有価証券報告書-第15期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当行グループは、以下の経営理念の下、お客さまの声を明日への羅針盤とする「最も身近で信頼される銀行」を目指してまいります。
「信 頼」:法令等を遵守し、お客さまを始め、市場、株主、社員との信頼、社会への貢献を大切にします。
「変 革」:お客さまの声・環境の変化に応じ、経営・業務の変革に真摯に取り組んでいきます。
「効 率」:お客さま志向の商品・サービスを追求し、スピードと効率性の向上に努めます。
「専門性」:お客さまの期待に応えるサービスを目指し、不断に専門性の向上を図ります。
(2) 経営環境
当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による未曽有の悪化後、政府・中央銀行による大規模な景気支援策の下、経済活動の段階的再開により、持ち直しました。中国経済は、日米欧に先がけ4-6月期に大きく持ち直した後、順調な回復が続き、日米欧経済も7-9月期以降、総じて持ち直しに転じました。しかし、欧州(ユーロ圏)は感染再拡大、経済活動制限強化を受け10-12月期以降2四半期連続のマイナス成長、日本も緊急事態宣言発令を受け1-3月期はマイナス成長となりました。ワクチン普及時期や変異種の動向等、新型コロナウイルス収束には不確実な要素が多く、先行きの経済情勢は不透明感が残ります。
金融資本市場では、日米欧とも中央銀行が大規模かつ矢継ぎ早に流動性供給と信用支援を進めた結果、米国の10年債利回りは10月までは概ね0.7%程度で推移した後、11月以降、大統領選、議会選挙を経て、新政権による大型追加経済対策が成立し、3月にかけ1.7%台まで上昇しました。日本の10年債利回りも概ね0%をやや上回る水準で推移した後、0.1%台に上昇しました。また、前連結会計年度末に急拡大した海外のクレジットスプレッドも急速に縮小した後は、低位で推移しました。
外国為替市場では、米実質金利の低下に、ワクチン開発進展や米大統領選決着によるリスクオンムードも加わり、対ドルでは一時102円台まで円高が進行しましたが、1月以降、米金利上昇を受け110円台まで反転しました。対ユーロでは、欧州復興基金合意を契機に円安基調で推移しました。
日経平均株価は、景気の急激な悪化を織り込み、2020年4月初め時点では19,000円を下回っていましたが、政府・日本銀行による大規模な景気支援策の下、主要各国の経済活動再開に伴う景気回復期待や、高値更新を演じた米国株高も映し上昇基調に転じ、2021年に入ってからは米追加経済対策や欧米のワクチン接種進展を受けたグローバル経済の急回復期待により、2月に約30年半ぶりの30,000円台に回復した後、3月末にかけ概ね28,000円~30,000円のレンジで推移しました。
このように、低金利環境が長期化するとともに、新型コロナウイルスにおいては、ワクチンが開発され、また一部地域で接種が進んでいるものの、変異種の出現など、引き続き国際社会・世界経済にとって不確実性の高い環境になっており、国内外の有価証券による運用を主たる収益源とする当行グループにとって、厳しい経営環境が継続しております。
(3) 経営戦略、対処すべき課題等
当行グループは、2021年度から2025年度までを計画期間とする「中期経営計画」を策定いたしました。
前中期経営計画(2018年度から2020年度)では、「『やっぱり、ゆうちょ』と言われることを、もっと。」というスローガンの下、お客さま本位の良質な金融サービスの提供、地域への資金の循環等、運用の高度化・多様化及び経営管理態勢の強化に取り組み、目指す姿の実現に向けた基盤固めを着実に遂行しました。
一方、人口減少・超高齢化社会、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、コロナ禍を受けた新しい生活様式への変化、超低金利環境の長期化など、当行グループをとりまく事業環境は大きく変化しており、こうした環境変化への課題認識と当行グループの強み・経営資源を踏まえ新しい中期経営計画(2021年度から2025年度)を策定しました。
なお、新しい中期経営計画の計画期間は、収益基盤・事業基盤の抜本的な強化に必要な期間等を考慮し、5年に設定しております。
中期経営計画期間を「信頼を深め、金融革新に挑戦」する5年間と位置づけ、次の5つの重点戦略を通じて、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ強化を目指します。
<中期経営計画における主な取組み>
※ DXとは、Digital Transformationの略。データやデジタル技術を活用して、業務やビジネスモデルをより良いものに変革すること
<財務目標>中期経営計画期間の財務目標について、収益性指標として連結当期純利益(当行帰属分)・ROE(株主資本ベース)、効率性指標としてOHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注1)・営業経費(2020年度対比)、健全性指標として自己資本比率(国内基準)・CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)(注2)を設定しました。
当行グループは、この財務目標の下、約24,000の郵便局ネットワークを通じて全国のお客さまに良質な金融サービスを提供しながら、同時に収益性・効率性改善に向けた取組みにも着手してまいります。
(注) 1.Over Head Ratioの略。銀行業務の効率性を示す指標の一つで、一般的には、経費の業務粗利益に対する比率のこと。当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定。経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む)
2.その他有価証券評価益除くベース。2025年度目標はバーゼルⅢ完全実施ベース
(リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革)
○デジタルサービス戦略の展開
安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスを拡充するとともに、郵便局ネットワークを活用し、デジタルサービスの普及を進めます。また、顧客基盤を活用し、多様な事業者との連携により最適なサービスを提供する、オープンな「共創プラットフォーム」の構築にも努めてまいります。
具体的には、各種デジタルサービスの本人確認機能等のセキュリティの強化、「通帳アプリ」の機能拡充や「家計簿・家計相談アプリ」の構築、UI/UX(注3)の継続的な改善等に取り組んでまいります。
また、全国の郵便局ネットワークを活用することで、お客さまに最適なチャネルをご案内するとともに、デジタルサービスの身近なサポートも行ってまいります。
当行グループは、邦銀随一の顧客基盤を有するため、「通帳アプリ」を中心に、デジタル領域での顧客基盤の拡大に取り組み、多くのお客さまに安心、便利にご利用いただけるデジタルサービスの普及に努めてまいります。
(注) 3.ユーザー・インターフェース(User Interface)/ユーザー・エクスペリエンス(User Experience)の略
UIは「商品・サービスに係るユーザーの操作性や使い勝手」、UXは「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験価値」のこと
○資産形成サポートビジネスの推進
資産形成サポートビジネスについては、お客さま本位の業務運営の下、いつもの社員に相談できる「対面チャネル」と、かんたん・べんり・低コストの「デジタルチャネル」でお客さまに最適なサービスを提供してまいります。
対面チャネルにおいては、資産運用商品のラインアップを当行グループの顧客層に合った商品に整理するとともに、投資初心者のお客さまには主に積立投資を提案してまいります。また、オンライン相談機能の導入・拡大や、「資産運用コンサルタント」の育成等を進め、お客さまに一層寄り添ったライフプラン・コンサルティングを実施してまいります。
一方、デジタルチャネルにおいては、競争力のある料金水準の下、Webサイトやアプリでのサービスを拡充するなど、誰でも使いやすい資産運用プラットフォームの整備に努めてまいります。
○新規ビジネスの推進
お客さまの人生を長くサポートする新サービスや、利便性をより高める新サービスを展開してまいります。
具体的には、「口座貸越サービス(注4)」や「フラット35(注5)」の直接取扱を2021年5月から開始しております。また、「投資一任サービス(注6)」や「相続・信託サービス」についてもサービスの開始に向けて準備してまいります。
(注) 4.独立行政法人住宅金融支援機構の個人向け固定金利住宅ローン
5.口座残高を超える払戻し、自動払込み等、各種決済サービスを利用した取扱いの際に、不足額を自動的に融資するサービス
6.投資一任契約に基づき、投資運用業者がお客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービス
(デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上)
店舗においては、窓口タブレットを導入する等、定型的な取引のセルフ処理を可能とする仕組みを広げるとともに、デジタルチャネルの充実を図り、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化を進めてまいります。
貯金事務センターにおいては、AI-OCR(注7)・RPA(注8)の拡大や、BPMS(注9)の導入等、デジタル技術を組み合わせた総合的な業務の自動化を推進してまいります。
これらの取組みを通じ、直営店や貯金事務センター等の業務量を削減する一方、計画的なスキルアップにより強化分野に人員をシフトすることで、態勢の整備と生産性の向上を図ってまいります。
また、戦略的なIT投資等、重点分野への投資を強化しつつ、既定経費の削減により、経営の効率性の改善を目指してまいります。
(注) 7.AIを活用し、非定型帳票や手書き文字等の認識率を向上したOCR
8.Robotics Process Automation の略。今まで人間がマウスやキーボードで操作していた、端末操作等を自動化すること等によって、作業時間の短縮や品質向上を図る技術
9.Business Process Management Systemの略。RPAを自動で起動し、人による確認作業等を要求するなど、業務フローをシステム的に制御し、自動的に工程管理を行うシステム
(多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化)
お客さまからお預かりした大切な資金を、地域へと循環するために、多様な枠組みを通じた資金供給により、地域活性化への貢献に努めてまいります。特に、子会社の「JPインベストメント株式会社」のほか、「株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)」や「地域活性化ファンド」等を通じた資金供給により、地域のエクイティ性資金(リスクマネー)のニーズに応えてまいります。
また、地域金融機関と連携し、「地域の金融プラットフォーム」の中核として、当行グループのATMネットワークの活用や事務の共同化など各地域の実情に応じた金融ニーズにも応えていきます。
このような地域経済活性化に向けた取組みについては、地方公共団体・地域金融機関との連携を一層強化しながら推進するため、2021年4月に「地域リレーション部門」を新設いたしました。
(ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化)
○国際分散投資の推進
低金利が継続する厳しい経営環境の中、「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)(注10)」に基づき、取得するリスクの種類や水準を明確にした上で、リスク対比リターンを意識しつつ、収益性の向上を目指して国際分散投資を拡充してまいります。
具体的には、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を積み上げてまいります。また、リスク性資産のうち、戦略投資領域については、選別的に投資を進め、残高の拡大を目指してまいります。
また、ストレス事象発生に備え、ストレス耐性のあるポートフォリオ構築を進めるとともに、ストレステストの高度化やモニタリングの強化等、リスク管理の深化に一層努めてまいります。
(注) 10.リスクアペタイト(自社のビジネスモデルの個別性を踏まえた上で、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量)を、資本配分や収益最大化を含むリスクテイク方針全般に関する銀行内の共通言語として用いる経営管理の枠組み
(一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化)
全社員で「お客さま本位の業務運営」を実現し、一層信頼される企業となるため、次の社内改革に努めてまいります。
○組織風土改革
「サービス向上委員会」を中心に、社員一人ひとりが、日々の活動の中でお客さま本位の業務運営を実践していくために、継続的に組織風土改革に取り組みます。具体的には、経営理念の社内浸透に加えて、お客さま本位の考え方を組織や社員の評価体系等に一層反映してまいります。
○内部管理態勢の強化
変化の激しい社会・経済環境の中、リスク感度を向上し、変化に対して迅速・柔軟に対応しながら外部との連携も含め、各種管理態勢を強化します。
具体的には、「1線(営業部門、事務部門)」の自律的管理の強化、1線に対する「2線(管理部門)」・「3線(監査部門)」の社内横断的な牽制態勢の強化などリスクマネジメント態勢の強化に取り組みます。あわせて高度なセキュリティ対策の実行と新たなリスクに備えたITガバナンスとセキュリティ検証態勢の強化等、「安心・安全の確保」に努めてまいります。
また、コンプライアンス態勢については、日本郵便株式会社と連携し部内犯罪等の防止を図り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の高度化については、モニタリングの高度化や新システムの構築等に引き続き取り組んでまいります。
(ESG経営の推進)
中期経営計画においては、当行グループの企業価値向上と社会的課題解決の両立に向けた基本方針の一つとして、「ESG経営」を位置づけております。
ESG経営の推進にあたり、当行グループが優先的に取り組むべき課題として、「日本全国あまねく誰にでも、安心・安全な金融サービスを提供」「地域経済発展への貢献」「環境の負荷低減」「働き方改革、ガバナンス高度化の推進」の4つの重点課題を特定しております。各重点課題を、経営戦略と具体的取組みに結び付け、KPIを設定した上でESG経営を推進してまいります。
このうち「環境の負荷低減」については、CO2排出量を2030年度までに2019年度対比46%削減し、ESGテーマ型投資残高を2025年度末に2兆円程度へ拡大するKPIを設定しております。
(日本郵政グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について)
2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、日本郵政グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。日本郵政グループとしてはお客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して日本郵政グループの商品・サービスをご利用いただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、日本郵政グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。
その決意を幅広く公表するために、日本郵政グループとして、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を2020年9月に策定いたしました。
当行は日本郵政グループの一員として、一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼を回復できるよう、引き続き、一丸となって取り組んでまいります。
お客さまの信頼回復に向けた約束
「目指す姿の約束」
一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。
「活動の約束」
〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
(かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について)
日本郵便株式会社において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められた株式会社かんぽ生命保険の保険商品と当行グループの投資信託の横断的な販売への対応について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵政グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。今後も、お客さま対応が必要なものについては適切に対応してまいります。
(1) 経営方針
当行グループは、以下の経営理念の下、お客さまの声を明日への羅針盤とする「最も身近で信頼される銀行」を目指してまいります。
「信 頼」:法令等を遵守し、お客さまを始め、市場、株主、社員との信頼、社会への貢献を大切にします。
「変 革」:お客さまの声・環境の変化に応じ、経営・業務の変革に真摯に取り組んでいきます。
「効 率」:お客さま志向の商品・サービスを追求し、スピードと効率性の向上に努めます。
「専門性」:お客さまの期待に応えるサービスを目指し、不断に専門性の向上を図ります。
(2) 経営環境
当連結会計年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大による未曽有の悪化後、政府・中央銀行による大規模な景気支援策の下、経済活動の段階的再開により、持ち直しました。中国経済は、日米欧に先がけ4-6月期に大きく持ち直した後、順調な回復が続き、日米欧経済も7-9月期以降、総じて持ち直しに転じました。しかし、欧州(ユーロ圏)は感染再拡大、経済活動制限強化を受け10-12月期以降2四半期連続のマイナス成長、日本も緊急事態宣言発令を受け1-3月期はマイナス成長となりました。ワクチン普及時期や変異種の動向等、新型コロナウイルス収束には不確実な要素が多く、先行きの経済情勢は不透明感が残ります。
金融資本市場では、日米欧とも中央銀行が大規模かつ矢継ぎ早に流動性供給と信用支援を進めた結果、米国の10年債利回りは10月までは概ね0.7%程度で推移した後、11月以降、大統領選、議会選挙を経て、新政権による大型追加経済対策が成立し、3月にかけ1.7%台まで上昇しました。日本の10年債利回りも概ね0%をやや上回る水準で推移した後、0.1%台に上昇しました。また、前連結会計年度末に急拡大した海外のクレジットスプレッドも急速に縮小した後は、低位で推移しました。
外国為替市場では、米実質金利の低下に、ワクチン開発進展や米大統領選決着によるリスクオンムードも加わり、対ドルでは一時102円台まで円高が進行しましたが、1月以降、米金利上昇を受け110円台まで反転しました。対ユーロでは、欧州復興基金合意を契機に円安基調で推移しました。
日経平均株価は、景気の急激な悪化を織り込み、2020年4月初め時点では19,000円を下回っていましたが、政府・日本銀行による大規模な景気支援策の下、主要各国の経済活動再開に伴う景気回復期待や、高値更新を演じた米国株高も映し上昇基調に転じ、2021年に入ってからは米追加経済対策や欧米のワクチン接種進展を受けたグローバル経済の急回復期待により、2月に約30年半ぶりの30,000円台に回復した後、3月末にかけ概ね28,000円~30,000円のレンジで推移しました。
このように、低金利環境が長期化するとともに、新型コロナウイルスにおいては、ワクチンが開発され、また一部地域で接種が進んでいるものの、変異種の出現など、引き続き国際社会・世界経済にとって不確実性の高い環境になっており、国内外の有価証券による運用を主たる収益源とする当行グループにとって、厳しい経営環境が継続しております。
(3) 経営戦略、対処すべき課題等
当行グループは、2021年度から2025年度までを計画期間とする「中期経営計画」を策定いたしました。
前中期経営計画(2018年度から2020年度)では、「『やっぱり、ゆうちょ』と言われることを、もっと。」というスローガンの下、お客さま本位の良質な金融サービスの提供、地域への資金の循環等、運用の高度化・多様化及び経営管理態勢の強化に取り組み、目指す姿の実現に向けた基盤固めを着実に遂行しました。
一方、人口減少・超高齢化社会、地域経済の縮小、デジタル革命の進展、コロナ禍を受けた新しい生活様式への変化、超低金利環境の長期化など、当行グループをとりまく事業環境は大きく変化しており、こうした環境変化への課題認識と当行グループの強み・経営資源を踏まえ新しい中期経営計画(2021年度から2025年度)を策定しました。
なお、新しい中期経営計画の計画期間は、収益基盤・事業基盤の抜本的な強化に必要な期間等を考慮し、5年に設定しております。
中期経営計画期間を「信頼を深め、金融革新に挑戦」する5年間と位置づけ、次の5つの重点戦略を通じて、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ強化を目指します。
<中期経営計画における主な取組み>

※ DXとは、Digital Transformationの略。データやデジタル技術を活用して、業務やビジネスモデルをより良いものに変革すること
<財務目標>中期経営計画期間の財務目標について、収益性指標として連結当期純利益(当行帰属分)・ROE(株主資本ベース)、効率性指標としてOHR(金銭の信託運用損益等を含むベース)(注1)・営業経費(2020年度対比)、健全性指標として自己資本比率(国内基準)・CET1(普通株式等Tier1)比率(国際統一基準)(注2)を設定しました。
当行グループは、この財務目標の下、約24,000の郵便局ネットワークを通じて全国のお客さまに良質な金融サービスを提供しながら、同時に収益性・効率性改善に向けた取組みにも着手してまいります。
(注) 1.Over Head Ratioの略。銀行業務の効率性を示す指標の一つで、一般的には、経費の業務粗利益に対する比率のこと。当行は相応の規模で金銭の信託を活用した有価証券等運用を行っていることを踏まえ、金銭の信託に係る運用損益も分母に含めたOHRを指標として設定。経費÷(資金収支等+役務取引等利益)で算出。資金収支等とは、資金運用に係る収益から資金調達に係る費用を除いたもの(売却損益等を含む)
2.その他有価証券評価益除くベース。2025年度目標はバーゼルⅢ完全実施ベース
(リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革)
○デジタルサービス戦略の展開
安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスを拡充するとともに、郵便局ネットワークを活用し、デジタルサービスの普及を進めます。また、顧客基盤を活用し、多様な事業者との連携により最適なサービスを提供する、オープンな「共創プラットフォーム」の構築にも努めてまいります。
具体的には、各種デジタルサービスの本人確認機能等のセキュリティの強化、「通帳アプリ」の機能拡充や「家計簿・家計相談アプリ」の構築、UI/UX(注3)の継続的な改善等に取り組んでまいります。
また、全国の郵便局ネットワークを活用することで、お客さまに最適なチャネルをご案内するとともに、デジタルサービスの身近なサポートも行ってまいります。
当行グループは、邦銀随一の顧客基盤を有するため、「通帳アプリ」を中心に、デジタル領域での顧客基盤の拡大に取り組み、多くのお客さまに安心、便利にご利用いただけるデジタルサービスの普及に努めてまいります。
(注) 3.ユーザー・インターフェース(User Interface)/ユーザー・エクスペリエンス(User Experience)の略
UIは「商品・サービスに係るユーザーの操作性や使い勝手」、UXは「ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験価値」のこと
○資産形成サポートビジネスの推進
資産形成サポートビジネスについては、お客さま本位の業務運営の下、いつもの社員に相談できる「対面チャネル」と、かんたん・べんり・低コストの「デジタルチャネル」でお客さまに最適なサービスを提供してまいります。
対面チャネルにおいては、資産運用商品のラインアップを当行グループの顧客層に合った商品に整理するとともに、投資初心者のお客さまには主に積立投資を提案してまいります。また、オンライン相談機能の導入・拡大や、「資産運用コンサルタント」の育成等を進め、お客さまに一層寄り添ったライフプラン・コンサルティングを実施してまいります。
一方、デジタルチャネルにおいては、競争力のある料金水準の下、Webサイトやアプリでのサービスを拡充するなど、誰でも使いやすい資産運用プラットフォームの整備に努めてまいります。
○新規ビジネスの推進
お客さまの人生を長くサポートする新サービスや、利便性をより高める新サービスを展開してまいります。
具体的には、「口座貸越サービス(注4)」や「フラット35(注5)」の直接取扱を2021年5月から開始しております。また、「投資一任サービス(注6)」や「相続・信託サービス」についてもサービスの開始に向けて準備してまいります。
(注) 4.独立行政法人住宅金融支援機構の個人向け固定金利住宅ローン
5.口座残高を超える払戻し、自動払込み等、各種決済サービスを利用した取扱いの際に、不足額を自動的に融資するサービス
6.投資一任契約に基づき、投資運用業者がお客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービス
(デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上)
店舗においては、窓口タブレットを導入する等、定型的な取引のセルフ処理を可能とする仕組みを広げるとともに、デジタルチャネルの充実を図り、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化を進めてまいります。
貯金事務センターにおいては、AI-OCR(注7)・RPA(注8)の拡大や、BPMS(注9)の導入等、デジタル技術を組み合わせた総合的な業務の自動化を推進してまいります。
これらの取組みを通じ、直営店や貯金事務センター等の業務量を削減する一方、計画的なスキルアップにより強化分野に人員をシフトすることで、態勢の整備と生産性の向上を図ってまいります。
また、戦略的なIT投資等、重点分野への投資を強化しつつ、既定経費の削減により、経営の効率性の改善を目指してまいります。
(注) 7.AIを活用し、非定型帳票や手書き文字等の認識率を向上したOCR
8.Robotics Process Automation の略。今まで人間がマウスやキーボードで操作していた、端末操作等を自動化すること等によって、作業時間の短縮や品質向上を図る技術
9.Business Process Management Systemの略。RPAを自動で起動し、人による確認作業等を要求するなど、業務フローをシステム的に制御し、自動的に工程管理を行うシステム
(多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化)
お客さまからお預かりした大切な資金を、地域へと循環するために、多様な枠組みを通じた資金供給により、地域活性化への貢献に努めてまいります。特に、子会社の「JPインベストメント株式会社」のほか、「株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)」や「地域活性化ファンド」等を通じた資金供給により、地域のエクイティ性資金(リスクマネー)のニーズに応えてまいります。
また、地域金融機関と連携し、「地域の金融プラットフォーム」の中核として、当行グループのATMネットワークの活用や事務の共同化など各地域の実情に応じた金融ニーズにも応えていきます。
このような地域経済活性化に向けた取組みについては、地方公共団体・地域金融機関との連携を一層強化しながら推進するため、2021年4月に「地域リレーション部門」を新設いたしました。
(ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化)
○国際分散投資の推進
低金利が継続する厳しい経営環境の中、「リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)(注10)」に基づき、取得するリスクの種類や水準を明確にした上で、リスク対比リターンを意識しつつ、収益性の向上を目指して国際分散投資を拡充してまいります。
具体的には、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を積み上げてまいります。また、リスク性資産のうち、戦略投資領域については、選別的に投資を進め、残高の拡大を目指してまいります。
また、ストレス事象発生に備え、ストレス耐性のあるポートフォリオ構築を進めるとともに、ストレステストの高度化やモニタリングの強化等、リスク管理の深化に一層努めてまいります。
(注) 10.リスクアペタイト(自社のビジネスモデルの個別性を踏まえた上で、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量)を、資本配分や収益最大化を含むリスクテイク方針全般に関する銀行内の共通言語として用いる経営管理の枠組み
(一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化)
全社員で「お客さま本位の業務運営」を実現し、一層信頼される企業となるため、次の社内改革に努めてまいります。
○組織風土改革
「サービス向上委員会」を中心に、社員一人ひとりが、日々の活動の中でお客さま本位の業務運営を実践していくために、継続的に組織風土改革に取り組みます。具体的には、経営理念の社内浸透に加えて、お客さま本位の考え方を組織や社員の評価体系等に一層反映してまいります。
○内部管理態勢の強化
変化の激しい社会・経済環境の中、リスク感度を向上し、変化に対して迅速・柔軟に対応しながら外部との連携も含め、各種管理態勢を強化します。
具体的には、「1線(営業部門、事務部門)」の自律的管理の強化、1線に対する「2線(管理部門)」・「3線(監査部門)」の社内横断的な牽制態勢の強化などリスクマネジメント態勢の強化に取り組みます。あわせて高度なセキュリティ対策の実行と新たなリスクに備えたITガバナンスとセキュリティ検証態勢の強化等、「安心・安全の確保」に努めてまいります。
また、コンプライアンス態勢については、日本郵便株式会社と連携し部内犯罪等の防止を図り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の高度化については、モニタリングの高度化や新システムの構築等に引き続き取り組んでまいります。
(ESG経営の推進)
中期経営計画においては、当行グループの企業価値向上と社会的課題解決の両立に向けた基本方針の一つとして、「ESG経営」を位置づけております。
ESG経営の推進にあたり、当行グループが優先的に取り組むべき課題として、「日本全国あまねく誰にでも、安心・安全な金融サービスを提供」「地域経済発展への貢献」「環境の負荷低減」「働き方改革、ガバナンス高度化の推進」の4つの重点課題を特定しております。各重点課題を、経営戦略と具体的取組みに結び付け、KPIを設定した上でESG経営を推進してまいります。
このうち「環境の負荷低減」については、CO2排出量を2030年度までに2019年度対比46%削減し、ESGテーマ型投資残高を2025年度末に2兆円程度へ拡大するKPIを設定しております。
(日本郵政グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について)
2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、日本郵政グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。日本郵政グループとしてはお客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して日本郵政グループの商品・サービスをご利用いただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、日本郵政グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。
その決意を幅広く公表するために、日本郵政グループとして、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を2020年9月に策定いたしました。
当行は日本郵政グループの一員として、一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼を回復できるよう、引き続き、一丸となって取り組んでまいります。
お客さまの信頼回復に向けた約束
「目指す姿の約束」
一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。
「活動の約束」
〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
(かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について)
日本郵便株式会社において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められた株式会社かんぽ生命保険の保険商品と当行グループの投資信託の横断的な販売への対応について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵政グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。今後も、お客さま対応が必要なものについては適切に対応してまいります。