有価証券報告書-第48期(2024/01/01-2024/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や入国制限等の解除を背景に社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善など、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済活動の停滞など、海外景気の下振れが懸念される状況となっております。また、アメリカの今後の政策動向や中東地域をめぐる情勢等の影響を注視する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。
体外診断用医薬品業界におきましては、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、その後4年以上にわたり新たな変異株による感染拡大を繰り返すなか、感染拡大防止を目的とした遺伝子検査や抗原検査等の検査需要が急激に高まりました。一方、インフルエンザをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症対策の効果の波及や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けました。
重症化リスクが低減しているといわれるオミクロン変異株が主流となるに従い、行動制限が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行されました。この大きな社会環境の変化に伴い、過去4年程の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかった様々な既存の感染症は、反動的な急拡大を伴いながらコロナ禍前の状況に戻りつつあります。新型コロナウイルス感染症につきましても、足元では患者報告数は増加傾向が継続しており再拡大も懸念されるなど、感染症全般にわたり今後の動向を注視する必要があります。
このようななか、当社は、新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検査キット及び抗原キット)をはじめ、流行が急拡大したインフルエンザ検査薬や様々なその他感染症項目の検査薬の増産に取り組み、安定供給の維持に尽力いたしました。他方では、2024年4月に新型コロナウイルス抗原及びRSウイルス抗原を同時に検出する「クイックチェイサー SARS-CoV-2/RSV」を発売するなど、クイックチェイサーシリーズの検査項目の拡充を図りました。また、遺伝子POCT検査機器試薬システムにつきましては、スマートジーンシリーズの新たな検査項目の開発に注力するとともに、次世代の遺伝子POCT検査装置として、測定時間のさらなる迅速化や遺伝子マルチ検査システムの開発にも取り組んでおります。
このような環境下におきまして、当事業年度の売上高は、114億29百万円(前期比4.0%増)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月以降、感染症法上の位置づけが5類に移行した影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約32万テスト(前期は66万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザとの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約708万テスト(前期は445万テスト)と大幅な増加となり、遺伝子検査キットの減収分を補いました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、68億81百万円(前期比9.7%減)となりました。
インフルエンザ検査薬につきましては、2024/2025シーズンのインフルエンザの流行は、12月には警報レベルを超えるなど異例の速さで感染が急拡大しました。しかし、同時に新型コロナウイルス感染症も増加傾向に転じたことから新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検出キットの需要が急増したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高としては、9億77百万円(前期比3.0%増)と微増にとどまりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が増加傾向を示し、マイコプラズマをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、肺炎球菌/レジオネラ及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、多くの項目において前期比で増収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、31億87百万円(前期比54.0%増)と大幅な増加になりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、110億46百万円(前期比3.9%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ一掃され、OTC・その他分野全体の売上高は、3億82百万円(前期比8.5%増)となりました。
利益面につきましては、主に新型コロナウイルス遺伝子検査キットの減収に伴う売上構成比の変化により、売上原価率が上昇したことに加え、研究開発費及び人件費の増加により、営業利益は49億17百万円(前期比4.6%減)となりました。なお、外国為替相場の急激な変動に伴い、為替差益1億67百万円を営業外収益に計上しております。これは主に当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで換算したことにより発生したものであります。これらの結果、経常利益は51億67百万円(前期比2.4%減)、当期純利益は37億73百万円(前期比0.0%減)となりました。
当事業年度末の財政状態につきましては、以下のとおりであります。
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ17億81百万円増加し、207億29百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億11百万円及び棚卸資産の増加4億51百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し、33億75百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少93百万円があったものの、役員退職慰労引当金の増加84百万円及び未払消費税等の増加67百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ16億78百万円増加し、173億54百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加16億78百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ9億48百万円増加し、96億64百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動により増加した資金は、33億48百万円(前期は39億91百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払15億26百万円、棚卸資産の増加4億51百万円、為替差損益1億65百万円及び売上債権の増加1億44百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前当期純利益51億67百万円及び減価償却費2億28百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動により減少した資金は、3億7百万円(前期は2億70百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻30億40百万円によるキャッシュ・フローの増加があったものの、定期預金の預入30億40百万円及び有形固定資産の取得2億99百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動により減少した資金は、20億94百万円(前期は23億81百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払20億94百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については市場分野別に記載しております。
イ.生産実績
当事業年度の生産実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
ロ.受注状況
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、114億29百万円(前期比4.0%増)となりました。市場分野別の売上高の状況の認識及び分析等は以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月以降、感染症法上の位置づけが5類に移行した影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約32万テスト(前期は66万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザとの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約708万テスト(前期は445万テスト)と大幅な増加となり、遺伝子検査キットの減収分を補いました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、68億81百万円(前期比9.7%減)となりました。
インフルエンザ検査薬につきましては、2024/2025シーズンのインフルエンザの流行は、12月には警報レベルを超えるなど異例の速さで感染が急拡大しました。しかし、同時に新型コロナウイルス感染症も増加傾向に転じたことから新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検出キットの需要が急増したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高としては、9億77百万円(前期比3.0%増)と微増にとどまりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が増加傾向を示し、マイコプラズマをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、肺炎球菌/レジオネラ及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、多くの項目において前期比で増収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、31億87百万円(前期比54.0%増)と大幅な増加になりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、110億46百万円(前期比3.9%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ一掃され、OTC・その他分野全体の売上高は、3億82百万円(前期比8.5%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、33億45百万円(前期比14.8%増)、売上原価率は29.3%(前期から2.7ポイント上昇)となりました。これは主に、売上構成比が変化したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、31億66百万円(前期比8.4%増)となりました。これは主に、遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加や人件費の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ2億34百万円減少して49億17百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前事業年度に比べ1億9百万円増加して2億50百万円となりました。これは主に、外国為替相場の急激な変動のなか、当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで評価替えしたことにより発生した為替差益1億67百万円並びに受取利息及び配当金の増加によるものであります。
営業外費用の計上はありませんでした。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ1億24百万円減少して51億67百万円となりました。また、売上高経常利益率は45.2%となり、前事業年度に比べ2.9ポイント低下し、収益性は低下しております。
(特別利益、特別損失)
特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ0百万円減少して37億73百万円となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は著しく低い水準に抑えられ、2020年よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しました。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査や抗原検査の需要が急激に高まるなか、2020年より遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の発売を開始し、これに続き発売を開始した各種抗原キットの売上高が大幅に増加したことから、新型コロナウイルス検査薬への依存度が急激に高まる結果となりました。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化はさらに加速し、それまで抑えられていた様々な既存の感染症が同時多発的に流行しました。同年、インフルエンザは異例の夏場の流行後も流行拡大が継続し、2024年前半はB型の流行も長引きました。また、12月には異例の速さで流行拡大し患者数は過去10年最多を記録するなど、新型コロナウイルスとの同時流行を背景に、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検査キットの需要が急増する結果となりました。
今後につきましては、新型コロナウイルス検査薬は、感染拡大の動向や医療・検査体制の変化などによって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。また、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の時期や規模によって、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの同時検査キットあるいは各単独検査キットの需要が大きく変動する可能性があり、これらの状況の変化に伴い特定製品への依存度が変化する可能性があります。
当事業年度(2024年12月期)の各四半期会計期間の売上高の内訳及び直近5事業年度の売上高の内訳は、以下のとおりであります。
ロ.財政状態の分析
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ17億81百万円増加し、207億29百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億11百万円及び棚卸資産の増加4億51百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し、33億75百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少93百万円があったものの、役員退職慰労引当金の増加84百万円及び未払消費税等の増加67百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ16億78百万円増加し、173億54百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加16億78百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資金需要につきまして、運転資金として主なものは、原材料購入等の製造費用、商品の仕入のほか、研究開発費や人件費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金として主なものは、製造または研究開発のための設備の新設または更新であります。
運転資金及び設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、手元資金、回収期間及びリスク等を勘案したうえで、必要に応じて金融機関からの短期借入または長期借入による調達を行う方針であります。また、機動的かつ安定的に資金の調達が行えるよう、取引銀行と当座貸越契約(総額16億円)を締結しており、緊急の資金需要や不測の事態にも備えております。
株主の皆様への利益還元につきましては、当社は、業績に対応した配当を行うことを基本としつつ、配当性向、企業体質の一層の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定する方針を採っております。この方針に基づき、配当性向50%を目標として配当を実施するよう努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や会社の状況・経営環境等に応じ、合理的だと想定される様々な仮定に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、将来の不確実性により、最善の見積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、該当事項はありません。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や入国制限等の解除を背景に社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善など、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済活動の停滞など、海外景気の下振れが懸念される状況となっております。また、アメリカの今後の政策動向や中東地域をめぐる情勢等の影響を注視する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。
体外診断用医薬品業界におきましては、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、その後4年以上にわたり新たな変異株による感染拡大を繰り返すなか、感染拡大防止を目的とした遺伝子検査や抗原検査等の検査需要が急激に高まりました。一方、インフルエンザをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症対策の効果の波及や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けました。
重症化リスクが低減しているといわれるオミクロン変異株が主流となるに従い、行動制限が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行されました。この大きな社会環境の変化に伴い、過去4年程の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかった様々な既存の感染症は、反動的な急拡大を伴いながらコロナ禍前の状況に戻りつつあります。新型コロナウイルス感染症につきましても、足元では患者報告数は増加傾向が継続しており再拡大も懸念されるなど、感染症全般にわたり今後の動向を注視する必要があります。
このようななか、当社は、新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検査キット及び抗原キット)をはじめ、流行が急拡大したインフルエンザ検査薬や様々なその他感染症項目の検査薬の増産に取り組み、安定供給の維持に尽力いたしました。他方では、2024年4月に新型コロナウイルス抗原及びRSウイルス抗原を同時に検出する「クイックチェイサー SARS-CoV-2/RSV」を発売するなど、クイックチェイサーシリーズの検査項目の拡充を図りました。また、遺伝子POCT検査機器試薬システムにつきましては、スマートジーンシリーズの新たな検査項目の開発に注力するとともに、次世代の遺伝子POCT検査装置として、測定時間のさらなる迅速化や遺伝子マルチ検査システムの開発にも取り組んでおります。
このような環境下におきまして、当事業年度の売上高は、114億29百万円(前期比4.0%増)となりました。
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。
| (単位:百万円、%) | |||||
| 市場分野の名称 | 2024年12月期 | 2023年12月期 | |||
| 対売上高 構成比 | 対前期 増減率 | 対売上高 構成比 | |||
| 病院・開業医分野 | 11,046 | 96.7 | 3.9 | 10,636 | 96.8 |
| OTC・その他分野 | 382 | 3.3 | 8.5 | 352 | 3.2 |
| 合計 | 11,429 | 100.0 | 4.0 | 10,989 | 100.0 |
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月以降、感染症法上の位置づけが5類に移行した影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約32万テスト(前期は66万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザとの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約708万テスト(前期は445万テスト)と大幅な増加となり、遺伝子検査キットの減収分を補いました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、68億81百万円(前期比9.7%減)となりました。
インフルエンザ検査薬につきましては、2024/2025シーズンのインフルエンザの流行は、12月には警報レベルを超えるなど異例の速さで感染が急拡大しました。しかし、同時に新型コロナウイルス感染症も増加傾向に転じたことから新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検出キットの需要が急増したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高としては、9億77百万円(前期比3.0%増)と微増にとどまりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が増加傾向を示し、マイコプラズマをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、肺炎球菌/レジオネラ及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、多くの項目において前期比で増収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、31億87百万円(前期比54.0%増)と大幅な増加になりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、110億46百万円(前期比3.9%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ一掃され、OTC・その他分野全体の売上高は、3億82百万円(前期比8.5%増)となりました。
利益面につきましては、主に新型コロナウイルス遺伝子検査キットの減収に伴う売上構成比の変化により、売上原価率が上昇したことに加え、研究開発費及び人件費の増加により、営業利益は49億17百万円(前期比4.6%減)となりました。なお、外国為替相場の急激な変動に伴い、為替差益1億67百万円を営業外収益に計上しております。これは主に当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで換算したことにより発生したものであります。これらの結果、経常利益は51億67百万円(前期比2.4%減)、当期純利益は37億73百万円(前期比0.0%減)となりました。
当事業年度末の財政状態につきましては、以下のとおりであります。
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ17億81百万円増加し、207億29百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億11百万円及び棚卸資産の増加4億51百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し、33億75百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少93百万円があったものの、役員退職慰労引当金の増加84百万円及び未払消費税等の増加67百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ16億78百万円増加し、173億54百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加16億78百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ9億48百万円増加し、96億64百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動により増加した資金は、33億48百万円(前期は39億91百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払15億26百万円、棚卸資産の増加4億51百万円、為替差損益1億65百万円及び売上債権の増加1億44百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前当期純利益51億67百万円及び減価償却費2億28百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動により減少した資金は、3億7百万円(前期は2億70百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻30億40百万円によるキャッシュ・フローの増加があったものの、定期預金の預入30億40百万円及び有形固定資産の取得2億99百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動により減少した資金は、20億94百万円(前期は23億81百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払20億94百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については市場分野別に記載しております。
イ.生産実績
当事業年度の生産実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
| 市場分野の名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 病院・開業医分野 | 11,754 | 100.3 |
| OTC・その他分野 | 446 | 115.8 |
| 合計 | 12,201 | 100.8 |
(注) 金額は販売価格によっております。
ロ.受注状況
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。
| 市場分野の名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 病院・開業医分野 | 11,046 | 103.9 |
| OTC・その他分野 | 382 | 108.5 |
| 合計 | 11,429 | 104.0 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| 株式会社メディセオ | 1,958 | 17.8 | 2,046 | 17.9 |
| 東邦薬品株式会社 | 1,495 | 13.6 | 1,682 | 14.7 |
| 株式会社スズケン | 1,226 | 11.2 | 1,175 | 10.3 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、114億29百万円(前期比4.0%増)となりました。市場分野別の売上高の状況の認識及び分析等は以下のとおりであります。
病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、2023年5月以降、感染症法上の位置づけが5類に移行した影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約32万テスト(前期は66万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザとの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約708万テスト(前期は445万テスト)と大幅な増加となり、遺伝子検査キットの減収分を補いました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、68億81百万円(前期比9.7%減)となりました。
インフルエンザ検査薬につきましては、2024/2025シーズンのインフルエンザの流行は、12月には警報レベルを超えるなど異例の速さで感染が急拡大しました。しかし、同時に新型コロナウイルス感染症も増加傾向に転じたことから新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検出キットの需要が急増したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高としては、9億77百万円(前期比3.0%増)と微増にとどまりました。
その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が増加傾向を示し、マイコプラズマをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、肺炎球菌/レジオネラ及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、多くの項目において前期比で増収となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、31億87百万円(前期比54.0%増)と大幅な増加になりました。
以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、110億46百万円(前期比3.9%増)となりました。
OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ一掃され、OTC・その他分野全体の売上高は、3億82百万円(前期比8.5%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、33億45百万円(前期比14.8%増)、売上原価率は29.3%(前期から2.7ポイント上昇)となりました。これは主に、売上構成比が変化したことによるものであります。
販売費及び一般管理費は、31億66百万円(前期比8.4%増)となりました。これは主に、遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加や人件費の増加によるものであります。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ2億34百万円減少して49億17百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
営業外収益は、前事業年度に比べ1億9百万円増加して2億50百万円となりました。これは主に、外国為替相場の急激な変動のなか、当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで評価替えしたことにより発生した為替差益1億67百万円並びに受取利息及び配当金の増加によるものであります。
営業外費用の計上はありませんでした。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ1億24百万円減少して51億67百万円となりました。また、売上高経常利益率は45.2%となり、前事業年度に比べ2.9ポイント低下し、収益性は低下しております。
(特別利益、特別損失)
特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ0百万円減少して37億73百万円となりました。
インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は著しく低い水準に抑えられ、2020年よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しました。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査や抗原検査の需要が急激に高まるなか、2020年より遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の発売を開始し、これに続き発売を開始した各種抗原キットの売上高が大幅に増加したことから、新型コロナウイルス検査薬への依存度が急激に高まる結果となりました。
2023年5月に新型コロナウイルス感染症は感染症法上の分類が5類へ移行され、社会経済活動の正常化はさらに加速し、それまで抑えられていた様々な既存の感染症が同時多発的に流行しました。同年、インフルエンザは異例の夏場の流行後も流行拡大が継続し、2024年前半はB型の流行も長引きました。また、12月には異例の速さで流行拡大し患者数は過去10年最多を記録するなど、新型コロナウイルスとの同時流行を背景に、新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検査キットの需要が急増する結果となりました。
今後につきましては、新型コロナウイルス検査薬は、感染拡大の動向や医療・検査体制の変化などによって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。また、新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の時期や規模によって、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの同時検査キットあるいは各単独検査キットの需要が大きく変動する可能性があり、これらの状況の変化に伴い特定製品への依存度が変化する可能性があります。
当事業年度(2024年12月期)の各四半期会計期間の売上高の内訳及び直近5事業年度の売上高の内訳は、以下のとおりであります。
| 2024年12月期の各四半期会計期間の売上高の内訳 | |||||
| (単位:百万円) | |||||
| 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 合計 | |
| 売上高 | 2,742 | 1,926 | 3,321 | 3,439 | 11,429 |
| 新型コロナウイルス検査薬 | 1,663 | 993 | 2,355 | 1,868 | 6,881 |
| (内 CoV/Flu同時検査薬) | (1,056) | (233) | (1,130) | (1,310) | (3,730) |
| インフルエンザ単独検査薬 | 356 | 101 | 104 | 414 | 977 |
| その他の検査薬及び機器 | 635 | 739 | 754 | 1,058 | 3,187 |
| OTC・その他 | 86 | 91 | 106 | 98 | 382 |
| 直近5事業年度の売上高の内訳 | |||||
| (単位:百万円) | |||||
| 2019年 12月期 | 2020年 12月期 | 2021年 12月期 | 2022年 12月期 | 2023年 12月期 | |
| 売上高 | 6,427 | 4,205 | 13,137 | 17,581 | 10,989 |
| 新型コロナウイルス検査薬 | ― | 1,270 | 9,794 | 15,179 | 7,617 |
| (内 CoV/Flu同時検査薬) | (―) | (―) | (34) | (2,206) | (3,324) |
| インフルエンザ単独検査薬 | 3,196 | 750 | 239 | 416 | 949 |
| その他の検査薬及び機器 | 2,792 | 1,773 | 2,689 | 1,640 | 2,070 |
| OTC・その他 | 438 | 411 | 414 | 345 | 352 |
ロ.財政状態の分析
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ17億81百万円増加し、207億29百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加11億11百万円及び棚卸資産の増加4億51百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し、33億75百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少93百万円があったものの、役員退職慰労引当金の増加84百万円及び未払消費税等の増加67百万円があったことによるものであります。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ16億78百万円増加し、173億54百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加16億78百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資金需要につきまして、運転資金として主なものは、原材料購入等の製造費用、商品の仕入のほか、研究開発費や人件費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金として主なものは、製造または研究開発のための設備の新設または更新であります。
運転資金及び設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、手元資金、回収期間及びリスク等を勘案したうえで、必要に応じて金融機関からの短期借入または長期借入による調達を行う方針であります。また、機動的かつ安定的に資金の調達が行えるよう、取引銀行と当座貸越契約(総額16億円)を締結しており、緊急の資金需要や不測の事態にも備えております。
株主の皆様への利益還元につきましては、当社は、業績に対応した配当を行うことを基本としつつ、配当性向、企業体質の一層の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定する方針を採っております。この方針に基づき、配当性向50%を目標として配当を実施するよう努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や会社の状況・経営環境等に応じ、合理的だと想定される様々な仮定に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、将来の不確実性により、最善の見積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、該当事項はありません。