
探索段階にある創薬プロジェクトにおいては、当社は複数の創薬パイプラインを創製し導出することで、当社の収益の選択肢拡大に努めております。前事業年度においては、PFKRを旭化成ファーマに導出し、2億円の契約一時金の受領と、将来的な開発および販売の進捗に応じ総額248億円のマイルストーンや販売に応じたロイヤルティを受領する権利を含むライセンス契約を締結いたしました。また、PFKRに続く探索段階創薬プロジェクトの導出候補として、がん治療用抗体であるPCDC、Tribody®のがん治療用抗体PTRY、がん領域の治療用抗体PXLRなどについても、ライセンス契約の獲得にむけて導出活動を推進しております。また、当事業年度においては、NANO MRNAと、Tribody®とmRNAの組み合わせによる画期的な新薬開発の創出に向けた共同研究を開始いたしました。以上の結果、当事業年度における創薬事業の研究開発費は776,536千円、セグメント損失は776,536千円となっております。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の抗体の技術プラットフォームを活かして日本の製薬企業やアカデミアの研究支援を実施しております。タンパク質調製業務や抗体作製など個々の業務を担う競合他社が多数ありますが、製薬企業を中心とした当社顧客に対して、高い品質や柔軟な対応を行うサテライトラボとして高付加価値型サービスを提供することを目指し、他の競合企業との差別化を図っております。また、当事業年度からはIDDビジネスにおける業務一部を創薬支援事業下で遂行しており、当社の抗体創薬における技術力や創薬力を生かした創薬プラットフォーム機能を製薬企業や創薬スタートアップ等に提供しております。なお、高付加価値型ビジネスを遂行する上での目標として、セグメント利益率を50%以上維持することとしております。当事業年度においては、国内大手製薬会社との新たな業務委託基本契約の締結等を進めつつ、バイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上したことにより、創薬支援事業の売上高は当初の業績予想額500,000千円に対し593,290千円と、達成率118.6%となりました。なお、セグメント利益率は59.9%、セグメント利益は355,583千円(前年比45,683千円増)を確保しております。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
②資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は研究開発型ベンチャー企業であり、研究開発のための先行投資が必要となっております。資本の財源となる収益については、これまで主として提携先製薬企業等から委受託業務による収益を獲得しており、加えて、保有する創薬パイプラインの導出により契約一時金、マイルストーン収入等を計上しております。将来において、当社が保有する創薬パイプラインが新たに導出に至った場合には、契約一時金、マイルストーン収入の増加が見込まれ、また、医薬品が上市された場合には販売ロイヤルティを受領することとなります。導出に至るまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画であり、当事業年度においては、CBA-1205の追加の治験薬製造にかかるCMC開発やCBA-1535の臨床開発の進展などによる支払が発生したことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは935,988千円の支出となりました。
なお、上記先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについて、現在既に収益を得ている創薬支援事業において新たに取引先を拡大することに加え、新たにIDDビジネスを立ち上げ、研究支援のみならず臨床開発も見据えたコンサルティングや共同研究への参画などを通じて営業キャッシュ・フローの改善に努めております。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、助成金の獲得や必要に応じた資金調達等により補填を行っております。資金調達においては、新株予約権の発行によるエクイティファイナンスに加え、有利子負債の調達も含めて実施しており、調達上の安定性の確保の観点や財務レバレッジにも留意しております。
資金の流動性につきましては、当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローが935,988千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが55,463千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが133,198千円の収入となり、現金及び現金同等物の期末残高は1,205,026千円となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
創薬事業においては、自社開発中のがん治療用抗体であるCBA-1205及びCBA-1535の臨床第1相試験を進めております。CBA-1205では、肝細胞がん患者さん及びメラノーマ患者さんに加え、2025年8月にはアンメットニーズの高い小児がんを対象とするパート追加を決定し、現在、対象患者さんの投与を進めております。
多重特異性抗体であるCBA-1535においては、固形がん患者さんを対象に段階的に投与量を上げて治験薬の安全性の確認を進めております。また、2025年8月には、NANO MRNAとの間で、当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究契約を締結し、将来的には製薬企業と共同開発或いは導出を目指した取り組みを始めております。その他の創薬パイプラインについては、導出契約獲得に向けて導出候補先となりうる企業への紹介と協議を進めております。
創薬支援事業においては、従来の大口顧客との取引を中心としつつ、当事業年度においても、収益基盤の安定化に向けた活動を推進しております。
当期に新たに立ち上げたIDDビジネス(抗体創薬にかかるプラットフォーム型ビジネス)においては、枠組みの構築に向けたパートナー候補企業との提携を進め、収益を伴う新たな取引を開始いたしました。バイオシミラー(*)領域においては、2025年5月には、アルフレッサ ホールディングス株式会社(以下、アルフレッサ ホールディングス)及びキッズウェル・バイオ株式会社(以下、キッズウェル)の三社共同で申請を行った厚生労働省の助成事業における助成対象事業者に採択され、現在、台湾のバイオ医薬品製造受託機関であるMycenax Biotech Inc.を加えた4社の協働にて、バイオシミラー医薬品の国内製造施設の設立に向けた活動を進めております。さらに、アルフレッサ ホールディングス及びキッズウェルと共同で、新規バイオシミラー医薬品の細胞株構築の開発を進めており、今後、国内外の製薬企業を開発パートナーとして迎え本剤の上市に向けた取り組みを進めてまいります。また、創薬開発や創薬ベンチャー育成に当社ノウハウを提供することを想定したIDDビジネスの取り組みとして、2025年3月に株式会社エスアールディとの間で業務提携契約を締結、2025年10月にはAxcelead Drug Discovery Partners株式会社と業務協力基本契約書を締結するなど、当社は創薬ベンチャーにおける抗体創薬シーズ開発に対するコンサルティングサービスを提供するビジネスを推進してまいります。
IDDビジネスでは当社のBiologics領域での創薬知見・技術を生かし、製薬会社やバイオベンチャー等の創薬ニーズの課題解決のためのソリューションを提供いたします。当社では自社の創薬技術を向上させる目的で創薬研究ニーズの高い多重特性抗体作製力の向上に努めており、現在、二重特異性抗体のハイスループットスクリーニング手法である「DoppeLib™」の技術実装にも注力しております。なお、当事業年度において生じたバイオシミラービジネス、および新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は、創薬支援事業の売上高に含めております。
当事業年度における当社業績につきましては、売上高593,290千円(前期比187,518千円減少)、研究開発費776,536千円(前期比160,200千円減少)、営業損失は979,774千円(前事業年度は1,030,869千円の営業損失)、経常損失は989,127千円(前事業年度は1,019,210千円の経常損失)、当期純損失は982,779千円(前事業年度は1,020,776千円の当期純損失)となりました。研究開発費につきましては、主に臨床開発関連費用の計上額が前事業年度よりも減少したことで、営業損失、経常損失及び当期純損失はともに前事業年度比で赤字幅の縮小となりました。
当事業年度におけるセグメント別の活動概況は次のとおりです。
a.創薬事業
・創薬パイプライン(導出品)
PFKRはGタンパク質共役型受容体の1種であるCX3CR1を標的としたヒト化抗体であり、当社が国立精神・神経医療研究センターと共同研究を進めてきた治療用候補抗体です。2024年11月に旭化成ファーマ株式会社との間で、ライセンス契約を締結し、同社では今後の前臨床試験入りに向けた準備が進められております。
・創薬パイプライン(自社研究開発・導出候補品)
CBA-1205については、日本国内において特定のがん種の患者さんにおける安全性と有効性の評価を目的とした臨床第1相試験後半パートを実施しております。後半パートの対象患者さんは、肝細胞がんの患者さん及びメラノーマの患者さんです。更に、欧州の研究機関との共同研究において、小児の固形がんに対して抗DLK-1抗体が有効性を示す可能性が示唆されたことと、本抗体の成人患者さんへの投与実績から高い安全性が示されており小児への投与が可能な状況となっていることから、2025年8月には、小児がん患者さんを対象とするパート追加を決定しました。今後、肝細胞がんの患者さんとメラノーマの患者さんに加え、小児がん患者さんにおける安全性及び忍容性を評価し、導出可能性及び製品価値の最大化につながるデータ取得に向けた臨床開発を進めてまいります。なお、前半パートに登録されたメラノーマ患者さんでは、腫瘍縮小を伴うSD(安定)評価が4年を超えるデータが得られております。
CBA-1535につきましては、日本国内において固形がん患者さんを対象とした第1相試験を実施しています。現在、CBA-1535単独投与による安全性及び忍容性の評価が進行中であり、これまでのところ、開発上の懸念を示すような副作用は観察されておりません。段階的に投与量を漸増させながら治験を継続しており、当初予定よりも高用量での臨床試験を継続しております。なお、単剤での薬効シグナルを確認した後にCBA-1535とチェックポイント阻害剤の併用投与による安全性及び忍容性の評価も計画しておりますが、単剤パートの試験データでの導出等の可能性も見据えながら、臨床試験を推進してまいります。
PTRYは、CBA-1535のT cell engagerとしての機能に免疫チェックポイント阻害機能を加えることを期待したTribody®抗体であり、初期の動物モデルを用いた評価では強い抗腫瘍効果を示しております。本プロダクトの開発については、CBA-1535の開発状況によっては前臨床段階でのライセンスアウトの可能性が期待できることから、自社での初期臨床開発を実施せず早期の事業化・臨床開発入りが期待できる製薬企業への導出を優先することとしております。
PCDCはヒト化抗CDCP1抗体の薬物複合体として、抗体薬物複合体(ADC)用途を中心として導出活動に取り組んでおります。世界的にADCへの注目が高まる中、現在、ADC技術を保有する製薬企業等への導出活動を進めております。
PXLRは胃がんや膵がんなどで高発現するCXCL1を治療標的とするがん治療用抗体で、当社が大阪公立大学と共同研究を進めてきた新たな導出候補品です。
その他、当社では複数の探索段階の創薬プロジェクトの導出活動を進めると共に、2025年8月に当社の多重特異性抗体フォーマットであるTribody®を用いたmRNAエンコード抗体の創出に向けた共同研究を開始、さらにアカデミアとの共同研究を推進するなど、新たなパイプライン拡充に向けた取り組みも精力的に進めております。
・IDDビジネス
当社では従来推進してきた創薬シーズの創出と知財化を行うことによる新たなパイプラインの拡充と導出機会の探索等に加え、抗体創薬における技術力やノウハウを生かしたIDDビジネスにより収益性を高めていくことを目指しております。現在、IDDビジネスでは、新規の創薬研究やバイオシミラー開発における創薬スタートアップや製薬企業等との新たなコラボレーションの推進に注力しております。
以上の結果、創薬事業における当事業年度の業績は、臨床開発の進展により776,536千円(前期比160,200千円減少)の研究開発費を計上、セグメント損失は776,536千円(前事業年度は813,784千円のセグメント損失)となりました。
b.創薬支援事業
創薬支援事業は、安定的な収益確保に資する事業であり、当社独自の抗体作製技術プラットフォーム(ADLib®システム)を活かした抗体作製や親和性向上等の業務、タンパク質精製技術を中心としたタンパク質調製業務を受託し、小野薬品工業株式会社、中外製薬株式会社といった国内の主要製薬企業を中心にバイオ医薬の研究支援を展開しております。顧客企業からは当社の技術サービス力をご評価いただいており、当事業年度においても、日東紡績株式会社等複数の新規顧客獲得を進め、当社収益基盤の安定化のための取り組みを継続して推進しております。また、当事業年度におけるバイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上しております。
創薬支援事業における当事業年度の業績は、売上高は593,290千円(前期比15,433千円増加)となり、セグメント利益は355,583千円(前期比45,683千円増加)、セグメント利益率は59.9%(目標50%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は1,205,026千円となり、前事業年度末と比べ858,254千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は935,988千円となりました。これは主に税引前当期純損失の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55,463千円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は133,198千円となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.受注実績
当社は研究開発を主体としており、受注実績を定義することが困難であるため、受注実績の記載はしておりません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 創薬事業 | - | - |
| 創薬支援事業 | 593,290 | 102.7 |
| 合計 | 593,290 | 76.0 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 当事業年度 (自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) | ||
| 販売高 (千円) | 割合(%) | 販売高 (千円) | 割合(%) | |
| 小野薬品 | 413,093 | 52.91 | 319,881 | 53.92 |
| 旭化成ファーマ | 200,000 | 25.61 | 14,274 | 2.41 |
| アルフレッサ ホールディングス | - | - | 81,518 | 13.74 |
| 中外製薬グループ | 76,449 | 9.79 | 69,970 | 11.79 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社の事業は創薬事業と創薬支援事業により構成されており、当事業年度の当社業績は、593,290千円と前事業年度と比較し187,518千円の減収(前期比76.0%)となりました。これは前事業年度の創薬事業において旭化成ファーマとのPFKRのライセンス契約に伴う契約一時金を計上したことが要因となっております。
コスト面においては、販売費及び一般管理費は1,335,358千円と前期比128,363千円の減少となり、特にCBA-1205のCMC開発等の研究開発費の減少が主な要因となっております。
創薬事業は当社の成長をけん引する事業であり、アンメットニーズに光を当てるための医薬品の研究開発を推進しております。通常、医薬品の研究開発においては、研究開発資金の先行投資と成功時には大きなリターン、サイエンスの不確実性による開発遅延・中止リスク等と向き合うことになるため、継続的な成長のためには複数の創薬パイプラインを確保するなどの手立てを打つことが重要であります。当事業年度においては、CBA-1205の第1相臨床試験の後半パートが進行、CBA-1535では第1相臨床試験の前半パートが進行中であり、現在、2つの開発候補品の取り組みが進んでおります。CBA-1205については臨床試験等のデータを踏まえ、適応症拡大にむけたコホート追加を行うなど、製品価値の最大化にむけた臨床開発を進めております。これらの初期臨床開発実施後の導出を目指すことで、前臨床段階の導出と比較し、より大きな経済条件の獲得できることを目指しております。
探索段階にある創薬プロジェクトにおいては、当社は複数の創薬パイプラインを創製し導出することで、当社の収益の選択肢拡大に努めております。前事業年度においては、PFKRを旭化成ファーマに導出し、2億円の契約一時金の受領と、将来的な開発および販売の進捗に応じ総額248億円のマイルストーンや販売に応じたロイヤルティを受領する権利を含むライセンス契約を締結いたしました。また、PFKRに続く探索段階創薬プロジェクトの導出候補として、がん治療用抗体であるPCDC、Tribody®のがん治療用抗体PTRY、がん領域の治療用抗体PXLRなどについても、ライセンス契約の獲得にむけて導出活動を推進しております。また、当事業年度においては、NANO MRNAと、Tribody®とmRNAの組み合わせによる画期的な新薬開発の創出に向けた共同研究を開始いたしました。以上の結果、当事業年度における創薬事業の研究開発費は776,536千円、セグメント損失は776,536千円となっております。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の抗体の技術プラットフォームを活かして日本の製薬企業やアカデミアの研究支援を実施しております。タンパク質調製業務や抗体作製など個々の業務を担う競合他社が多数ありますが、製薬企業を中心とした当社顧客に対して、高い品質や柔軟な対応を行うサテライトラボとして高付加価値型サービスを提供することを目指し、他の競合企業との差別化を図っております。また、当事業年度からはIDDビジネスにおける業務一部を創薬支援事業下で遂行しており、当社の抗体創薬における技術力や創薬力を生かした創薬プラットフォーム機能を製薬企業や創薬スタートアップ等に提供しております。なお、高付加価値型ビジネスを遂行する上での目標として、セグメント利益率を50%以上維持することとしております。当事業年度においては、国内大手製薬会社との新たな業務委託基本契約の締結等を進めつつ、バイオシミラー開発や新薬開発支援、創薬スタートアップ評価等のIDDビジネスにかかる収益は創薬支援事業として計上したことにより、創薬支援事業の売上高は当初の業績予想額500,000千円に対し593,290千円と、達成率118.6%となりました。なお、セグメント利益率は59.9%、セグメント利益は355,583千円(前年比45,683千円増)を確保しております。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
②資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は研究開発型ベンチャー企業であり、研究開発のための先行投資が必要となっております。資本の財源となる収益については、これまで主として提携先製薬企業等から委受託業務による収益を獲得しており、加えて、保有する創薬パイプラインの導出により契約一時金、マイルストーン収入等を計上しております。将来において、当社が保有する創薬パイプラインが新たに導出に至った場合には、契約一時金、マイルストーン収入の増加が見込まれ、また、医薬品が上市された場合には販売ロイヤルティを受領することとなります。導出に至るまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画であり、当事業年度においては、CBA-1205の追加の治験薬製造にかかるCMC開発やCBA-1535の臨床開発の進展などによる支払が発生したことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは935,988千円の支出となりました。
なお、上記先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについて、現在既に収益を得ている創薬支援事業において新たに取引先を拡大することに加え、新たにIDDビジネスを立ち上げ、研究支援のみならず臨床開発も見据えたコンサルティングや共同研究への参画などを通じて営業キャッシュ・フローの改善に努めております。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、助成金の獲得や必要に応じた資金調達等により補填を行っております。資金調達においては、新株予約権の発行によるエクイティファイナンスに加え、有利子負債の調達も含めて実施しており、調達上の安定性の確保の観点や財務レバレッジにも留意しております。
資金の流動性につきましては、当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローが935,988千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが55,463千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが133,198千円の収入となり、現金及び現金同等物の期末残高は1,205,026千円となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
| 用語 | 意味・内容 |
| アンメットニーズ | 現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪い、または副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在するといいます。 |
| 幹細胞 | 幹細胞は未分化な細胞で、色々な細胞に分化できる能力と、いつまでも同じ状態で増殖を維持できる能力を持つ特殊な細胞です。 |
| シーズ | 事業化・製品化の可能性はあるものの、まだ“種または芽(シーズ)”の状態であり、現時点では大きな売上や価値を生み出さないものの、将来の可能性を秘めたモノ、技術やノウハウのことを指します。企業やアカデミアが見出したものの活用していないような技術や特許等も含まれ、当社の場合、研究初期段階のターゲット抗原やその候補、抗体等が有力な候補となります。 |
| 上市 | 承認された新薬の市場販売が開始されることをいいます。 |
| 前駆細胞 | 幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞のことで、幹細胞よりも分化できる能力が限られています。 |
| 前臨床試験 | 医薬品の研究開発において、ヒトを対象とする臨床試験の前に行う試験のことです。動物を用いて、医薬品候補化合物等の有効性や安全性を評価します。非臨床試験ともいいます。 |
| 探索研究 | 創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性を持つ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。抗体医薬品の研究開発では、ターゲットである抗原について調べたり、様々な方法で抗体を作製したり、リード抗体を選別するための方法を確立したり、抗体の効果を試験管内の実験や予備的な動物実験により確かめたりする初期段階を探索研究と呼んでいます。 |
| 導出(ライセンスアウト) | 特許権やノウハウ等を他者に売却したり、実施許諾することをいいます。 |
| 導入(ライセンスイン) | 他者が持つ特許権やノウハウ等を買い取ったり実施許諾を受けたりすることをいいます。 |
| 動物免疫 | 動物に抗体を作らせる方法のことです。抗原タンパク質や抗原タンパク質を発現する細胞などを注射すると、その動物の免疫反応により体内に抗原に対する抗体が作り出されます。 |
| 特異的抗体 | ある特定の抗原に結合する抗体です。 |
| バイオシミラー医薬品 | バイオシミラー医薬品(バイオ後続品)は、既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)の特許期間・再審査期間満了後に、異なる製造販売業者により開発される、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性および有効性を有する医薬品です。バイオシミラー医薬品は、先行バイオ医薬品と品質特性に高い類似性を持つことが検証され、さらに非臨床・臨床試験によって、先行バイオ医薬品と同じ効能・効果、用法・用量で使える(=同等/同質である)ことが確認された薬剤です。バイオシミラー医薬品は、薬価は原則として先行バイオ医薬品の70%に設定されるため、患者さんの経済的負担や医療費の軽減が期待される薬剤です。 |
| バイスペシフィック抗体 | 通常、抗体は抗原を認識する部位を2つ持っており、それらは同じ抗原を認識します。それに対し、2つの抗原認識部位がそれぞれ別のターゲット(抗原)を認識するものをバイスペシフィック抗体といいます。 |
| パイプライン | 新薬として開発している医薬品候補化合物等のことを「パイプライン」といいます。創薬研究から臨床開発を経て関係当局の承認を受けるまでの活動を「創薬」と呼び、「創薬パイプライン」とは創薬のいずれかの段階にあるパイプラインのことをいいます。また、創薬パイプラインのうち開発段階に入ったパイプラインのことを、特に「開発パイプライン」ということがあります。 |
| ハイブリドーマ法 | 抗原を免疫した動物から抗体を作り出すB細胞を取り出し、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させて、抗体を作り続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。 |
| ヒト化抗体 | 遺伝子工学の技術により、マウス等の抗体分子の抗原結合部位をヒトの抗体分子に移植した抗体。マウス等由来のアミノ酸配列は全体の5%ほどで、残り95%はヒト由来のアミノ酸配列となるため、ヒトに投与した場合に異物として認識される可能性が軽減されます。 |
| ファースト・イン・クラス | 一般的には、その作用機序の医薬品の中で市場に最初に登場した医薬品を指します。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できます。抗体の場合は、あるタンパク質(抗原)をターゲットとする初めての抗体医薬をファースト・イン・クラス抗体と呼びます。当社ではそうした抗原をターゲットとすることで、これまでにない医薬品候補抗体の開発を目指し、治療充足度が十分でない疾患の治療に貢献します。 |
| マイルストーン | 導出後の臨床試験等の進捗に伴い、その節目(マイルストーン)ごとに受領する収入のことをいいます。 |
| 免疫寛容 | 特定の抗原(例えば、自身の体の構成成分やそれに似ているもの)に対して免疫反応が起こらない状態をいいます。 |
| 免疫反応 | 生体に侵入してきた異物を排除する生体反応のことをいいます。 |
| モノクローナル抗体 | 単一の抗体産生細胞から得られた抗体のことをいいます。モノクローナル抗体は1つの抗原にのみ結合し、また結合する場所が決まっているため、均一で再現性の高い抗体になります。そのため、抗体医薬品の多くは、モノクローナル抗体が使われています。当社では、ADLib®システム、ハイブリドーマ法によりモノクローナル抗体を取得することができます。 |
| ライブラリ | ADLib®システムでは、多種多様な抗体を産生する細胞集団のことをライブラリと呼びます。ライブラリに含まれる細胞が産生する抗体の種類が多いほど、目的に合った抗体を取得できる確率が高くなります。当社では、トリライブラリ、マウスキメラライブラリ、ヒトライブラリを所有しており、顧客ニーズに合わせてライブラリを選択し、抗体作製を行っています。 |
| リード抗体 | ADLib®システム、ハイブリドーマ法、B cell cloning法などの様々な手法で作成した抗体の中から、親和性、特異性、生物活性、安定性などのスクリーニングによって見出された医薬品になる可能性を有する抗体群をリード候補抗体と呼び、これらのリード候補抗体群のうち、医薬品としてその後の最適化などのステップに進めるための抗体をリード抗体と呼びます。 |
| 臨床試験 | 臨床試験には、次の3段階があります。 第1相試験(フェーズ1):少数の治験参加者を対象に、治験薬の安全性と治験薬が体内に入ってどのような動きをするのかを確認する試験 第2相試験(フェーズ2):第1相試験で安全性が確認された用量の範囲で、比較的少数の患者さんを対象に、治験薬の有効性(効果)、安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)・用量(最も効果的な投与量)を確認する試験 第3相試験(フェーズ3):第2相試験で確認された用法・用量で、多数の患者さんに治験薬を対象に、有効性と安全性を検証する試験 初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指し、治験薬の安全性を主に、有効性の兆しを観察します。 |
| ロイヤルティ | 製品が販売(上市)された後に、その販売額の一定比率を受領する収入のことをいいます。 |
| ADC | 抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは悪性腫瘍だけを死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。 |
| ADCC活性 | 抗体依存性細胞傷害活性(Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity)のことです。抗体薬には、がん細胞の表面に発現する標的抗原(標的分子)に結合し抗腫瘍効果を示す直接的な作用のほかに、患者さん自身の免疫細胞(マクロファージやNK細胞等)を介して抗腫瘍効果を発揮する作用があります。そのため、標的抗原の発現量だけでなく、患者さん自身の免疫状態、特に抗体薬が生体内の免疫細胞をがん周囲に呼び寄せ、集まった免疫細胞を活性化することで大きな治療効果を期待できることがあります。このような作用をADCC活性といいます。 |
| ADLib®(アドリブ)システム | ライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の自律的な相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。 |
| B細胞 | リンパ球の1種で骨髄由来の細胞です。抗原の侵入に応答して増殖し、抗体(免疫グロブリン)を生産する細胞へと分化して抗体を産生します。 |
| BMAA(抗セマフォリン3A抗体) | セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。 |
| CMC | Chemistry, Manufacturing and Controlの略で、医薬品の原薬・製剤の化学・製造およびその品質管理を指します。 |
| CMO | Contract Manufacturing Organizationの略称で、製薬会社から医薬品(治験薬・市販薬を含 む)の製造を受託する企業を指します。医薬品を製造するためには、GMP(医薬品等の製造管理 および品質管理に関する基準)をクリアする必要があり、CMOはGMPに対応できる技術力と、開発ライン・製造ラインの設備を備えています。 |
| DT40細胞 | ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、がん遺伝子の導入により不死化されたB細胞の1つです。このDT40細胞株では抗体遺伝子の相同組換えが高頻度で起きることが知られており、当社ではさらに薬剤により抗体遺伝子組換えを人為的に誘導して、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)を作り出しています。これがADLib®システムの技術の基になっています。 |
| IDDビジネス | Integrated Drug Discoveryの略。当社が有する抗体医薬に関する探索研究、非臨床試験、CMC開発、臨床開発に至る広範な知識・経験・技術に基づき、製薬会社等に対して、探索から臨床に至るまでの様々な抗体創薬プロジェクトの課題解決法を提供します。 |
| PCDC(社内コード) | 標準治療耐性のがん種を含む幅広い固形がんで発現(肺、結腸直腸、膵臓、乳、卵巣がんなど)するファースト・イン・クラスとなる標的分子CDCP1に対するヒト化抗体です。細胞内に入り込むインターナリゼーション能が高いことから、薬物との複合体であるADCとしての効果が期待されます。 |
| PFKR(社内コード) | CX3CR1/Fractalkine receptorの機能阻害抗体であり、自己免疫性神経疾患の病態進行を抑制する治療用抗体です。 |
| PTRY(社内コード) | 53L10型Tribody®(PTRY)は、3つの抗原結合部位の標的をそれぞれ、固形がんに発現が認められる 5T4、免疫細胞である T 細胞上の CD3、残る1つを免疫チェックポイント阻害に関与するPD-L1とした、がん治療用候補抗体です。Tb535H(開発コード:CBA-1535、標的分子:5T4×CD3×5T4)よりも強力な抗腫瘍活性が示されています。 |
| PXLR(社内コード) | CXCR2発現細胞の走化性因子であるCXCL1/2/3/5の機能阻害抗体であり、薬剤耐性のがん微小環境を改善させるがん治療抗体です。 |
| T細胞 | リンパ球の一種で、免疫反応の司令塔として重要な役割を果たす細胞。T細胞はその機能によって、免疫応答を促進するヘルパーT細胞、逆に免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞、病原体に感染した細胞やがん細胞を直接殺すキラーT細胞などに分類されます。 |
| T cell engager | T細胞エンゲージャー(T Cell Engager、TCE)は、疾患の原因となっている細胞(例えばがん細胞)や病原体に、キラーT細胞のような異物を駆除する役割を持つ免疫細胞を近づけ、疾患の原因を取り除いて治療することを狙った医薬品・化合物のことです。がん治療薬としての研究開発が進んでいます。 |
| Tribody® | 多重特異性抗体を作製する自社の技術であるTrisomaで作製された抗体の商標です。バイスペシフィック抗体は2種類の標的(抗原)に結合することができますが、Tribody®は抗原結合部位が3ヶ所あるので最大3種類の抗原に結合することができ、より特異性の高い抗体を作成することができます。 |