有価証券報告書-第7期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 12:53
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは7つの事業アプローチから人と暮らしをトータルに見つめ、お客さまとともに「美しい時代へ」の理念のもと、美しい生活環境の創造を目指す総合生活産業であり、東急グループの一員として「安心と信頼」の「東急ブランド」の価値向上に努めております。
これまで時代の変化やお客さまの需要を捉え、新たなライフスタイルの創造に向けて常に探求し、豊かな社会の実現に挑戦してきました。グループが持つ資本と創業以来培ってきた「挑戦するDNA」をもとに、経営課題、社会課題の解決に挑み、お客さまに価値を提供し続けることが当社グループの使命です。
また、安定化した成長路線を着実に「継続」することと、大きく変化を遂げるであろう事業環境に対応しながら、常に新たな事業・課題の達成に取り組み、変わりゆく時代へ挑戦を続けていくことで、株主価値・企業価値の向上を図ってまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当社グループは、持株会社体制への移行(2013年10月)を踏まえ、2014年11月にグループ中長期経営計画「『Value Frontier 2020』~価値を創造し続ける企業グループへ~」(2014年度~2020年度)を策定、東京オリンピック開催や東急グループの総力を挙げた再開発事業の推進により渋谷駅周辺が大きな変貌を遂げる2020年度までを期間とし、「関与アセット拡大」と「新たな需要創出」により「価値を創造し続ける企業グループ」を目指してまいりました。
2017年5月に中長期経営計画の後半4ヵ年(2017年度~2020年度)の中期経営計画「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」(以下、「本計画」といいます。)を策定いたしました。本計画では、中長期経営計画で定めた2つの基本方針である「関与アセット拡大」及び「新たな需要創出」を継続し、事業環境の変化に対応した以下3つの成長戦略を推進、さらに「事業間シナジーの取り組み強化」とともに「グループ経営資源最適化及びESGマネジメント」に注力することで、収益水準の持続的成長を図り、ハコやモノの枠を超えてライフスタイルを創造・提案する企業グループを目指しております。
成長戦略① ライフスタイル提案型の街づくり
成長戦略② 循環型再投資事業の領域拡大
成長戦略③ ストックの活用強化
本計画のうち前半の2ヵ年が終了した2019年5月、活況なオフィス市場をはじめとする堅調な事業環境、当初の計画を上回る事業実績、2018年10月の公募増資の実施等を踏まえ、本計画の最終年度である2020年度の数値目標を見直しました。見直し後の数値目標は、営業利益950億円、親会社株主に帰属する当期純利益500億円、D/Eレシオ2.3倍以下、EBITDA倍率10倍水準とし、また、株主価値向上の指標として、ROE・EPSの目標を追加し、株主資本コストを念頭にROEの目標を8%超、EPSは69.53円に設定しました。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックに伴い、2019年度の第4四半期より、当社グループの事業において、商業施設・運営施設・営業店舗等において大きな影響が発生しております。2020年度における数値目標の達成は困難な状況となり、業績予想は営業利益500億円、親会社株主に帰属する当期純利益260億円といたしました。
0102010_001.png2020年度の業績予想については、新型コロナウイルスの感染拡大影響を合理的に見積もることが難しい状況にありますが、第1四半期は当社グループの事業活動に大きな制約が生じ、第2四半期以降は徐々に回復することを想定して算出しております。
臨時休業等により影響が生じる事業は、都市事業セグメントの商業施設、ウェルネス事業セグメントの運営施設、ハンズ事業セグメントであり、営業店舗の休止など営業活動の制限により影響が生じる事業は、住宅事業セグメントの分譲マンション、管理事業セグメントの工事業、仲介事業セグメント、次世代・関連事業セグメントのインドネシアにおける分譲マンション等が挙げられ、当社グループの全セグメントにおいて影響が発生することを見込んでおります。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の収束時期等により、実際の業績等は変動する可能性があります。
新型コロナウイルスの感染拡大影響を受けた2020年度の活動方針として、当社グループのサステナビリティ確保と、パラダイムシフトに対応した改革を進めます。サステナビリティ確保については、お客さまや社員を始めとするステークホルダーの安全確保を最優先とし、コストの見直しの徹底、市況変調を奇貨とした投資機会の見極め、新たな商品やサービスの提供等に取り組みます。パラダイムシフトに対応した改革としては、当社グループの社会的使命に沿ったビジネスモデルの進化とともに、DXの活用等、新しい事業機会の創出にも注力します。
現在の事業環境においても、当社グループの株主価値及び企業価値の中長期的な向上を目指すというミッションは変わらず、2020年度は次期中長期経営計画への課題整理を行う足場固めの1年にする予定です。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社グループでは、株主価値及び企業価値の向上に向け、財務規律を維持しつつ収益力強化を図ることで、EPSの成長とROEの向上を目指す(下図参照)ことを基本方針としています。
0102010_002.png各事業セグメント及び非財務分野における経営環境及び重点戦略は以下のとおりです。
① 都市事業セグメント
オフィス市場は、働き方改革の進展や採用強化を目的とした移転及び増床ニーズが拡大し、賃料は上昇基調が続くなど、好調に推移してきました。当社グループ保有物件における2020年3月末時点での空室率(オフィスビル・商業施設)も0.6%と、引き続き旺盛な需要に支えられて低水準を維持しております。
大型開発プロジェクトについては、2019年度には渋谷ソラスタ及び渋谷フクラスが満室で稼働し、2020年度には当社グループ最大規模のオフィスビルである東京ポートシティ竹芝(オフィスタワー)の竣工及び開業を予定するなど、順調に進捗しております。その一方で、オフィス市場は一般的に景気や企業業績に遅行する傾向にあるため、今後の新型コロナウイルスによる影響については、注視が必要です。
商業施設については、足元のテナント売上高は2019年10月の消費増税以降も堅調に推移しておりましたが、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大によるテナント売上高への影響、中長期的にはEC化率(消費に占めるEC経由の割合)の上昇予測によるビジネスモデルの転換等に注視が必要な環境です。
当社グループが、直近で最も資産規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT価格によって売電収益が固定されており、景気変動等に対する影響が少ない安定的な事業です。外部環境としては、政府が2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を22~24%に成長させる方針を掲げていることに加え、2015年の東京証券取引所でのインフラファンド市場の開設以降は資産の流動性も高まっております。
2020年度の当セグメントにおいては、新規物件の取得環境が過熱する状況の中での厳選投資及び、東京ポートシティ竹芝や(仮称)九段南一丁目プロジェクト等の開発中の大型プロジェクトの着実な推進が重点課題となっております。
② 住宅事業セグメント
分譲マンション市場は、都心立地や利便性を重視する顧客志向、住宅ローン金利の低位安定等に加え、2019年の供給戸数が首都圏で31,238戸、関西エリアで18,042戸(出典:㈱不動産経済研究所資料)と引き続き縮小した市場のもと、分譲価格は高止まりが続いております。当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2020年度期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は50%となっております。その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大影響による住まいに対するニーズの更なる多様化については、今後注視する必要があります。当セグメントで投資家向けの開発及び売却を行っている賃貸マンションについては、東京23区を中心とする都市部への若年層の転入超過が継続していることや、新型コロナウイルスの感染拡大影響を直接は受けにくい資産であることから、投資家向けの旺盛な需要が継続する見込みです。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連の工事による需要が一段落した一方で、慢性的な人工不足により工事金の高止まりは継続すると想定しております。
当社グループでは、ハード面とソフト面、両面からの商品の付加価値向上を重点課題として取り組んでおり、「一人ひとりの暮らしに新しい物語を。」をコンセプトに、住まいを起点とした新しいライフスタイルを提案する街を「LIFE STORY TOWN」として展開しております。2020年度に竣工及び引渡予定のブランズタワー大船を中心とする大船駅北第二地区第一種市街地再開発事業では、エリアマネジメント業務を受託した㈱東急コミュニティーを中心として、地域コミュニティとの交流機会の創出及び区分所有者・入居者等のコミュニティ形成を目的とした、活気ある街の創出を図ります。
③ 管理事業セグメント
管理事業セグメントにおける事業環境は、管理民営化の拡大や管理難易度が高い複合施設管理の増加、改修及びリフォーム需要の拡大等が追い風である一方、新規物件管理受注環境の悪化や、近年の働き方の多様化等による人材確保難等については、対応すべき課題として認識しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大影響による、今後のデジタル化の進化を含めた省人化技術の活用等については、注視及び対応が必要です。
重点課題としては、管理業における収益性や将来性を考慮した上でのストック拡大戦略の実行、工事業においては当社グループのシナジーを最大限利用した営業強化を進める方針です。
④ 仲介事業セグメント
仲介事業における事業環境は、新築分譲マンションの供給戸数の低位安定により中古住宅市場の拡大が見込まれる一方で、長期的にはITの進化等による事業構造の変化への注視が必要と認識しております。直近では、リテール市場においては2019年10月の消費増税の反動による一時的な取引件数の減少はあったものの、住宅ローンの低金利も手伝い、引き続き堅調な市況となっております。ホールセール市場においても、J-REIT等の物件取得意欲は依然旺盛となっており、堅調な市況が続いておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大影響による不動産流通市場の変動については、今後注視が必要と考えております。
今後はDX活用による営業活動の効率化や、リテール部門における取引件数の更なる積み上げ、ホールセール部門における事業領域の拡大を目的とした法人戦略の強化等を重点課題として考えております。
⑤ ウェルネス事業セグメント
ウェルネス事業は、当社グループのハコやモノの枠を超えてライフスタイルを創造、提案するという価値創造ストーリーのカギとなるセグメントとなります。近年では、高齢者人口の増加及び健康寿命延伸への注目度の向上や、2012年以降の訪日外国人の増加等、当セグメントの事業環境は好転してまいりました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、インバウンドを含む宿泊需要の減少や生活様式の変化等、短期的な影響は特に大きいセグメントとなっております。
当セグメントは、労働集約型の運営業が中心となっております。その中で顧客満足度向上やマーケティング力向上に資するICTツールの更なる活用及び、運営会社の統合など組織改編を含めた生産性の向上を重点課題と認識しております。
⑥ ハンズ事業セグメント
小売事業においては、中短期的にはECの拡大や2019年10月の消費増税等で事業環境が変化してまいりました。更に、新型コロナウイルスの感染拡大影響により、生活様式の変化も加速しており、今後は「ウィズコロナ」及び「アフターコロナ」を見据えた上で、事業環境変化への対応が必要です。
当セグメントでは、デジタルネイティブ世代に向けた情報発信や、EC売上の拡大に向けたデジタル戦略の強化により、消費者の生活様式の変化等に対応する施策の実施を重点課題としております。
⑦ 次世代・関連事業セグメント
当セグメントでは、㈱東急ホームズが事業展開する輸入注文住宅事業を2020年3月末日をもって終了し、その他の同社の新築工事請負事業を㈱東急Re・デザインへ移管するなど、事業環境の変化に対応した事業改革を進めております。
今後注力する海外事業においては、対象国を厳選した上で、外部資金の積極活用により関与資産を拡大、フィー収入を基盤とした安定的な収益を創出するとともに、循環型再投資モデルの深化・発展を促進することを重点課題としております。また、新型コロナウイルスの感染拡大影響は、当社グループが事業を展開する北米やアジア各国でも広がっており、各物件の販売状況や工事状況等については、適切な状況把握と管理に努めてまいります。
⑧ 非財務面における取り組み
当社グループでは、持続的成長と長期的企業価値向上を実現するため、「事業活動を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーとともに、サステナブルな社会と成長を実現する」というサステナビリティビジョンのもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重要な経営課題と位置づけています。
上記ビジョンに基づき、E(環境)の分野においては、RE100への加盟やTCFDの提言への賛同を行い、気候変動についてのシナリオ分析に基づくリスクと事業機会の検証を実施しています。S(社会)の分野では、働き方改革の推進に加え、2019年度は「東急不動産ホールディングスグループ 人権方針」及び「東急不動産ホールディングス サステナブル調達方針」の策定を行いました。なお、2020年3月に経済産業省と東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に初めて選定されました。「健康経営銘柄」は1業種につき原則1企業が選定されるもので、経営的な視点から社員の健康管理に戦略的に取り組む優れた企業としての評価をいただいているものです。またG(ガバナンス)の分野では、指名・報酬委員会の設置や、取締役会の実効性についての第三者評価を実施するなど、改善に取り組んでおります。

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