有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/09/25 15:00
【資料】
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【項目】
106項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)巨大資本データベース事業会社による当社グループの解析技術市場への参入について
当社グループの解析技術は、独自の技術であり、他社による模倣は困難であると考えておりますが、巨大資本データベース事業会社が当社グループの解析技術市場に参入しない保証はなく、参入があった場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(2)システム障害について
当社グループは、TechRadar®とDocRadar®のASPサービスを展開しておりますが、天災、サイバー攻撃、事故などに起因した通信ネットワークの切断により、システム障害が発生する可能性があります。
当社グループではデータのバックアップ、データセンターの分散配置などによりトラブルに対する備えをしておりますが、システム障害が発生した場合には、一時的なサービス提供の停止等により、業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループの事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。そのため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視等により未然防止策を実施しております。しかしながら、このような対応にもかかわらず大規模なシステム障害が発生した場合等には、業績に影響が生じる可能性があります。
(3)知的財産権について
当社グループでは「VALUENEX®」「TechRadar®」「DocRadar®」等の名称及びサービス名について商標登録を行っているほか、文書検索装置及び文書検索方法の特許(日本:第5159772号。米国:US 8,818,979 B2)を取得しております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、業績に影響が生じる可能性があります。
また、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許等を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社グループに対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われること等により、業績に影響が生じる可能性があります。
(4)季節変動について
当社グループは、当社グループの顧客である企業あるいは官公庁の会計年度の関係により、3月にコンサルティングの売上高が増加する傾向にあるため、通期の業績に占める第3四半期連結会計期間の比重が高くなっております。また、売上高の小さい四半期においては、販売費及び一般管理費等の経費は固定費として毎四半期比較的均等に発生するため、営業赤字となることがあります。
このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であり、第3四半期連結会計期間の業績如何によっては通期の業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、TechRadar®とDocRadar®のASPの販売を拡大していくことにより、季節変動性の緩和を図っていく方針ですが、今後につきましても、第3四半期連結会計期間依存型の傾向は続くことが考えられます。
なお、第12期連結会計年度における当社グループの四半期ごとの業績の概要は以下のとおりであります。
第12期連結会計年度
(自 平成29年8月1日 至 平成30年7月31日)
第1四半期
自平成29年8月
至平成29年10月
第2四半期
自平成29年11月
至平成30年1月
第3四半期
自平成30年2月
至平成30年4月
第4四半期
自平成30年5月
至平成30年7月
年度計
売上高(千円)51,294117,247237,120102,081507,744
営業利益又は
営業損失(△)
(千円)△42,63613,580107,546△1,48277,007

(注)売上高には、消費税等は含まれておりません。
(5)特定の人物への依存について
当社代表取締役社長である中村達生は、当社グループの最高経営責任者であり、経営方針や事業戦略の決定、開発、サービスラインナップ、製品コンセプト等に関してリーダーシップを発揮しており、当社グループの経営活動全般において重要な役割を果しております。そのため、各事業部門のリーダーへ権限移譲を進めることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、同氏に不測の事態が生じた場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(6)人材確保・維持について
当社グループは、人員規模が小さく、社内体制も会社規模に応じたものであります。そのため今後更なる業容拡大を図るためには、事業の中核となるコンサルタントや営業担当者に加え、当社グループ独自の技術を継承し発展させる技術者の維持と拡充が重要であると認識しております。
しかしながら、このような人材の確保・維持が出来ない場合、あるいは役員及び社員が予期せず退任又は退職した場合には、当社グループが誇るサービスレベルの維持が困難となり、組織活動が鈍化し、業容拡大の制約要因となる場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(7)人材の育成について
技術力を維持するため、人材の教育には時間と費用をかけて取り組んでおりますが、教育の効果が出ない可能性や教育費が固定費に占める割合が高まる可能性があり、その場合、業績に影響が生じる可能性があります。
(8)コンプライアンスの徹底について
当社グループは、会社法、税法、知的財産法、下請法、景品表示法等、さらには海外事業に係る当該国の各種法令・規制等の遵守は極めて重要な企業の責務と認識のうえ、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、こうした対策を行ったとしても、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを完全に回避することはできず、当該リスクが顕在した場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(9)海外展開について
当社グループは、米国、欧州を拠点として、海外市場に積極的に展開をしておりますが、当社グループの計画どおりに海外展開ができない場合、また、当該地域の情勢が悪化する場合や法規制等が当社グループにとって厳しくなる場合等には、業績に影響が生じる可能性があります。
(10)技術革新について
当社グループは、独自の解析技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該分野は新技術の開発が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や職場環境の整備、また特にビッグデータ分析に関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、事業展開上必要となる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合、さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する場合等には、業績に影響が生じる可能性があります。
(11)情報の保護について
当社グループは、業務上、顧客より提供された機密情報を取り扱う場合があるため、顧客と業務委託契約を締結し、情報管理責任者より権限を付与された担当者のみがデータにアクセスできるようにするなど、情報漏えいの防止に努めております。
しかしながら、何らかの理由で顧客の機密情報や個人情報が外部に流出した場合、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に影響が生じる可能性があります。
(12)内部管理体制の強化について
当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレートガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると認識しており、今後とも業務適正性及び財務報告の信頼性の確保のために内部管理体制の適切な運用を徹底してまいります。しかしながら、当社グループは、人員規模が小さく、社内体制も会社規模に応じたものであり、事業の急速な拡大により、内部管理体制の構築が追いつかず、コーポレートガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営が困難となり、業績に影響が生じる可能性があります。
(13)プロジェクトの検収時期の変更あるいは赤字化による業績変動の可能性について
当社グループでは、顧客の検収に基づき売上高を計上しております。そのため、当社グループはプロジェクト毎の進捗を管理し、計画どおりに売上高および利益が計上できるように努めておりますが、プロジェクトの進捗如何では、納期が変更されることもあります。この結果、検収時期の変更により売上計上時期が変動し、業績に影響が生じる可能性があります。
また、プロジェクトは、想定される工数を基に売上見積を作成し受注しております。そのため、当社グループは顧客との認識の齟齬や想定工数の乖離が生じることがないよう、慎重に工数の算定をしております。しかしながら、工数の見積り時に想定されなかった不測の事態等の発生により、工数が増加すると、プロジェクトの収支が悪化する場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
(14)特定のベンチャーファンドについて
当社の最大株主は早稲田1号投資事業有限責任組合であり、本書提出日現在の同組合の当社の保有比率は発行済ベースで47.5%であり、同ファンドの運用の終了する期限が2019年1月31日であるため、90日間のロックアップをかけております。
同ファンドが未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後において所有する株式を売却することであるため、今後、市場に一時に株式が大量に流通することとなる可能性があり、株価に影響が生じる可能性があります。
但し、同ファンドは、同ファンドの運用を継続した上で当社株式を単独又は複数の長期に株式保有する方針の企業等に譲渡する方向で検討しているとのことであります。
(15)配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。したがって、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益還元実施を検討する所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(16)税務上の繰越欠損金について
当社は、現在、税務上の繰越欠損金が平成30年7月時点で87,374千円存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりませんが、今後、繰越欠損金が解消された場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられることとなり、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響が生じる可能性があります。
(17)資金使途について
当社が計画している公募増資の資金の使途については、子会社の増資、アルゴリズム研究体制の構築等、ASP機能改善、クラウドサーバ費用、採用経費、会計システム投資、本社拡張投資及び広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、環境の変化などによって十分な資金調達が行えない場合、競争力低下や業容拡大の制約要因となる可能性もあります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果を上げられなず、業績に影響が生じる可能性があります。