有価証券報告書-第47期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 15:29
【資料】
PDFをみる
【項目】
127項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積りを合理的に行わなければなりません。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況、真実性、継続性等を勘案し、合理的な基準に基づいた判断を行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、将来生じる実際の結果が見積りと大きく異なる可能性があります。
(2)経営成績の分析
①売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ27.0%減収の4,992百万円となりました。
セグメント別では、電子材料スライス周辺事業の売上高は、当第3四半期以降、主力製品であるダイヤモンドワイヤの受注、販売ともに回復傾向を辿り、平成29年1月以降各月の販売数量は従来のピークを上回っておりますが、新規大口顧客との取引開始に時間を要したことから、売上高が大幅に減少した結果、前連結会計年度に比べ39.0%減収の2,934百万円となりました。特殊精密機器事業の売上高は、実装機向けノズル、工作機械向け耐摩工具ともに堅調な出荷状況であった結果、前連結会計年度に比べ0.6%減収の645百万円となりました。化学繊維用紡糸ノズル事業の売上高は、国内外ともに各種ノズルの受注が堅調に推移した結果、前連結会計年度に比べ2.9%増収の1,411百万円となりました。
②営業損益
売上原価は、前連結会計年度に比べ23.8%増加し5,087百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ20.5%増加し1,557百万円となりました。
これらの結果、営業損失は、1,653百万円(前連結会計年度は1,435百万円の営業利益)となりました。
③経常損益
営業外損益は、助成金収入99百万円、業務受託料25百万円、受取賃借料29百万円等による営業外収益が171百万円となり、持分法による投資損失195百万円、支払利息41百万円、為替差損26百万円等による営業外費用が321百万円となりました。
これらの結果、経常損失は1,803百万円(前連結会計年度は1,440百万円の経常利益)となりました。
④税金等調整前当期純損益
特別損益は、減損損失83百万円、固定資産除却損2百万円を計上しました。
これらの結果、税金等調整前当期純損失は1,890百万円(前連結会計年度は1,430百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑤親会社株主に帰属する当期純損益
法人税、住民税及び事業税は44百万円となりました。また、繰延税金資産の減少に伴い法人税等調整額で140百万円を計上しております。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,075百万円(前連結会計年度は1,221百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。また、1株当たり当期純損失金額は445円77銭となりました。
(3)財政状態の分析
① 資産
有形固定資産の増加1,821百万円、受取手形及び売掛金の増加730百万円、原材料及び貯蔵品の増加306百万円、現預金の減少1,149百万円等により、総資産は前連結会計年度末に比べ1,969百万円増加し12,195百万円となりました。
② 負債
短期借入金の増加915百万円、長期借入金の増加333百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加224百万円、リース債務の増加324百万円等により、負債は前連結会計年度末に比べ2,027百万円増加し7,180百万円となりました。
③ 純資産
資本金の増加1,032百万円、資本剰余金の増加1,032百万円、利益剰余金の減少2,117百万円により、純資産は前連結会計年度末に比べ57百万円減少し5,014百万円となりました。
この結果、自己資本比率は41.1%(前連結会計年度末は49.6%)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況に関する分析
キャッシュ・フローの状況に関する分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5)戦略的現状と見通し
当社グループは、将来へ向けて成長、発展し続けるために、競争力強化、収益力向上のための取組みをより一層推進してまいります。
今後の主なセグメント別の取組みは次のとおりであります。
①電子材料スライス周辺事業
当社グループは、和泉工場D-Nextにおいて開発したダイヤモンド応用技術の結晶であるダイヤモンドワイヤ「DINA-PRISM」を主に太陽電池分野に投入し、事業を展開してまいります。また、企業の継続的成長のために必須の事業分野である環境・エネルギー関連分野におきまして、企業としての社会貢献と事業収益の両立を達成し、日本における「ものづくり」企業としての当社グループの存在価値を向上させることを事業目標としてまいります。
②特殊精密機器事業
今後の電子部品業界及び工作機械業界の動向には先行き不透明なところがありますが、当社グループは現在の高硬度材料に対する加工技術を中核とした『包括的ものづくり事業』の展開を目指し、独創性に一味を加えて更なる高機能化を目指しつつ、新たに独創的な提案をともなう事業展開を図ってまいります。具体的には試作・改良を行っているテーマ(電子部品実装用のノズルのラインナップ及び中国事業の展開の拡大)に対して積極的な製品化及び事業化を推進し、当社グループの経営環境に適合した組織化・戦力化・戦略化を行い、これまでの事業領域にとらわれない「ものづくり」体制を構築いたします。さらに、経営資源を集約することにより業務の効率化及び対応能力の向上を図り、高付加価値の追求を基本としてまいります。
③化学繊維用紡糸ノズル事業
わが国における化学繊維市場は縮小傾向にあるものの新興国の市場は広がりをみせており、炭素繊維をはじめとする高機能繊維分野及び不織布分野も拡大傾向にあります。
これまで当社グループで十分な販売促進活動を展開できていなかった中国をはじめとする新興国の化学繊維メーカーとの取引拡大を図るとともに、高機能繊維や不織布などの成長が期待される分野において、引き続きシェアの拡大に努めてまいります。
また、当社グループは、平成27年10月1日付で新規事業開発室を新設し、新製品に関する開発体制の強化並びに早期事業化を目的として、研究開発活動を加速させております。内容につきましては、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
今後のわが国の経済情勢は、企業収益や雇用環境の改善等による緩やかな回復が期待される一方、米国新政権による保護主義政策の動向、欧州の政情不安、中東、朝鮮半島の地政学リスク等により、先行きに対する不透明感は継続しております。
このような状況下で当社グループの経営陣は、現在の事業環境を分析し、入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く事業環境は、依然として予断を許さない状況であります。
当社グループは、持続的な成長を実現するため、世界的に依然として拡大が予想される太陽電池分野を中心に資本を投下し、ダイヤモンドワイヤの更なる拡販、生産効率の向上による収益力の強化に取り組んでまいります。
また、当社グループは「エネルギー」「環境」「医療」を事業領域の3本の柱として、持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。