有価証券報告書-第16期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の世界経済は米中貿易摩擦の影響で消費の縮小が見られ、わが国経済でも新元号「令和」への改元やラグビーワールドカップ開催などの明るい話題もありましたが、輸出不振が懸念され、先行き不透明な状況が続きました。また、がんの新薬開発は活況を呈するも、一方で医療費削減に向けた薬価改定が行われ、製薬業界においても厳しい1年だったと言えます。
このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、がんのウイルス療法OBP-301 (テロメライシン)やがん検査薬テロメスキャンの研究・開発・事業活動を推進させました。
当社活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、現金及び預金の増加879,446千円、売掛金の増加119,244千円、前払費用の増加173,270千円、投資有価証券の減少338,868千円、長期前払費用の増加81,950千円等により、前事業年度末に比べ949,943千円増加し、4,380,056千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、短期借入金の増加44,440千円、未払金の増加182,263千円、長期借入金の増加77,776千円等により、前事業年度末に比べ397,048千円増加し、926,007千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、資本金の増加718,615千円、資本剰余金の増加728,265千円、利益剰余金の減少912,346千円等により、前事業年度末に比べ552,895千円増加し、3,454,048千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高1,303,844千円(前期は売上高168,549千円)、営業損失511,463千円(前期は営業損失1,247,563千円)を計上しました。また、営業外収益として受取利息20,235千円等を計上し、営業外費用として支払利息3,947千円、譲渡制限付株式報酬償却42,108千円、為替差損2,115千円を計上しました結果、経常損失539,177千円(前期は経常損失1,230,105千円)になりました。また、2015年11月にがん検査薬OBP-401(テロメスキャン)の北米エリアの権利を許諾しましたLiquid Biotech USA, Inc.(米国)は、New York大学等と共同研究を進めていましたが、研究開発の進展の一方でベンチャーキャピタル等からの資金調達が遅延し、Liquid Biotech USA, Inc.(米国)の事業進捗が当初計画と比較して大幅に遅延したこと等を理由として、特別損失として、当社が引き受けたLiquid Biotech USA, Inc.(米国)転換社債等359,597千円を投資有価証券評価損として計上いたしました。また、転換社債にかかる未収利息9,818千円を貸倒損失として計上いたしました。その結果、当期純損失912,346千円(前期は当期純損失1,233,846千円)を計上しました。当社は今後Liquid Biotech USA, Inc.(米国)との連携を密にしていく方針です。
セグメントの経営成績は、次の通りです。
i)医薬品事業
医薬品事業では、2019年4月に中外製薬とテロメライシンのライセンス契約を締結し、契約一時金及び第1回マイルストーン収入等を受領しました。また、Medigen Biotechnology Corp.(台湾 以下「メディジェン社」)からのテロメライシンの開発に応じた開発協力金収入を受領しました。この結果、売上高1,292,363千円(前期は売上高152,611千円)、営業利益373,069千円(前期は営業損失484,618千円)となりました。
当事業年度は、テロメライシンの日本・台湾の権利を中外製薬へライセンスすると共に、OBP-702の本格的な開発に着手しました。また、今後は、OBP-702の早期臨床試験開始に向けてGMP製造や前臨床試験を進めてゆきます。
ii)検査事業
検査事業では、Deciphera Pharmaceuticals, LLC(米国 以下「ディサイフィラ社」)へのテロメスキャン販売収入等を計上しました。また、2019年11月に契約解消に至りましたがWONIK CUBE Corp.(韓国 以下「ウォニックキューブ社」)からは契約解除違約金を含めてライセンス契約に基づく収入を得ました。この結果、売上高11,481千円(前期は売上高15,938千円)、営業損失151,655千円(前期は営業損失169,734千円)となりました。
当事業年度は、北米のテロメスキャンのライセンス先であるLiquid Biotech USA, Inc.(米国)の事業進捗が当初計画と比較して大幅に遅延したこと等を理由に、特別損失として投資有価証券評価損や貸倒損失を計上しましたが、当社は今後Liquid Biotech USA, Inc.(米国)との連携を密にし、テロメスキャンによるCTC検査の技術を進歩させ、マーケットをつかんでゆく方針です。
また、日米で臨床データを相互に交換することによって、「テロメスキャンでしかできない検査」としてマーケットを拡大し、「検査品質の標準化」や「検査時間の短縮」を満たした検査系のライセンスに向けた活動を進めてゆきます。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,097,514千円(前期比39.6%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは238,228千円の支出(前期は1,187,579千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失908,593千円、投資有価証券評価損359,597千円の計上、株式報酬費用125,928千円の計上、売上債権の増加119,244千円、未払金の増加182,144千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは4,442千円の支出(前期は342,040千円の収入)となりました。これは、主 に固定資産取得4,290千円の支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,123,312千円の収入(前期は1,147,270千円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入1,006,892千円、長期借入れによる収入200,000千円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
該当事項はありません。
(2) 受注実績
該当事項はありません。
(3) 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積もりが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積もりを行なっております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況については、上記「(1)経営成績等の状況の概況」をご参照ください。
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、がんのウイルス療法テロメライシン、腫瘍溶解遺伝子治療OBP-702(次世代テロメライシン)、がんの早期発見または再発予測を行うテロメスキャンを揃え、がんの発見から治療までを網羅するパイプラインを構築すると共に、当社の遺伝子改変アデノウイルスプラットフォームを拡充し、がん治療の新たな医療現場ニーズに貢献できるよう、更なる新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
当事業年度は、医薬品事業において中外製薬とテロメライシンの独占的ライセンス契約及び資本提携契約を締結しました。その結果、日本・台湾のライセンスは中外製薬、中国・香港・マカオのライセンスはハンルイ社、その他地域のオプション権は中外製薬が保有し、オプション契約を含めると全世界で導出が完了しました。また、厚生労働省の定める「先駆け審査指定制度」の対象品目にテロメライシン(OBP-301)が指定され、PMDAへの承認申請前相談が可能となり優先的な取り扱いが可能になりました。さらに、次世代テロメライシンOBP-702の本格的な開発に着手し、アデノウイルスプラットフォームの拡充に努めました。
一方、検査事業では、テロメスキャンの臨床的有用性を探索するために、日米のアカデミアによる臨床試験の準備を進めました。また、「検査品質の標準化」や「検査時間の短縮」の実現のために、AI企業とのコラボレーションに向けた準備を進めました。
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、研究開発、ライセンス、市場動向、為替動向に関する個々の契約等が挙げられます。
研究開発について、特に臨床試験では適格な症例を組み入れる事が、その試験を成功させる大きな要因となりますが、その為に症例の組み入れが大きく遅延することがあります。特に当社ではアウトソーシングを主眼としている事により、その経費が症例の組み入れを延長の分だけ増大するリスクがあります。その為にCROを充分にオペレーション出来る様、定例会議の実施や、CROと共に臨床施設を訪問するなどの努力を最大限行うことにしています。
ライセンス契約に関しては、研究開発失敗リスクや医療行政の変動や競合他社リスクに加え、ライセンス契約締結先の経営戦略の変更による契約中断リスクなどがあります。これらのリスクを回避・低減するため、契約締結する際の当社に有利となる様な条件を含めるべく努力するとともに、契約条件については事前検証を行っていきます。
為替動向に関しては、当社の海外における臨床試験が主に外貨建てで行われていることから、経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要があります。今後は外貨建て収入を増加させることで、外貨建て債務に係る為替リスクの低減を図っていきます。
市場動向については、当社の事業が関係する市場の多くにおいて、国内外の大手製薬会社やバイオベンチャー企業との熾烈な研究開発競争が今後も展開されると予測され、当社を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しています。このような中で、当社はグローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、アデノウイルスを用いた医薬品や液性生検(Liquid Biopsy)に繋がる検査薬の研究開発において名実共に存在感のある企業として成長していくために、収入増大による財務基盤の強化を図ると共に、企業統治を高度化していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは医薬品事業及び検査事業の研究開発に伴う研究開発費、各種ライセンス契約や戦略的アライアンス契約に伴う特許関連費、各事業についての一般管理費があります。また、設備・投資資金需要としては、各種機器や戦略的投資に伴う固定資産投資等があります。
b.財務政策
当社は事業活動の維持拡大に必要な資金を、ライセンス契約による売上を軸とした事業収入によって確保することを第一に考え、事業収入に加えて、内部資金の活用及び資本市場からの資金調達を行っています。また、運転資金及び設備・投資資金は当社において一元管理しています。
医薬品や検査薬の研究開発という成果実現まで相対的に時間を要する事業を行っているため、資本性の高い長期資金を得ることで、資金特性のバランスを考慮しています。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の世界経済は米中貿易摩擦の影響で消費の縮小が見られ、わが国経済でも新元号「令和」への改元やラグビーワールドカップ開催などの明るい話題もありましたが、輸出不振が懸念され、先行き不透明な状況が続きました。また、がんの新薬開発は活況を呈するも、一方で医療費削減に向けた薬価改定が行われ、製薬業界においても厳しい1年だったと言えます。
このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、がんのウイルス療法OBP-301 (テロメライシン)やがん検査薬テロメスキャンの研究・開発・事業活動を推進させました。
当社活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 5.研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、現金及び預金の増加879,446千円、売掛金の増加119,244千円、前払費用の増加173,270千円、投資有価証券の減少338,868千円、長期前払費用の増加81,950千円等により、前事業年度末に比べ949,943千円増加し、4,380,056千円となりました。
当事業年度末の負債合計は、短期借入金の増加44,440千円、未払金の増加182,263千円、長期借入金の増加77,776千円等により、前事業年度末に比べ397,048千円増加し、926,007千円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、資本金の増加718,615千円、資本剰余金の増加728,265千円、利益剰余金の減少912,346千円等により、前事業年度末に比べ552,895千円増加し、3,454,048千円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高1,303,844千円(前期は売上高168,549千円)、営業損失511,463千円(前期は営業損失1,247,563千円)を計上しました。また、営業外収益として受取利息20,235千円等を計上し、営業外費用として支払利息3,947千円、譲渡制限付株式報酬償却42,108千円、為替差損2,115千円を計上しました結果、経常損失539,177千円(前期は経常損失1,230,105千円)になりました。また、2015年11月にがん検査薬OBP-401(テロメスキャン)の北米エリアの権利を許諾しましたLiquid Biotech USA, Inc.(米国)は、New York大学等と共同研究を進めていましたが、研究開発の進展の一方でベンチャーキャピタル等からの資金調達が遅延し、Liquid Biotech USA, Inc.(米国)の事業進捗が当初計画と比較して大幅に遅延したこと等を理由として、特別損失として、当社が引き受けたLiquid Biotech USA, Inc.(米国)転換社債等359,597千円を投資有価証券評価損として計上いたしました。また、転換社債にかかる未収利息9,818千円を貸倒損失として計上いたしました。その結果、当期純損失912,346千円(前期は当期純損失1,233,846千円)を計上しました。当社は今後Liquid Biotech USA, Inc.(米国)との連携を密にしていく方針です。
セグメントの経営成績は、次の通りです。
i)医薬品事業
医薬品事業では、2019年4月に中外製薬とテロメライシンのライセンス契約を締結し、契約一時金及び第1回マイルストーン収入等を受領しました。また、Medigen Biotechnology Corp.(台湾 以下「メディジェン社」)からのテロメライシンの開発に応じた開発協力金収入を受領しました。この結果、売上高1,292,363千円(前期は売上高152,611千円)、営業利益373,069千円(前期は営業損失484,618千円)となりました。
当事業年度は、テロメライシンの日本・台湾の権利を中外製薬へライセンスすると共に、OBP-702の本格的な開発に着手しました。また、今後は、OBP-702の早期臨床試験開始に向けてGMP製造や前臨床試験を進めてゆきます。
ii)検査事業
検査事業では、Deciphera Pharmaceuticals, LLC(米国 以下「ディサイフィラ社」)へのテロメスキャン販売収入等を計上しました。また、2019年11月に契約解消に至りましたがWONIK CUBE Corp.(韓国 以下「ウォニックキューブ社」)からは契約解除違約金を含めてライセンス契約に基づく収入を得ました。この結果、売上高11,481千円(前期は売上高15,938千円)、営業損失151,655千円(前期は営業損失169,734千円)となりました。
当事業年度は、北米のテロメスキャンのライセンス先であるLiquid Biotech USA, Inc.(米国)の事業進捗が当初計画と比較して大幅に遅延したこと等を理由に、特別損失として投資有価証券評価損や貸倒損失を計上しましたが、当社は今後Liquid Biotech USA, Inc.(米国)との連携を密にし、テロメスキャンによるCTC検査の技術を進歩させ、マーケットをつかんでゆく方針です。
また、日米で臨床データを相互に交換することによって、「テロメスキャンでしかできない検査」としてマーケットを拡大し、「検査品質の標準化」や「検査時間の短縮」を満たした検査系のライセンスに向けた活動を進めてゆきます。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、3,097,514千円(前期比39.6%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは238,228千円の支出(前期は1,187,579千円の支出)となりました。これは主として、税引前当期純損失908,593千円、投資有価証券評価損359,597千円の計上、株式報酬費用125,928千円の計上、売上債権の増加119,244千円、未払金の増加182,144千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは4,442千円の支出(前期は342,040千円の収入)となりました。これは、主 に固定資産取得4,290千円の支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,123,312千円の収入(前期は1,147,270千円の収入)となりました。これは主に株式の発行による収入1,006,892千円、長期借入れによる収入200,000千円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
該当事項はありません。
(2) 受注実績
該当事項はありません。
(3) 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | 前年同期比(%) |
| 医薬品事業(千円) | 1,292,363 | 846.8 |
| 検査事業(千円) | 11,481 | 72.0 |
| 合計(千円) | 1,303,844 | 773.6 |
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) | |
| 販売高(千円) | 割合(%) | |
| ア社 | 145,981 | 86.6 |
| 相手先 | 当事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) | |
| 販売高(千円) | 割合(%) | |
| A社 | 1,175,753 | 90.2 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積もりが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積もりを行なっております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況については、上記「(1)経営成績等の状況の概況」をご参照ください。
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、がんのウイルス療法テロメライシン、腫瘍溶解遺伝子治療OBP-702(次世代テロメライシン)、がんの早期発見または再発予測を行うテロメスキャンを揃え、がんの発見から治療までを網羅するパイプラインを構築すると共に、当社の遺伝子改変アデノウイルスプラットフォームを拡充し、がん治療の新たな医療現場ニーズに貢献できるよう、更なる新規パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
当事業年度は、医薬品事業において中外製薬とテロメライシンの独占的ライセンス契約及び資本提携契約を締結しました。その結果、日本・台湾のライセンスは中外製薬、中国・香港・マカオのライセンスはハンルイ社、その他地域のオプション権は中外製薬が保有し、オプション契約を含めると全世界で導出が完了しました。また、厚生労働省の定める「先駆け審査指定制度」の対象品目にテロメライシン(OBP-301)が指定され、PMDAへの承認申請前相談が可能となり優先的な取り扱いが可能になりました。さらに、次世代テロメライシンOBP-702の本格的な開発に着手し、アデノウイルスプラットフォームの拡充に努めました。
一方、検査事業では、テロメスキャンの臨床的有用性を探索するために、日米のアカデミアによる臨床試験の準備を進めました。また、「検査品質の標準化」や「検査時間の短縮」の実現のために、AI企業とのコラボレーションに向けた準備を進めました。
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、研究開発、ライセンス、市場動向、為替動向に関する個々の契約等が挙げられます。
研究開発について、特に臨床試験では適格な症例を組み入れる事が、その試験を成功させる大きな要因となりますが、その為に症例の組み入れが大きく遅延することがあります。特に当社ではアウトソーシングを主眼としている事により、その経費が症例の組み入れを延長の分だけ増大するリスクがあります。その為にCROを充分にオペレーション出来る様、定例会議の実施や、CROと共に臨床施設を訪問するなどの努力を最大限行うことにしています。
ライセンス契約に関しては、研究開発失敗リスクや医療行政の変動や競合他社リスクに加え、ライセンス契約締結先の経営戦略の変更による契約中断リスクなどがあります。これらのリスクを回避・低減するため、契約締結する際の当社に有利となる様な条件を含めるべく努力するとともに、契約条件については事前検証を行っていきます。
為替動向に関しては、当社の海外における臨床試験が主に外貨建てで行われていることから、経営成績に与える影響が大きく、為替変動リスクを最小限に抑える必要があります。今後は外貨建て収入を増加させることで、外貨建て債務に係る為替リスクの低減を図っていきます。
市場動向については、当社の事業が関係する市場の多くにおいて、国内外の大手製薬会社やバイオベンチャー企業との熾烈な研究開発競争が今後も展開されると予測され、当社を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しています。このような中で、当社はグローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、アデノウイルスを用いた医薬品や液性生検(Liquid Biopsy)に繋がる検査薬の研究開発において名実共に存在感のある企業として成長していくために、収入増大による財務基盤の強化を図ると共に、企業統治を高度化していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは医薬品事業及び検査事業の研究開発に伴う研究開発費、各種ライセンス契約や戦略的アライアンス契約に伴う特許関連費、各事業についての一般管理費があります。また、設備・投資資金需要としては、各種機器や戦略的投資に伴う固定資産投資等があります。
b.財務政策
当社は事業活動の維持拡大に必要な資金を、ライセンス契約による売上を軸とした事業収入によって確保することを第一に考え、事業収入に加えて、内部資金の活用及び資本市場からの資金調達を行っています。また、運転資金及び設備・投資資金は当社において一元管理しています。
医薬品や検査薬の研究開発という成果実現まで相対的に時間を要する事業を行っているため、資本性の高い長期資金を得ることで、資金特性のバランスを考慮しています。