有価証券報告書-第13期(平成29年9月1日-平成30年8月31日)

【提出】
2018/11/28 15:56
【資料】
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【項目】
112項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念とし、世の中の人が幸せになるサービスや事業を創造していくことを目指しています。
(2)経営戦略等
当社グループは、上述の企業理念に基づき、売上高1,000億円に向け成長をさらに加速させ、ギアチェンジを行う新たな通過点として「SHIFT300」を策定いたしました。
創業以来、製造業における業務改善コンサルティングの知見を持って、ソフトウェア開発分野における属人化された業務のプロセスを変革し、開発エンジニアとテストエンジニアの分業を進めていくことで開発エンジニアが開発工程に集中し、開発に専念できる環境を整備するなど、ITエンジニアの働き方を変革してまいりました。
今後は、安全・安心・快適で、無駄のないスマートな社会の実現に向け「品質」の観点から多角的なサービス展開を行うことを目指し、開発工程の上流から下流までの工程における無駄を当社グループに蓄積されたデータを元に改善し、顧客のビジネススピードを変革してまいります。
そのために、これまでのソフトウェアテストサービスで蓄積された品質に関わる「人」「物」「お金」のデータを再構築することで、IT業界に向けた新たな価値を創造し提供してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するため、売上高成長率、営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標とし、親会社株主に帰属する当期純利益や加重平均資本コスト(WACC)を念頭に経営をしております。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、今後のさらなる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。
① 営業展開について
総務省及び経済産業省による「平成29年情報通信業基本調査」によると、わが国において主としてソフトウェア業を営む企業の売上高は14兆8,966億円と試算されております。また、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表する「ソフトウェア開発データ白書2016-2017」によると開発工程に占めるテスト工程の割合は、約33%とされており、当社グループの対面するソフトウェアテストの市場規模は約5兆円と推定されます。
しかしながら、依然として顧客企業内においてソフトウェア開発者がテスト工程の業務を行っているのが主流であり、ソフトウェアテストのアウトソース需要は拡大傾向にあるものの、日本国内で顕在化しているアウトソース市場は小規模なものにとどまっております。
当社グループは、この潜在的な5兆円の市場に対して、既存の労働集約的なサービスではなく、仕組化・標準化されたソフトウェアテストサービスを提供することにより、顧客のニーズを喚起し、アウトソース市場を掘り起こしてきました。
さらに、注力業界である金融・流通業における、あらゆる企業へのサービス展開を目指すべく、営業体制の強化を図ってまいります。
② サービスラインナップの強化
当社グループは、独自に標準化・仕組化されたノウハウに基づきソフトウェアテストを提供しており、その対象分野は、特定の業種業態にとらわれない幅広い分野を対象としつつ、テストの対象もスマートフォン向けの小規模なアプリケーションから金融機関の基幹システムなどの大規模なものまで、規模や開発言語・手法にもとらわれない幅広いものとなっております。
今後さらに事業規模を拡大していく上では、金融業等の特に規模が大きな市場での当社グループの事業拡大を実現するために、各業界における高度な業務知識の拡充、サービスラインナップの強化が重要な課題であると認識しております。
こうした課題に対応するため、金融業・流通業などの各注力業界に精通したプロジェクトマネージメントやコンサルティングスキルに長けた専門性が高く優秀な人材の確保、育成を進めてまいります。また、柔軟な組織体制を構築し、より専門性の高いチーム編成を行うことで、網羅的なサービスラインナップ強化を進めてまいります。
③ 人材採用力の強化
当社グループは、それまで開発者が行ってきた検証工程を、開発者以外であっても実行できるように、作業工程の徹底的な標準化を行うことでIT人材以外の人材を採用してまいりました。また、注力業界である金融・流通業での事業拡大のため、業界知識の豊富な人材の採用も同時に行ってまいりました。
1,000億円企業を目指すにあたっては、上述の営業展開やサービスラインナップの強化を進めるため、各分野のスペシャリストの採用が早期に取り組むべき課題であると認識しております。
こうした課題に対応するため、従前の採用手法だけにとどまらず、あらゆる採用手法を積極的に取り入れ、採用体制の強化を進めてまいります。
④ 海外展開
海外のソフトウェア開発市場は日本よりも大きく、また、ソフトウェアテストのアウトソース市場の顕在化も進んでおります。
そのため、当社グループにおけるサービスの海外展開は長期的な成長を実現するために取り組むべき課題であると認識しております。当社グループでは、海外子会社を設立し、日本で培ったソフトウェアテストのノウハウに基づき、コスト競争力に優れたリソースを利用したサービスの開発を進めております。こうしたサービス提供の準備が整い次第、北米などの主要なソフトウェア開発市場へ進出を図ってまいります。
⑤ 企業ブランドの醸成と新規事業展開
当社グループは現在ソフトウェアテストサービスを中心とした事業展開を図っており、標準化された高品質なサービス提供によって業務アプリケーション領域におけるソフトウェアテストのリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつあるものと認識しております。
一方で当社グループは、「新しい価値の創造」を目指し、世界中で通用するサービスを創造することを企業理念に掲げており、品質を軸として積極的な事業展開を行い、新しい価値を創造する企業としてのブランドを醸成していくことが重要な課題であると認識しております。こうした課題に対応するため、収益の柱としてのソフトウェアテストサービスの提供を拡大させる一方で、開発工程の上流からサービスを提供することで開発全体の品質保証を図るべく領域の拡大を目指しており、既存事業との関連性、収益性、社会性、従業員の士気向上への影響等を考慮した上で、1,000億円企業に向かって新たなサービスの創出と一定の割合を定めて新規事業に積極的に投資し、「スマートな社会」の実現に向けて、なくてはならないSHIFTグループのポジショニングを強化してまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社グループは、さらなる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。