有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 12:46
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営の基本方針として以下の事項を「経営理念」として掲げております。
『森六グループは、未来を先取りする創造力と優れた技術で高い価値を共創し、時を越えて、グローバル社会に貢献します。』
(法令遵守)国内外の法令を遵守し、公平で公正な企業活動を通じ、信頼される企業グループをめざします。
(人間尊重)社員一人ひとりが自主性、創造性を発揮し、一緒に働く仲間の人格や個性を尊重します。
(顧客満足)お客様に満足いただける、価値ある情報、質の高いサービス、優れた製品を提供します。
(社会貢献)地球環境に配慮し、地域に根ざした企業活動を通し、「良き企業市民」として社会に貢献します。
(進取の精神)時代を先取りし、継続的に企業価値向上に努めます。
(同心協力)チームワークを尊重し、理想を追求する企業グループをめざします。

(2)経営戦略等
2020年度は、生産現場や営業活動において新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限があり、当社グループの事業運営も一定の影響を受けました。そのような状況下、当社グループでは、従業員の健康と安全確保を最優先とし、事業環境変化による得意先の生産変動への迅速な対処が出来るよう、合理的な稼働体制の確保を行い、国内外全拠点において製品とサービスの安定した供給に努め、事業活動の継続に取り組んでおります。
当社グループの主な事業領域である自動車業界では、世界各国において脱炭素モビリティへの転換が打ち出され、環境影響に配慮した電気自動車、燃料電池車に関する技術革新へのスピードが加速しております。また、自動運転技術も加えた次世代自動車への新規参入企業はスマートカーやモビリティという大きな枠組みで自動車を捉えており、これまで完成車メーカーが担っていた製造領域は全体の一部となり、自動車部品製造は水平分業化が進む兆しが見られます。
変化する自動車部品の調達モデルに追随できる様、サプライチェーンの多様化による調達体制および国内外の生産体制の見直し、ならびに独自製品開発に繋がるオープンイノベーション投資を行い、新たなモビリティ業界に対応できる事業体質強化を進めます。
当社グループは、第12次中期経営計画『MI400(Moriroku Innovation 400)(2020年3月期~2022年3月期)』を推進しております。400年企業として勝ち残るために、新たな顧客の獲得による事業基盤強化、樹脂製品および素材の新技術開発推進、国内外の拠点拡充による事業構造変革、働きがいのある会社を目指した人材取り組み、環境負荷低減や事業活動を通じた社会貢献による持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。第12次中期経営計画の概要につきましては、以下のとおりであります。
a.スローガン
MOVING FORWARD WITH MI 400(Moriroku Innovation 400)
b.基本方針
環境変化を先取りし、新事業創造と変革に挑み続けることでグローバル市場で勝ち抜ける経営基盤を構築する
c.基本戦略
Ⅰ.経営基盤強化 : 上場企業としての企業価値の向上
Ⅱ.付加価値創造 : モビリティ革新への新技術の事業化
Ⅲ.事業構造変革 : 新スマート社会での新たな事業基盤の実現
d.重点的施策
・グローバル経営基盤の強化を図ることで変革の加速を実現
・地球環境変化への対応、豊かな暮らしつくりへの社会貢献の実行
・新成長事業育成への資源配分、ポートフォリオの最適化
・次世代モビリティへの技術・商品開発の挑戦(グループ横断での取組・外部パートナーとの提携)
・環境変化を先取りした新たな生産技術の確立
・グローカライズビジネスの拡大
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益に注視し、収益性判断の指標に営業利益率を掲げているほか、資本および資産の効率性判断の指標にROE(自己資本利益率)、財務の安定性判断の指標に自己資本比率を掲げております。また、第12次中期経営計画におきましては、最終年度である2022年3月期の目標値を営業利益率5.0%以上、ROE(自己資本利益率)9.0%以上、株主総還元性向30%以上に設定しております。
(4)経営環境
2021年度に入り、世界ならびに国内における新型コロナウイルス感染は続いていますが、各地域における感染防止策によって製造企業の経済活動は回復状況にあります。
自動車業界においては、半導体供給不足長期化による各社生産計画への影響が心配されますが、米国および中国の二大市場を主体に生産台数の増加が予想されます。また、脱炭素社会に向けた環境規制の強化により電気自動車需要の拡大が中国、欧州を主体に進んでおり、自動運転車を加えた次世代自動車に対する技術革新は業種の垣根、地域を越えてさらに広がりを見せております。モビリティ領域での新たな部品開発ニーズが期待されると同時に部品調達におけるサプライチェーンの多様化が進んでおります。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車業界、化学業界における需要や消費の前年度からの増加が予想され、同事業領域における生産および市況の強含みが見込まれます。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当面は、新型コロナウイルスの感染状況、半導体不足の影響による事業環境変化や得意先の生産変動への迅速な対処が出来るよう、合理的な稼働体制の確保を実施します。更に次世代自動車の安全性、快適性、環境性能の向上に繋がる技術、製品、材料開発をグループ横断で追求するとともに、グローバル市場で持続的な成長に向けた新たな市場獲得を行い、強固な経営基盤を構築してまいります。
一方、当社グループは、持続的に成長する企業集団を目指し、400年企業として勝ち残るために、第12次中期経営計画において全従業員の総力を結集して、以下の課題に重点的に取り組んでまいります。
・グローバル経営基盤の強化を図ることで変革の加速を実現
持続可能な社会に向けて、ダイバーシティの推進とESG経営を強化するとともに、グループ全体における最適な内部統制システムの整備・運用を通じて、より強固な経営基盤を構築してまいります。
・地球環境変化への対応、豊かな暮らしつくりへの社会貢献の実行
樹脂加工製品事業とケミカル事業を通じて、モビリティ、情報・通信・電子材料、生活・環境、ファインケミカル、メディカル・ヘルスケアの5つの分野に経営資源を集中して投入してまいります。
・新成長事業育成への資源配分、ポートフォリオの最適化
主とする5つの分野を事業ポートフォリオマネジメントで評価して、戦略を実行していきます。特に、最重要分野であるモビリティ事業については、高効率生産の実現と独自技術の開発を進め、事業規模および利益の拡大を目指していきます。
・次世代モビリティへの技術・商品開発の挑戦(グループ横断での取組・外部パートナーとの提携)
ケミカル事業の機能性樹脂素材開発と、樹脂加工製品事業の軽量化部品開発の技術を融合し、さらに外部パートナーとの連携も加え、高剛性で軽量な自動車用樹脂部品開発を展開するとともに、ボディ全体の樹脂化に挑戦してまいります。
・環境変化を先取りした新たな生産技術の確立
既存顧客との取引を強化しつつ、既存顧客以外の自動車メーカー、次世代自動車への新規参入企業との新たな取引を進めることでより安定した事業基盤を確立してまいります。
・グローカライズビジネスの拡大
さらなる成長が期待できる中国・アジアに新たな経営資源を投入し、樹脂加工製品事業においては工場の自動化と現地開発体制の強化、ケミカル事業においては新たな地域へ事業領域の拡大を進めてまいります。