訂正有価証券報告書-第3期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

【提出】
2019/05/21 17:03
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、輸出入及び鉱工業生産の伸長や堅調な雇用情勢などにより緩やかな景気回復を維持する一方、家計所得の伸びは緩慢で、実質の家計消費支出は低迷が継続しました。こうした環境を背景に、業種業態を超えた競争は激しさを増し、天候不順による影響などもあり、スーパーマーケット経営においては厳しい環境となりました。
このような情勢下、当社グループは、当連結会計年度から3年間を対象とし、「事業のインフラ共通化によるシナジーの最大化」と「消費者変化に対応した新しいスーパーマーケットモデル確立への挑戦」を基本方針とする中期経営計画を策定し、公表いたしました。今後10年の経営環境を見据え、首都圏における「人口」「世帯構造」の変化や「食の変化」「技術革新」「コスト構造」という視点から脅威と機会を認識し、中期経営計画における目標を達成するため商品改革・ICT改革・コスト構造改革・物流改革を実行していくというものであります。商品改革では「規模の優位性を最大限に活かしたシナジーの創出」を具現化するため①プライベートブランド商品の開発、②効果と効率を最大化する商流統合、③食生活の変化への対応に取り組むこととし、同じくICT改革では①ICTのインフラ統合、②新技術活用によるビジネス改革の推進、コスト構造改革では①効果と効率を最大化するグループ共通本部機能の構築、②資材等の共同調達によるコスト削減、物流改革では「グループとして最適な効率を追求する物流体制の構築」をそれぞれ推進してまいります。また、中長期的な業績向上と企業価値向上をなお一層意識した経営を実現することを目的に、取締役(社外取締役及び非常勤取締役を除く。)を対象として、業績連動型の譲渡制限付株式報酬制度及び株式報酬型ストックオプション制度を導入いたしました。
中期経営計画の実行に向け、当連結会計年度は次のような取り組みを実行いたしました。商品改革では、雑貨・衣料品の仕入集約に3月より着手し、同時に仕入れ機能を一本化いたしました。また、共同企画商品を含む共同調達の拡大やプライベートブランド商品の開発を進め、10月6日にはプライベートブランド商品の第1弾を発売いたしました。ICT改革では、システムコスト削減の取り組みを継続するとともに、戦略的なデータ活用やシステム開発を推進いたしました。コスト構造改革では、共同調達によるコスト削減等を継続するとともに、本社機能の効率化に向け、財務経理機能の統合を進めております。物流改革では、グループとして最適な効率を追求する次世代の物流体制構築に向け、外部の企業の方々との研究会を発足し、活動を開始しました。
主要連結子会社において、㈱マルエツでは、全員参加で業務改革を実現させる年と位置づけ、「業務の改革」「店づくりの改革」「将来成長への対応」に取り組んでまいりました。主な施策として、省力化施策では、セミセルフレジを189店舗へ拡大、また、発注業務の簡素化となる「デリカメニュー発注システム」と、効率的な店舗オペレーションの構築に向けた「トータルLSPシステム」を全店に導入いたしました。そして「食のデリカ化」への対応として、改装店舗を中心に旬の生鮮素材を活用した「生鮮デリカ」の導入を推進いたしました。
㈱カスミでは、お客さまの声やご要望、従業員のアイデアに傾聴し、地域の皆さまに「いいね!」と共感していただける店舗づくりを目指し、お店に行くと何か発見がある、楽しいコトを体験できる、新たな交流が生まれる、地域の生活拠点づくりに向けた取り組みを進めました。特に、新店をはじめ充実化を進めたイートインコーナーは、従業員の創意工夫や地域とのつながりを活用したさまざまなイベントを店舗ごとに開催し、多くのお客さまにご来店いただいております。商品面では「おいしい・安全安心」「新鮮・新しい」「健康」「簡単便利」「地域」「楽しさ・豊かさ」の6つのキーワードに基づく品揃え、商品開発に取り組みました。また、生活必需品のEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)施策を強化し販売点数の拡大を図りました。
マックスバリュ関東㈱では、-「買物する〝よろこび″」を創造する-を新ビジョンに掲げ、「店舗の競争力強化」「経費構造の見直し」「企業風土の改革」に取り組みました。主な施策としては、「店舗の競争力強化」に向けて、既存店活性化を中心とした積極的な投資の実施、「トップバリュ商品感謝の値下げ企画」等による価格競争力の強化、個店店舗の課題対応を進め、スーパーバイザー配置による売場展開力の強化に取り組みました。また、「経費構造の見直し」として、コスト全般の網羅的な見直しと店舗オペレーションの改善に取り組みました。「企業風土の改革」では、新ビジョンに基づいた店毎の課題解決プロセスを開始・実行してまいりました。また、業績表彰制度を見直し、従業員の意欲向上を図りました。
当連結会計年度において、㈱マルエツが7店舗、㈱カスミが8店舗、当社グループ計で15店舗を新設いたしました。一方、経営資源の効率化を図るため、㈱マルエツが5店舗、㈱カスミが2店舗、当社グループ計で7店舗を閉鎖いたしました。その結果、当社グループの当連結会計年度末の店舗数は、中国江蘇省の2店舗を含めて513店舗となりました。
また、当社グループは環境・社会貢献活動にも積極的に取り組み、グループ各店舗では、食品トレー、牛乳パック等のリサイクル資源の回収を継続して行う他に、㈱カスミでは期限到来前の食品の有効活用のため、フードバンクへの食品の寄付も行っており、活動店舗を順次拡大し食品廃棄の抑制につなげております。
なお、当社グループはスーパーマーケット事業を単一セグメントとしており、その他の事業については重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
このような状況において各施策に取り組みましたが、売上高の前年比については、野菜相場の低迷が続いた影響により青果の売上高が全店前年比99.3%、近海魚の不漁等の影響により鮮魚の売上高が全店前年比98.1%と低迷し、さらに10月は降雨が続き同月の売上高が全店前年比99.2%、既存店前年比97.8%に留まった結果、当連結会計年度の売上高は、全店前年比101.1%、既存店前年比99.4%となりました。一方で、販売費及び一般管理費は、採用難や社会保険適用拡大等による人件費の上昇により人件費が前期比3.2%増となったことに加え、水道光熱費が前期比6.4%増となったこともあり、営業収益の伸長率を上回る前期比2.0%増となりました。
これらにより、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業収益が6,922億48百万円(前期比1.1%増)、営業利益が140億68百万円(前期比1.8%減)、経常利益が141億88百万円(前期比0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が74億52百万円(前期比1.4%増)となりました。
(参考情報)
主要連結子会社では、当連結会計年度における㈱マルエツ単体の営業収益は3,755億56百万円(前期比0.7%増)、㈱カスミ単体の営業収益は2,692億89百万円(前期比2.6%増)、マックスバリュ関東㈱単体の営業収益は434億80百万円(前期比4.7%減)の結果となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ5億38百万円増加し、257億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益79億32百万円、減価償却費109億82百万円、減損損失44億87百万円、関係会社事業整理損失引当金の増加13億73百万円などにより、210億60百万円の収入(前年同期比43億77百万円の収入の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出153億7百万円などにより、162億38百万円の支出(前年同期比40億56百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の調達145億円、長期借入金の返済176億50百万円、配当金の支払19億61百万円、自己株式の取得40億1百万円などにより、42億70百万円の支出(前年同期比36億61百万円の支出の増加)となりました。