四半期報告書-第17期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。
また、文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期累計期間においては、全世界的な新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともない経済活動が制限されるなど、国内外の経済環境は依然として先行き不透明な状況が継続しております。このような外部環境の中、当社の当第3四半期累計期間における売上高につきましては、主として創薬支援事業における研究受託取引の拡大により、312,284千円(前年同期比29,594千円増加)となりました。営業損失につきましては、自社で開発中のCBA-1205の臨床試験(*)実施に関わる費用等を中心に研究開発費を計上したことにより、1,080,016千円(前年同期は1,169,015千円の営業損失)となりました。また、経常損失は1,087,149千円(前年同期は1,177,300千円の経常損失)、四半期純損失は1,087,916千円(前年同期は1,170,202千円の四半期純損失)となりました。当第3四半期累計期間における当社の事業活動の概況は次のとおりです。
当社は、医療のアンメットニーズ(*)の高い領域における抗体医薬品を創出する創薬事業と、製薬企業等に抗体創薬にかかわる技術サービスを提供する創薬支援事業を展開しております。
創薬事業においては、自社開発中のファースト・イン・クラス(*)抗体CBA-1205は2020年3月に日本国内で治験届を提出し、8月より第Ⅰ相試験における患者さんへの投与が開始され順調に進捗しております。多重特異性抗体であるCBA-1535は治験薬製造に向けて予定通りにCMC開発を進めております。探索段階(*)にある創薬プロジェクトでは、リード抗体(*)の創出、および知財化に向けた研究開発を継続して取り組んでおります。また、新たな創薬プロジェクト発足にむけた創薬企業やアカデミアとの共同研究に加え、Tribody(*)技術を生かしたテーマを始動させるなど、今後の開発パイプライン(*)の質・量の拡充に向けた取り組みを進めております。
・開発パイプライン
2017年9月にスイスのADC Therapeutics社にADC(*)用途に限定して導出(*)したADCT-701については、ADCT社でIND申請に向けた準備が進められております。
CBA-1205については、治験実施に必要なGLP(*)下での毒性試験(*)等の前臨床開発を終了し、2020年3月に日本国内で治験届を提出いたしました。2020年7月には国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院および東病院の2施設と臨床第Ⅰ相試験実施に関する契約を締結し、2020年8月より第Ⅰ相試験における患者さんへの投与が開始されております。なお本試験の前半では固形がん患者さんを対象に安全性、忍容性および体内動態を確認することに加え、後半パートでは肝細胞がんの患者さんを対象に探索的な有効性も調べることを目的としております。
CBA-1535については、治験薬製造を委託しているCMO(*)において、現在、治験薬製造の準備を進めており、2021年後半以降の英国での臨床試験許認可(CTA)申請を目標として取り組んでおります。
LIV-2008については、複数の海外製薬企業において導入(*)評価試験等が実施されております。
BMAA(*)については、2018年3月にカナダのSemaThera社と共同開発ライセンス及び独占的オプション契約を締結しておりますが、評価3年目に入ったことにより、当該オプション期間に対応するオプション料については当第3四半期累計期間に対応する金額を売上高に計上しております。
・創薬プロジェクト
その他、探索段階にある6つの創薬プロジェクトが進行していますが、さらなるパイプライン拡充に向けた研究開発にも取り組んでおります。創薬プロジェクトのうち、がんの標的分子(非開示)をターゲットとするプロジェクトにおいては前期末に新規特許出願を完了しており、現在は外部企業との連携によるADC領域でのフィージビリティー・スタディーを実施しております。
以上の結果、創薬事業における当第3四半期累計期間の業績は、売上高2,430千円(前年同四半期比318千円増
加)、研究開発費951,027千円(前年同四半期比92,446千円減少)、セグメント損失は949,048千円(前年同四半期
は1,041,557千円のセグメント損失)となりました。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の独自の抗体作製手法であるADLib®システム(*)やB cell cloning法(*)等の抗体技術プラットフォームを活かした抗体作製業務のほか、タンパク質調製業務、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務を受託し、製薬企業等の研究支援を展開しております。
当第3四半期累計期間においては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともなう緊急事態宣言の発出等により、当社や一部顧客において一時的な稼働低減等があったものの堅調に持ち直し、影響は限定的なものとなりました。既存顧客との安定的な取引に加え、ヒトADLib®システムを活用した新規抗体作製に伴う売上を計上しております。また、新型コロナウィルスに対する抗体作製受託案件には継続して対応しており、当第3四半期累計期間における完了案件に対する売上高を計上しております。
なお、本事業の取引については当社のサービスが一定の評価を得て現在拡大基調にあるため、当第3四半期累計期間においては、当社業務キャパシティ向上のための技術研究所の改修及び機器の増設を実施しており、今後も継続的に取引規模の拡大を目指してまいります。
創薬支援事業における当第3四半期累計期間の業績は、国内製薬企業を中心として取引が拡大した結果、売上高309,854千円(前年同四半期比29,276千円増加)となりました。利益面では、今後の創薬支援事業の拡大を見越した設備機器の先行投資費用の計上により、セグメント利益は144,007千円(前年同四半期比25,803千円減少)、セグメント利益率は46.5%(目標50%)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は、現金及び預金の増加などにより、前事業年度末に比べ757,791千円増加の3,565,882千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債の残高は420,181千円となり、前事業年度末と比較して233,599千円増加いたしました。これは主に、創薬支援事業の設備投資等に関連した短期借入金の増加などによるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は3,145,700千円となり、前事業年度末と比較して524,191千円増加いたしました。これは主に、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が増加したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
また、文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期累計期間においては、全世界的な新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともない経済活動が制限されるなど、国内外の経済環境は依然として先行き不透明な状況が継続しております。このような外部環境の中、当社の当第3四半期累計期間における売上高につきましては、主として創薬支援事業における研究受託取引の拡大により、312,284千円(前年同期比29,594千円増加)となりました。営業損失につきましては、自社で開発中のCBA-1205の臨床試験(*)実施に関わる費用等を中心に研究開発費を計上したことにより、1,080,016千円(前年同期は1,169,015千円の営業損失)となりました。また、経常損失は1,087,149千円(前年同期は1,177,300千円の経常損失)、四半期純損失は1,087,916千円(前年同期は1,170,202千円の四半期純損失)となりました。当第3四半期累計期間における当社の事業活動の概況は次のとおりです。
当社は、医療のアンメットニーズ(*)の高い領域における抗体医薬品を創出する創薬事業と、製薬企業等に抗体創薬にかかわる技術サービスを提供する創薬支援事業を展開しております。
創薬事業においては、自社開発中のファースト・イン・クラス(*)抗体CBA-1205は2020年3月に日本国内で治験届を提出し、8月より第Ⅰ相試験における患者さんへの投与が開始され順調に進捗しております。多重特異性抗体であるCBA-1535は治験薬製造に向けて予定通りにCMC開発を進めております。探索段階(*)にある創薬プロジェクトでは、リード抗体(*)の創出、および知財化に向けた研究開発を継続して取り組んでおります。また、新たな創薬プロジェクト発足にむけた創薬企業やアカデミアとの共同研究に加え、Tribody(*)技術を生かしたテーマを始動させるなど、今後の開発パイプライン(*)の質・量の拡充に向けた取り組みを進めております。
・開発パイプライン
2017年9月にスイスのADC Therapeutics社にADC(*)用途に限定して導出(*)したADCT-701については、ADCT社でIND申請に向けた準備が進められております。
CBA-1205については、治験実施に必要なGLP(*)下での毒性試験(*)等の前臨床開発を終了し、2020年3月に日本国内で治験届を提出いたしました。2020年7月には国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院および東病院の2施設と臨床第Ⅰ相試験実施に関する契約を締結し、2020年8月より第Ⅰ相試験における患者さんへの投与が開始されております。なお本試験の前半では固形がん患者さんを対象に安全性、忍容性および体内動態を確認することに加え、後半パートでは肝細胞がんの患者さんを対象に探索的な有効性も調べることを目的としております。
CBA-1535については、治験薬製造を委託しているCMO(*)において、現在、治験薬製造の準備を進めており、2021年後半以降の英国での臨床試験許認可(CTA)申請を目標として取り組んでおります。
LIV-2008については、複数の海外製薬企業において導入(*)評価試験等が実施されております。
BMAA(*)については、2018年3月にカナダのSemaThera社と共同開発ライセンス及び独占的オプション契約を締結しておりますが、評価3年目に入ったことにより、当該オプション期間に対応するオプション料については当第3四半期累計期間に対応する金額を売上高に計上しております。
・創薬プロジェクト
その他、探索段階にある6つの創薬プロジェクトが進行していますが、さらなるパイプライン拡充に向けた研究開発にも取り組んでおります。創薬プロジェクトのうち、がんの標的分子(非開示)をターゲットとするプロジェクトにおいては前期末に新規特許出願を完了しており、現在は外部企業との連携によるADC領域でのフィージビリティー・スタディーを実施しております。
以上の結果、創薬事業における当第3四半期累計期間の業績は、売上高2,430千円(前年同四半期比318千円増
加)、研究開発費951,027千円(前年同四半期比92,446千円減少)、セグメント損失は949,048千円(前年同四半期
は1,041,557千円のセグメント損失)となりました。
創薬支援事業は、当社の安定的な収益確保に資する事業であり、当社の独自の抗体作製手法であるADLib®システム(*)やB cell cloning法(*)等の抗体技術プラットフォームを活かした抗体作製業務のほか、タンパク質調製業務、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務を受託し、製薬企業等の研究支援を展開しております。
当第3四半期累計期間においては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大にともなう緊急事態宣言の発出等により、当社や一部顧客において一時的な稼働低減等があったものの堅調に持ち直し、影響は限定的なものとなりました。既存顧客との安定的な取引に加え、ヒトADLib®システムを活用した新規抗体作製に伴う売上を計上しております。また、新型コロナウィルスに対する抗体作製受託案件には継続して対応しており、当第3四半期累計期間における完了案件に対する売上高を計上しております。
なお、本事業の取引については当社のサービスが一定の評価を得て現在拡大基調にあるため、当第3四半期累計期間においては、当社業務キャパシティ向上のための技術研究所の改修及び機器の増設を実施しており、今後も継続的に取引規模の拡大を目指してまいります。
創薬支援事業における当第3四半期累計期間の業績は、国内製薬企業を中心として取引が拡大した結果、売上高309,854千円(前年同四半期比29,276千円増加)となりました。利益面では、今後の創薬支援事業の拡大を見越した設備機器の先行投資費用の計上により、セグメント利益は144,007千円(前年同四半期比25,803千円減少)、セグメント利益率は46.5%(目標50%)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産は、現金及び預金の増加などにより、前事業年度末に比べ757,791千円増加の3,565,882千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債の残高は420,181千円となり、前事業年度末と比較して233,599千円増加いたしました。これは主に、創薬支援事業の設備投資等に関連した短期借入金の増加などによるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は3,145,700千円となり、前事業年度末と比較して524,191千円増加いたしました。これは主に、四半期純損失の計上による利益剰余金の減少があったものの、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金が増加したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
<用語解説>(50音、アルファベット順)
| 用語 | 意味・内容 |
| アンメットニーズ(またはアンメットメディカルニーズ) | 現状の医療では満たされていない(未充足)ニーズのことです。具体的には、有効な治療法や薬剤がない場合、薬剤があっても使い勝手が悪いまたは副作用が強い、一時的に症状を抑えても再発する、時間とともに悪化するような場合、あるいは治療費が非常に高額になるような場合等にアンメットニーズが存在すると言います。 |
| 前臨床試験 | 医薬品の研究開発において、ヒトを対象とする臨床試験の前に行う試験のことです。動物を用いて、医薬品候補化合物等の有効性や安全性を評価します。非臨床試験ともいいます。 |
| 導出(ライセンスアウト) | 特許権やノウハウ等を他者に売却したり実施許諾することをいいます。 |
| 毒性試験 | 前臨床試験として、医薬候補品をマウス・サルなどの動物に投与して毒性を評価します。「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準」に基づき試験が実施され、GLP-Tox(good laboratory practice toxicities)試験ともいいます。毒性試験で得られたデータは、審査当局への承認申請に用いられます。 |
| パイプライン | 新薬として開発している医薬候補品ことを「パイプライン」といいます。創薬研究から臨床開発を経て関係当局の承認を受けるまでの活動を「創薬」と呼び、「創薬パイプライン」とは創薬のいずれかの段階にあるパイプラインのことをいいます。また、創薬パイプラインのうち開発段階に入ったパイプラインのことを、特に「開発パイプライン」ということがあります。 |
| 用語 | 意味・内容 |
| ハイブリドーマ法 | 抗原を免疫した動物から抗体を作り出すB細胞を取り出し、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させて、抗体を作り続ける細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。 |
| ファースト・イン・クラス | 新しい薬効としてはじめて承認される新医薬品のことを指します。特に新規性・有用性が高く、化学構造や作用メカニズムが従来の医薬品と異なるなど、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的な新医薬品をいいます。 |
| モノクローナル抗体 | 単一の抗体産生細胞から得られた抗体のことをいいます。モノクローナル抗体は1つの抗原にのみ結合し、また結合する場所が決まっているため、均一で再現性の高い抗体になります。そのため、抗体医薬品の多くは、モノクローナル抗体が使われています。当社では、ADLib®システム、ハイブリドーマ法、B cell cloning法によりモノクローナル抗体を取得することができます。 |
| 臨床試験 | 臨床試験は、少数の治験参加者に投与し、薬の安全性と薬が体内に入ってどのような動きをするのかを明らかにする第1相試験(フェーズ1)、比較的少数の患者さんに投与し、薬の効き目、副作用、使い方を調べる第2相試験(フェーズ2)、並びに多数の患者さんに薬を投与し効果と安全性を確かめる第3相試験(フェーズ3)の3段階があります。初期臨床試験は主に第1相試験および初期の第2相試験のことを指します。 |
| ADC | 抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。例えば、悪性腫瘍の細胞表面だけに存在するタンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に毒性の高い薬剤を結合させると、そのADCは悪性腫瘍だけを死滅させることができます。このため、比較的副作用が少なく効き目の強い薬剤となる可能性があります。 |
| ADLib®(アドリブ)システム | ライブラリから特定の抗原を固定した磁気ビーズを用いて目的の抗原に結合する抗体産生細胞を取り出す仕組みです。ADLib®システムで用いるライブラリは、ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の相同組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性が増大しております。国立研究開発法人理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていることおよび従来困難であった抗体取得が可能になる場合があること等の点に特徴があると考えております。 |
| B cell cloning法 | 目的の抗原への結合性抗体を産生する単一のBリンパ細胞を選択し、抗体遺伝子をクローニングする手法のことです。抗原をトリやマウスなどの実験動物に免疫した後、その動物からBリンパ細胞を含む脾臓やリンパ節を取り出して行います。ハイブリドーマ法と異なり、増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)と融合させる工程を省くことができます。 |
| BMAA(抗セマフォリン3A抗体) | セマフォリン3Aは神経の先端の伸長を制御する因子として発見されました。これまでの研究により、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起こること、また炎症・免疫反応やがん、骨の形成、アルツハイマー病、糖尿病合併症等とも関連していることが報告されております。抗セマフォリン3A抗体は、この因子の働きを抑えることによりアンメットニーズの高い各種疾患の治療薬開発に結びつくことが期待される抗体です。本抗体は、当社独自の抗体作製技術であるADLib®システムで取得されました。 |
| CMC | Chemistry, Man332333ufacturing and Controlの略で、医薬品等の原薬・製剤の化学・製造およびその品質管理を指します。 |
| CMO | Contract Manufacturing Organizationの略で、医薬品等の原薬、製剤、包装等を製造受託する企業を指します。 |