有価証券報告書-第9期(平成26年10月1日-平成27年9月30日)

【提出】
2015/12/18 15:16
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【項目】
106項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示をしております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項につきましては、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)インターネット関連市場に関するリスクについて
① インターネット及びインターネットオークション市場の動向
当社グループは、インターネットメディア事業を主たる事業領域としていることから、インターネットの更なる普及が成長のための基本的な条件と考えております。
日本国内におけるインターネット利用人口は毎年増加してきておりますが、インターネットの歴史は浅く、その将来性には不透明な部分があります。急激な普及に伴う弊害の発生や利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因等によって、インターネットの利用者数やインターネット市場規模が順調に成長しない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社はヤフー株式会社等が運営するインターネットオークション市場の商品及び価格情報の提供をユーザー向けに行っており、課金による収入を主たる事業としております。したがって、インターネットオークション市場運営者の動向により当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
インターネット業界は、技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早いことを特徴としており、新たなテクノロジーを基盤としたサービスの新規参入が相次いで行われております。当社グループは、このような急速に変化する環境に柔軟に対応すべく、オープンソースを含む先端的なテクノロジーの知見やノウハウの蓄積、更には高度な技能を習得した優秀な技術者の採用を積極的に推進していく方針であります。
しかしながら、先端的なテクノロジーに関する知見やノウハウの蓄積、技術者の獲得に困難が生じる等、技術革新に関する適切な対応が遅れ、当社グループの技術的優位性やサービス競争力の低下を招いた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社サービスに関するリスクについて
① 特定のサービスへの依存について
当社グループは、「オークファン」「NETSEA」のサイト運営をしており、主たる収益はサービス課金収入であります。平成27年9月期における売上高(1,507,513千円)に占めるサービス課金収入の売上高比率は51.0%(768,268千円)であり、サービス課金収入への依存度が高い状況にあります。今後、新たな法的規制の導入や予期せぬ事象の発生等により、サイトの利便性の低下による利用者数の減少や、サイト運営が困難となった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② サイト機能の充実について
当社グループは、利用者のニーズに対応するため、「オークファン」「NETSEA」におけるサイト機能の拡充を進めております。
しかしながら、今後、有力コンテンツの導入や利用者のニーズの的確な把握が困難となり、十分な機能の拡充ができず利用者に対する訴求力が低下した場合には、「オークファン」「NETSEA」の利用者数の減少により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 検索エンジンへの対応について
当社グループが運営するサイト「オークファン」「NETSEA」の利用者の多くは、特定の検索エンジンからの集客であり、今後につきましても、検索エンジンからの集客を強化すべくSEO(検索エンジン最適化)施策を実施していく予定であります。
しかしながら、検索結果を表示する検索エンジンのアルゴリズムが大幅に変更される等、これまでのSEO施策が有効に機能しなかった場合、追加的なSEO施策費用等の発生や「オークファン」「NETSEA」への集客数が減少し、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 課金サービス利用料金における決済について
当社グループの課金サービスについては、その利用料金の回収を回収代行業者に委託しております。当社は特定の回収代行業者に依存しているわけではありませんが、特にGMOペイメントゲートウェイ株式会社への委託が大きく、売上に占める割合も高くなっているため、今後取引条件等に変更があった場合、委託先のシステムトラブルにより決済に支障が生じた場合、委託先の経営状況や財政状態が悪化した場合、その他何らかの理由により委託先との取引関係が継続できない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 「オークファン」で提供する商品及び価格情報について
「オークファン」において利用者に提供している価格等の商品及び価格情報は、各Eマーケットプレイスから公開されている商品及び価格情報を整理統合し、統計学的補正を施したものです。当社では、各Eマーケットプレイスとは良好な関係を築いており本書提出日現在当社との関係において問題はないと認識しておりますが、今後、各Eマーケットプレイスの戦略方針の変更等何らかの理由により商品及び価格情報の取得が困難になる場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合について
当社グループは、インターネットメディア事業を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、大手企業を含む多くの企業が事業展開していることもあり、競合が現れる可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)システムに関するリスクについて
① システム障害・通信トラブルについて
当社グループのインターネットメディア事業では、サーバーを経由して「オークファン」「NETSEA」利用者にサイト機能やサービスを提供しております。また、サーバー運用に際しては、国内大手データセンターへホスティングを中心とした業務を外部に委託しております。
しかしながら、自然災害、火災、コンピュータウィルス、通信トラブル、第三者による不正行為、サーバーへの過剰負荷、人為的ミス等あらゆる原因によりサーバー及びシステムが正常に稼働できなくなった場合、あるいは当社グループが過去に蓄積してきた商品及び価格情報が消失した場合、当社グループのサービスが停止する可能性があります。
当社グループでは上記のような場合に備え、関東及び九州という距離を隔てた二つの地域にデータセンターが分散化しており、一方のデータセンターで不測の事態が生じた場合にも、他方のデータセンターで事業運営が行える体制を整えております。またデータセンターに保存されている商品及び価格情報が消失した場合に備え、当社内においても商品及び価格情報を全て保存しており、当社及び二つのデータセンターの計三カ所で保存することで対策を図っております。
当社グループでは上記のような対策を行っておりますが、それにもかかわらず何らかのシステム障害・通信トラブルにより当社グループのサービスが停止した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業拡大に伴う設備投資について
当社グループは、今後の利用者数及びアクセス数の拡大に備え、継続的なサーバー等のシステムインフラへの設備投資が必要であると認識しております。設備投資によりシステムインフラを増加したものの、想定していた利用者数及びアクセス数を下回った場合には、稼働率の低下となり、減価償却費等の費用の増加を吸収できず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
① 法的規制について
当社グループは、インターネット上の事業展開において各種法的規制等を受けており、その主な内容は以下のとおりであります。
a.特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)
同法における特定電気通信役務提供者として、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合には、権利を侵害された者に対する損害賠償義務及び権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されております。
b.不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)
同法におけるアクセス管理者として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる義務が課されております。
c.特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)
営利団体等が、個人(送信に同意した者等を除く。)に対し、広告・宣伝の手段として電子メールを送信する場合に、一定の事項を表示する義務等が課されております。当社グループは、会員向けメールマガジン等の配信においては、その送信につき事前に同意した会員等に対してのみ配信する方針を取っております。
d.特定商取引に関する法律
当社グループの事業に関わる法的規制として、消費者保護に関して「特定商取引に関する法律」があり、規制を受けております。
e.青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境等に関する法律(青少年ネット規制法)
同法における関係事業者の責務として、青少年有害情報の閲覧をする機会をできるだけ少なくするための措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めることが課せられております。
上記以外にも、一般消費者を対象とした「消費者契約法」の適用を受ける他、「オークファンスクール」、「オークファンゼミ」、その他有料会員の募集及び広告の取扱いに際して「不当景品類及び不当表示防止法」の適用を受けております。
近年、インターネット上のトラブル等への対応として、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等による規制や既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の取り扱いについて
当社グループは、事業運営に際して、当社グループのサービスを利用する会員にIDの登録を依頼しており、当社グループのデータベースサーバーには、個人情報がデータとして蓄積されております。
これらの情報については、当社グループにおいて守秘義務があります。このため当社においては個人情報の保護の徹底を図るべく、平成23年9月にはプライバシーマークを取得し、個人情報に関する個人情報管理基本規程を作成し、当社が取得・保有する個人情報の取扱方法、個人情報データベースへのアクセス制限及びアクセスログの管理について定めるなど、個人情報の漏出を防止するための方策を実施しております。具体的には、当社が知り得た情報については、当社のシステム部門である開発部を中心に、データへアクセスできる人数の制限等の漏洩防止策が講じられております。
しかしながら、当社が実施している上記方策にもかかわらず、当社からの個人情報の漏出を永久かつ完全に防止できるという保証はありません。
今後、当社グループの保有する個人情報データベースへの不正侵入や人為的ミス等を原因として、当社グループが保有する個人情報が万が一社外に漏出した場合には、当社グループの風評の低下による当社グループを経由した売買件数及び会員数の減少、当該個人からの損害賠償請求等を招く可能性があり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループにおける知的財産権について
当社グループは、知的財産権の保護をコンプライアンスの観点から重要な課題であると認識しております。
当社では管理部門である経営管理部並びに開発部により、知的財産権の管理体制を強化しておりますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、解決までに多くの時間及び費用が発生する等、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの属する市場がさらに成長し、ITの進展とあいまって、事業活動が複雑多様化するにつれ、競合も進み、知的財産権をめぐる紛争件数が増加する可能性があります。このような場合、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業運営体制に係わるリスクについて
① 小規模組織であることについて
当社グループは小規模組織であり、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制となっております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保及び育成
当社グループにおいて優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。新入社員及び中途入社社員に対する研修の実施をはじめ、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の確保・育成に努め、社内研修等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を採用できない場合、また採用し育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外流出した場合には、優秀な人材の確保に支障をきたし、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 社歴が浅いことについて
当社は平成19年6月に設立され、未だ業歴が浅く成長途上にあります。したがって過去の財務情報だけでは今後の事業及び業績を予測するうえで十分な判断を提供しているとは言えない可能性があります。
④ 特定人物への依存について
当社代表取締役である武永修一は、事業の立案や実行等会社運営において、重要な役割を果たしております。当社グループといたしましては、同氏に過度に依存しない事業体制の構築を目指し、人材の育成及び強化に注力しておりますが、今後不慮の事故等何らかの理由により同氏が当社の業務を執行することが困難になった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他
① 資金使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、主にデータ・ユーザー数増加のためのサーバー機器等の増設、サイト機能向上のためのソフトウェア開発、人員増加に伴う本社事務所の移転・増床等における設備資金投資及び既存事業の拡大にかかる人材採用費等に充当する計画となっております。しかしながら、インターネット関連業界その他事業環境の変化に対応するために、調達資金が計画どおり使用されない可能性があります。また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの効果を得られず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来平成27年9月期まで無配当としてまいりました。
現在は、内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社グループの1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、この場合、さらに1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、737,500株であり、発行済株式総数9,860,000株の7.5%に相当します。新株予約権の詳細については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。