有価証券報告書-第16期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(イ) 財政状態
a)資産の部
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて242百万円増加し、2,569百万円となりました。これは、有価証券が400百万円、RBM-007の開発に関連する外注費等に対する前渡金が37百万円増加した一方で、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったことにより現金及び預金が166百万円減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。
b)負債の部
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて986百万円増加し、1,086百万円となりました。これは、今後の開発資金の調達のため第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行したことにより転換社債型新株予約権付社債が1,000百万円増加した一方で、未払金が29百万円減少したこと等によるものです。
c)純資産の部
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて744百万円減少し、1,483百万円となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ46百万円増加した一方で、当期純損失836百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したこと等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から37.9ポイント減少し、57.7%となっております。
(ロ) 経営成績
当事業年度において、事業収益を7百万円(前事業年度比87.7%減)、事業費用として研究開発費を612百万円、販売費及び一般管理費を323百万円計上し、営業損失は928百万円(前事業年度は899百万円の営業損失)となりました。
また、営業外収益として、AMEDの支援事業による助成金収入103百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権の発行諸費用等に係る株式交付費11百万円を計上したこと等により、経常損失は835百万円(前事業年度は751百万円の経常損失)となりました。これにより当期純損失は836百万円(前事業年度は753百万円の当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し167百万円減少し、1,012百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は830百万円(前事業年度は694百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費27百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、未払金の減少による支出20百万円、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったこと等に伴う税引前当期純損失835百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は418百万円(前事業年度は958百万円の収入)となりました。主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出803百万円、有価証券の購入による支出399百万円によるものです。一方で、主な資金増加要因は、定期預金の払戻による収入803百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,080百万円(前事業年度は534百万円の収入)となりました。主な資金増加要因は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行による収入989百万円、第12回新株予約権の一部について権利が行使されたこと等に伴う株式の発行による収入92百万円によるものです。
③生産・受注及び販売の実績
当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。
(イ) 生産実績
該当事項はありません。
(ロ) 受注実績
該当事項はありません。
(ハ) 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積もりと相違する可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Conceptの獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
その具体的な進捗を以下に要約いたします。
(イ) RBM-007(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い
当社では、自社で創製したRBM-007(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、開発を進めております。
線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質で、血管新生促進等の様々な生理作用を持つことが報告されております。しかしながら、長年に渡りFGF2は創薬標的の候補であったにもかかわらず、抗体を含め優れた阻害剤の開発がほぼない状態でした。そうした中、当社は、独自のアプタマー創薬技術により、過年度においてFGF2に結合しその作用を特異的に阻害するアプタマーRBM-007の創製に成功いたしました。
開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて加齢黄斑変性症と軟骨無形成症を選択いたしました。
加齢黄斑変性症は、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、無治療の状態だとやがて失明に至ります。欧米では失明原因の第一位となっています。疾患の要因の一つは異常な血管新生とされており、10年ほど前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発され、臨床医からは夢のような薬と評価されました(既存薬の全世界市場規模は約1兆円)。しかし、その後の経過観察によって、臨床上の問題点が明らかになってきました。その一つは、相当数の患者に対して、既存薬の有効性が乏しいことです。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされます※1。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられていますが、既存薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。これに対してRBM-007は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになりました(非臨床POC獲得※2)。RBM-007のような二つの異なる作用を持ち合わせる医薬品は既存薬(VEGF阻害剤)にはなく、既存の医薬品では奏功しない患者に対して新規の治療法を提供できる可能性があります。
一方、軟骨無形成症は四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、治療薬はなく、厚生労働省から難病指定を受けています。軟骨無形成症患者においては、FGF2が骨伸長を抑制する要因の一つとして作用していますが、RBM-007は疾患モデルマウスを利用した実験では、体長の短縮を約50%回復する効果を確認しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られている軟骨無形成症患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、RBM-007存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。現在、本邦では治療に成長ホルモンが使用されていますが、効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、新薬が待ち望まれています。
なお、現在、いかなる疾患に対しても臨床ステージにあるFGF2阻害剤の報告はありません。自社での臨床開発の実施により臨床POCが獲得されれば、新規治療法の確立に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としてのRBM-007の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。
※1 Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K. Seven-year outcomes in ranibizumab-
treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP).
Ophthalmology 2013;120(11):2292-99.
※2 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に、病態モデル動物での薬効確認試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。
(ロ) 開発スケジュール
a)加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症を対象にした臨床試験として、最初にRBM-007の安全性・忍容性を調べることを主な目的とした、P 1/2a試験(ニックネームはSUSHI STUDY)を米国において実施中です。
本P 1/2a試験は、オープンラベル(非盲検)、非無作為化(ランダム化しない)、非対照(対照薬を置かない)の試験で、9人の被験者に対して、RBM-007を単回投与(硝子体内注射)いたします。3用量(3コホート)を設定し、もっとも少ない用量から1人ずつ投与し、安全性、忍容性等を確認するもので、スタンフォード大学を中心とした米国西海岸の複数の治験施設において試験を進めております。
2018年10月から12月にかけて低用量群(第1コホート)の3例、2019年1月から2月にかけて中用量群(第2コホート)の3例の投与が実施されました。第1コホートについては2019年1月、第2コホートについては2019年3月に社外の安全性評価チームが被験者全員の投与後の経過データを評価し、いずれの患者においても安全性について問題となる事象は認められないとの結果を得ています。これを受けて、2019年3月に高用量群(第3コホート)の最初の患者への投与を行い、安全性評価チームの審査を経て、5月までに3例への投与が完了いたしました。
SUSHI STUDYの試験結果を検証した上で、2019年6月に試験結果(速報版)を公表いたしました。その結果にもとづいて、次のPhase 2試験の準備を行い、2020年3月期第3四半期においてPhase 2試験を開始したいと考えております。また、これと並行して、国内外の製薬企業との提携協議を進めてまいります。
今後もRIBOMIC USA Inc.との緊密な連携の下、関連法令、ガイドライン等を遵守しつつ、この臨床試験を迅速・適切に推進してまいります。
b)軟骨無形成症
2021年3月期中における独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験計画届出を目標として開発を進めております。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助を受け、GLP適合非臨床安全性・毒性試験および治験薬製造が完了いたしました。本プロジェクトは2018年度からの3年間を対象に、AMEDの難治性疾患実用化研究事業に採択されており、本支援の下、治験開始に向けた準備を着実に進めてまいります。
(ハ) 推進体制
当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施体制の構築を進めております。米国での臨床開発を推進する拠点としては、当社完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.を2017年8月にカリフォルニア州に設立し、新薬開発経験が豊富なYusuf Ali氏(Ph.D.)がCEOとして陣頭指揮を執っております。2019年5月には、当社の取締役執行役員1名が、RIBOMIC USA管掌として着任いたしました。また、数多くの加齢黄斑変性症の臨床開発に携わってきたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)メディカルセンター眼科の医師であるRobert B. Bhisitkul教授を含めた3名の眼科専門医による科学諮問委員会が設置されております。同委員会においては継続的に臨床試験計画の審議、治験データの評価等が行われます。また、2019年1月にワシントン大学医学部セントルイス校の眼科学・視覚科学の医師であるRajendra S Apte教授とコンサルティング契約を締結し、科学顧問として、その専門的知見を活かした助言を行っていただいております。
さらに、軟骨無形成症治療薬開発については、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医で、小児における骨系統疾患の専門医である大薗恵一教授と医学専門家の委嘱に関する契約を締結し、各種助言等を行っていただいております。
今後もRBM-007の開発推進に向け、体制の整備を図ってまいります。
(ニ) 開発コスト
過年度に発行した第12回新株予約権の行使が2018年5月25日に完了し、600百万円を調達いたしました。さらに追加の開発資金として、2018年6月13日に株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権を発行いたしました。
(イ) ライセンス・アウト契約ならびに共同研究契約
当事業年度において当社は、米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムのメンバーの一員であるミシガン大学と、当社が創製したアプタマーの精神疾患に対する効果を検証することを目的に、共同研究試料提供契約(MTA)を締結いたしました。また2019年1月に、三菱商事株式会社の子会社であるビタミンC60バイオリサーチ株式会社との間で、化粧品原料候補の創製・開発に関する共同研究開発契約を締結いたしました。
(ロ) 共同研究成果の特許出願及び覚書締結
当社と大正製薬株式会社は、2014年3月1日付共同研究契約に基づき共同研究を実施してまいりました。本共同研究の結果得られたアプタマーについて、変形性関節症の増悪因子の一つである ADAMTS5(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 5)の働きを抑制し、変形性関節症の新規治療薬候補となる可能性が示されたことから、当該成果に関する PCT 出願を共同で完了いたしました。併せて両者は、2019年4月に共同研究成果の今後の取り扱いについて覚書を締結いたしました。今後、大正製薬株式会社の協力を適宜受けながら、当社が当該アプタマーの事業化を進める上で重要なグローバル展開を推進するためのパートナーを選定していく事といたしました。なお、本覚書の締結により、本共同研究契約は満了となりました。
(ハ) 継続中の自社創薬プロジェクト
上記以外の自社創薬プロジェクトのうち、RBM-003(抗キマーゼアプタマー、心不全等)については、特に優れた薬効が動物試験で確認され、当事業年度において大阪医科大学との共同研究論文が国際学術誌(Molecular Therapy Nucleic Acids)に掲載されました。当社は、RBM-003をADAMTS5同様にRBM-007に次ぐ重点開発プログラムと位置づけて、今後開発パートナーとの提携等に向け、努力する方針です。また当社は、アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、GPCR(Gタンパク質共役型7回膜貫通型受容体)を標的とするアプタマー創薬(AMED委託事業)や、より効率的にアプタマー創製するためにコンピュータ科学を応用した技術開発等を継続して進めており、これらはいずれも公的助成金に採択されております。
(3)資本の財源及び資金の流動性
(イ) 運転資金
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費です。とりわけ、自社創薬品目であるRBM-007による米国での加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発、及び日本での軟骨無形成症を対象とした臨床開発を実施するための資金需要が生じております。
(ロ) 財務政策
当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。しかしながら、医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になるため、2015年3月期を除き、創業以来、2019年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は、RBM-007の臨床開発を中心とした研究開発を推進し、そのライセンスアウトによる収益を確保するために必要な臨床開発費の調達として、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権の発行いたしました。当事業年度において、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債で1,000百万円の調達を完了するとともに、今後の第14回新株予約権の行使により1,001百万円の調達を予定しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(イ) 財政状態
a)資産の部
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて242百万円増加し、2,569百万円となりました。これは、有価証券が400百万円、RBM-007の開発に関連する外注費等に対する前渡金が37百万円増加した一方で、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったことにより現金及び預金が166百万円減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。
b)負債の部
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて986百万円増加し、1,086百万円となりました。これは、今後の開発資金の調達のため第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行したことにより転換社債型新株予約権付社債が1,000百万円増加した一方で、未払金が29百万円減少したこと等によるものです。
c)純資産の部
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて744百万円減少し、1,483百万円となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ46百万円増加した一方で、当期純損失836百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したこと等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から37.9ポイント減少し、57.7%となっております。
(ロ) 経営成績
当事業年度において、事業収益を7百万円(前事業年度比87.7%減)、事業費用として研究開発費を612百万円、販売費及び一般管理費を323百万円計上し、営業損失は928百万円(前事業年度は899百万円の営業損失)となりました。
また、営業外収益として、AMEDの支援事業による助成金収入103百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権の発行諸費用等に係る株式交付費11百万円を計上したこと等により、経常損失は835百万円(前事業年度は751百万円の経常損失)となりました。これにより当期純損失は836百万円(前事業年度は753百万円の当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し167百万円減少し、1,012百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は830百万円(前事業年度は694百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費27百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、未払金の減少による支出20百万円、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったこと等に伴う税引前当期純損失835百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は418百万円(前事業年度は958百万円の収入)となりました。主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出803百万円、有価証券の購入による支出399百万円によるものです。一方で、主な資金増加要因は、定期預金の払戻による収入803百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,080百万円(前事業年度は534百万円の収入)となりました。主な資金増加要因は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行による収入989百万円、第12回新株予約権の一部について権利が行使されたこと等に伴う株式の発行による収入92百万円によるものです。
③生産・受注及び販売の実績
当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。
(イ) 生産実績
該当事項はありません。
(ロ) 受注実績
該当事項はありません。
(ハ) 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
| 事業の名称 | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 創薬事業 | 7,949 | △87.7 |
| 合計 | 7,949 | △87.7 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 販売高 (千円) | 割合 (%) | 販売高 (千円) | 割合 (%) | |
| アステラス製薬株式会社 | 63,077 | 97.5 | - | - |
| 国立研究開発法人国立循環器病 研究センター | - | - | 4,212 | 53.0 |
| 岩井化学薬品株式会社 | - | - | 2,486 | 31.3 |
| ビタミンC60バイオリサーチ株式 会社 | - | - | 1,250 | 15.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積もりと相違する可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Conceptの獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
その具体的な進捗を以下に要約いたします。
| 「RBM-007」の開発について |
(イ) RBM-007(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い
当社では、自社で創製したRBM-007(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、開発を進めております。
線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質で、血管新生促進等の様々な生理作用を持つことが報告されております。しかしながら、長年に渡りFGF2は創薬標的の候補であったにもかかわらず、抗体を含め優れた阻害剤の開発がほぼない状態でした。そうした中、当社は、独自のアプタマー創薬技術により、過年度においてFGF2に結合しその作用を特異的に阻害するアプタマーRBM-007の創製に成功いたしました。
開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて加齢黄斑変性症と軟骨無形成症を選択いたしました。
加齢黄斑変性症は、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、無治療の状態だとやがて失明に至ります。欧米では失明原因の第一位となっています。疾患の要因の一つは異常な血管新生とされており、10年ほど前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発され、臨床医からは夢のような薬と評価されました(既存薬の全世界市場規模は約1兆円)。しかし、その後の経過観察によって、臨床上の問題点が明らかになってきました。その一つは、相当数の患者に対して、既存薬の有効性が乏しいことです。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされます※1。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられていますが、既存薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。これに対してRBM-007は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになりました(非臨床POC獲得※2)。RBM-007のような二つの異なる作用を持ち合わせる医薬品は既存薬(VEGF阻害剤)にはなく、既存の医薬品では奏功しない患者に対して新規の治療法を提供できる可能性があります。
一方、軟骨無形成症は四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、治療薬はなく、厚生労働省から難病指定を受けています。軟骨無形成症患者においては、FGF2が骨伸長を抑制する要因の一つとして作用していますが、RBM-007は疾患モデルマウスを利用した実験では、体長の短縮を約50%回復する効果を確認しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られている軟骨無形成症患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、RBM-007存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。現在、本邦では治療に成長ホルモンが使用されていますが、効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、新薬が待ち望まれています。
なお、現在、いかなる疾患に対しても臨床ステージにあるFGF2阻害剤の報告はありません。自社での臨床開発の実施により臨床POCが獲得されれば、新規治療法の確立に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としてのRBM-007の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。
※1 Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K. Seven-year outcomes in ranibizumab-
treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP).
Ophthalmology 2013;120(11):2292-99.
※2 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に、病態モデル動物での薬効確認試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。
(ロ) 開発スケジュール
a)加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症を対象にした臨床試験として、最初にRBM-007の安全性・忍容性を調べることを主な目的とした、P 1/2a試験(ニックネームはSUSHI STUDY)を米国において実施中です。
本P 1/2a試験は、オープンラベル(非盲検)、非無作為化(ランダム化しない)、非対照(対照薬を置かない)の試験で、9人の被験者に対して、RBM-007を単回投与(硝子体内注射)いたします。3用量(3コホート)を設定し、もっとも少ない用量から1人ずつ投与し、安全性、忍容性等を確認するもので、スタンフォード大学を中心とした米国西海岸の複数の治験施設において試験を進めております。
2018年10月から12月にかけて低用量群(第1コホート)の3例、2019年1月から2月にかけて中用量群(第2コホート)の3例の投与が実施されました。第1コホートについては2019年1月、第2コホートについては2019年3月に社外の安全性評価チームが被験者全員の投与後の経過データを評価し、いずれの患者においても安全性について問題となる事象は認められないとの結果を得ています。これを受けて、2019年3月に高用量群(第3コホート)の最初の患者への投与を行い、安全性評価チームの審査を経て、5月までに3例への投与が完了いたしました。
SUSHI STUDYの試験結果を検証した上で、2019年6月に試験結果(速報版)を公表いたしました。その結果にもとづいて、次のPhase 2試験の準備を行い、2020年3月期第3四半期においてPhase 2試験を開始したいと考えております。また、これと並行して、国内外の製薬企業との提携協議を進めてまいります。
今後もRIBOMIC USA Inc.との緊密な連携の下、関連法令、ガイドライン等を遵守しつつ、この臨床試験を迅速・適切に推進してまいります。
b)軟骨無形成症
2021年3月期中における独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験計画届出を目標として開発を進めております。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助を受け、GLP適合非臨床安全性・毒性試験および治験薬製造が完了いたしました。本プロジェクトは2018年度からの3年間を対象に、AMEDの難治性疾患実用化研究事業に採択されており、本支援の下、治験開始に向けた準備を着実に進めてまいります。
(ハ) 推進体制
当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施体制の構築を進めております。米国での臨床開発を推進する拠点としては、当社完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.を2017年8月にカリフォルニア州に設立し、新薬開発経験が豊富なYusuf Ali氏(Ph.D.)がCEOとして陣頭指揮を執っております。2019年5月には、当社の取締役執行役員1名が、RIBOMIC USA管掌として着任いたしました。また、数多くの加齢黄斑変性症の臨床開発に携わってきたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)メディカルセンター眼科の医師であるRobert B. Bhisitkul教授を含めた3名の眼科専門医による科学諮問委員会が設置されております。同委員会においては継続的に臨床試験計画の審議、治験データの評価等が行われます。また、2019年1月にワシントン大学医学部セントルイス校の眼科学・視覚科学の医師であるRajendra S Apte教授とコンサルティング契約を締結し、科学顧問として、その専門的知見を活かした助言を行っていただいております。
さらに、軟骨無形成症治療薬開発については、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医で、小児における骨系統疾患の専門医である大薗恵一教授と医学専門家の委嘱に関する契約を締結し、各種助言等を行っていただいております。
今後もRBM-007の開発推進に向け、体制の整備を図ってまいります。
(ニ) 開発コスト
過年度に発行した第12回新株予約権の行使が2018年5月25日に完了し、600百万円を調達いたしました。さらに追加の開発資金として、2018年6月13日に株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権を発行いたしました。
| その他のプロジェクト |
(イ) ライセンス・アウト契約ならびに共同研究契約
当事業年度において当社は、米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムのメンバーの一員であるミシガン大学と、当社が創製したアプタマーの精神疾患に対する効果を検証することを目的に、共同研究試料提供契約(MTA)を締結いたしました。また2019年1月に、三菱商事株式会社の子会社であるビタミンC60バイオリサーチ株式会社との間で、化粧品原料候補の創製・開発に関する共同研究開発契約を締結いたしました。
(ロ) 共同研究成果の特許出願及び覚書締結
当社と大正製薬株式会社は、2014年3月1日付共同研究契約に基づき共同研究を実施してまいりました。本共同研究の結果得られたアプタマーについて、変形性関節症の増悪因子の一つである ADAMTS5(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 5)の働きを抑制し、変形性関節症の新規治療薬候補となる可能性が示されたことから、当該成果に関する PCT 出願を共同で完了いたしました。併せて両者は、2019年4月に共同研究成果の今後の取り扱いについて覚書を締結いたしました。今後、大正製薬株式会社の協力を適宜受けながら、当社が当該アプタマーの事業化を進める上で重要なグローバル展開を推進するためのパートナーを選定していく事といたしました。なお、本覚書の締結により、本共同研究契約は満了となりました。
(ハ) 継続中の自社創薬プロジェクト
上記以外の自社創薬プロジェクトのうち、RBM-003(抗キマーゼアプタマー、心不全等)については、特に優れた薬効が動物試験で確認され、当事業年度において大阪医科大学との共同研究論文が国際学術誌(Molecular Therapy Nucleic Acids)に掲載されました。当社は、RBM-003をADAMTS5同様にRBM-007に次ぐ重点開発プログラムと位置づけて、今後開発パートナーとの提携等に向け、努力する方針です。また当社は、アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、GPCR(Gタンパク質共役型7回膜貫通型受容体)を標的とするアプタマー創薬(AMED委託事業)や、より効率的にアプタマー創製するためにコンピュータ科学を応用した技術開発等を継続して進めており、これらはいずれも公的助成金に採択されております。
(3)資本の財源及び資金の流動性
(イ) 運転資金
当社の運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費です。とりわけ、自社創薬品目であるRBM-007による米国での加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発、及び日本での軟骨無形成症を対象とした臨床開発を実施するための資金需要が生じております。
(ロ) 財務政策
当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。しかしながら、医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になるため、2015年3月期を除き、創業以来、2019年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は、RBM-007の臨床開発を中心とした研究開発を推進し、そのライセンスアウトによる収益を確保するために必要な臨床開発費の調達として、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権の発行いたしました。当事業年度において、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債で1,000百万円の調達を完了するとともに、今後の第14回新株予約権の行使により1,001百万円の調達を予定しております。