有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/09/04 15:00
【資料】
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【項目】
96項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
当社グループでは、「ROAD to the DREAM―共に歩む、その先の未来へ」という基本理念を策定しております。この基本理念には、次のような願いが込められています。
・社会に参画する人が増え、それぞれが働くことの幸せを実感すること。
・それを実現させるのは、柔軟な働き方ができる社会であること。
・社会・仕事・個人のトライアングルが大きく実る未来を創造すること。
グループの従業員、仕事に携わる派遣スタッフ、より良い労働力を求めるクライアントも含めて、共に手を携えて、より大きな組織、より理想とするカタチを作り上げていこうという信念を表現しております。
なお、当社は平成29年6月に商号をキャスティングロードホールディングス株式会社からCRGホールディングス株式会社に変更しました。新商号は、「ステークホルダーとのコミュニケーションを図り(Communication)、関係性を構築し(Relation)、共に成長をしていく(Growing)」ことを、それぞれの頭文字であるCRGによって表現しており、共に手を携えて、より大きな組織、より理想とするカタチを作り上げていこうという想いが込められています。
(経営環境)
当社グループが属する人材サービス業界においては、我が国の少子高齢化・人口減少という社会構造の変動を受け、人手不足がこれまで以上に深刻な問題となることが予想されていることから、経営基盤の一層の強化を図り、クライアントが必要とするサービスの提供を質・量ともに果たすことが重要であると認識しております。これに対しては、シニア層人材の活用を進める一方で、RPA市場への参入により、人材供給に加え、ロボットによる省人化施策も提供することによって労働市場における需給調整機能の提供を推進してまいります。
更に、外注先を利用したAIによるマッチングシステムの開発、勤怠管理をより一層軽減するシステムの開発等、従来労働集約型産業と言われ続けてきた人材サービス業界に風穴を開ける大きな取り組みも始めております。
今後も、経営資源を効率的に投下し、ビジネスとしての礎の構築を図り、業容の拡大を推進してまいります。
具体的な戦略は、以下のとおりです。
(経営戦略)
(1) 人材派遣紹介事業
中核事業であるコールセンター派遣においては、未だ進出していない空白エリアである政令指定都市等の高ポテンシャル地域への拠点進出等を積極的に推進し、コールセンターのユーザーであるエンド・クライアント企業へのダイレクト・サービス拡大により、顧客開拓を図ってまいります。又、注力分野であるシニア人材活用や介護・看護事業を強化する他、倉庫業務等へのサービス分野の拡大、デリバリーの請負等により、トップラインの拡大を図ってまいります。
基幹システム「C3」の機能向上、外注先を利用したAIによるマッチングシステムの開発、RPAによる事務作業効率化等のIT活用により、サービスレベルを維持・向上したままオペレーションの更なる効率化を図ってまいります。
スーパーバイザーとオペレーターをセットで派遣する「ユニット型派遣」をはじめとして、ノウハウ・管理提供を含む請負型契約への切り替え、クライアントが希望する派遣人数をコミットメントすることで優先的に案件獲得をすること等により、サービスの高付加価値化に取り組んでまいります。又、スタッフのキャリアアップ制度利用を推進することによって介護・看護職の有資格者を増やし付加価値の高い人材提供を図る他、将来的にはAI、RPAの導入をサポートできる人材の育成・供給にも取り組んでまいります。これらの施策により、請求単価の向上を図ってまいります。
案件スクリーニングの強化、優良案件が見込める企業における当社シェアの拡大、人材紹介事業の強化等、高収益案件へこれまで以上に注力することで、一層の収益性向上を図ってまいります。
(2) 製造請負事業
生産性・作業品質・提案力を持続的に向上させることで、高い顧客満足・評価を獲得し、クライアントとの関係を深化させることで業務拡大につなげます。
具体的には、国内既存5拠点における請負業務範囲の拡大に加え、ペットケア以外の事業拡大を企図し、将来的にはクライアントの国内全拠点への展開を目指します。
更に、ベトナム等からの海外人材を国内で受入、経験を積ませることで、同海外人材に技術・ノウハウを吸収させ、将来は同人材を活用し、クライアントの海外拠点での業務受注を目指してまいります。
(3) その他事業
① BPOサービス事業、給与計算代行事業、採用代行受託事業
人材採用に課題を抱えている企業に対し、採用業務全般の代行受託業務、又、勤怠処理に関わるルーティン業務(入力作業等)のアウトソーシングサービス、更には、AIシステムの導入による人材の有効活用の提案等を、クライアントに対し提供してまいります。
② RPA事業、システムソリューション事業、IT関連事業
人事管理、労務管理領域を効率化するための受託開発を主軸とし、具体的にはロボティクスを活用したRPAソリューション、勤怠ソリューション分野に注力してまいります。
RPAソリューションにおいては、人員不足による長時間労働といった課題を抱えるあらゆる業種の企業に対し、ロボティクスを活用した業務の自動化・効率化ソリューションを積極的に提案し、既存クライアントの課題解決策を提供しながら、顧客基盤を拡大してまいります。
(目標とする経営指標)
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。具体的には、売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけております。
(対処すべき課題)
(1) 当社グループの現状の認識について
経済環境の変化に伴い、企業の雇用形態及び求職者の就業形態が多様化しております。特に国内においては、少子高齢化に伴い、若年層の人口が減少する一方、高齢者や女性の社会進出が進んでおり、人材サービス業界は、様々な働き方を提供・実現していくことが求められていると考えております。
このような中、企業及び求職者の需要に応えるべく、当社グループの役職員、派遣スタッフ等の人材の採用及び教育の充実を図るとともに、収益基盤拡大の取り組みを進めていくことが求められていると認識しております。
(2) 当面の対処すべき課題の内容と取り組み方針
① 派遣スタッフの採用と育成
当社グループは、継続的成長のために、派遣スタッフの採用と育成が重要であると考えております。
人材サービス事業では、セールス系及びメディカル系(介護・看護)の成長性が期待されておりますが、当社グループのシェアはまだ低いため、当該領域に係る派遣スタッフの採用と育成の強化を進めてまいります。
更に専門性を持った派遣スタッフを確保するため、即戦力となる中途採用を強化し、当社グループ内において専門性の高い教育・研修体制の強化を図ってまいります。
又、当社グループの事業方針に合致する企業との業務提携等も積極的に実施し、迅速に顧客ニーズに対応できる体制を構築してまいります。
② 正社員の教育強化
当社グループは、継続的成長のために、将来を担う人材の育成が必要不可欠であると認識しております。
人材サービス事業は参入障壁が高くないため、競合となりうる企業に負けない企業体制を構築いたします。競合他社との差別化を図るため、提案力やチーム力を強化することで顧客ニーズに柔軟に対応できるよう正社員の教育強化を図ってまいります。
更に、グループ内の既存社員への研修、新人研修実施の他、育成研修プランとして外部の研修を積極的に取り入れております。又、役職者については、プレゼンテーション能力の向上やチーム力を向上することで、顧客企業との良好な関係構築に必要な能力及びクライアントへの提案能力の向上により収益力を高めてまいります。
③ 収益基盤の拡大
人材派遣紹介事業におきましては、全国主要都市に営業所を展開する方針ですが、中国地方及び信越地方への展開はまだ実施しておらず、今後の課題となっております。又、中部地方及び関西地方では既存の営業所があるものの、まだ展開の余地があると認識しております。当社グループといたしましては、積極的に事業を展開していくことで、更なる収益基盤の拡大を図ってまいります。
又、人材派遣紹介事業が当社グループの売上の大半を占めておりますが、当該事業に依拠しない体制を構築するため、それ以外の事業も拡大し多様な収益基盤の構築に取り組んでまいります。
④ 特定取引先への依存に関するリスク軽減
株式会社プロテクスにつきましては、ほぼ取引先メーカー1社及びその関連会社との取引となっており、同社グループとの取引縮小等に伴う事業リスクが存在するため、当該リスクの低減が必要であると認識しております。
請負業務範囲の拡大や国内外を含む受注拠点拡大により取引先メーカーとのリレーションの一層の強化を図る一方、同社との取引を通じて得たナレッジを他社取引に展開し、事業の拡大及び事業リスクの低減を図ってまいります。
⑤ IT活用の推進
深刻な人手不足を背景に、当社グループは総合人材サービス会社として、人材だけでなく、生産性向上に向けた省人化施策も提供することが必要となってくると認識しております。
当社グループでは、ITシステムやRPAを活用した新たなサービスを創出し、顧客企業に価値を提供していくと同時に、AIマッチングシステムやRPA活用による社内オペレーションの効率化によって収益性向上を図ってまいります。
又、人材サービス業界に特化した基幹システムや勤怠管理を自動化するシステムを開発・導入し、業務の効率化に取り組んでおります。当該システムにおいては、スマートフォン上で完結する勤怠報告アプリケーションの導入や、幅広い給与支払い方法に対応する等派遣スタッフの利便性を向上する各種機能を実装し、派遣スタッフの満足度向上を図っております。
今後は更に、これらシステムのクライアントへの提供を推進する他、継続的な機能強化を行い、付加価値向上に努めてまいります。
⑥ 新規事業への参入について
当社グループでは、継続的な事業規模拡大のため、積極的に新規事業へ参入していく方針であります。
当社グループは、人材需給が逼迫する状況を背景に、クライアントの業務効率化のためのソリューションを提供するRPA事業へ参入いたしました。今後も、クライアントのRPA活用をより一層促進するためのAI、RPAの導入をサポートできる人材の育成・提供事業等、新たな価値を生むための取り組みを展開してまいります。
又、必要に応じてM&Aなども活用することにより、市場環境や顧客需要の変化に柔軟かつスピーディーに対応してまいります。