有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/20 15:00
【資料】
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【項目】
110項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営環境及び経営方針
今後のわが国の経済情勢の見通しにつきましては、まだまだ不透明な状況がくすぶっており、生命保険市場におきましても、高水準である保険加入率や、高齢化・少子化の進展、高額保障商品のニーズの減少等を背景として、保険料収入全体はほぼ横ばいで推移するものと思われます。ただ、消費者の保険に求めるニーズが変化しつつあるなか、来店型保険ショップや通信販売、金融機関の窓口販売等、さまざまなチャネルを通じて、消費者が自ら保険商品を比較・選択する傾向は一段と強まっております。
また、平成28年5月29日に施行となった改正保険業法は、複雑化及び多様化した保険商品・販売形態に対応し、顧客保護を主眼としたものであり、保険募集人に対して情報提供義務、意向把握義務及び体制整備義務等が課されるようになりました。当社をはじめ全国の多くの保険代理店は既に態勢整備を終え、新しい募集マニュアル等の運用を行い、PDCAサイクルによる改善活動に取り組んでおります。この動きを受けて、同規制に対応できる機能を搭載した、当社グループが独自開発したシステム(『保険IQシステム』、『ASシステム』及び『AS-BOX』)の重要性の高まりから引き合い件数が増加しており、当社グループにおける成長ドライバーの一つになっております。
そのような中、当社グループは、企業理念として、お客様、保険会社(メーカー)及び代理店(ディーラー)の「三者利益の共存」を目指します。「三者利益の共存」とは、お客様を保険会社と当社が協力して支え、お客様利益を最大限確保し、それを実現するために代理店としての生産性を高め、質量共に高いレベルを維持することで保険会社への収益に貢献することにより、実現を目指すものです。
また、中長期的な経営ビジョンとして、下記の通り3つの目標を設定しております。
①「お客様基点」を原点に、お客様満足度の高いサービスを提供し、お客様から選ばれる保険ショップNO.1となることを目指します。
②保険業界のあらゆる角度において最大の貢献をし、業界発展や保険流通革命実現に全力を尽くすことを約束します。
③全従業員の物心両面の幸せを追求し、全従業員が誇りをもてる会社であり続けます。
更に、「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」という企業テーマを掲げ、独自開発したシステム等を活用し、店舗網及びシステムユーザーを拡大する事で、「売り手」と「買い手」を結ぶフィンテックサービスを提供する等、保険分析・販売支援におけるプラットフォーマーとしての事業展開を推進しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは事業拡大と企業価値の向上のために、売上高、営業利益、店舗数及びシステムID数を重要な指標としております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
①『保険クリニック』ブランドの認知度向上
保険販売チャネルの変革期において、金融機関や異業種の大手企業は新たな収益源としての保険販売に力を入れており、また独立系の保険代理店の中でも積極的な広告宣伝によって認知度を上げてきている会社が見受けられます。そのような環境下、当社グループは来店型保険ショップ『保険クリニック』181店舗(直営店及びFC店の合計、平成30年7月31日現在)を全国展開しているものの、一般的な認知度において同業他社にやや遅れを取っている面も否めず、認知度・知名度の向上を喫緊の最重要課題と認識しております。したがって、当社グループでは、広報宣伝活動を更に積極化させるとともに、運営代理店との連携を強化しながら、ブランド価値向上に取り組んでおります。
②システム強化
当社グループは、『保険IQシステム』、『ASシステム』及び『AS-BOX』等、既存システムの機能強化や新規システムの開発を重要な課題と認識しており、当社グループのソリューションサービス及びコンサルティングサービスの独自性・優位性を維持・向上させることが、店舗網拡大及びサービス利用会社数増加に繋がるものと考えております。また今後は、世界的に進展するフィンテック革命を受けて、お客様及びシステムユーザー様に対し、①可視化(”わかりにくい”をわかりやすくする)、②透明性(お客様のご要望から最適な選択を行う)、③標準化(どの店舗でも・どのコンサルタントでも)、④利便性(いつでも・どこでも)を更に向上させるシステムやサービスの開発に取り組んでまいりたいと考えております。
具体的には、下記のシステム開発・機能強化を進めております。
a.AIを活用した「生命保険証券の自動分析サービス」の更なる精度向上及び機能強化
同サービスの特長は以下の通りです。
①生命保険募集人が、生命保険証券をスマートフォンやタブレット等の「保険証券カメラ」アプリで撮影。
②AI(人工知能)を搭載し、ディープラーニング技術(深層学習、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法の一つ)を活用した、次世代型の構造化OCR技術を活用した「スマートOCR」を使用し、撮影された画像データから、保険の概要を把握。保険証券に記載の保険種類、保障内容、保険期間、保険金額、保険料等のデータをデジタル化(特許出願中)。今までの手入力に比べてお客様の待ち時間を短縮。
③アプリに取り込んだ情報を『保険IQシステム』にデータ連携し、保険の内容をビジュアルで分かりやすくした「分析シート」を生成。
④現状の保障内容と新たに加入を検討している保険との過不足がないかをチェックし、効果的な保険の見直しが可能。
同サービスは、平成30年2月9日より『保険クリニック』直営店にて、また5月30日より一部のFC店にて、当社独自開発の保険分析・検索システム『保険IQシステム』と連携した運用を開始しております。実際の運用を通じ、お客様や営業担当者の要望等を活かして、更なる精度向上及び機能強化を目指して行きたいと考えております。
平成30年5月18日、当社100%子会社である株式会社インフォディオは、住友生命保険相互会社と、上記「構造化OCR技術」した「スマートOCR」を応用し、同社による健康サポートプログラムが「Vitality」にて取り扱う「健康診断書」画像のデータ化技術を共同検討し、今後の検証を経て業務に利用する方向で合意しましたが、同社のプログラムに正式採用されるよう、また同様の採用が増えるよう、更なる精度向上及び機能強化を目指して行きたいと考えております。
なお、同「スマートOCR」は、業務効率化等を目的とし、請求書やその他一般書類をターゲットとした、非定型帳票対応サービスとして開発を進めております。
また、この「生命保険証券の自動分析サービス」は、平成30年6月14日より、『ASシステム』のオプション、「証券分析AIアシスト機能」としてリリース、6月15日には株式会社三重銀行が、同オプションを導入することで合意いたしましたが、多くの導入ユーザーが増えるよう、更なる精度向上及び機能強化を目指して行きたいと考えております。
b.『保険フォルダ』アプリの更なる精度向上及び機能強化
同アプリのサービスにより、保険証券をスマートフォンのカメラで撮影すると、AI(人工知能)技術を活用した「構造化OCR技術」を使用し、撮影された画像データから、保険の概要を把握するために必要な情報(保険会社名、保険代理店名、保険種類、証券番号、契約者名、保険期間、保険金額、保険料等)が自動でデジタル化され、一括管理することができます。
また、「おすすめの保険」からはインターネットで加入できる商品を、「保険のご相談」からは『保険クリニック』の保険相談を利用することができます。アプリ内で、現在加入している保険の保障内容を把握しておくことで、新たに加入を検討している保険との過不足がないかをチェックし、効果的な保険の見直しができます。
同アプリを通じて、スマートフォンのユーザーに対する様々なサービスを提供できるよう、機能強化を目指していきたいと考えております。
c.「IQリモ・コン~どこでもリモート保険相談~」によるリモートコンサルティング・サービスの更なる精度向上及び機能強化
同サービスでは、店舗もしくはお客様の自宅にて店舗スタッフ(サポーター)が同席し、保険クリニック本部の専門スタッフ(リモートコンサルタント)がWeb面談し、店舗と本部で2人の保険募集人がお客様のご相談に対応します。実績豊富なコンサルタントが常に対応可能となるため、店舗間でのサービスの質を標準化する事で、お客様満足度を向上する事ができ、コンサルタント育成に欠かせないOJTの教育ツールとしても効果的と考えております。また、採用がうまく行かず出店出来なかったようなケースでも、同サービスを活用する事で、相談しやすい店舗環境を守りつつ、より身近な場所への出店を加速し利便性を高めることができます。
新たに来店型保険ショップ事業に参入したいと考えている保険代理手や金融機関、企業代理店に対し、様々なサポートサービスを提供できるよう、機能強化を目指していきたいと考えております。
③優秀な人材の確保・育成、営業力の強化
当社グループの経営基盤を安定的に維持するためには、優秀な人材の確保や育成が重要であると認識しております。新入社員研修及びブラッシュアップ研修、外部による研修会、勉強会等を積極的に強化していくことで人材の育成に努め、更なる営業力の強化に邁進したいと考えております。