四半期報告書-第18期第3四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/06 9:20
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25項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当社グループが事業を展開している国内のインターネット広告市場につきましては、スマートフォン広告、動画広告の継続的拡大に加え、アドテクノロジーの進化を背景にした運用型広告がインターネット広告市場全体を牽引、平成29年のインターネット広告費は前年比115.2%の1兆5,094億円(㈱電通「2017年日本の広告費」)と4年連続で二桁増と引き続き高い成長を示すなど、広告市場のインターネットシフトのトレンドが続いております。
一方、当社グループのもう一つの対面市場であるEC市場につきましては、スマートフォンやタブレット端末の普及・進化に伴い、企業のECビジネス展開が加速しており、平成29年国内BtoC-EC市場は、前年比109.1%の16.5兆円まで拡大しています。また、全ての商取引に対する電子商取引の割合であるEC化率は、BtoC-ECで5.8%(経済産業省「平成29年我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」)であり、伸びしろが大いにある分野であります。
このような良好な事業環境の下、当社グループは、企業と顧客とのコミュニケーションを自動化・効率化する「マーケティングロボット事業」を自社事業領域と定め、引き続きその拡大に向け、人員強化を積極的に進めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,327,755千円(前年同期比4.8%増)、営業損失は82,270千円(前年同期は116,217千円の営業利益)、経常損失は96,700千円(前年同期は130,219千円の経常利益)となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は69,639千円(前年同期は90,299千円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① マーケティングプラットフォーム事業
当事業はマーケティングプラットフォーム「AD EBiS」を提供する事業であります。「AD EBiS」は広告効果測定システムを基盤としたマーケティング統合環境を提供するサブスクリプション型のサービスであり、2004年にリリースして以来9,000件以上の導入件数を誇っています。当事業では、データの蓄積を行う「センサー系」機能、AIの技術を用いて分析を行う「知能制御系」機能、分析結果を自動的に活用する「駆動系」機能、これら3階層の機能を備えるサービスを「マーケティングロボット」と定義し、人口減少・少子高齢化時代における企業のマーケティング活動に不可欠なサービスの開発を目指しております。
当第3四半期連結累計期間においては、AI(人工知能)を活用することにより、国内の広告効果測定ツールとしては初めてデバイス・アプリ・ブラウザ間を横断してユーザー行動を可視化するクロスデバイス機能を開発いたしました。当該クロスデバイス技術関連発明については特許出願済みであります。また、ウェブ上での行動履歴にユーザー属性をつなげて分析を可能にするという「AD EBiS」のカスタマージャーニー機能について、平成30年2月9日に特許を取得しております。その他、他社ツールとの連携機能開発も引き続き精力的に進めており、サービスの付加価値を高めることで売上拡大に取り組んでまいりました。
なお、前期まで商流プラットフォーム事業に集計しておりましたDMP事業については、マーケティングロボットの先駆ビジネスモデルとしての性質が強くなったため、当期からマーケティングプラットフォーム事業に含めて集計しております。当第3四半期連結累計期間におけるDMP事業の売上高は64,596千円であり、前年同期に商流プラットフォーム事業に集計していた同事業の売上高は79,492千円であります。
その結果、売上高は1,116,414千円(前年同期比21.8%増)と増収になりましたが、サブスクリプション型ビジネスの基盤拡大のために開発や営業部門の人員採用を積極的に進めたことや、新規顧客獲得のための広告販促活動に積極的に取り組んだことにより、営業損失は105,565千円(前年同期は138,067千円の営業利益)となりました。
※DMP(Data Management Platform)事業とは、「AD EBiS」のデータに、企業が持つ固有の顧客情報等を統合したデータ環境を構築・提供するサービス。
② 商流プラットフォーム事業
当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」を提供する事業であります。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、EC事業者のインフラ整備や売上向上に貢献する一方、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者からマージン収入を得るというエコシステムを構築しております。
当第3四半期連結累計期間においては、ECサイトのセキュリティ強化するためクレジットカード不正検知プラグインの提供を開始したほか、引き続き新規EC事業者の獲得に向けたキャンペーン活動を積極展開してまいりました。また、Amazonアカウントで決済できる「Amazon Payプラグイン」をEC-CUBEに導入いたしました。これにより、個人情報等を入力することなく決済が完了することから、購入率・会員登録率の向上を見込んでおります。
なお、前年同期に商流プラットフォーム事業に含まれていたEC受託開発事業(SOLUTION事業)については、平成29年5月9日に公表したお知らせのとおり、関連会社である株式会社ラジカルオプティ等に事業移管を行っております。前年同期に商流プラットフォーム事業に集計していた同事業の売上高は108,924千円であります。
その結果、事業移管したSOLUTION事業分の減収により売上高は211,340千円(前年同期比39.7%減)となりましたが、収益構造が改善したことにより営業利益は23,295千円(前年同期は21,850千円の営業損失)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ762,852千円増加し、2,202,041千円となりました。主な要因は、短期及び長期借入等により現預金が595,881千円増加したこと、自社開発の進捗によりソフトウェアが53,580千円増加したこと、譲渡制限付き株式の付与等により前払費用が26,965千円、長期前払費用が32,720千円増加したこと等によるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の負債については、前連結会計年度末と比べ804,091千円増加し、1,008,699千円となりました。主な要因は、今後の事業拡大のための資金調達により短期借入金が200,000千円増加、一年以内返済予定長期借入金が199,852千円、長期借入金が391,816千円増加したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産については、前連結会計年度末と比べ41,238千円減少し、1,193,342千円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失69,639千円の計上及び期末配当金の支払31,558千円によるものですが、譲渡制限付株式の付与に伴う新株発行による資本金の増加30,235千円及び資本準備金の増加30,235千円により一部相殺されております。この結果、自己資本比率は54.2%(前連結会計年度末は85.8%)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 従業員の状況
① 連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は業容拡充のため、前連結会計年度末の122名から144名に増加しております。
セグメントの名称前連結会計年度(名)当第3四半期連結
累計期間(名)
増減(名)
マーケティングプラットフォーム事業8499+15
商流プラットフォーム事業1714△3
全社(共通)2131+10
合計122144+22

② 提出会社の状況
当第3四半期累計期間において、当社の従業員数は業容拡充のため、前事業年度末の94名から111名に増加しております。
セグメントの名称前事業年度(名)当第3四半期
累計期間(名)
増減(名)
マーケティングプラットフォーム事業6373+10
商流プラットフォーム事業1310△3
全社(共通)1828+10
合計94111+17