有価証券報告書-第16期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 16:39
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「売場を元気に、日本を元気に、そして世界を元気に!」をテーマに店舗店頭に特化したフィールドマーケティング※注1 支援事業を展開しております。「社会性ある事業の創造」を経営理念に掲げ、流通業に新しいコミュニケーションの流れを創造し、当社に蓄積されている日本の店舗店頭の運営ノウハウを世界各国に輸出し、最終消費者の生活文化の向上につなげることで、新たなマーケットの拡大を推進してまいります。
※注1 フィールドマーケティングとは、フィールド(店頭)を重視したマーケティングのことを指します。店頭など消費者の生活により近いところでのマーケティング展開は、商品陳列、POP類、顧客動線などすべての要素が対象となるため販売促進効果も大きく、販売に直結したマーケティング。ラウンダー、推奨販売、デジタルサイネージ、覆面調査など、こうしたソリューションを個別、あるいは組み合わせることでブランドが構築され、その実行中にブランドオーナーに対して明確で実質的な投資回収率(ROI)を提示することになります。収益支出の中で特定の利益を上げることが主な目的であり利点でもあります。
(2)目標とする経営指標
当社グループの事業は、①HRソリューション事業、②IoTソリューション事業、③MRソリューション事業の3事業に分かれております。これら3つの事業のうち、HRソリューション事業・MRソリューション事業を主軸とし売上の増加を拡大しIoTソリューション事業で高付加価値のサービスを提供することで、収益性の向上を目指しております。主な成長性・収益性の財務的な指標として、売上高増加率、売上総利益率、営業利益率、営業利益増加率などを掲げております。
また当社グループは、中期経営計画(2019年1月~2023年12月)において、2023年12月期の目標数値として「連結売上高180億円」、「連結営業利益20億円」を掲げております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① 経営理念のさらなる浸透強化
事業環境に左右されず事業基盤の拡大、成長させていくためには経営理念の浸透を人材育成の軸とした教育が必要であると考えております。
当社では「HEART OF Impact HD」という「経営理念」「インパクトホールディングスメッセージ」、行動指針である「インパクトホールディングスウェイ」「インパクトホールディングスリーダーシップ」等を纏めて解説した冊子を作成・配布しております。また、日々の朝礼ではグループ会社も合同で理念に基づいた経験談の発表を行い、全従業員が参加する会議の場で理念に基づいた講話を代表取締役社長自らが実施するなどをして、徹底した理念の浸透を図っております。これにより、離職率の低下による既存従業員の安定化や、業務ミスの発生を削減し、品質の向上に繋がるなどの効果が得られております。
また、メディアクルーに対しても、「メディアクルーへの約束」を定め、「理念共有型のフィールドスタッフネットワーク」※注2 の構築に注力しております。今後についても、経営理念浸透を最重要課題ととらえ、全従業員の方向性の統一を図るための経営理念浸透につながる取り組みを実施してまいります。
※注2 理念共有型フィールドスタッフネットワークとは、当社グループの理念に基づき、当社に蓄積した流通現場の知識、考え
方を十分に理解し、現場の重要性を熟知したメディアクルーを増やしていく活動のことを指します。
② 経営者人材の確保と育成
当社グループは、今後さらなる事業拡大を目指す上で、優秀な経営者人材の確保及び理念浸透を軸とした教育による人材育成が重要な経営課題であると認識しております。人材確保については、新卒採用及び中途採用を積極的に実施し、当社の経営理念・方針に共感を持った人材の確保と、様々なOJT・社内教育等による社員のレベルアップを進めてまいります。
また、HRソリューション事業及びMRソリューション事業の業務を支えるメディアクルーの更なる増加については、当社グループの認知度・信用力・露出度の向上を図ることで登録数の増加を進めてまいります。メディアクルーの教育方針については、店舗の自社運営や流通チェーン出身社員による流通業界の経験と知識、店舗活動ノウハウを最大限に活かした教育を行うことで流通現場の知識を落とし込みます。加えて、当社グループの理念に基づいた考え方を理解することで流通現場の重要性を十分に理解し、単なる登録者に留まることなく流通現場を熟知した理念共有型フィールドスタッフネットワークを構築してまいります。また全国に約1,200名を超えるフラッグクルー ※注3 を配置し、業務に関連性の高い資格保有者や難易度の高い店頭業務の経験者に対し、最優先で業務を案内する制度を運用しております。今後につきましては、フラッグクルーをよりきめ細やかに全国展開し、高付加価値サービス提供による高利益体質を目指し、幅広い属性の方々へ労働機会を提供してまいります
※注3 フラッグクルーとは、全国28万人のメディアクルーの中から一定の審査基準をクリアし、当社理念や考え方に理解・共感頂 き、当社と共に社会性ある事業の創造を担って頂く特別なクルーのことを指します。
③ 店頭販促に関するマルチメニュー展開
当社では、グループ全体での取引口座数が1,500社超、年間フィールド業務数が120万件超と強固な顧客資産を保有しております。しかし店舗店頭の販促・マーケティング領域では、当社グループが主力サービスとして展開するラウンダー・推奨販売・デジタルサイネージ・商品POP制作・店頭什器制作・ノベルティ制作・店頭調査に加え、販促企画・イベント運営・映像制作等、様々なソリューションが様々な企業により展開されております。当社グループは、「マルチフィールドメニュー」のラインナップを目指し、店頭販促に関する主要業務すべてを網羅すべく事業を推進しております。
今後も同領域におけるM&Aや業務提携を積極的に進め、店頭実現ビジネスパートナーの地位を確たるものにしてまいります。
④ IoTサイネージによる棚前捕捉とデータベース化
当社グループでは、ラウンダー・推奨販売・店頭調査による人的支援サービスを活用した「アナログ」ビッグデータに加え、IoT対応型デジタルサイネージPISTAを活用した「デジタル」ビッグデータを店舗店頭から収集し、日本全国の主要流通店舗をデータベース化した『店舗DB』というアプリケーションを開発しました。この店舗DBにより売場の状況と棚前のAIDMA状況を数値で捕捉でき、消費財メーカーは最適な売場で、最適な予算で、最適な販促施策を実施することが可能になります。既に多数の店頭販促ソリューションを持っている当社グループがデータマーケティングの領域に踏み込んでいくことで、販促企画やコンサルティングの領域にビジネスモデルを昇華することを目論んでおります。
⑤ インドでの事業展開
インドの人口は既に13億人を超え、2025年には中国の人口を抜く見込みです。予測GDPの世界順位も、既に日本を抜き世界第3位。今後世界経済を牽引する国となる可能性を秘めております。また総人口の約25%、都市部に至っては約60%が所得階層の中でアッパーミドル層(可処分所得が日本円で年間235~550万円程度)に該当するといわれています。しかしアッパーミドル層をターゲットにした都市部ドミナントストア型 ※注4 日用雑貨・食品チェーンが存在せず、その出現に市場からの期待値も高まっております。
このような状況の中、当社はこれまでインド国内の現地リテール事業会社に対して、チェーン運営・本部機能強化・IT推進・商品開発等のコンサルティングサービスを中心に約4年間実施してまいりました。こちらで蓄積したノウハウを基に、事業として投資&ハンズオン経営をすべくこの1-2年模索してきたところ、インド全土に2,700店舗のカフェチェーンを展開するCDELグループとJVを設立する事が出来ました。
今後はインドの経済成長に後れを取ることなく現地環境の情報収集を円滑に行い、早期事業化が実現できるよう進めてまいります。グループ代表福井をはじめ多数のリテール出身者が在籍し、かつインドでの実業経験値と現地有力企業とのパートナーシップを持つという当社の強みをいかんなく発揮し、今後の新事業セグメント創出も見据えて引き続き取り組んでまいります。
※注4 ドミナントストアとは、チェーン店展開を行うスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどが出店する際、特定地域
内で市場占有率を高める目的で複数の店舗を高密度展開しているチェーン店のことを指します。