有価証券報告書-第21期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/28 10:15
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【項目】
112項目
(1)経営成績等の状況の概況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や大手企業を中心とした歴史的な賃上げなどを背景に、日銀が17年ぶりの金利引き上げを決定するなど国内経済回復の兆しが見えてきました。一方で、ウクライナ戦争の長期化、米国大統領をはじめとする各国政権交代による不確実性の上昇など、世界経済の不安定な状況は今後も継続する見通しです。
このような状況下、当社は「未来のがん治療に新たな選択肢を与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。
特に、がんのウイルス療法OBP-301を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させています。当社は日本国内で厚生労働省よりOBP-301に関する再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けて「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験(OBP101JP試験)」を完了させました。本臨床試験結果は、2024年10月に開催された第62回日本癌治療学会学術集会(福岡)において発表されました。また、2025年3月に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」)とOBP-301の承認申請に向けた先駆け総合評価相談を開始しました。今後、市販後臨床試験計画も含めた内容の審査を受けた後に、2025年12月期の承認申請を予定しています。
国内ビジネス面では、2024年2月には富士フイルム富山化学とOBP-301の販売提携契約を締結し、製造元のヘノジェン社(サーモフィッシャーグループ、ベルギー)から医療機関に至るサプライチェーンを構築するとともに、上市後の販売体制に関する各種協議を進めています。
一方、海外では、米国ではOBP-301とペムブロリズマブの共同開発体制を構築し、当社とMerck Sharp & Dohme LLC. (以下、「MSD社」)MSD社は胃がんの2次治療患者を対象としたPhase2医師主導治験の研究開発費を折半しています。OBP-301と放射線化学療法を併用したPhase1食道がん医師主導治験の安全性や予備的な有効性の結果は、2025年1月の米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウムで発表されました。また、2024年12月には台湾のMedigen Biotechnology Corp.(以下、「Medigen社」)と台湾での販売権に関するライセンス契約を締結しました。
LINE-1阻害剤OBP-601は、Transposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのライセンス契約の下、同社の全額費用負担により臨床試験が進められています。
当社活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 6.研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末における資産は、現預金の増加等により3,198,858千円(前期比56.8%増)となりました。負債は、未払金の減少等により446,649千円(前期比21.2%減)となりました。純資産は、新株発行による増資や当期純損失等により2,752,209千円(前期比86.7%増)となりました。
b.経営成績
当事業年度は、売上高31,384千円(前期は売上高63,038千円)、営業損失1,681,403千円(前期は営業損失1,929,986千円)を計上しました。また、営業外収益として為替差益43,775千円等を計上し、営業外費用として新株予約権発行費7,202千円、株式交付費10,394千円等を計上し、経常損失1,663,911千円(前期は経常損失1,913,816千円)になりました。さらに、当社がOBP-301の保管を行う倉庫で使用する機器等の減損損失17,104千円を特別損失として計上した結果、当期純損失1,684,778千円(前期は当期純損失1,938,505千円)を計上しました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、2,165,918千円(前期比68.2%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは2,020,088千円の支出(前期は1,336,922千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失1,681,015千円、減損損失17,104千円の計上、前払金の増加198,366千円、未収入金の増加50,506千円、未払金の減少141,352千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは4,705千円の支出(前期は5,392千円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出3,519千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2,879,444千円の収入(前期は1,142,542千円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入2,890,817千円、長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出94,444千円、リース債務の返済による支出11,925千円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
該当事項はありません。
(2) 受注実績
該当事項はありません。
(3) 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
セグメントの名称当事業年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
前年同期比(%)
創薬事業(千円)31,38449.7
合計(千円)31,38449.7

(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
販売高(千円)割合(%)
岡山大学35,00055.5
Transposon Therapeutics28,03844.5

相手先当事業年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
販売高(千円)割合(%)
Transposon Therapeutics31,384100.0

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況については、上記「(1)経営成績等の状況の概況」をご参照ください。
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、創薬バイオ企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高い遺伝子改変ウイルスによるがん治療薬、重症ウイルス感染症治療薬及びがん検査薬などの開発と事業化を推進しています。特に、ウイルスの増殖能力を利用してがん細胞を殺す「がんのウイルス療法」と、ウイルスの増殖を止めて治療を行う「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域とし、ウイルスを軸にした業界でも類を見ない『ウイルス創薬』を展開して参りました。また、これまでHIV感染症治療薬として開発してきたOBP-601は、そのメカニズムを基に応用を拡大して神経難病治療薬としての開発が進められています。今後も、各パイプラインの製薬企業へのライセンス活動を推進して商業化を早め、さらに新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
当事業年度では、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構とOBP-301の承認申請に向けた協議を重ねた結果、先駆け総合評価相談に移行することを合意しました。また、製造面では、商用製品として供給するための原薬製造を実施し、十分な収量の原薬を製造しました。ビジネス活動においては、2024年2月に富士フイルム富山化学と販売提携契約を締結し、日本国内での販売パートナーを獲得しました。さらに、2024年11月には再生医療等製品製造販売業者の業許可申請を行い、製造販売体制の確立に向けた活動を進めました。なお、2025年3月にはOBP-301の先駆け総合評価相談を開始しています。
一方、OBP-601のライセンス先であるTransposon社による神経難病患者を対象としたPhase2臨床試験の結果が発表され、PSP(進行性核上性麻痺)やALS(筋萎縮性側索硬化症)患者に対する安全性や有効性が示されました。また、これらの疾患に加えて、新たにアルツハイマー病の臨床試験の準備が進められています。
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、1)研究開発の進捗度合い、2)ウイルス製剤の製造、3)ライセンスや販売提携に伴う資金獲得、4)医薬品市場動向及び5)為替動向等が挙げられます。
1) 研究開発については、特に臨床試験では適格な症例を組み入れることがその試験の成功を左右させる大きな要因となります。当社の開発方針はUnmet Medical Needs(治療法が確立されていない医療領域)を対象に臨床開発を展開しており、対象症例が非常に希少であるために臨床試験の症例組み入れが予想よりも遅延する可能性があります。そのために臨床試験受託会社(CRO)を的確にオペレーションし、臨床試験担当医師との情報交換を頻度高く行うなどの努力を最大限行って臨床試験の質とスピードを向上させることを重要視しています。これらに加え今後は厚生労働省との窓口業務を行う薬事体制や、製造販売業を管理統制する信頼性保証業務を強化していきます。研究開発計画の企画立案並びにその進捗管理を主たる業務とするプロジェクトリーダーを担える人財や、薬事業務経験者や信頼性保証業務の経験者の確保並びに育成を行っていきます。
2) ウイルス製剤の製造においては、OBP-301の商用製造に向けて原薬及び製剤をヘノジェン社(ベルギー)に委託しています。これまでに商用スケールでの原薬製造を行い十分な収量が確保されました。今後、商用のバイアル充填に移行していく計画ですが、ウイルス製造には大きな費用が掛かり、さらに品質試験や安定性試験にも時間と費用を要します。これらの遅延又は失敗により、OBP-301の承認申請時期を大幅に遅らせる可能性があります。このような状況を防ぐために、当社ではウイルス製造時に当社製造担当者を派遣し、製造受託企業スタッフと綿密な情報交換を行い、当社神戸リサーチラボにおいても補足的検討を即時的に行い、効率的かつ高品質なウイルス製剤が製造できるよう努めています。また、CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)との関係を強化するために、定期訪問等による綿密なコンタクト体制をとるべく全組織に啓蒙しています。
3) ライセンス契約や販売提携契約に関しては、研究開発の大幅遅滞や失敗、医療行政の変動、競合薬の進展などのリスクに加え、契約締結先の経営戦略変更により契約が解消されるリスクなどが挙げられます。これらのリスクを回避・低減するため、契約条件をより当社に有利にできるよう、過去の契約事例を参照して不足事項を補い、コンサルタントや弁護士の助言を最大限に活用し、より良い契約が完遂できるよう努力していきます。
4) 市場動向については、国内外の大手製薬会社やバイオ企業との熾烈な研究開発競争が今後も展開され、がん治療の標準的治療法が年々変更される時代となったために、マーケット調査を強化して将来を見据えた開発方針を立てる必要があります。常に競合情報やマーケット情報をキャッチアップできるよう、国内外の情報収集に努めてゆきます。
5) 為替動向に関しては、当社の海外における臨床試験や製造などが主に外貨建てで行われているという理由により、経営成績が大きく影響を受けるため、為替変動リスクを最小限に抑える必要があります。今後は外貨建て収入を増加させることで、外貨建て債務に係る為替リスクの低減を図っていきます。
このような中で、当社はグローバル市場におけるリスク対応力の高い人財を育成し、「ウイルス創薬」という新しい業態において名実ともに存在感のある企業として成長していくために、収入増大による経営基盤の強化を図り、企業統治を高度化していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、医薬品及び検査薬の研究開発に伴う研究開発費、各種ライセンス契約や戦略的アライアンス契約に伴う特許関連費、各事業についての一般管理費があります。また、設備・投資資金需要としては、各種機器や戦略的投資に伴う固定資産投資等があります。
b.財務政策
当社は事業活動の維持拡大に必要な資金を、ライセンス契約や販売提携による一時金やマイルストーン収入のみならず、商業化によるロイヤリティー収入や製品販売収入を軸とした事業収入によって確保することを第一に考え、内部資金を活用し、必要に応じて資本市場からの資金調達を行っています。また、運転資金及び設備・投資資金は、当社において一元管理しています。
「ウイルス創薬」による医薬品や検査薬の研究開発という成果を実現させるまでには、相対的に時間を要する事業を行っているために、資本性の高い長期資金を得ることで、資金特性のバランスを考慮しています。

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