有価証券報告書-第17期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 10:26
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149項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項は、以下のようなものがあります。必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容等につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社グループにおいては、事業に関連する様々なリスクを適切に管理し、事業の遂行とリスク管理のバランスを取りながら持続的成長による企業価値向上をめざしております。このため、リスク管理規程に基づき、幹部会を中心として、全社的なリスクマネジメントを行っております。事業を遂行していく上で生じる可能性のある様々なリスクへ適切な対応を行うために、現状を正しく評価し、リスク対策の実施等を行い、リスクマネジメントの継続的な改善に努めてまいります。
なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業内容に関するリスクについて
(イ).インドでのコンビニエンスストア事業について
当社は、2019年4月8日に Coffee Day Enterprises Limited(以下、CDEL)及び Coffee Day Global Limited(以下、CDGL)との間で株主間契約を締結し、コンビニエンスストア事業でのインド進出を目的として現地に合弁会社である Coffee Day Consultancy Services Private Limited(以下、CDCSPL)を設立し、さらに CDCSPLの子会社となる Coffee Day Econ Private Limited(以下、CDEPL)を設立いたしました。CDCSPL設立のために当社が出資した1,500万米ドルについては、CDEPLが保有する既存店舗425店をコンビニエンスストアに業態転換する際にかかる内装工事や設備等、家賃保証金、店舗運営に必要な仕入れ代金等に充てる目的で出資したものであり、当社がCDGLと締結したECB契約書に基づく貸付1,000万米ドルは、既存店舗全てをコンビニエンスストアへの業態転換した後、更なる出店に必要となる費用として予め貸し付けております。
2020年7月27日付「インド共同出資パートナー企業への調査結果に関するお知らせ」でお伝えしましたとおり、CDCSPLの共同出資パートナー企業であるCDELに対し、CDELの創業会長であるシッダールタ氏の急逝に端を発して行われていた外部調査機関の調査により、故シッダールタ氏の個人所有企業である Mysore Amalgamated Coffee Estates Limited(以下、MACEL)が、CDELの複数の子会社に対して総額353億5千万ルピーの負債を負っていることが判明しました。上記の調査結果を受け、出資金の所在を確認すべく、調査中であることを理由に共有されてこなかったCDCSPLの預金口座の残高の共有を再三に渡り、CDELに求めてきました。その結果、2020年12月9日に出資金1,675百万円がMACELへの貸付に流用されていたことが判明いたしました。
加えて、インドでは新型コロナウィルス感染者数が1,000万人を超え、CDEPLがコンビニエンスストア事業を展開しているニューデリー、バンガロールは感染者数がインドの他の地域と比較して多く、その影響により残念ながらコンビニエンスストア各店舗の販売不振が続いており、一部店舗が閉店に追い込まれてしまい、今後も販売不振により閉店が発生する可能性が高いと考えられます。以上のことから、現時点においてはコンビニエンスストアへの業態転換のための出資金の流用、新型コロナウィルスの感染拡大による販売不振により、CDCSPLに対する投資持分簿価相当額である917百万円を持分法による投資損失として営業外費用に計上しております。なお、2019年9月26日付の「特別損失(貸倒引当金繰入額)及び営業外費用(持分法による投資損失)計上に関するお知らせ」でお伝えしましたとおり、CDCSPLに対する投資持分のうち、のれん相当額である807百万円は2019年12月期において持分法による投資損失として営業外費用に計上しております。一時的に計上している貸倒引当金については、その実在性と回収可能性の確認を以って戻入を検討しておりますが、CDGLからの貸付債権の回収が著しく遅れる等の状況が続いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ロ).市場について
当社グループは現状リアル店舗での店頭販促市場を事業領域としていることから、自然災害や重大な事故等の事情で消費財メーカーおよび流通小売業が店頭に掛ける販促費を大幅に絞った場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ハ).競合について
当社グループの事業全体として競合になる企業は現状ありませんが、各事業における競合が店頭販促全般的な事業展開を進めた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また近年「リアル店舗のショールーミング化」と言われるようになり、当社グループもリアル一辺倒の事業モデルではなく、デジタルサイネージのオンライン化やPISTAなどリアルとネットを融合させる商材をラインナップしてきておりますが、仮に消費者のECサイトでの購買がすべての消費活動において主流となった場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ニ).消費者の購買行動について
ECサイトでの購買の盛り上がりによりドラッグストア・スーパーマーケット・アパレルショップ・家電量販店等の小売業においてはその業績に大きな影響が及んでおり、当社の見立てでは個店レベルの採算で見た場合半数近い店舗が業績不振に苦しんでいるのではと考えております。店頭にしかない商品・体験・接客でいかに店頭活性化を実現するかという観点で当社グループとしましてはM&Aや新規企業設立により提供可能なソリューションを増やしておりますが、リアル店舗の不振が続き閉店・倒産が著しく増加した場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ホ).システム障害について
当社グループでは、HRソリューション事業において人材リクルートを管理する「人材くん」、IoTソリューション事業においてデジタルサイネージのコンテンツ管理や配信プログラムを管理する「PISTA CMS」、MRソリューション事業において調査レポーティングや自動集計分析などの機能搭載する「MarketWatcher」を活用しています。サーバー停止やネットワーク機器の故障及び自然災害や事故火災等によるシステムトラブルの発生を回避するために、サーバーの負荷分散や定期的なバックアップ等の手段を講じることでシステムトラブルの防止及び回避に努めておりますが、大規模地震等の天災や通信会社による大規模通信障害等により社内システムが稼働できない場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(へ).製品製造について
当社グループでは、現在デジタルサイネージの筐体製造を主に海外で行っており、年間約20万台の仕入を実施しております。また、ノベルティや販促ツールの製造も海外で製造を行っているため、製造拠点に大きな影響を与えかねない地政学・疫病等のリスクが発生し、予定していた質・量・コストで製品が製造できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ト).為替相場の変動について
当社グループでは、海外取引先との間で外貨建てによる製品仕入、業務委託等を行っているため、予想外の為替変動が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(チ).メディアクルーの確保について
当社グループでは、HRソリューション事業・MRソリューション事業ともメディアクルーの活用を前提とした事業モデルを推進しております。短納期・広域・高難易度案件のニーズが高まりつつある中で、メディアクルーを各都道府県において適正人数確保し、更に新規登録数を増加させていくことが必要となります。各種WEB媒体などを通じ、学生や主婦層をターゲットとした募集チャネルを活用した登録募集戦略をとっておりますが、このような取り組みにも拘らず、店頭における調査需要や販促需要の急激な増加や調査対象地域の偏りによりクライアントニーズに適合したメディアクルーが十分に確保できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(リ).連結子会社の急増に伴う内部管理体制の充実について
当社グループは、連結グループ運営を開始し、国内外での事業拡大を図っております。それに伴い、適正な連結財務諸表の作成、内部統制の徹底、コンプライアンス対策の強化等、当該事業拡大を支える内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、体制の整備が事業の拡大に追い付かず、内部管理体制が不十分になり、不祥事等が発生した場合、当社グループへの法的責任の追求や企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ヌ).法的規制について
a .事業関連
当社グループは、下請法規制の適用を受けることから全社をあげて法令遵守の徹底と社内教育に努めておりますが、仮に法令に抵触するような事態が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また将来において下請法その他法規制において解釈・運用の変化、規制の強化、新規制の制定等により、より厳格な対応を求められる可能性は否定できず、当該規制の動向により当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.労務関連
当社グループでは、HRソリューション事業・MRソリューション事業とも原則的にメディアクルーと業務委託契約を締結した上で、各自担当業務の遂行を依頼しています。この仕組みは弁護士及び社会保険労務士による入念なチェックを経て構築しておりますが、仮に労働局等の所轄官庁が当社グループ及びメディアクルーの運用実態に対し労働基準法が適用される形態であると判断した場合には、是正勧告、業務改善命令、事業停止命令等の行政指導が発せられる恐れがあります。このような指導を受けた場合、当社グループの経営、業績にも重大な影響が及ぶ可能性があります。また現行法令の改正やその運用方法の見直し等によりメディアクルーに対する規制強化が図られた場合には、外注元である当社グループに対して、より高度なコンプライアンス体制が求められる可能性があります。
②会社組織に関するリスク
(イ)個人情報の管理について
当社はメディアクルーの個人情報を有しており、また業務上においても個人情報に接する機会が生じるため、その取扱いについては2005年4月に施行された「個人情報の保護に関する法律」を踏まえ、経済産業省の外郭団体である財団法人日本情報処理開発協会の発行するプライバシーマークを取得する等、十分な管理体制を構築するよう取り組んでいます。従業員、その他情報に触れる機会のあるメディアクルーに対して、当社作成の個人情報取扱マニュアルを基づき当該情報の取扱いについて教育・研修を実施しております。また社内ネットワーク、基幹システムを含む社内管理体制を適切に利用できる環境を維持しつつ、高いセキュリティレベルの維持・継続を取り組んでおります。ただし、当社の取り組みにも関わらず、個人情報の漏洩による損害に対する賠償を請求されることも考えられ、そのような事態が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③その他
(イ).配当政策について
当社グループは、株主に対する利益配分につきまして、財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社グループを取り巻く事業環境を勘案して、安定した配当を継続実施していくことを基本方針としております。しかし、事業環境の急激な変化などにより、配当原資の確保が困難となった場合には、配当の実施ができない可能性があります。
(ロ).株予約権行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合は当社株式が新たに発行され、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(ハ).新型コロナウイルス感染症について
当社グループでは、お取引先様、パートナー企業様、当社グループ社員およびその家族の新型コロナウイルス感染症の感染リスク軽減と事業継続性の確保のための取り組みとして、政府の緊急事態宣言に対応してテレワーク(在宅勤務)及び時差通勤を推奨すると共に、出張規制、各種イベントの参加自粛、Web 会議への切り替えを行っております。
しかしながら、従業員が新型コロナウイルスに感染し、社内での感染が拡大した場合、事業活動の縮小等により円滑な業務遂行に影響が生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した場合には、当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、従前からリスク管理規程等を整備し、リスク対策を実施して参りましたが、昨今の新型コロナウイルスの全国的な感染拡大状況に鑑み、さらなる感染症対策の強化を図っております。