有価証券報告書-第6期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/30 11:21
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「天然ガスの生産と販売を中核に、快適で豊かな生活の実現と社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、国内における水溶性天然ガス開発のリーディングカンパニーとして国産天然ガスの開発・生産に携わるとともに、生産したガスを中心に、千葉県内のご家庭をはじめとしたお客さまに都市ガスを販売してまいりました。
近年、地球温暖化や大気汚染等の環境問題を契機に天然ガスがますます重要性を増しているなか、当社グループは「天然ガスの開発・生産といった上流部門から、お客さまへの販売という下流部門までをグループ内で一貫して行う」という最大の特長を活かし、持続可能な社会の実現に貢献しつつ競争力を持った企業として発展するため、「環境との調和、地域社会との共生」「安全・品質・サービスの向上」「活力ある企業風土の実現」という3つの経営方針に沿って事業を展開しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
世界のエネルギー需要が新興国を中心に大幅に増加しているなか、わが国では安定的なエネルギー供給や国産エネルギー源の確保などが大きな課題となっております。そのなかで、当社グループが操業する南関東ガス田の水溶性天然ガスは、貴重な国産エネルギー資源として高い重要性を有しており、安定的な開発・生産が求められています。また、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の国連での採択や「パリ協定」の発効などもあり、世界的に温室効果ガスの大幅削減が求められているなか、環境負荷が小さい再生可能エネルギーの需要が大幅に増加していく一方で、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少ない天然ガスについても、脱炭素社会を実現するまでの主力エネルギー源の一つとしてその役割を拡大していくことが見込まれます。
さらに、ヨウ素は医療分野から電子産業分野まで需要が安定的に拡大しており、今後も新興国を中心にニーズが高まることが予想されますが、ヨウ素資源は主にチリと日本に偏在しており、ヨウ素及びヨウ素化合物の需要の拡大に見合う供給が求められています。
一方で、都市ガス・電力の小売全面自由化に伴い、従来の垣根を越えた事業者間の競争の時代を迎え、お客さまに選ばれるために、より魅力的なプラン・サービスの提供や、安心してお使いいただく供給体制の構築が求められています。
こうした事業環境のなか、当社グループは2025年を成長した姿で迎えるため、2016年2月に「10年後に『ありたい姿』『あるべき姿』」及び数値目標を定めた「VISION 2025」を策定いたしました。
この「VISION 2025」の達成に向けたファーストステージとして策定した「中計2018」(2016~2018年度)では、積極的な設備投資や事業再編による経営基盤の強化・再構築を実行いたしました。
これに引き続き、「VISION 2025」へのセカンドステージとして策定した「中計2021」(2019~2021年度)では、「中計2018」を通じて強化・再構築した経営基盤を基に、既存の資源開発・総合エネルギー事業の発展及び新たな事業の実行により、将来に向け着実な成長を遂げてまいります。
~「VISION 2025」で目指す方向性~
①「競争力ある県産ガスの開発」「効率的な導管網の整備」「都市ガス事業の更なる強化」を推進し、国内屈指のガスバリューチェーンを展開する。
②貴重な資源であるヨウ素の生産者として、積極的な増産・拡販を図り、世界の需要拡大に応える。
③千葉から世界へ。新興国を中心とした海外エネルギー市場の成長への貢献を通じて更なる発展を遂げる。
④お客さま・時代のニーズ、環境の変化をとらえ、新たな事業に取り組み、社会とともに持続的に成長する。
~「中計2021」における主な取り組み~
<資源開発>・計画的な開発の推進により、ガス・ヨウ素の生産量維持・増進を図る。
・既存坑井の活性化を実施し、ガス・ヨウ素の生産量維持・増進を図る。
・ヨウ素製造設備の更新と増強により、ヨウ素の生産量維持・増進を図る。
・高まる需要に応え、日本が世界に誇る資源であるヨウ素について、引き続き安定的な販路の確保に努める。
・計画的な老朽更新実施により、強固な保安体制を確立する。
<総合エネルギー事業>・都市ガス・LPガス・電気のワンストップ営業を展開する。
・お客さまの多様なニーズに合わせた個別提案により、ガス需要の維持・獲得を図る。
・一般のご家庭への電気の販売開始により、事業拡大を図る。
・京葉コンビナート市原臨海部のお客さまのご要望に応える天然ガスインフラの整備を着実に進める。
・経年設備の更新と地震災害対策の強化に取り組み、ガス供給インフラの安全安心を追求する。
<新規事業>・再生可能エネルギー事業の中でも既存事業との親和性の高い地熱発電関連事業での更なる発展を目指す。
・当社グループの第3の柱として、新たな事業への参入を目指す。
(3) 目標とする経営指標
項目中計2021
旧数値目標
(2021年)
中計2021
新数値目標
(2021年)
VISION 2025
数値目標
(2025年)
経常利益36億円42億円65億円
営業活動による
キャッシュ・フロー
77億円85億円90億円
ROA(総資本当
期純利益率)
2.5%以上2.8%以上4.5%以上
ガス生産量1.9億㎥1.9億㎥2億㎥
ガス販売量11億㎥11億㎥15億㎥
ヨウ素販売量1,700トン1,700トン2,100トン
設備投資額(注)155億円
(2019年~2021年)
154億円
(2019年~2021年)
570億円
(2016年~2025年)

(注) 目標達成のための計画値であります。
好調なヨウ素市況を受けたヨウ素販売価格の上昇や、天然ガス生産量の若干の増加によるガス仕入費用の減少を見込むことなどにより、2019年2月に公表した「中計2021」における数値目標を2020年2月に変更しております。