有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/06 15:00
【資料】
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【項目】
103項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「全ての行動がWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing for Your Life」をビジョンとし、「ECトランスフォーメーション」を推進することで、ショッピングに「最適な出会い」「最高の体験」「最強の利便性」を創造し、顧客満足を最大化することをミッションとしております。ビューティ&ヘルス及び食品市場におけるEC支援のシェアNo.1企業を目指し、独自開発のEC向けマーケティングテック及び領域特化型のデータと、同市場における実績及びノウハウに基づくコンサルティングを事業基盤とし、マーケティングのサービスを保証すべく、「KPI保証」型によるサービスを提供してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、主要財務指標として、全社の売上収益、営業利益、マーケティングテック導入社数及びその成長率を重視しており、その向上を図る経営に努めてまいります。
(3)中長期的な経営戦略
①ECマーケティングテック
マーケティング総合支援ツールである「RESULTシリーズ」とAIの機能強化、領域特化型DMPの充実化を推進してまいります。ビューティ&ヘルス領域における、これまでの豊富な実績に基づくデータが蓄積されたDMPとAIを連携させ、クライアントの商材と類似するマーケティング事例を発見し予測モデルを作成し、それを基にプロモーションの方向性や施策の設定などを行い、マーケティングの最適化を図ります。
「KPI保証」型は当社の報酬がクライアントの売上に連動するため、クライアントの導入障壁が低くなります。当社グループは「KPI保証」型での提供にて契約社数増を図り、取得データを拡張しつつ、AIをさらに学習させることで、より高確度のマーケティングを可能にしており、効果を見ながらのPDCAでクライアントの予算配分を調整し、既存施策への予算配分見直しや余剰予算で効果が見込める新規施策を設定するなどして、当社グループにおけるクライアント1社あたりの取引単価を拡大し売上増へと結び付けてまいります。
また自社のマーケティングテックを有効に運用し、的確なコンサルティングを行うための人員強化及び育成にも取り組んでまいります。
②広告マーケティング
既存のマス広告や紙媒体に捉われず、コールセンターの拡充やフィールドキャラバン(リアル店舗でのマーケティング及び販売)の展開など、新たな顧客開拓を行ってまいります。さらに、それらを自社マーケティングテックと連携させることで、データ収集の機会としつつ、より多角的かつ密度の高いコミュニケーションを実行できるインフラを構築し、あらゆる領域において、「KPI保証」型でのサービスへの移行を目指し、利益の向上を図ってまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループが主たる事業を展開する、ビューティ&ヘルス及び食品市場の市場規模は、平成28年は1.8兆円であり、その後、年率6~8%の増加を見込み、平成31年には平成28年比21.8%増の2.2兆円に達すると推計されており(「通販・得e-コマースビジネスの実態と今後2018」(富士経済))今後も拡大余地が大きいものと考えております。
当社グループは、クライアントに対して、「ECマーケティングテック」及び「広告マーケティング」に関するサービスを提供しております。オンライン/オフライン両軸でクライアントにおける新規顧客獲得から既存顧客のCRM(顧客管理)に至るまで、多様なクライアントニーズに対応できる体制を構築しています。今後はグローバル展開も視野に入れ、主にアジア地域の越境ECの構築・運営を支援してまいります。
EC市場の中でもビューティ&ヘルス及び食品市場は、商材が主に化粧品や健康食品等になるため、一般的に景気変動の影響を受けにくい傾向にあります。このような状況下、当社グループは、今後も引き続き「KPI保証」型でのサービスによる競争優位性を維持・強化しつつ、自社開発のマーケティングテックの機能強化、及びオフショア開発にてコストダウンを図るなど、利益率の更なる向上を通じ、持続的な成長を実現してまいります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは全社的にECマーケティングテックに注力し、マーケティング総合支援ツールである「RESULTシリーズ」の機能強化を進めるとともに、「RESULTシリーズ」を軸とした成果報酬保証型のマーケティング事業領域の拡大とサービスの変革及びグローバルへの展開に努めてまいりました。
問題認識につきましては、「(6)対処すべき課題」に記載しております。なお、今後につきましては、自社サービスの利便性・多様性の更なる拡充、また、国内外での認知度向上のためのプロモーション活動等を進めながら、事業領域の拡大を積極的に図ってまいります。
(6)対処すべき課題
①グループシナジーの更なる追及
ビューティ&ヘルス及び食品市場と、その事業領域におけるマーティングに関連するテクノロジー市場は、環境変化の激しい状況が続くと見込んでおります。当社グループはアジアにおけるEC支援を行なう比智(杭州)商貿有限公司及び主に「RESULTシリーズ」の開発保守を行なうPIATEC(Thailand) Co., Ltd.、㈱Pialabの子会社3社により構成されております。
当社グループは、グループ各社が自律的な意思決定を行うことで、スピード感のある事業運営を実現しております。併せて、同領域において、データを中心としたEC向けマーケティングテックにおける競争力の強化を主軸に、アジア市場に向けてのEC支援事業の展開及びマーケティングテックの開発にあたり、更なる相互シナジーを創出し、当社グループのもつ経営資源の効率的な活用を推進してまいります。
②収益性の更なる向上
当社グループは独自のEC向けマーケティングテックとデータを活用したEC支援事業を「KPI保証」型にて提供し、収益を創出しておりますが、ノウハウが確立されてきたことで、クライアントごとの成果向上にもつながり、顧客数は増加傾向にあり、1社あたりの取引高は増加傾向にあります。
今後もAIを中心としたテクノロジーを導入し、EC向けマーケティングテックの開発やプライベートDMPの強化を推進し、ビジネスの基盤を拡充することで、EC向けマーケティングテック導入社数を重視しつつ、既存顧客の販売高引上げにも注力し、更なる収益性の拡大を進めてまいります。
③優秀な人材の確保
当社グループは、更なる事業拡大を実現していく上で、優秀な人材の確保が必要不可欠であると認識しております。このため、即戦力となる人材確保を目的とした中途採用及び将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行ってまいります。
新卒採用に関しては、オンラインにて就労体験が可能な「クラウドインターン」制を導入し、学年や居住地を問わず学生達との接点を拡充し、その採用活動の強化を図ってまいります。
また、事業状況に合わせ、年齢や国籍等に制限なく、高いスキルや潜在的な能力を持つ人材を積極的に登用してまいります。
④情報セキュリティ体制の更なる整備
当社グループは、顧客と取引を行うにあたり、顧客情報、個人情報及び営業機密等の機密情報を取り扱うことがあります。
情報セキュリティ体制の整備を引き続き推進していくとともに、情報の取り扱いに関する社内規程の適切な運用、役職員の機密情報リテラシーの向上、役職員による機密情報の取り扱いに関する内部監査等を通じ、情報セキュリティ体制の強化を図ってまいります。
⑤内部管理体制の強化
当社グループは、急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、社外役員の登用・監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
⑥システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、国内外での市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、新規海外拠点の設立等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷分散システムの導入等が必要不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持構築に取り組んでまいります。