四半期報告書-第17期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

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2020/08/11 16:04
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37項目
本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
また、文中の将来に関する事項は、当第2四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期累計期間においては、全世界的な新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともない経済活動が大きく制限されるなど、国内外の経済環境が急激に悪化し、先行き不透明な状況が継続しております。このような外部環境の中、当社の当第2四半期累計期間における売上高につきましては、主として創薬支援事業における研究受託取引の拡大により、173,278千円(前年同四半期比32,595千円増加)となりました。営業損失につきましては、自社で開発中のCBA-1205の臨床試験(*)開始に向けたGLP(*)下での毒性試験(*)および治験薬製造費用等のCMC開発(*)費等を中心に研究開発費を計上したことにより、735,779千円(前年同四半期は749,708千円の営業損失)となりました。また、経常損失は735,874千円(前年同四半期は758,731千円の経常損失)、四半期純損失は736,036千円(前年同四半期は757,110千円の四半期純損失)となりました。当第2四半期累計期間における当社の事業活動の概況は次のとおりです。
当社は、医療のアンメットニーズ(*)の高い領域における抗体医薬品を創出する創薬事業と、製薬企業等に抗体創薬にかかわる技術サービスを提供する創薬支援事業を展開しております。
創薬事業においては、ファースト・イン・クラス(*)抗体で自社開発中のCBA-1205の治験実施に必要なGLP下での毒性試験等の前臨床開発を終了し、2020年3月24日に日本国内で治験届を提出いたしました。また、2020年7月に国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院および東病院の2施設と臨床第Ⅰ相試験実施に関する契約を締結し、8月より患者さんへの投与が開始されております。多重特異性抗体であるCBA-1535は治験薬製造に向けて予定通りにCMC開発を進めております。探索段階(*)にある創薬プロジェクトでは、リード抗体(*)の創出、および知財化に向けた研究開発を継続して取り組んでおります。また、新たな創薬プロジェクト発足にむけた創薬企業やアカデミアとの共同研究に加え、Tribody(*)技術を生かしたテーマを始動させるなど、今後の開発パイプライン(*)の質・量の拡充に向けた取り組みを進めております。
・開発パイプライン
2017年9月にスイスのADC Therapeutics社にADC(*)用途に限定して導出(*)したADCT-701については、ADCT社でIND申請に向けた準備が進められております。
CBA-1205については、2020年8月3日付のお知らせの通り、第Ⅰ相試験において第1例目の投与が開始されております。本試験の前半では固形がん患者さんを対象に安全性、忍容性および体内動態を確認することに加え、後半パートでは肝細胞がんの患者さんを対象に探索的な有効性も調べることを目的としております。
CBA-1535については、治験薬製造を委託しているCMO(*)において、現在、治験薬製造の準備を進めており、2021年後半以降の英国での臨床試験許認可(CTA)申請を目標として取り組んでおります。
LIV-2008については、複数の海外製薬企業において導入(*)評価試験等が実施されております。
BMAA(*)については、2018年3月にカナダのSemaThera社と共同開発ライセンス及び独占的オプション契約を締結しておりますが、評価3年目に入ったことにより、当該オプション期間に対応するオプション料については当第2四半期累計期間に対応する金額を売上高に計上しております。
・創薬プロジェクト
その他、探索段階にある6つの創薬プロジェクトが進行していますが、さらなるパイプライン拡充に向けた研究開発にも取り組んでおります。創薬プロジェクトのうち、がんの標的分子(非開示)をターゲットとするプロジェクトにおいては前期末に新規特許出願を完了しており、現在は外部企業との連携によるADC領域でのフィージビリティー・スタディーを実施しております。
以上の結果、創薬事業における当第2四半期累計期間の業績は、売上高1,631千円(前年同四半期比350千円増加)、研究開発費608,705千円(前年同四半期比27,533千円減少)、セグメント損失は607,377千円(前年同四半期は634,982千円のセグメント損失)となりました。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の独自の抗体作製手法であるADLib®システム(*)やB cell cloning法(*)等の抗体技術プラットフォームを活かした抗体作製業務のほか、タンパク質調製業務、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務を受託し、製薬企業等の研究支援を展開しております。
当第2四半期累計期間においては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともなう緊急事態宣言の発出等により、当社や一部顧客において一時的な稼働低減等があったものの、影響は限定的なものとなりました。既存顧客との安定的な取引に加え、ヒトADLib®システムを活用した新規抗体作製に伴う売上を計上しております。また、新型コロナウィルスに対する抗体作製受託案件には継続して対応しており、当第2四半期累計期間における完了案件に対する売上高を計上しております。
なお、本事業の取引については当社のサービスが一定の評価を得て現在拡大基調にあるため、当第2四半期累計期間においては、当社業務キャパシティ向上のための技術研究所の改修及び機器の増設を実施しており、今後も継続的に取引規模の拡大を目指してまいります。
創薬支援事業における当第2四半期累計期間の業績は、国内製薬企業を中心として取引が拡大した結果、売上高は171,647千円(前年同四半期比32,244千円増加)となりました。利益面では、今後の創薬支援事業の拡大を見越した設備機器の先行投資費用の計上により、セグメント利益は64,922千円(前年同四半期比21,896千円減少)、セグメント利益率は37.8%(目標50%)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第2四半期会計期間末における総資産は、現金及び預金の増加などにより、前事業年度末に比べ246,137千円増加の3,054,227千円となりました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債の残高は468,765千円となり、前事業年度末と比較して282,184千円増加いたしました。これは主に、創薬支援事業の設備投資等に関連した短期借入金の増加などによるものです。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産の残高は2,585,462千円となり、前事業年度末と比較して36,046千円減少いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金が増加したものの、四半期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は2,472,406千円となり、前事業年度末と比較して366,430千円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間において営業活動により使用した資金は528,265千円となりました。主な内訳は、税引前四半期純損失の計上です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間において投資活動による資金の増減はありません。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間において財務活動により獲得した資金は894,696千円となりました。主な内訳は、新株予約権の行使による株式の発行による収入です。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
用語意味・内容
アンメットニーズ現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪いまたは副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在すると言います。
前臨床試験医薬品の研究開発において、ヒトを対象とする臨床試験の前に行う試験のことです。動物を用いて、医薬品候補化合物等の有効性や安全性を評価します。非臨床試験ともいいます。

用語意味・内容
探索(研究)段階創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性を持つ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。抗体医薬品の研究開発では、ターゲットである抗原について調べたり、様々な方法で抗体を作製したり、リード抗体を選別するための方法を確立したり、抗体の効果を試験管内の実験や予備的な動物実験により確かめたりする初期段階を探索研究と呼んでいます。
導出(ライセンスアウト)特許権やノウハウ等を他者に売却したり実施許諾することをいいます。
導入(ライセンスイン)他者が持つ特許権やノウハウ等を買い取ったり実施許諾を受けたりすることをいいます。
毒性試験前臨床試験(*)として、医薬候補品をマウス・サルなどの動物に投与して毒性を評価します。「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準」に基づき試験が実施され、GLP-Tox(good laboratory practice toxicities)試験ともいいます。毒性試験で得られたデータは、審査当局への承認申請に用いられます。
パイプライン新薬として開発している医薬品候補化合物等のことを「パイプライン」といいます。創薬研究から臨床開発を経て関係当局の承認を受けるまでの活動を「創薬」と呼び、「創薬パイプライン」とは創薬のいずれかの段階にあるパイプラインのことをいいます。また、創薬パイプラインのうち開発段階に入ったパイプラインのことを、特に「開発パイプライン」ということがあります。
ファースト・イン・クラス一般的には、その作用機序の医薬品の中で市場に最初に登場した医薬品を指します。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できます。抗体の場合は、あるタンパク質(抗原)をターゲットとする初めての抗体医薬をファースト・イン・クラス抗体と呼びます。ファースト・イン・クラス抗体のターゲット抗原の候補は、潜在的なものも含めてアカデミアを中心とした様々な疾患研究の中に多く存在していると考えられます。当社ではそうした抗原をターゲットとすることで、これまでにない医薬品候補抗体の開発を目指し、治療充足度が十分でない疾患の治療に貢献します。
リード抗体ADLib®システム、ハイブリドーマ法、B cell cloning法、ファージディスプレイ法などの様々な手法で作成した抗体の中から、親和性、特異性、生物活性、安定性などのスクリーニングによって見出された医薬品になる可能性を有する抗体群をリード候補抗体と呼び、これらのリード候補抗体群のうち、医薬品としてその後の最適化などのステップに進めるための抗体をリード抗体と呼びます。
臨床試験臨床試験には、次の3段階があります。
第1相試験(フェーズ1):少数の治験参加者(*)を対象に、治験薬の安全性と治験薬が体内に入ってどのような動きをするのかを確認する試験
第2相試験(フェーズ2):第1相試験で安全性が確認された用量の範囲で、比較的少数の患者さんを対象に、治験薬の有効性(効果)、安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)・用量(最も効果的な投与量)を確認する試験
第3相試験(フェーズ3):第2相試験で確認された用法・用量で、多数の患者さんに治験薬を対象に、有効性と安全性を検証する試験
初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指し、治験薬の安全性を主に、有効性の兆しを観察します。
(*)おおまかには、がん治療薬の第1相試験の場合には治験参加者は患者さんであり、がん以外の領域の治療薬の第1相試験の場合には治験参加者は健康なボランティアの方です。

用語意味・内容
ADC抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは悪性腫瘍だけを死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。
ADLib®(アドリブ)システムライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。国立研究開発法人理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。
B cell cloning法目的の抗原への結合性抗体を産生する単一のBリンパ細胞を選択し、抗体遺伝子をクローニングする手法のことです。抗原をトリやマウスなどの実験動物に免疫した後、その動物からBリンパ細胞を含む脾臓やリンパ節を取り出して行います。ハイブリドーマ法と異なり、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させる工程を省くことができます。
BMAA(抗セマフォリン3A抗体)セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。
CMCChemistry, Manufacturing and Controlの略で、医薬品の原薬・製剤の化学・製造およびその品質管理を指します。
GLPGood Laboratory Practiceの略称で、医薬品の安全性に関する前臨床試験の実施の基準を指します。安全性評価試験の信頼性を確保するため、試験施設が備えるべき設備、機器、組織、試験の手順等について基準を定めたものです。
CMOContract Manufacturing Organizationの略で、医薬品を製造受託する企業を指します。
DT40細胞ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、がん遺伝子の導入により不死化されたB細胞の1つです。このDT40細胞株では抗体遺伝子の相同組換えが高頻度で起きることが知られており、当社ではさらに薬剤により抗体遺伝子組換えを人為的に誘導して、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)を作り出しています。これがADLib®システムの技術の基になっています。
Tribody英国のBiotecnol社が開発した多重特異性抗体を作製する技術であるTrisoma®で作製された抗体の総称です。バイスペシフィック抗体と同様に複数の標的(抗原)に結合することができますが、Tribodyは抗原結合部位が3ヶ所あるので最大3種類の抗原に結合することができます。

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