有価証券報告書-第21期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 15:23
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、企業の設備投資は力強さを欠くものの、企業業績は緩やかに改善し個人消費は底堅く推移いたしました。また、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた動きやアジア新興国における経済成長の鈍化、各国の金融政策の影響などによる海外経済の不確実性が、景気の先行きに不透明感を残すこととなりました。
住宅業界においては、政府による各種住宅取得支援策の継続や住宅ローンの低金利政策の維持、雇用・所得の改善がみられることにより住宅取得需要が下支えられ、平成28年度の新設住宅着工戸数は持家・貸家・分譲住宅ともに増加し、前年度を5.8%上回りました。
このような中、当社は「人と地球がよろこぶ住まい」をキャッチフレーズに、社会環境と経済情勢の変化に対応した事業ポートフォリオに基づいた経営戦略により、“住まい”と“暮らし”に関わるお客様のウォンツを満たす取り組みを推進しております。このほか、平成28年11月29日付け適時開示「NKプロパティ合同会社の持分の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併)について」にて開示の通り、近年、新駅・大規模商業施設開業、さらに第二阪和国道(大谷~平井ランプ間)開通と開発著しい和歌山市北部において53万㎡の土地および施設を取得し、隣接する従前からの保有土地54万㎡(宅地開発の許認可取得済み)を含めた大規模・複合開発に向けた取り組みも開始いたしました。
当連結会計年度の受注状況につきましては、住宅事業における賃貸・福祉住宅の受注が好調に推移し、受注高は54,236百万円(前年同期比4.4%増)となりました。しかしながら、受注残高においては、次期のマンション事業の大型物件竣工が下期に集中することなどにより、21,769百万円(前年同期比5.5%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績については、売上高は55,504百万円(前年同期比16.3%増)となり、利益面では売上高の増加及び売上原価率の改善等により、営業利益は1,517百万円(前年同期比1,572百万円の改善)、経常利益は1,554百万円(前年同期比1,631百万円の改善)、親会社株主に帰属する当期純利益972百万円(前年同期比1,270百万円の改善)となりました。
(セグメント別の概況)
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
①住宅事業
戸建住宅におきましては、政府が平成32年までに新築住宅の過半数をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化とする目標にあわせ、「life style KURASI’TE(ライフスタイルクラシテ)」シリーズのZEH標準対応を行い、注文住宅において当期受注ベースでのZEH比率は52%となり、政府目標を4年前倒しで達成いたしました。また、鉄骨系ハウスメーカー(※)で唯一、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2016(一般財団法人日本地域開発センター主催)」において優秀賞の受賞、「第10回キッズデザイン賞(非営利活動法人キッズデザイン協議会主催)」の受賞等、第三者機関からも高い評価を頂きました。
賃貸・福祉住宅におきましては、平成27年1月の相続税及び贈与税の改正にともない関心が高まっている資産活用ニーズに対し、全国で組織化している土地オーナー様向け友の会「土地活用倶楽部」を強化・活性化し、金融機関との連携強化を通して土地オーナー様と事業者とのビジネスマッチングを推進するなど、賃貸住宅及び介護・福祉施設に対する積極的な受注活動を行い、全66戸の有料老人ホームをはじめとする大型案件の引渡しを行うなど、事業提案範囲の拡大を図りつつ受注・建築体制を整えてまいりました。また、新市場開拓のため、賃貸住宅等の収益物件を開発・建築・販売する「サンインキューブ」事業にも注力し、受注は順調に推移いたしました。
リフォームにおきましては、国土交通省の「平成28年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「住宅ストック循環支援事業」の補助金を利用し、住宅の耐震・劣化診断を行う「住まいのドック」など、建物の診断結果に基づいた住宅性能向上リフォームを積極的に展開いたしました。また、当社戸建オーナーとの接点強化による受注拡大策として、オーナー層を築年数やエリア別に分類し、ターゲットごとのニーズに沿ったイベントや定期的な情報発信・提供などを実施し、オーナー層からの安定的な受注の底上げを行うとともに、新市場拡大のため、アライアンス先である日立コンシューマ・マーケティング株式会社の有する家電販売店ネットワークと協調した活動を行い、受注拡大を進めてまいりました。
リニューアル流通(既存住宅流通)におきましては、「リニューアル流通部」の新設時から取り組んできた既存住宅の買取り・販売体制の構築を進めながら、既存住宅をそのまま販売するのではなく、付加価値を高めるリニューアルや引渡し後の保証・アフターサービスをセットした提案を実施し、販売を推進いたしました。また、新たな顧客の創造のため、地域仲介業者との連携により既存住宅の売却・購入を希望されるお客様のマッチングを行う「サン住まいリング」を推進したほか、シニア層に対し、保有している優良な住宅資産を活かした老後の備えや住み替えをサポートするリースバックシステム「活、我が家(かつ、わがや)」を開始し、既存住宅の流通市場活性化のための新たな提案を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の住宅事業の業績は、売上高25,421百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益232百万円(前年同期比479百万円の改善)となりました。
(※)一般社団法人プレハブ建築協会正会員
②マンション事業
マンション事業におきましては、多世代交流をコンセプトとしたスマートウェルネス住宅構想の具現化プロジェクトである「サンフォーリーフタウン桜ノ宮」(大阪市都島区・287戸)が9月に竣工完売し、売上計上したほか、「サンメゾン京橋エルド」(大阪市城東区・100戸)、「サンメゾン九大学研都市エルド」(福岡市西区・116戸)、「サンメゾン九品寺エルド」(熊本市中央区・42戸)等が新たに竣工し売上計上いたしました。また、「サンメゾン京田辺駅前ユニハイム」(京都府京田辺市・84戸)が竣工前完売し、都心の富裕層をターゲットとした「THE 千代田麹町 TOWER」(東京都千代田区・83戸)、「ザ・サンメゾン京都御所西」(京都市上京区・18戸)等を新たに販売開始いたしました。このほか四大都市圏において耐震性・劣化状態調査およびリノベーションを実施し、安心という価値を付加した既存マンションの販売にも取り組み、増加し続ける既存マンションの市場の流通戸数拡大と認知度向上を図りました。
この結果、当連結会計年度のマンション事業の業績は、売上高28,870百万円(前年同期比22.5%増)、営業利益2,455百万円(前年同期比115.7%増)となりました。
③その他
海外展開、鉄骨構造躯体のOEM販売、エコ・エネルギー設備の販売を担うフロンティア事業では、経済成長が著しいベトナムのホーチミン市内において、現地企業との合弁による分譲マンションの開発に着手いたしました。また、現地企業を含めた3社共同出資によるマンション・ビル管理会社の運営を開始いたしました。これらの取り組みを皮切りに、現地企業のネットワークと日系企業のきめ細かいサービスを武器に、今後ベトナムで増加が見込まれるマンションやオフィスビルの需要を取り込み、積極的な事業展開を進めてまいります。
マンション運営管理、介護・保育施設運営を担うライフサポート事業では、昨年4月開園の「宝塚サンフレンズプリスクール」に続き、10月に「サンフォーリーフタウン桜ノ宮」内に「桜ノ宮サンフレンズ保育園」を開園、11月に「健康サロン サンアドバンス桜ノ宮」を開設、平成29年4月の開園に向け「大日第二サンフレンズ保育園」、中部地域初の開園となる「勝川サンフレンズ保育園」の準備を進めるなど保育事業と介護事業の拡大を図りました。
また、今後必要となる高齢者の在宅支援として、経済産業省・国土交通省の補助事業を受け、「寄り添いロボット」「椅子型ロボット」の開発を進め、事業化の目処をつけることができました。
この結果、海外展開や介護系ロボット開発などに伴う先行投資等により、当連結会計年度の売上高は1,212百万円(前年同期比13.0%増)、営業損失190百万円(前年同期比172百万円の悪化)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは604百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フローは456百万円の増加、財務活動によるキャッシュ・フローは484百万円の減少となり、前連結会計年度末に比べ576百万円増加し、当連結会計年度末には5,067百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは604百万円の増加(前年同期は9,306百万円の減少)となりました。その主な内訳は税金等調整前当期純利益1,447百万円、たな卸資産の減少631百万円、未払消費税等の増加497百万円、仕入債務の減少2,093百万円、前受金の減少517百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは456百万円の増加(前年同期は804百万円の減少)となりました。その主な内訳は、定期預金1,100百万円の払戻し純収入、投資有価証券の取得による支出483百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは484百万円の減少(前年同期は9,903百万円の増加)となりました。その主な内訳は、長短期借入金120百万円の返済(純額)、自己株式取得による支出174百万円、配当金の支払189百万円等であります。