有価証券報告書-第62期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善、個人消費や設備投資の持ち直し等を背景に景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、世界経済においては景気は緩やかに回復しておりますが、北朝鮮情勢の不安定化、中国をはじめとした新興国の景気下振れリスク、英国のEU離脱問題、米国の貿易政策による貿易摩擦の懸念等、依然として景気を下押しするリスク要素も多く、先行き不透明な状況が続いております。
超硬工具業界におきましては、上記のような経済の状況を受け、業界全体の出荷額が3,654億円(対前年度比332億円増・10.0%増)と平成28年度を上回りました。また、当社製品の主な市場であります超硬耐摩耗工具の出荷額においても、390億円(対前年度比11億円増・3.1%増)と平成28年度を上回りました。
こうした状況のなか、当社グループは前年度に引き続き「革新」を年度方針に掲げ、高品質・低コスト・短納期・充実したサービスの向上に努めてまいりました。また、持続的な成長を目指し、①業務の効率化による収益率の向上、②海外売上の拡大・国内市場の深耕、③成長分野への注力に取り組んでおり、業務の効率化の一環として、平成29年5月に門司工場の生産機能を停止し、主に熊本製造所に生産を集約しております。なお、事業の成長、企業価値の向上を目指し、平成29年4月12日に東京証券取引所市場第一部への指定替えを行っております。今後も株主の皆様のご期待にお応えすべく、事業の成長、企業価値の向上を目指し、また事業を通じて社会に貢献してまいります。
超硬製工具類では、海外向けの溝付きロールや混錬工具、国内向けの冷間フォーミングロールや超高圧発生用工具の販売が引き続き堅調に推移し、売上高は4,881百万円(前連結会計年度比7.9%増)となりました
超硬製金型類では、自動車部品生産用金型の販売が好調を維持したことに加え、自動車分野において新規案件の獲得も順調に進んだことにより、売上高は4,199百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりました。
その他の超硬製品では、スマートフォン部品生産用や自動車部品生産用の超硬金型素材の販売が堅調に推移したことに加え、半導体生産用の超硬金型素材や半導体製造装置用部品の販売も増加し、売上高は3,970百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
超硬以外の製品では、引抜鋼管の販売が大幅に増加したことに加え、鋼製およびセラミックス製の自動車部品生産用金型等の販売も堅調に推移し、売上高は4,939百万円(前連結会計年度比14.2%増)となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は17,990百万円(前連結会計年度比8.1%増)となりました。利益につきましては、活況な市場に支えられ売上高が増加したこと等により、営業利益は1,465百万円(前連結会計年度比26.2%増)、経常利益は1,473百万円(前連結会計年度比23.3%増)、連結子会社であるPT.FUJILLOY INDONESIAの減損損失127百万円を特別損失に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は932百万円(前連結会計年度比9.0%増)となりました。
なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産の部は、26,257百万円(前連結会計年度末25,245百万円)となり、1,012百万円増加いたしました。流動資産は14,938百万円(前連結会計年度末14,056百万円)となり、881百万円増加いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が453百万円、原材料及び貯蔵品が205百万円、仕掛品が188百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は11,319百万円(前連結会計年度末11,188百万円)となり、130百万円増加いたしました。これは主に、工具、器具及び備品(純額)が80百万円、建物及び構築物(純額)が49百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債の部は、7,860百万円(前連結会計年度末7,409百万円)となり、450百万円増加いたしました。流動負債は6,047百万円(前連結会計年度末5,545百万円)となり、501百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が538百万円、未払金が430百万円増加、流動負債のその他に含まれる設備支払手形が524百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は1,812百万円(前連結会計年度末1,863百万円)となり、51百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が47百万円、リース債務が11百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産の部は、18,397百万円(前連結会計年度末17,836百万円)となり、561百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が932百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が440百万円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ33百万円増加し、6,539百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益1,323百万円、減価償却費1,069百万円の計上などにより2,234百万円の収入(前年同期は2,289百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出1,608百万円などにより1,664百万円の支出(前年同期は1,866百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは569百万円の収入(前年同期は423百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額440百万円などにより547百万円の支出(前年同期は471百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 耐摩耗工具関連事業 | 13,254 | 107.4 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.金額は当期製品製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
| 耐摩耗工具関連事業 | 18,939 | 113.6 | 3,103 | 144.0 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
| 製品区分 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 超硬製工具類 | 4,881 | 107.9 |
| 超硬製金型類 | 4,199 | 102.4 |
| その他の超硬製品 | 3,970 | 107.3 |
| その他 | 4,939 | 114.2 |
| 合計 | 17,990 | 108.1 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、見積りによる判断が含まれておりますが、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は17,990百万円(前連結会計年度比8.1%増)、営業利益は1,465百万円(前連結会計年度比26.2%増)、経常利益は1,473百万円(前連結会計年度比23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は932百万円(前連結会計年度比9.0%増)となりました。
当連結会計年度の売上高の増加要因については、自動車関係を中心に活況な市場に支えられ売上高が増加したことが一因であると認識しております。また、当社グループは中長期的な成長に向けた経営戦略の一つとして海外売上の拡大を目標としており、経済成長が見込まれるアジア地域を中心に積極的な販売活動を行ってまいりました。その結果、当連結会計年度の海外売上高は2,935百万円(前連結会計年度比18.8%増)となり、売上高増加に寄与したものと評価しております。
当連結会計年度の営業利益については、営業利益を押し下げる要因はいくつかあるものの、売上高の増加が寄与し、前連結会計年度を上回る結果となりました。なお、当連結会計年度に発生した営業利益を押し下げる主な要因は以下のとおりであります。
当連結会計年度は、当社グループ全体で堅調に推移している受注に対応するため、採用活動を積極的に行い、平成30年3月31日時点の当社グループの従業員数は1,116名(前連結会計年度比51名増)となりました。従業員の増加等に伴い当連結会計年度の人件費が増加し、当社グループの営業利益を押し下げる一因となっております。これにつきましては、今後当社グループの持続的な成長を見据えたものであり、経営基盤の強化に繋がるものと評価しております。また、当社グループの原材料であるタングステンカーバイド、コバルト等のレアメタルの価格が上昇した影響で材料費が増加しており、当社グループの営業利益を押し下げる一因となっております。これにつきましては、今後も上昇傾向が続くことが懸念されており、当社グループのリスク要因の一つであると認識しております。
当連結会計年度の経常利益については、前連結会計年度に比べ為替差損が増加したものの、前連結会計年度を上回る結果となりました。これに伴い当社グループが重視する経営指標の一つであります売上高経常利益率は8.2%となり、当連結会計年度の目標であった7.2%を1.0ポイント上回っていることから、当連結会計年度の事業運営は所定の成果を得ているものと評価しております。なお、当社グループは引き続き海外売上の拡大に注力した活動を行ってまいりますので、今後為替リスク等の国際的活動の展開に伴うリスクが発生する可能性も認識しております。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社であるPT.FUJILLOY INDONESIAの事業用資産における収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなったため、減損損失127百万円を計上しましたが、前連結会計年度を上回る結果となりました。当期減損損失を計上しましたPT.FUJILLOY INDONESIAについては、今後当社グループが海外事業の拡大を目指していくうえで主要な海外拠点であると捉えており、PT.FUJILLOY INDONESIAの人材育成や経営管理の強化により、業績の改善に努めてまいります。
なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えており、事業活動に必要な運転資金および設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っております。また、当社グループは、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。