有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/07/31 11:32
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103項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当事業年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
①財政状態の状況
(イ)資産の部
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて299百万円減少し、2,269百万円となりました。これは、AJU薬品へのRBM-007のライセンス・アウトに伴い売掛金が108百万円、研究用機器の購入等に伴い有形固定資産が30百万円増加した一方で、有価証券が600百万円、RBM-007の開発に関連する外注費等に対する前渡金が45百万円減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。
(ロ)負債の部
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて997百万円減少し、88百万円となりました。これは、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の行使800百万円、及び未行使分200百万円の繰上償還を行ったことにより転換社債型新株予約権付社債が1,000百万円減少したこと等によるものです。
(ハ)純資産の部
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて697百万円増加し、2,180百万円となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の転換、並びに、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金が768百万円、資本剰余金が768百万円増加した一方で、当期純損失855百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したこと等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から37.6ポイント増加し、95.3%となっております。
②経営成績
当事業年度においてAJU薬品株式会社へのRBM-007に関するライセンス収入108百万円等を計上したことにより事業収益を121百万円(前事業年度比1,427.0%増)、事業費用として研究開発費を673百万円、販売費及び一般管理費を362百万円計上し、営業損失は914百万円(前事業年度は928百万円の営業損失)となりました。
また、営業外収益として、AMEDの支援事業による助成金収入68百万円、JST委託事業による助成金収入6百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換及び第14回並びに第15回新株予約権の発行諸費用等に係る株式交付費14百万円、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の償還に係る社債償還損2百万円を計上したこと等により、経常損失は853百万円(前事業年度は835百万円の経常損失)となりました。これにより当期純損失は855百万円(前事業年度は836百万円の当期純損失)となりました。
なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し187百万円増加し、1,199百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は902百万円(前事業年度は830百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費17百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、売上債権の増加額108百万円、未払金の減少による支出11百万円、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったこと等に伴う税引前当期純損失853百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は553百万円(前事業年度は418百万円の支出)となりました。主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出803百万円、有形固定資産の取得による支出46百万円によるものです。一方で、主な資金増加要因は、有価証券の売却による収入600百万円、定期預金の払戻による収入803百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は536百万円(前事業年度は1,080百万円の収入)となりました。主な資金減少要因は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の繰上償還を行ったことによる支出202百万によるものです。一方で、主な資金増加要因は、第14回及び第15回新株予約権の一部について権利が行使されたこと等に伴う株式の発行による収入732百万円によるものです。
④生産・受注及び販売の実績
当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。
(イ)生産実績
該当事項はありません。
(ロ)受注実績
該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
事業の名称当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
創薬事業121,3851,427.0
合計121,3851,427.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
販売高
(千円)
割合
(%)
販売高
(千円)
割合
(%)
韓国AJU薬品株式会社--108,83089.7
国立研究開発法人国立循環器病
研究センター
4,21253.0--
岩井化学薬品株式会社2,48631.3--
ビタミンC60バイオリサーチ株式
会社
1,25015.7--

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。当事業年度における国立研究開発法人国立循環器病
研究センター、及びビタミンC60バイオリサーチ株式会社に対する販売実績は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積もりと相違する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営環境 [新型コロナウイルス感染症による影響]」に記載のとおり、現段階において、当社では新型コロナウイルス感染症による当社の事業に与える影響は軽微であることから、中期事業計画に与える影響も軽微であると判断し、会計上の見積りに用いた仮定に重要な影響を与えるものではないと認識しております。
固定資産の減損損失
当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、当社が進める特定のプロジェクトにのみ用いる固定資産がないことから当社の全ての固定資産を一つのグループとし、キャッシュ・フローを生み出す最小の単位として扱っており、これらの固定資産による収益性が著しく低下した場合に、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、中期事業計画に基づき慎重に検討を行っており、当事業年度末においては、中期事業計画に基づくキャッシュ・フローが固定資産の帳簿価額を上回っていることから減損損失を計上しておりませんが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等による将来キャッシュ・フロー等、固定資産の回収可能価額計算の前提条件に変更が生じた場合は、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Conceptの獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
その具体的な進捗を以下に要約いたします。
「RBM-007」の開発について

(イ)RBM-007(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い
当社では、自社で創製したRBM-007(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、開発を進めております。
線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質で、血管新生促進等の様々な生理作用を持つことが報告されております。しかしながら、長年に渡りFGF2は創薬標的の候補であったにもかかわらず、抗体を含め優れた阻害剤の開発がほぼない状態でした。そうした中、当社は、独自のアプタマー創薬技術により、過年度においてFGF2に結合しその作用を特異的に阻害するアプタマーRBM-007の創製に成功いたしました。
開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて滲出型加齢黄斑変性症(Wet Age-related Macular Degeneration、wet AMD)と軟骨無形成症(Achondroplasia, ACH)を選択いたしました。
wet AMDは、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、無治療の状態だとやがて失明に至ります。欧米では失明原因の第一位となっています。この疾患の要因の一つは異常な血管新生によるとされており、10数年前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発され、臨床医からは夢のような薬と評価されました(既存薬の全世界市場規模は約1兆円)。しかし、その後の経過観察によって、臨床上の問題点が明らかになってきました。その一つは、相当数(約1/3)の患者に対して、既存薬の有効性が乏しいことです。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされます※1。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられていますが、既存薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。これに対してRBM-007は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになりました(非臨床POC獲得※2)※3。RBM-007のような二つの異なる作用を持ち合わせる医薬品は既存薬(VEGF阻害剤)にはなく、既存の医薬品では奏功しない患者に対して新規の治療法を提供できる可能性があります。
一方、ACHは四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、治療薬はなく、厚生労働省から難病指定を受けています。ACH患者においては、FGF2が骨伸長を抑制する要因の一つとして作用していますが、RBM-007は疾患モデルマウスを利用した実験で、骨長の短縮を約50%回復する効果を示しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られているACH患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、RBM-007存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。現在、本邦では治療に成長ホルモンが使用されていますが、効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、新薬が待ち望まれています。
自社での臨床開発の実施により臨床POCが獲得されれば、新規治療法の確立に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としてのRBM-007の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。同時に、wet AMDの場合の硝子体という局所投与のみならず、全身投与による疾患治療の世界初の事例として、アプタマー医薬品の開発に大きく貢献するものとなります。
※1 Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K. Seven-year outcomes in ranibizumab-
treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP).
Ophthalmology 2013;120(11):2292-99.
※2 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に、病態モデル動物での薬効確認試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。
※3 Matsuda Y, Nonaka Y, Futakawa S, Imai H, Akita K, Nishihata T, Fujiwara M, Ali Y, Bhisitkul RB, Nakamura Y. Anti-angiogenic and anti-scarring dual action of an anti-fibroblast growth factor 2 aptamer in animal models of retinal disease. Mol. Ther. Nucl. Acids, 17:819-828 (2019).
(ロ)開発状況、及びスケジュール
①滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)
wet AMDを対象にした臨床試験として、第1/2a 相臨床試験(試験略称名:SUSHI試験)を2018年10月から2019年7月にかけて米国で実施いたしました。
本第1/2a 相臨床試験は、オープンラベル(非盲検)、非対照(対照薬を置かない)の試験で、RBM-007の3用量(3コホート)を、計9人の被験者に対して、単回投与(硝子体内注射)し、安全性、忍容性を確認することを主な目的として、米国西海岸の複数の治験施設において実施いたしました。
その結果、全ての用量において、主要評価項目(安全性と忍容性の確認)を達成し、あわせて副次的評価項目において薬効を示唆する結果も認められました。とくに薬効評価の指標となり得る光干渉断層撮影(OCT)による中心窩網膜厚の変化について、治療抵抗性のある高齢の患者を対象としたにもかかわらず、中心窩網膜厚の減少(50マイクロメートル以上)が、高用量(第3コホート)の3名全例で認められ、その効果が投与後56日目まで維持されました。さらに、その3名中2名の被験者においては、56日目で中心窩網膜厚が約200マイクロメートル減少し、ほぼ正常レベルに回復していました。
この結果を受けて、2019年12月より、RBM-007の複数回投与による臨床POC確認を目的とした第2相臨床試験が米国で開始されました。この試験は、wet AMD患者を対象に、①RBM-007硝子体内注射の単剤投与群、②既存薬としてアイリーア(アフリベルセプト)硝子体内注射との併用投与群と、③アイリーア硝子体内注射の単剤投与群との間で、有効性と安全性を比較評価する無作為化二重盲検試験です。
またこれと並行して、国内外の製薬企業との提携協議を進めてまいりました結果、2020年3月、韓国AJU薬品株式会社(以下、AJU 薬品)との間で、韓国・東南アジア地域におけるRBM-007のwet AMDを適応疾患とするライセンス契約を締結いたしました。この締結により、AJU薬品は、RBM-007の韓国・東南アジア地域における独占的開発権と販売権を取得します。また、当社は、AJU 薬品より、契約一時金として1百万USドルを受領、今後、RBM-007の開発段階に応じて、開発マイルストーンとして最大5百万USドル、合計最大6百万USドルを受け取る権利を取得します。
今後もRIBOMIC USA Inc.との緊密な連携の下、関連法令、ガイドライン等を遵守しつつ、この臨床試験を迅速・適切に推進してまいります。
②軟骨無形成症(ACH)
本プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助(2015年度からの3年間ならびに2018年度からの3年間)を受け、GLP適合非臨床安全性・毒性試験及び治験薬製造が完了しております。当事業年度において、これらの非臨床試験データが第1相臨床試験を実施するための条件を充足しているかどうかの見解を求めるため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言を実施し、データの充足性がPMDAにより確認されました。2020年4月、新薬の治験計画届出書をPMDAに提出し、その後のPMDAによる30日間の審査を経て、第1相臨床試験の実施が許可されました。その結果、2020年7月に、日本において第1相臨床試験を開始いたしました。第1相臨床試験は、RBM-007の安全性、忍容性及び薬物動態を調べることを目的として、国内の1治験施設において、合計24名の健康成人男性を対象に実施しております。
(ハ)推進体制
当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施体制の構築を進めてきました。その一環として、2019年10月1日付で第一三共株式会社で37年間臨床開発を担当した池上直隆氏を執行役員臨床開発部長として採用し、体制強化を図っております。米国での臨床開発は、当社完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.が治験スポンサーとなり、新薬開発経験が豊富なYusuf Ali氏(Ph.D.)がCEOとして陣頭指揮を執っております。2019年5月に、当社の取締役執行役員1名が、RIBOMIC USA管掌として着任するとともに、2019年8月より眼科専門医(Daniel de Souza Pereira氏)が社員として新たに加わり米国での臨床開発体制をさらに強化いたしました。また、眼科専門医及び眼科領域の製品開発のエキスパートを含む科学諮問委員会が設置されており、同委員会においては継続的に臨床試験計画の審議、治験データの評価等が行われています。
さらに、ACH治療薬開発については、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医で、小児における骨系統疾患の専門医である大薗恵一教授と医学アドバイザーの委嘱に関する契約を締結し、各種助言等を行っていただいております。
今後もRBM-007の開発推進に向け、体制の一層の整備を図ってまいります。
その他のプロジェクト

(イ)RBM-003及びRBM-010
当社は、既存パイプラインを継続的、重層的に拡大し中長期的に成長するために、特に優れた薬効が動物試験で確認されているRBM-003(抗キマーゼアプタマー、心不全等)及びRBM-010(抗ADAMTS5アプタマー、変形性関節症等)を、RBM-007に次ぐ重点開発プログラムと位置づけております。
RBM-003が標的とするキマーゼの阻害剤として、バイエル社(独)が開発した低分子のキマーゼ阻害剤があり、これを用いた、慢性心不全に対する臨床試験が第2相まで実施されていましたが、最近開発の中止が報告されております。当社のRBM-003はバイエル社のキマーゼ阻害剤に比較して、強い酵素阻害活性をもつことが確認されており、急性心不全に対する即効性の注射薬の開発を目指し、今後の研究開発を加速してまいります。
RBM-010が対象とする変形性関節症は、種々の原因により、膝や足の付け根、肘、肩等の関節に痛みや腫れ等の症状が生じ、その後関節の変形をきたす病気です。現在、治療法としては痛みや腫れを和らげる薬の服用や関節置換術などの手術しかなく、根治する薬はありませんが、RBM-010はその根治療法に道を開く可能性があり、今後の研究開発に取り組んでおります。
(ロ)RBM-011
RBM-011(抗IL-21(インターロイキン21)アプタマー)を用いた肺動脈性肺高血圧症に対する新薬の開発研究を、AMEDの難治性疾患実用化研究事業の一環として助成を受けて(2017~2019年度)、国立循環器病研究センターと共同で進めてきましたが、今般、その継続研究がAMEDの治験準備(ステップ1)研究として採択されました(2020~2022年度)。
肺動脈性肺高血圧症は、難治性呼吸器疾患に認定されている原因不明の病気であり、肺動脈壁が肥厚して血管の狭窄が進行した結果、全身への血液や酸素の供給に障害が生じ、最終的には心不全から死に至ることのある重篤な疾患です。近年、プロスタグランジンI2製剤などの治療薬の開発で予後は改善しつつありますが、治療薬が十分な効果を発揮しない患者様の予後は依然として極めて悪い状態です。これらの既存治療薬は、いずれも血管を拡張させる作用を持つものであり、血管壁の肥厚を抑制する作用を持つ薬はなく、その開発が強く望まれています。
国立循環器病研究センターとの3年間の共同研究によって、当社が創製したRBM-011は、動物実験において、肺動脈壁の肥厚に対して、顕著な抑制効果をもつことが明らかになっています。今後は、肺動脈性肺高血圧症の国内での専門医療機関である国立循環器病研究センターと密に連携して、本剤を臨床試験に進めるべく注力したいと考えております。
(ハ)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアプタマー治療薬の開発
当社は、現下の世界情勢と当社の使命に鑑み、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の開発を目的として、アプタマー創薬研究を開始いたしました。
COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2は、ウイルス表面のスパイクタンパク質(Sタンパク質)がヒトの細胞表面にある受容体(ACE2タンパク質)に結合することによって、感染が開始され、その後細胞内に侵入し増殖することが明らかになっています。当社は、Sタンパク質やACE2タンパク質に結合することで、Sタンパク質とACE2タンパク質の結合を阻害したり、あるいはウイルスの細胞内への侵入を阻止するような活性を持つアプタマーの創製を開始しました。今後、社外の専門研究グループと共同で細胞ならびに動物モデルを用いて検証する予定です。
世界的なパンデミックとなっているCOVID-19に対して、多くの企業や研究機関がワクチンや抗ウイルス薬の開発を進めており、臨床試験も開始されておりますが、その終息は全く見通しがたっておりません。一刻も早い感染症克服のためには、ワクチン開発と並行して、作用機序の異なる様々な治療薬の開発を緊急に間断なく推進することが重要です。当社は、タンパク質・タンパク質結合阻害剤としてのアプタマーの卓越した有用性に鑑み、上述のアプタマー開発がCOVID-19の克服に繋がる有力なアプローチであると期待しています。本研究の遂行に当たっては、研究員の健康に十分配慮の上、短期間に開発可能であるアプタマーの特徴を最大限に発揮して、迅速にCOVID-19治療薬の開発に取り組んでまいります。
(ニ)共同研究契約
前々事業年度において当社は、米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムのメンバーの一員であるミシガン大学と、当社が創製したアプタマーの精神疾患に対する効果を検証することを目的に、共同研究試料提供契約(MTA)を締結し、現在、同大学において当社が提供したアプタマーの評価が進められております。
また、ビタミンC60バイオリサーチ株式会社との間の2019年1月18日付共同研究開発契約に基づき、化粧品原料候補の創製・開発に関する共同研究を実施しております。
また、当社はアステラス製薬株式会社と2017年3月21日付でアプタマー医薬品開発に関する共同研究契約を締結し、共同研究を推進してまいりましたが、2019年9月21日に研究期間が満了し、当該共同研究を終了いたしました。
(ホ)継続中の自社創薬プロジェクト
アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、GPCR(Gタンパク質共役型7回膜貫通型受容体)を標的とするアプタマー創薬や、コンピューター科学を応用した技術開発(JST委託事業)等を継続して進めております。
開発コスト

今後の開発資金の調達を目的として、2018年6月13日に株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(1,000百万円)、及び第14回新株予約権(1,001百万円)を発行し、これらの転換・行使により1,028百万円を調達しており、主にRBM-007のwet AMDの臨床開発費として充当を進めております。なお、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の未転換の200百万円については、2020年2月12日に繰上償還いたしました。
また、2020年1月27日にSMBC日興証券株式会社を割当先とする第三者割当の方法による第15回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、5,659百万円※5の調達を予定しております。本調達による資金は主に、①RBM-007のwet AMD及びACHを対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む)、②RBM-003の心不全を対象とした非臨床試験費用、③RBM-010の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用、④新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他)等に充当する予定です。2020年3月末時点での調達額は約5億円(発行総数の12%)となっております。
※5 当初行使価額で全ての新株予約権が行使されたと仮定した場合で発行諸費用の概算額を差し引いた金額。
(3)資本の財源及び資金の流動性
(イ)運転資金
当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。
当社の事業を遂行するための、運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費であります。なお、過年度における研究開発費の推移について下記に示すとおりであり、自社での臨床試験を実施するために、2017年3月期よりRBM-007による臨床試験のための原薬製造を開始して以降、臨床開発を行うための資金需要が高まっております。
当社では、策定中の中期事業目標「VISION 2025」に掲げるパイプラインの臨床開発、新規技術開発等を遂行するための資金需要が生じております。
研究開発費の推移
回次第13期第14期第15期第16期第17期
決算年月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月2020年3月
研究開発費(千円)435,009610,423663,809612,979673,605

(ロ)財務政策
中長期的な成長のための基本コンセプトとして、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭にしており、これを遂行するため、前事業年度において、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権を発行し、当事業年度において1,028百万円を調達いたしました。これに加えて、当事業年度において、SMBC日興証券株式会社を割当先とする第三者割当の方法による第15回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、当事業年度において501百万円を調達いたしました。なお、2020年7月14日時点で第15回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使が完了し、総額5,503百万円を調達いたしました。
(ハ)株主還元
当社の株主還元に関する方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。

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