有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/23 15:00
【資料】
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【項目】
89項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は70年前の創業以来一貫して「職人さんの手仕事の自動化・省力化」のための商品作りに邁進してまい
りました。後に「職人さんの手仕事の自動化・省力化により、豊かな生活空間・快適な職場空間を創造する」
を経営理念に定めることとなります。この「ブレない開発方針・経営方針」は当社の誇りとするところであり
ます。
長年の産業機器の受注実績に裏付けられた、お客様のニーズ・要望を形に変える、優れた「構想力・技術
力」により、オリジナリティーあふれる新商品で市場を形成し、関連するニーズをも商品化して、お客様の信
頼を得つつ周辺市場を併せて開拓・育成していく「市場形成力」により更に事業を拡大してまいりました。
その過程で育成し蓄積した職人さんの手仕事(=「裁断」「検尺」「塗布」「縫製」「剥離」「折畳」「測
定」等)の自動化・省力化に関する「コア技術」を活用して、広範な産業分野からの様々な引き合いに対応し
て、数多くの産業機器を開発・販売してまいりました。
一方、早くからコンピュータの有用性に着目して、「勘と経験」が幅を利かせる古い体質の業界に、あえて
コンピュータソフト、コンピュータ制御の製造装置を販売するとともに、自社へもいち早く導入し、インター
ネットも早々に事業に取り入れた、ローカル企業ならではの「情報技術力」も、当社の成長のための大きな武
器となっております。
その結果、単なる機械メーカーとは異なり、機械・設備を導入したお客様の発展を期した、ハード・ソフト
両面の指導支援をおこなって、次の世代まで信者客を形成する「戦略提案営業力」が、ライバル企業と一線を
画する「差別化」の原動力となっております。
さて、先述のとおり、「職人さんの手仕事の自動化・省力化により、豊かな生活空間・快適な職場空間を創
造する」これは当社の経営理念、すなわち「当社は何のために存在しているのか?」に対する答え、当社の
「存在意義」であります。
そして、「お客様の仕事の自動化・省力化による業界・社会への貢献」が当社の使命であります。「自動
化」そのものが使命というよりはむしろ、「自動化した結果、お客様にもたらされるメリットを極大化させる
よう、絶えず努力すること」が使命であると心得て、今後とも事業の推進に全力を挙げてまいります。
(2)事業展開構想
既存事業と新規事業の組み合わせによる強固な事業基盤の確立を目指してまいります。
①プロフェッショナルセグメント(インテリア事業部門、畳事業部門)
長年の事業推進により業界のNO.1シェアを獲得していると推定している新築住宅関連市場を主たるマーケットとするインテリア事業部門、畳事業部門でシェアを堅持するとともに、インテリア商品の建機リース業界やホームセンター等の周辺市場への販売を推進してまいります。
自社の開発力と、IoT等の技術発展を結びつけた革新的な機械の開発や、東西3拠点の配送センター、全国9ヵ所の営業拠点に加え、持ち前のIT技術で開発したEDIシステムの活用等により、大手代理店はじめ主要代理店との関係を一層強化してまいります。
また、畳業界とインテリア内装業界、サイン業界とインテリア内装業界などの融合が加速されると思われる業界に生き残り・発展のための戦略と機器・商品を、流通・小売・工事の各業者に対してタイムリーに提案してまいります。
②コンシューマセグメント(コンシューマ事業部門・ソーラー・エネルギー事業部門)
当社のコア技術やプロフェッショナルセグメントの流通ルートを活かして新築住宅関連市場から離れた事業範囲の拡大をはかるべく、コンシューマセグメントにおいては、葬祭用畳、お風呂用畳などの特殊機能畳の引き合いが活発なコンシューマ事業部門、ソーラー発電システムの販売から住宅全体のリフォームに事業が拡大しつつあるソーラー・エネルギー事業部門の事業を推進しております。
デジタルコンテンツ商品「いろはな」を中心とした和テイストのコンテンツビジネスと関連商品の開発や、畳店、インテリア代理店ルート、更にインターネットを活用して、柔道畳やそくさい畳他の畳商品他の販売に加え、畳店ルートを活用して畳、襖他、クロス・カーテンまで含む内装リフォームの受注・施工ビジネスを推進してまいります。
③インダストリーセグメント(産業機器事業部門、食品機器事業部門)
二次電池製造装置等の産業用製造装置の引き合いが活発な産業機器事業部門、大手飲食チェーンからマルチディスペンサーの引き合いが活発な食品機器事業部門の事業を推進しております。
関西バッテリーベイに近隣する立地を活かしたリチウムイオン電池等の二次電池の製造設備の他、環境・エネルギー等の分野においてコア技術を活かした産業機器の受注を促進してまいります。
また、省力化設備として外食業界で高く注目されるようになったマルチディスペンサーを、海外市場も含めて推進してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、収益性の指標として売上高経常利益率を、安定性の指標として自己資本比率を、効率性の指標として総資本回転率を重要な経営指標と位置づけており、バランスの取れた企業価値の拡大を目指してまいります。
(4)経営環境と対処すべき課題
インテリア事業部門や畳事業部門の販売先の主たるマーケットである住宅市場は、マンション等の老朽化による建替や住宅リフォームの増加、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた宿泊施設の整備等で、需要の盛り上がりが期待されます。しかしながら一方では、中長期的には人口の減少や少子高齢化の影響により新築住宅着工戸数が減少することが懸念されております。
そうした中、当社ではオリジナル商品を積極的に開発するとともに、当社セグメントの対象マーケットを細分化して、より活況となると見通した分野の営業力、商品力の強化をはかってまいります。
①開発力の強化
コンピュータ式畳製造システムやインテリア内装施工機器等の従来から開発してきた機器の他、当社のコア技術を活かした顧客仕様による機器開発において、IoTやロボット技術等の新技術に対応した製品を開発することが求められております。この課題に対処をするため、技術者の育成、自由度の高い研究開発体制の構築等により、コア技術の開発環境を整備し、「オンリーワン製品」の開発を目指してまいります。更に、営業部門が収集した市場要求と顧客ニーズを的確に捉えたタイムリー且つ一層迅速な製品開発を推進しております。
②マーケティング力の向上
当社は、インテリア内装の原点と言える畳製造装置の開発からスタートして、インテリア内装施工機器市場、特殊機能畳市場、またコア技術を活かした顧客仕様による機器の開発等隣接市場への進出による業容の拡大を繰り返してまいりました。今後、プロフェッショナルセグメントにおいては、インテリア事業部門が販売している製商品の隣接市場への販売を推進しており、コンシューマセグメントでは特殊機能畳他の販売を推進しております。そうした新市場への進出を進めるためには、製品開発力の強化とともに、顧客ニーズを的確に捉え迅速に対応するマーケティング力の向上が課題となってまいります。この課題に対処をするため、営業部門での幅広い情報収集とともに、マーケティング担当部署、担当人員の充実をはかっております。
③原価管理の充実
当社は、プロフェッショナルセグメントのインテリア内装施工機器・工具・コンピュータ式畳製造システム、コンシューマセグメントの特殊機能畳、インダストリーセグメントの顧客仕様によるオーダーメイド産業用製造機械等の多様な製品を、ロット生産又は単品生産を見込生産又は受注生産と組み合わせた製造工程で生産しており、原価においてはその製造工程に応じた一層慎重な管理が課題となっております。この課題に対処をするため、それぞれの製品特性を踏まえた標準原価を設定し、毎月定期的に原価検討会議を開催して、標準原価と実績の差異分析により原価改善を継続的に実施することで、原価管理の充実に努めております。
④ISO、内部監査、監査等委員監査の充実
ISO9001とISO14001の認証を取得しメーカーの原点である品質向上と環境対応の向上に努めるとともに、内部監査と監査等委員監査の実施により、経営方針、経営計画の実現のための円滑な業務運営を徹底しております。
⑤人材育成
社員一人ひとりの能力向上を通じた組織力の強化で、従来からの市場でのシェア拡大とともに新市場を開発し、売上利益の拡大をはかっていく計画です。この課題に対処をするため、社内教育の実施や社外研修への派遣を積極的に実施し、営業担当者の提案能力向上、研究開発人員はじめ専門人員の専門分野の知識吸収、製造人員の多能工化、役職者の組織運営能力向上等をはかっております。