有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/09/25 15:00
【資料】
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【項目】
106項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの経営方針でありますが、当社グループの強みである独自のアルゴリズムは、当社グループの成長の源泉であり、これをあらゆる形(たとえば、ライセンス提供、コンサルティングなど)でビジネスとして立ち上げてゆくことにより、持続的な成長を実現させるというものであり、その事業化の形は多様であると考えております。
(2)経営戦略等
当社グループの経営戦略は、当社グループの強味であるアルゴリズムを活用し得る企業体とのコラボレーションを図ることにより、新たな市場を創出するというものであります。これは、当社グループの人的、物的、財務的資源の足りない部分を他の企業体の資源で補うことにより、当社グループの潜在的な成長性を何倍にも引き上げるというものであり、例えば、ビッグデータを有するもののその解析に課題を抱えている企業体との協業などが想定されます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
先進的で高品質なサービスを安定的に提供してゆくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、営業利益を収益性の指標としております。
(4)経営環境
当社グループは、そのときどきの技術の発展がビッグデータを取り巻く領域(以下「ビッグデータ市場」)を規定するものと考えており、その発展段階に応じて、今後も進化し続けると考えております。
具体的には、1990年代から始まるインターネットの普及とデータのデジタル化の段階から、2000年代のヤフーやグーグルに代表される検索エンジン(注1)の普及の段階、そして、2010年代の情報通信技術(ICT)(注2)の進展の段階から現在は人工知能(AI)(注3)の拡大の段階におり、将来は、量子コンピュータ(注4)の段階へ進展することになるものと考えております。
このような認識のもと、当社グループを取り巻くいわゆるビッグデータ関連市場はまだまだこれから成長が期待される事業領域であると考えており、当社グループのアルゴリズム技術は人工知能(AI)が脚光を浴びている昨今、その取り巻く潜在市場も大きいと予想されます。加えて、特に知的財産分野は、平成15年3月にクールジャパン戦略の一環で、内閣府に知的財産戦略本部を設置されたことからも、国策的な位置づけであり、外部環境は非常に有望視されるものと思われます。一方、内部環境も、専門性の高い人材が採用され、成長するうえで欠かせない人的な基盤が確立されつつあり、これも有望視される所以であります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
①新規事業分野の開拓
当社グループの事業領域は、大量の文書解析のニーズがある分野すべてにわたっておりますが、現状、特に知的財産権の分野に集中しております。当社グループは、これをマーケティング分野、投資分野、医療分野、法曹分野などに展開していくことが可能であり、新規事業分野への開拓が重要と考えております。
②VALUENEXブランドの強化
予測分析のリーディングカンパニーとしての地位を築くことを目標としているなかで、VALUENEXという名称を社名としており、サービス名としても位置づけていきたいと考えており、このVALUENEXという名称をブランド化していきたいと考えております。そのための認知度を向上されることが不可欠であり、インターネットなどを有効に利活用しながら、定着を図る方針であります。
③人材の確保と育成
当社グループは、さらなる事業成長を目指しておりますが、そのなかで、最も重要な経営資源は人材であると考えております。そのために、新たな人材を採用する必要がありますが、現在、景気の向上も相まって、優秀な人材については、他社との競合となってきております。当社グループは、上場することにより、知名度を上げるとともに、安定的な財務基盤を確立することを通じ、優秀な人材を確保する方針であります。
④海外展開
当社グループは、当初より、市場規模が大きいと考えられることから、海外展開を見据えた営業活動を行っており、また、現在、スイス(ジュネーブ)に社員を派遣しており、情報収集を中心に活動を行っております。
最近では、海外イベントにおいて、当社の社長に対してプレゼンターの依頼がくるなど、少しずつ、当社の存在感が海外にも浸透してきていると考えており、海外展開をさらに積極的に推進していく方針であります。
⑤内部管理体制の強化
当社グループが、成長を遂げるに際して、無視しえないのが内部管理体制の問題です。従来より当社グループは監査役会の設置、独立取締役の選任、内部監査の強化などを通じて、コンプライアンス強化に努めておりますが、組織が大きくなるとともに、事業が拡大するにつれて、コンプライアンス遵守が甘くならないようにする必要があります。そのため、全従業員へのコンプライアンス・マニュアルの遵守の徹底などを図ってまいります。
用語解説
本項「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において使用しております用語の定義について以下に記します。
用語用語の定義
(注1)検索エンジンインターネットに存在する情報(ウェブページ、ウェブサイト、画像ファイル、ネットニュースなど)を検索する機能およびそのプログラム。
(注2)情報通信技術(ICT)Information and Communication Technology
コンピュータやインターネットに関連する情報通信技術のことであり、従来から使われている「IT(Information Technology)」に代わる言葉として使われております。
(注3)人工知能(AI)Artificial Intelligence
人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステム。具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをいいます。
(注4)量子コンピュータ量子力学の原理を情報処理に応用するコンピュータのこと。
スーパーコンピュータが数千年もかかって解く問題を、数秒で計算できるようになると期待されております。