有価証券報告書-第8期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 14:03
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156項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等はこれらの見通しとは異なることがあります。
(1)「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」の振り返り
当連結会計年度が最終年度となる「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、最終年度の財務目標は未達成となりましたが、渋谷再開発や「東京ポートシティ竹芝」など大型プロジェクトの稼働による賃貸事業基盤の拡充や、再生可能エネルギー事業などインフラビジネスの成長、仲介・管理事業などノンアセット型事業の成長など、一定の成果を得ることができました。
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(2)長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定について
将来の長期的な経営環境について、新型コロナウイルスのパンデミックや急激なデジタル化の加速、脱炭素社会の進展、生活スタイルの多様化など、「VUCA※」といわれる不確実で先が読みにくい時代が続くものと認識しています。このような環境認識のもと、サステナブルな成長を実現するため、従来型の積み上げ型による計画ではなく、バックキャスト発想で10年後の当社グループのありたい姿を見定め、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の策定と理念体系の再整理を行いました。
※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなげた言葉で、予測不可能な社会経済環境を指す。
① 長期ビジョンスローガン「WE ARE GREEN」について
コーポレートカラーであるグリーンを基調に、当社グループの事業や人財の多様性をグラデーションで表し、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく姿勢を表現しています。グリーンは環境への取り組みやサステナビリティの象徴であるとともに、当社グループがめざす「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来」の象徴でもあります。「WE ARE GREEN」を旗印に、多様なグリーンの力を融合させ、魅力あふれる多彩なライフスタイルを創造していきます。
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② 理念体系
当社グループの成り立ちを踏まえて理念体系を改めて再定義し、「ありたい姿」、「社会との約束」、「創業の精神」を規定いたしました。
ありたい姿は、「価値を創造し続ける企業グループへ」を継続して掲げます。そして、魅力あふれる多彩なライフスタイルの創造を通じて、誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来を実現することが、社会的使命(ミッション)です。
社会との約束では、6つのステークホルダーへの約束を定義しました。当社グループは、あらゆるステークホルダーの満足度の総和が企業価値になると考えています。
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③ マテリアリティ
ありたい姿で規定した「誰もが自分らしく、いきいきと輝ける未来の実現」に向け、「個人」「社会」「環境」それぞれの未来の理想像を描き、それらを実現するための4つの取り組みテーマ「多彩なライフスタイルをつくる」、「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」、「サステナブルな環境をつくる」、「デジタル時代の価値をつくる」をマテリアリティとして定めています。
上記の4つの事業基盤に関するマテリアリティに加え、「多様な人財が活きる組織風土をつくる」、「成長を加速するガバナンスをつくる」の経営基盤に関するマテリアリティの2つを設定し、当社グループがめざす未来を実現するために、6つのマテリアリティに取り組んでまいります。
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④ 「GROUP VISION 2030」の位置づけ
「Value Frontier 2020 Stage2 中期経営計画2017-2020」において、一定の成果を得た一方で、現状の課題として4点を認識しております。順調な投資によるBS拡充の一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり収益水準が低下しており、BSマネジメントによる効率性向上と、強固な事業ポートフォリオ構築が課題です。管理運営の人手に頼った事業では、人手不足等の影響に左右されにくい体質へ転換するため、労働集約型からの脱却も重要な課題です。また、デジタル化など事業の高度化、複雑化への対応が急務であり、自前主義の脱却、人材育成に取り組む必要があります。
4つの課題認識を踏まえ、2030年までの10年間のうち、前半期を「再構築フェーズ」として、アフターコロナの再成長に向けた稼ぐ力と効率性向上への取り組み期間とします。後半期では「強靭化フェーズ」として、新領域での事業育成など強固な事業基盤の確立を目指し、その後のサステナブルな成長につなげてまいります。
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(3)長期経営方針について
「GROUP VISION 2030」では、現状の課題認識を踏まえ、長期視点であらゆる事業を見直すとともに、経営の羅針盤となる考え方を明確化することで、サステナブルな成長を実現してまいります。
グループの特色を強みに変えるため、全社方針として、環境経営とDXに取り組み、また、関与アセット拡大モデルの進化のため、知的資産の活用とパートナー共創を進め、強固で独自性ある事業ポートフォリオを構築します。ROE向上、EPS成長、ひいては株主価値・企業価値の向上を実現します。
① 全社方針
イ.環境経営
環境ビジョンに基づき、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けた「クリーンエネルギー普及など、すべての事業を通じた環境負荷低減」と、ライフスタイル「環境に寄与する快適な街と暮らしの創造」に取り組みます。
気候変動に関する目標については、自社のCO2排出については2025年カーボンマイナスへの貢献を実現します。カーボンマイナスについては、当社グループの強みである再生可能エネルギー事業によるCO2削減量が自社のCO2排出量を上回ることでグループ全体の2025年度の実現をめざす、当社独自の目標となっております。また、サプライチェーンのスコープ3まで含めたCO2については、科学的根拠に基づく削減目標のSBT1.5℃の認定を取得し2030年に実現、2050年ネットゼロエミッション達成をめざします。2100年に気候変動を1.5℃に抑える「1.5℃目標」は、パリ協定において「努力目標」とされるハードルの高い目標設定ですが、強い決意を持って取り組み、環境の取組みについては業界をリードしていきたいと考えております。
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ロ.DX
全社方針の「DX」では、3つの施策を推進します。
ビジネスプロセスでは業務フローの電子化・業務自動化など、「省力化推進による創造的業務への転換」、CX(カスタマーエクスペリエンス)では、オンラインとオフラインの融合(いわゆるOMO)の推進など「顧客接点の高度化による感動体験の創出」、イノベーションでは「知的資産活用による新しい価値創造」を通じて、デジタル活用による事業の変革に取り組みます。
当社グループは多くのBtoC事業を手掛けていることから豊富なお客さま接点を有しており、DXに取り組むことで新たな付加価値を提供できるものと考えております。BtoC事業を強みに変革するためにDXを推進いたします。
② 事業方針
従来から「関与アセットの拡大」を方針とし、自社保有資産にとどまらないグループの関与アセット拡大による収益の伸長を図ってまいりました。この方針を踏襲しつつ、さらに進化させるために、「知的資産の活用」と「パートナー共創」を進め、強固な事業ウイングを構築いたします。
「知的資産の活用」については、関与アセットから得られるノウハウやデータを蓄積し、それらを活用することで、付帯収益の拡大やノウハウを活用した新たな収益機会の獲得を目指してまいります。
「パートナー共創」では、資金や知見などの外部リソースを積極的に活用していくことで、事業価値の最大化を図ってまいります。
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③ 重点戦略
長期経営方針のターゲットとする2030年がどのような時代に変化していくか、個人・社会・環境認識を踏まえ、4つの重点戦略を策定し、事業の変革とサステナブルな成長を実現してまいります。
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④ 経営基盤の強化
経営基盤の強化として、「財務資本戦略」、「人財・組織風土」、「ガバナンス」に取り組みます。
財務資本戦略では、「資産のコントロール」と「負債・自己資本のコントロール」を通じて、財務規律を維持しながら、効率性を意識した利益成長を実現し、ROE向上およびEPS成長、ひいては株主価値・企業価値向上を目指します。
「資産のコントロール」では、既存事業の効率性向上と事業ポートフォリオの最適化が課題です。既存事業の効率性向上の具体的な施策として、資産活用型事業においては、分譲事業、循環型再投資事業、高効率事業の拡大、大型開発プロジェクトの着実な稼働、外部資本活用やフィー収入の拡大、資産ポートフォリオ入替、低収益資産の売却などに取り組みます。人財活用型事業では、規模の成長とともに労働集約型からの脱却などにより効率性を向上します。
「負債・自己資本のコントロール」では、財務規律を維持しながら、市況悪化時にも耐えうる財務基盤を構築し、円滑な資金調達を目的とした格付維持向上を図ります。今後、期間利益の積上げによりD/Eレシオを改善してまいります。
また、株主還元は、成長再投資を通じたEPS成長を基本方針といたしますが、当面の方針として配当性向30%以上に引上げ、安定的な配当の維持継続に努めてまいります。
以上の施策により、ROEを向上してまいります。当連結会計年度のROEはコロナ影響により3.7%と大きく落ち込みましたが、株主資本コストを意識するとROE8%が早期に到達すべき目標であると考えております。2020年代半ばまでにROE8%目標の達成をめざします。
さらに事業ポートフォリオマネジメントに関しては、全事業共通の定量評価と定性評価を踏まえて、評価区分を決定しモニタリング、最適資源配分等を通じて、収益性と効率性の向上をめざします。全てのグループの事業を評価対象事業とし、細分化された事業単位で評価をいたします。
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⑤ 目標指標
2030年度の目標指標は、マテリアリティごとにそれぞれのKPIを定めております。
また財務指標としては、2030年度のありたい姿として、ROE10%以上、ROA5%以上、D/Eレシオ2.0倍以下、営業利益1,500億円以上、当期純利益750億円以上を参考指標として掲げました。なお、2030年度のありたい姿の具現化に向けて、「GROUP VISION 2030」に沿った中期経営計画を策定することとしております。
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(4)経営環境及び対処すべき課題
長期経営方針の策定に伴い、事業セグメントの変更を行いました。人財と資産活用の観点から事業を分け、社会的役割の親和性が高い事業領域に区分してセグメントを管理していきます。旧来の7セグメントを4セグメントに集約再編しました。
資産活用型事業として、都市開発事業セグメントは開発機能を発揮する事業が中心であり、戦略投資事業セグメントは、インフラ・インダストリーや海外事業、投資運用事業など、投資機能を発揮する事業が中心となります。
人財活用型事業としては、ビジネスモデルの類似性から管理運営事業セグメントと不動産流通事業セグメントに区分します。
① 都市開発事業セグメント
都市開発事業セグメントは、街のにぎわいを創出するとともに、地域課題の解決に貢献する複合開発を強化していきます。
オフィス市場は、オフィス需要の減退が不安視される中、当社グループ保有物件における2021年3月末時点での空室率(オフィスビル・商業施設)は1.3%と、引き続き低水準を維持しております。オフィスビルの平均賃料についても、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」の新規寄与等によって前期末から上昇しております。当社ポートフォリオにおいては、新型コロナウイルス感染拡大による空室率及び賃料の大きな悪化影響は見られませんが、オフィス市場は一般的に景気や企業業績に遅行する傾向にあるため、今後の新型コロナウイルスによる影響については、注視が必要です。また、リモートワークの普及により、働き方の多様化が加速する中、センターオフィスに加え、当社グループの多様なアセットを活用したワークスペースを展開しております。
大型開発プロジェクトについては、当連結会計年度には当社グループ最大規模のオフィスビルである「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」が満室で稼働しております。当社グループの重点エリアである「広域渋谷圏」をはじめ、複数のプロジェクトが進行しております。
商業施設については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、第1四半期は施設の休館等により大幅な売上減となりました。以降は短期的な浮沈を繰り返しているものの、全体的には施設売上は回復基調にあります。また、今回のパンデミックによって商業施設の在り方の変化が予想される中、従来型のテナントに加え、体験型テナントの誘致にも注力しております。
分譲マンション市場は、新型コロナウイルス感染拡大の発生直後は、今後のマーケットは不透明でしたが、都心立地や利便性を重視する顧客志向、在宅勤務を契機とした住宅の質の改善、住宅ローン金利の低位安定等、購買環境が引き続き良好なこともあり、実需層を中心に新型コロナウイルス発生前の水準に回復しております。当社グループのマンション販売は堅調に推移しており、2021年度期初時点での分譲マンションの通期売上予想に対する契約済割合は54%となっております。また、新型コロナウイルス感染拡大による住まいに対するニーズは多様化しており、在宅勤務のニーズに対応するため、専有部内や共用部内にワーキングスペースを確保するなど、当社の幅広い事業領域を活かし、新しい日常の提案を行い、様々な社会課題の解決にグループ全体で取り組んでまいります。さらに建築工事費は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連の工事が一段落した一方で、慢性的な人工不足により工事金の高止まりは継続すると想定しております。
2021年度の当セグメントにおいては、新規物件の取得環境が過熱する状況の中での厳選投資及び、(仮称)九段南一丁目プロジェクトや渋谷駅周辺では最大規模の開発となる渋谷駅桜丘口地区再開発計画など、開発中の大型プロジェクトの着実な推進が重点課題となっております。また、分譲マンションの完成在庫は827戸と、従来より高水準であるものの、市況は堅調に推移しており、引き続き着実に販売を進める方針です。
② 戦略投資事業セグメント
戦略投資事業セグメントは、インフラ・インダストリー事業や海外投資事業等における戦略的な投資を行ってまいります。特にインフラ・インダストリー事業では、政府のエネルギー政策、産業構造の変化などを踏まえ、強みを活かした事業展開を加速させていきます。
当社グループが、直近で最も資産規模を拡大させてきた再生可能エネルギー事業は、FIT価格によって売電収益が固定されており、景気変動等に対する影響が少なく、コロナ禍においても事業への影響はなく、稼働案件も着実に増やしており、安定的に収益に寄与する事業です。外部環境としては、政府が2030年度の電源構成において、再生可能エネルギーの割合を22~24%に成長させる方針に加え、2050年までに温室効果ガスの排出を0にする2050年カーボンニュートラルを掲げており、さらに2015年の東京証券取引所でのインフラファンド市場の開設以降は資産の流動性も高まっており、今後も市場が拡大していくと思われます。
重点戦略として「環境関連ビジネスの強化」を掲げており、環境経営だけではなく、事業活動を通じて自然と共生・調和したまちづくりの実現をめざします。再生可能エネルギー事業の拡大では、洋上風力など発電源の拡大と電力の地産地消など再生可能エネルギーの活用を進めるほか、事業拡大を支える共創関係や仕組みの整備を推進していきます。
物流施設は、EC市場の成長により底堅い需要が見込める環境であり、東急スポーツオアシスや東急ハンズ等のグループ連携により、他社との差別化を図りながら、循環型再投資として今後も関与アセットの拡大を行ってまいります。
海外事業においては、日本国内同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けましたが、対象国を厳選した上で、外部資金の積極活用により関与資産を拡大、管理やアセットマネジメントなどのグループノウハウを活用した事業機会を創出するとともに、循環型再投資モデルの深化・発展を促進してまいります。
③ 管理運営事業セグメント
管理運営事業セグメントは、生産性向上とデータに基づく付加価値の高いサービス展開を行い、労働集約型から知的資産集約型事業へ転換していきます。
マンション管理やビル管理の管理事業における事業環境は、管理民営化の拡大や管理難易度が高い複合施設管理の増加、改修及びリフォーム需要の拡大等が追い風である一方、新規物件管理受注環境の悪化や、近年の働き方の多様化等による人材確保難等については、対応すべき課題として認識しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による、今後のデジタル化の進化を含めた省人化技術の活用等については、注視及び対応が必要です。重点課題としては、管理業における収益性や将来性を考慮した上でのストック拡大戦略の実行、工事業においては当社グループのシナジーを最大限利用した営業強化を進める方針です。
ウェルネス事業においては、これまでは高齢者人口の増加及び健康寿命延伸への注目度の向上や、2012年以降の訪日外国人の増加等、好調な事業環境が継続しておりました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、需要が大きく減退し、特に東急ステイ、東急スポーツオアシス、ハーヴェストクラブ等が影響を大きく受けました。ワクチン普及等の好材料がある一方で、インバウンドの回復には時間を要するため、お客さまに安心してご利用いただけるよう感染症対策の徹底に努めながら、各施設の運営に注力するとともに、顧客体験価値向上を追求した国内需要の取り込み強化と、スマート運営の実現など運営効率向上及びコスト構造改革に引き続き取り組んでまいります。
小売事業の東急ハンズにおいても、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けました。「新しい生活様式」による生活スタイルの変化に対応するため、プライベート商品の開発やEC事業等の強化、さらに費用の削減等にも引き続き取り組んでまいります。
当セグメントでは、お客さまとの豊富な接点とノウハウ・データを活かすことで、BtoC領域の各事業を知的資産集約型事業へ変革してまいります。オンラインとオフライン融合による体験価値の創出、OMOを推進し、蓄積されたノウハウ・データに基づくソリューション提案力を強化します。また、蓄積したノウハウを外部パートナー企業等へ提供することにより、新たな収益機会を獲得していきます。
④ 不動産流通事業セグメント
不動産流通事業セグメントは、DX活用による自動化・省力化への取り組みや知的資産活用によりビジネスモデルを変革し、新たな収益機会を拡大してまいります。
仲介事業における事業環境は、新築分譲マンション市場の縮小により中古住宅市場の拡大が見込まれる一方で、長期的にはITの進化等による事業構造の変化への注視が必要と認識しております。新型コロナウイルス感染拡大により不動産流通市場の悪化懸念がありましたが、リテール・ホールセールともに新型コロナウイルス発生前までの水準に回復しております。今後はDX活用による営業活動の効率化や、リテール部門における取引件数の更なる積み上げ、ホールセール部門における事業領域の拡大を目的とした法人戦略の強化等を重点課題として考えております。
⑤ サステナビリティ戦略について
E(環境)の分野においては、RE100への加盟やTCFDの提言への賛同を行い、気候変動についてのシナリオ分析に基づくリスクと事業機会の検証を実施しています。東急不動産は、2019年4月に不動産業では初となるRE100に加盟し、さらにRE100の達成目標を当初の2050年から2025年に大幅に前倒ししました。そして2021年4月から、「渋谷ソラスタ」を含む本社事業所及び「広域渋谷圏」のオフィスビル・商業施設の計17施設で使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えをスタートいたしました。当社グループは、今後も再生可能エネルギー事業への取り組みを通じ、サステナブルな社会の実現に取り組んでまいります。
S(社会)の分野では、働き方改革の推進に加え、2019年度に「東急不動産ホールディングスグループ 人権方針」及び「東急不動産ホールディングス サステナブル調達方針」の策定を行いました。当社グループでは、2013年のホールディングス化以降、社会とともに、当社グループの持続的な成長を実現するため取り組みを進めています。
G(ガバナンス)の分野では、サステナブルな成長に資するガバナンス体制へ継続的に改善しております。指名・報酬委員会の設置や、取締役会の実効性についての第三者評価を実施している他、2021年度より、独立社外取締役を2名増員し、比率が40%となりました。今後も適宜見直しを進め、2022年度移行が計画されているプライム市場創設に対応し、相応しい体制を構築してまいります。
取り組みの社外評価として、GPIFが採用するESG銘柄全てに選定されているほか、ダウ・ジョーンズなど主要なESGインデックスに組み入れられており、高い評価を得ています。当連結会計年度は、GRESBについても初参加でGreen Starを獲得、さらに健康経営銘柄についても2期連続で選定を受けました。また、当社グループの拠点である「渋谷ソラスタ」が、健康・快適性に配慮した建物・室内環境評価システムであるWELL認証を国内デベロッパーで初めて取得しました。当社は引き続き、グループ全体でサステナブルな成長に向けて取り組みを進めてまいります。