有価証券報告書-第65期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気が大きく落ち込みました。2020年5月に第1回目の緊急事態宣言が解除され、経済活動の再開に伴い個人消費や生産に持ち直しの動きがみられたものの、第2波、第3波と新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、景気の先行きは予断を許さない状況が続きました。
超硬工具業界におきましては、上記のような経済の状況において、業界全体の出荷額は2,943億円(対前年度比526億円減・15.2%減)と2019年度を下回りました。また、当社製品の主な市場であります超硬耐摩耗工具の出荷額においても、312億円(対前年度比70億円減・18.3%減)と2019年度を下回りました。
こうした状況のなか、当社グループは「挑戦」を年度方針に掲げ、高品質・低コスト・短納期・充実したサービスの向上に努めてまいりました。また、2018年度(2019年3月期)から、3ヵ年を対象期間とした中期経営計画を策定しており、中期経営計画の3年目となる2020年度(2021年3月期)も、更なる企業価値の向上に向けて、1.成長力・収益力の強化、2.顧客ニーズの変化への柔軟な対応、3.海外展開、4.新製品開発、新技術開発の諸施策に取り組んでまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、営業員によるお客様への訪問自粛や展示会等の中止により、十分な営業活動を行えない厳しい状況が続きました。
超硬製工具類では、溝付ロールや粉砕工具の販売が引き続き堅調に推移しました。一方、市況の変化等により超高圧発生用工具及び熱間圧延ロール、混錬工具の販売が低調となり、売上高は3,926百万円(前連結会計年度比21.7%減)となりました。
超硬製金型類では、光学素子成形用金型の販売が前年度特需の反動減で低調に推移しました。また、自動車部品生産用金型の販売については、一部次世代自動車向け製品の取り込みがあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な自動車需要の落ち込みに伴う自動車関連の市況悪化の影響を受け低調となり、売上高は3,404百万円(前連結会計年度比24.6%減)となりました。
その他の超硬製品では、海外での半導体関連需要の拡大による超硬金型素材の販売増加や電池金型用素材の拡販、レンズ金型の販売が堅調に推移したものの、自動車部品生産用金型の超硬金型素材向け販売が低調となり、売上高は3,468百万円(前連結会計年度比10.0%減)となりました。
超硬以外の製品では、KF2製の混錬工具の販売が増加したものの、引抜鋼管及び鋼製やセラミックス製の自動車部品生産用金型の販売が低調となり、売上高は3,447百万円(前連結会計年度比14.8%減)となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は14,247百万円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。利益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響等で売上高が減少したことにより、営業利益は96百万円(前連結会計年度比89.0%減)、経常利益は300百万円(前連結会計年度比70.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益として災害保険金収入375百万円を計上したことにより、468百万円(前連結会計年度比25.0%減)となりました。
なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産の部は、23,733百万円(前連結会計年度末24,815百万円)となり、1,081百万円減少いたしました。流動資産は13,200百万円(前連結会計年度末13,619百万円)となり、419百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が344百万円減少、原材料及び貯蔵品が195百万円減少したことによるものであります。また、固定資産は10,533百万円(前連結会計年度末11,195百万円)となり、661百万円減少いたしました。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が323百万円減少、建物及び構築物(純額)が281百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債の部は、4,893百万円(前連結会計年度末5,845百万円)となり、952百万円減少いたしました。流動負債は3,176百万円(前連結会計年度末4,115百万円)となり、939百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が392百万円減少、未払金が317百万円減少、未払法人税等が167百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は1,717百万円(前連結会計年度末1,730百万円)となり、12百万円減少いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産の部は、18,840百万円(前連結会計年度末18,969百万円)となり、128百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が468百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が479百万円減少、自己株式の取得により自己株式が129百万円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ522百万円増加し、6,377百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益690百万円、減価償却費1,037百万円の計上などにより1,483百万円の収入(前年同期は2,548百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出409百万円などにより283百万円の支出(前年同期は1,508百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは1,200百万円の収入(前年同期は1,039百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額479百万円、自己株式の取得による支出129百万円などにより636百万円の支出(前年同期は515百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 耐摩耗工具関連事業 | 11,194 | 84.3 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.金額は当期製品製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
| 耐摩耗工具関連事業 | 14,070 | 85.2 | 2,081 | 92.2 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
| 製品区分 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 超硬製工具類 | 3,926 | 78.3 |
| 超硬製金型類 | 3,404 | 75.4 |
| その他の超硬製品 | 3,468 | 90.0 |
| その他 | 3,447 | 85.2 |
| 合計 | 14,247 | 81.8 |
(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、売上高は14,247百万円、営業利益は96百万円、経常利益は300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は468百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きく落ち込みました。その他の超硬製品では、海外での半導体関連需要の拡大による超硬金型素材の販売増加や電池金型用素材の拡販、レンズ金型の販売が堅調に推移したものの、超硬製工具類では、市況の変化等により超高圧発生用工具及び熱間圧延ロール、混錬工具の販売が低調となり、超硬製金型類では、世界的な自動車需要の落ち込みに伴う自動車関連の市況悪化の影響を受け低調となり、想定していた販売計画を下回りました。
超硬以外の製品につきましても引抜鋼管の販売不振に加え、鋼製やセラミックス製の自動車部品生産用金型の販売が低調となり、連結売上高は14,247百万円(前連結会計年度比18.2%減、目標比25.0%減)となりました。
また、当社グループは中長期的な成長に向けて海外売上の拡大を目標としており、引き続き経済成長が見込まれるアジア地域を中心に積極的な販売活動を行う予定としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で海外においても十分な販売活動等が行えない状況が続きました。その結果、当連結会計年度の海外売上高は2,609百万円(前連結会計年度比2.3%減)、アジア地域への売上高は2,201百万円(前連結会計年度比7.0%減)となり、海外売上高及びアジア地域への売上高ともに減少いたしました。
当連結会計年度の営業利益は、冨士ダイスグループ全体で費用削減等に努めてまいりましたが、売上高の減少が大きく影響し、営業利益は96百万円(前連結会計年度比89.0%減、目標比92.9%減)となりました。
当連結会計年度の経常利益は、営業利益が対前連結会計年度、対目標ともに下回り、雇用調整助成金の計上があったものの300百万円(前連結会計年度比70.2%減、目標比79.0%減)となりました。これに伴い当社グループが重視する経営指標の一つであります売上高経常利益率は2.1%となり、当連結会計年度の目標であった7.5%を5.4ポイント下回りました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、災害保険金収入の計上があったものの468百万円(前連結会計年度比25.0%減、目標比54.9%減)となり、対前連結会計年度、対目標ともに下回る結果となりました。これに伴い、当社グループが重視する経営指標の一つでありますROE(自己資本当期純利益率)は2.5%となり、当連結会計年度の目標であった5.3%を2.8ポイント下回りました。
当連結会計年度におきましては、生産効率向上・製造原価低減の各種施策や不採算製品の見直し等を進め、収益力の強化に努めてまいりましたが、売上高が大きく減少したことにより、当社グループの重視する経営指標である売上高経常利益率、ROEともに目標を下回りました。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおり、今後につきましては厳しい環境となることが予想されるため、多岐にわたる業種に得意先を持つ当社グループの強みを生かし、受注・売上の確保に努めるとともに、引き続き改善活動、技術開発による生産効率向上やITを活用した業務効率向上による収益力の強化に努めてまいります。
なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えております。
当社グループは事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、また、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金についても調達することが可能と考えております。またコミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、手許流動性と必要に応じた資金調達枠の確保に努めております。
当社におけるコミットメントライン契約の状況につきましては、以下のとおりであります。
コミットメントライン契約 10億円(当連結会計年度末の借入実行残高はありません)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(a)仕掛品(完成粉末を除く)の評価
仕掛品(完成粉末を除く)の評価に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(b)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより行っております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っており、また中期経営計画の見積期間を超える期間の課税所得については、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率、予想昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等の様々な計算基礎があります。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定は加重平均期間アプローチによる方法により算出しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(d)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※6 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(8百万円)を計上いたしました。回収可能価額は正味売却価額により算定しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。