有価証券報告書-第70期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 15:33
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資の持ち直し等を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、米国の通商政策の影響や中東情勢の緊迫化、日中関係の緊張による資源輸出規制の動向等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
こうした状況の中、当社グループは2026年3月期の経営方針に「共創」を掲げ、高品質・低コスト・短納期・充実したサービスの向上に努めてまいりました。
また、2025年3月期から3ヵ年を対象期間とした「中期経営計画2026」を策定しており、初年度の2025年3月期は、基幹システムの刷新や生産工程の自動化等による効率改善を推進するとともに、当社のコア技術である粉末冶金技術と超高圧合成技術を掛け合わせ、貴金属フリーで省電力のグリーン水素発生装置向け触媒・電極(PME)を開発し、事業領域の拡大を図る第一歩を踏み出しました。更に海外事業では北米やインドの展示会に初出展するなど、市場開拓の足掛かりを築きました。
「中期経営計画2026」の2年目となる当連結会計年度においても、引き続き「変化に対応できる企業体質への転換」を目指し、以下の5つの施策に取り組んでおります。
1.経営基盤の強化
当社グループとしてのコーポレート・ガバナンスの機能をより一層高め、加速する外部環境の変化への対応力を強化するため、監査等委員会設置会社へ移行しました。また、社員と企業が共に成長しながら新たな価値を生み出し、全てのステークホルダーの期待に応えるために、グループ企業理念を見直し、新たなビジョンとその実現に向けた行動指針を策定し、グループ内での研修やワークショップ等の浸透施策を進めました。加えて、DXを活用した営業活動の見える化の推進、全社的なワークフローの導入によるデジタル化、業務効率化など、経営基盤の強化に向けた取り組みを進めました。
2.生産性向上・業務効率化
国内生産部門において、ロボットの導入を含む生産工程の自動化について継続的に取り組んでおり、生産工程における部品どりを自動で最適化するシステムの本格稼働や研磨加工における自動化ロボットの導入、自動床洗浄ロボットの全社展開などを進めました。
また生産性向上につきましては、生産工程や焼結条件の見直し、治工具の改良といった各種施策を実施し、需要が高まっているバインダーレス合金の生産量を短期間で倍増させました。
3.海外事業の飛躍
海外事業のメイン市場の一つである中国市場については、ローカル企業向けに光学機器関連の販売が拡大し、また半導体関連の素材販売も好調でグループの売上に貢献しました。タイ・インドネシアではメインとなる輸送機器が弱含む中、輸送機器以外の製品群の拡販の強化に努めました。また、子会社を展開している中国、タイ、インドネシアにて展示会に出展するなど拡販の推進に努めるとともに、休眠中の現地子会社再開に向けて活動をしているインドにおいても展示会に出展するなど、各種取り組みを推進しました。
4.脱炭素・循環型社会への貢献
鋼と同程度の比重で、かつ超硬合金と同等の耐摩耗性を実現し、地政学的リスクが懸念されるレアメタルの使用量を大幅に削減した新合金「サステロイSTN30」を開発、名古屋で行われた展示会に初出展し、多くのお問い合わせをいただきました。また、水素生成装置に組み込むことを目的として開発した触媒電極「PME」が、2025年“超”モノづくり部品大賞において「生活・社会課題ソリューション関連部品賞」を受賞いたしました。
5.新規事業の確立
中国政府による重要鉱物の輸出規制強化の影響を受け、超硬合金の主原料であるタングステンの対日供給が極めて不安定な状況となる中、原料調達リスクに対応するため、超硬耐摩耗工具・金型のリサイクル事業に関して、使用済みの超硬工具・金型の回収活動を本格的に開始いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は17,446百万円(前連結会計年度比5.1%増)となりました。製品区分ごとの売上高は以下のとおりです。
①超硬製工具類
高圧機器関連や冷間圧延関連の工具等の販売が好調に推移した結果、売上高は4,340百万円(前連結会計年度比3.7%増)となりました。
②超硬製金型類
昨年度に引き続き好調な製缶金型や電池関連金型に加え、モーターコア用金型の販売が好調に推移した結果、売上高は4,669百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。
③その他の超硬製品
昨年度好調だった半導体製造装置向けの需要は落ち着いたものの、超硬素材の販売が好調に推移した結果、売上高は4,897百万円(前連結会計年度比15.0%増)となりました。
④超硬以外の製品
混錬工具等の販売が低調に推移した結果、売上高は3,540百万円(前連結会計年度比8.9%減)となりました。
また利益につきましては、原材料価格の高騰、人財投資の拡充があったものの、好調な超硬素材の販売を始めとした売上高の増加、及び外注加工費や電力燃料費の減少により、営業利益は822百万円(前連結会計年度比68.5%増)となりました。一方、為替差益の増加はあったものの、助成金収入の減少及び自己株式取得に関する支払手数料により、経常利益は883百万円(前連結会計年度比46.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は573百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。
なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は15,070百万円(前連結会計年度末14,909百万円)となり、161百万円増加いたしました。これは主に、原材料及び貯蔵品が546百万円、売掛金が344百万円、仕掛品が158百万円増加したものの、有価証券が1,000百万円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は10,613百万円(前連結会計年度末10,694百万円)となり、80百万円減少いたしました。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が94百万円、投資有価証券が72百万円、有形固定資産のその他に含まれる建設仮勘定が64百万円増加したものの、建物及び構築物(純額)が302百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,885百万円(前連結会計年度末3,395百万円)となり、490百万円増加いたしました。これは主に、電子記録債務が1,388百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が927百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は1,353百万円(前連結会計年度末1,460百万円)となり、106百万円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が103百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、20,445百万円(前連結会計年度末20,748百万円)となり、302百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が573百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が795百万円減少、為替換算調整勘定が84百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ643百万円減少し、6,717百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益885百万円、減価償却費1,074百万円の計上、棚卸資産の増加による支出682百万円などにより1,159百万円の収入(前連結会計年度は1,800百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出829百万円、定期預金への預入による支出793百万円、定期預金の払戻による収入980百万円などにより723百万円の支出(前連結会計年度は849百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは436百万円の収入(前連結会計年度は951百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額794百万円、自己株式の取得による支出310百万円などにより1,126百万円の支出(前連結会計年度は659百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
耐摩耗工具関連事業12,808102.8

(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
2.金額は当期製品製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
耐摩耗工具関連事業17,869106.93,073115.9

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。
製品区分販売高(百万円)前年同期比(%)
超硬製工具類4,340103.7
超硬製金型類4,669109.4
その他の超硬製品4,897115.0
超硬以外の製品3,54091.1
合計17,446105.1

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,446百万円、営業利益は822百万円、経常利益は883百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は573百万円となりました。
当連結会計年度は自動車部品関連金型の回復に伴う需要増や新拠点である富士模具貿易(上海)有限公司東莞支店を足掛かりにした中国での販売拡大を見込み、売上高の目標を前連結会計年度比6.5%増の17,670百万円としておりました。
しかしながら超硬以外の製品群が混錬工具の売上高が低調に推移したこと等により減少し、当連結会計年度の売上高は目標比1.3%減の17,446百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、売上高の減少はあったものの、効率化による人件費・外注加工費の削減や経費節減等により営業利益は目標比37.1%増の822百万円となりました。
当連結会計年度の経常利益は、営業利益が対目標で上回ったことから目標比26.2%増の883百万円となり、また親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が対目標で上回ったことから目標比24.6%増の573百万円となりました。
こうしたことから当社グループが重視する経営指標である売上高経常利益率は5.1%(対目標比1.1ポイント増)、ROE(自己資本当期純利益率)は2.8%(対目標比0.6ポイント増)となりましたが、足元の環境としては中国政府による重要鉱物の輸出規制強化の影響を受け、超硬合金の主原料であるタングステンの対日供給が極めて不安定な状況となっており、先行き不透明感が強まっております。
当社グループは2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」の成長戦略である1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立に取り組んでおりますが、原料調達先の複線化や超硬リサイクル事業の推進、代替原材料の研究によるタングステンの安定確保やタングステン価格高騰に伴う価格改定の実施などの原料調達に関するリスク対応が今後の収益確保において重要な施策であると考えており、その取り組みも積極的に進めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えております。
当社グループは事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、また、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金についても調達することが可能と考えております。またコミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。
当社におけるコミットメントライン契約の状況につきましては、以下のとおりであります。
コミットメントライン契約 10億円(当連結会計年度末の借入実行残高はありません)
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)仕掛品(完成粉末を除く)の評価
仕掛品(完成粉末を除く)の評価に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(b)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(c)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率、予想昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等の様々な計算基礎があります。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定は加重平均期間アプローチによる方法により算出しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(d)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※8 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失は計上しておりません。回収可能価額は正味売却価額により算定しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

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